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11月、秋の澄んだ高い空の下。 神社では、七五三のお参りをする晴れ着姿の子どもたちを見掛けるようになります。
七五三は、子どもの無事の成長を喜び、この先も健やかに長生きしますように、との願いを込めたはるか昔に由来を持つ伝統行事。かつては、子どもの厄除け、大人になるための通過儀礼として行われてきました。
そんな七五三に彩りを添えるのが、千歳飴。小さな子どもが引きずりそうになりながら持つ千歳飴の長い化粧袋は、縁起物が色鮮やかに描かれ、おめでたい雰囲気を一層盛り上げてくれます。
この千歳飴はなぜ七五三の定番となったのでしょうか? ここでは千歳飴の由来と込められた願い、また食べ方についても紹介していきます。
千歳飴の原料は水飴と砂糖。 二つを調合したものを、釜で160℃くらいまで煮詰めます。それを台の上に載せ、ほどよく冷やし固めていきます。このとき飴は琥珀色の透明な状態。
そこから「製白機」という機械にかけ、引きのばしては折り重ねる作業を繰り返すことで、透明だった飴は空気を抱いて、真っ白に変わっていきます。
その後、大きなかたまりの飴を機械で細く長く伸ばし、最後に職人の技でまっすぐ均等な太さに捻り整えて、固まりきる前に決まった長さに叩き切るのです。
千歳飴は規格で、長さ1m以内、太さは直径14.5mm以内と定められているのだそう。 現代の千歳飴の長さは15〜20cmが主流でしょうか。
小さな子が食べやすいように、また千歳飴のおいしさを手軽に楽しめるよう、ひと口サイズのミニ千歳飴も見かけるようになりました。
最近では、味もミルクやイチゴ、抹茶などさまざまな味とカラフルな模様の千歳飴も人気です。
では、この千歳飴はどんな意味が込められ、どんな由来を持つのでしょうか。
千歳飴は、細く長く伸ばしながらできあがるその形状と、「長い年月」という意味を持つ「千歳」の名に掛けて、「細く長く、いつまでも健やかに生きられますように」という意味が込められています。
また、千歳飴の色は一般的に、白い飴と、紅を使ってピンク色に仕上げられた飴がセットになっているもの。紅白の2色は、縁起の良い色の組み合わせとして、昔からお祝い事に取り入れられてきたおめでたい色です。
千歳飴の由来はどれも江戸で始まったというもので、諸説あります。
そもそも、飴文化の中心は関西、上方だったと言われています。飴を扱う大坂の平野甚左衛門という人が、販路を広めるために江戸に出て、浅草寺境内で飴を売り始めたのだとか。「この長い千年飴を食べると長生きできる」という売り文句で人気になったという説があります。
元禄・宝永期に浅草の飴売り七兵衛が売り出した、「千年飴」だという説。にぎやかに、歌ったり踊ったりしながら売る長い飴は、めでたい松竹梅や鶴亀の絵柄の袋に入り、紅白の飴は縁起がよいと評判になったといわれています。
江戸時代、江戸を守護する「江戸総鎮守」とされた神田明神の「祝い飴」が起源だという説も伝わっています。もともとお参りのお土産やお祝い返し、厄除けのために、神田明神の社頭で売られていた「祝い飴」。当時の様子を描いた歌川広重の浮世絵には、神田明神にお参りする家族と、その後ろから長い千歳飴の袋を持つ丁稚の姿が描かれています。
本当の由来は定かではありません。
ただどれも、いつまでも健やかな日々が送れるようにという、長寿への憧れや願いを感じるもの。その願いが、広く人々の間に千歳飴を伝えていったのでしょう。
では江戸時代に広まった千歳飴は、なぜ七五三と結びついたのでしょうか。
「七つまでは神のうち」という言葉があります。 生まれてから7歳になるまでは神からの預かりものであってまだ人の子ではない、そんな意味を持つ、いにしえから伝わる言葉です。
江戸時代、乳幼児の死亡率は非常に高かったと言われます。そのため、生後すぐではなく、3、4歳を迎えられてから戸籍に登録することもあったほどだそう。
そんな時代に「食べれば千年も寿命を伸ばすことのできる飴」と評判になった千歳飴。
子どもの成長を祝う七五三に、子どもが喜ぶ甘い飴、しかもこんなに縁起の良い飴なら食べさせてあげたい、という親心を見事にとらえたのが千歳飴だったのでしょう。
いにしえより伝わる七五三。由来と意味をより深く知りたい方はこちらをどうぞ。
七五三で子どもの成長をお祝い|神社への参拝で心に残るひとときを
千歳飴の細長い形状には意味が込められているとお伝えしましたが、子どものころは長すぎて、食べているうちにベトベトして最後まで食べ切った記憶がない、という方も多いのではないでしょうか?
縁起の良い千歳飴を短く切って食べることは、縁起が悪いのではと思われるかもしれませんが、大丈夫です。 ありがたく食べること以外とくにルールもありません。
昔は七五三を祝う家が、厄除けやお祝い返しなどとして、お世話になっている方やご近所にも配ったとされていたとも言われています。家族、親しい人たちと分け合って食べるのがいいですね。
では、長い千歳飴、七五三で食べ切れなかったらどうしたらいいのでしょう?
保存する場合は、密封容器に入れて高温多湿を避けるのがよいそう。 ただ、やはり常温だとどうしてもベタついてしまうため、冷蔵庫に入れると安心です。
現代のキャンディーとまた違い、なんとも素朴でおいしい千歳飴ですから、そのまま召し上がりたいという方も多いでしょう。
包丁の背でトンと叩き割ってみると、形は不揃いになりますが、ひと口サイズくらいに割ることもできます。袋のまま叩くと破片が飛び散りません。
また、電子レンジでほんの少しだけ柔らかくすると、キッチンバサミでもきれいに切り分けることもできます。注意しないとあっという間に溶けてしまうのでご用心。
千歳飴はお鍋で簡単に溶かすことができます。
千歳飴と水を鍋で煮詰め、カラメル色になったところに少量の生クリームとバターを加えて再び冷やし固めると、生キャラメルになります。
水飴と砂糖でできた千歳飴。
味のついていないプレーン味のものは、調味料としてお料理にも使うことができますよ。
水飴が入っているため、普通のお砂糖よりも照りとコクが出るのが特徴。 お砂糖やみりんの代わりに、煮物や照り焼き、大学芋を美味しく仕上げてくれます。
お参りの際にご祈祷をお願いする場合には、千歳飴は授与品としていただくこともあります。
また、ご祈祷をしなくても、七五三の時期になると千歳飴を販売する神社もありますので、調べてみてもいいですね。
近所の和菓子屋さんやスーパー、デパートなどの店頭でも、七五三の季節になると見掛けるようになるでしょう。
SNSに映えるようなおしゃれな千歳飴も、キャンディーショップやオンラインショップなどで購入できます。
細長い独特の形をした千歳飴の化粧袋には、いかにもおめでたい縁起の良いモチーフが色鮮やかに描かれています。
主に描かれるのが松竹梅や鶴亀など。 それぞれの図柄にはこんな意味が込められているのです。
この三つの植物は、寒い季節でも枯れることがなく、日本ではおめでたいものの象徴として親しまれています。
松は常緑、寿命も数十年、数百年といわれ、長寿の象徴です。 竹は天に向かって勢いよく伸び、地面に強い根をどこまでも広げていく子孫繁栄の象徴。そして梅は百花に先駆けて、春もまだ遠い寒い頃から香り高い花を咲かせる生命力の象徴とされています。
「鶴は千年、亀は萬年」という言葉のように、長寿を象徴する吉祥の動物とされています。
鶴は夫婦仲良く、夫婦円満の象徴とされることもあります。他を退けるほどの優れた意見、権力のある人の言葉を、「鶴の一声」ということがありますね。これは鶴のどこまでも通る甲高く力強い声からきています。また、この高く響く鳴き声は、天の神にまで声が届き、天と地をつないでくれるありがたい動物だとされているのです。
一方、亀は仙人が住むという不老不死の地、蓬莱山の使いともいわれる動物。知恵と長寿の象徴とされ、古代インドではこの地球を支えているのは、大きな象と硬い甲羅を持つ亀であるとされていました。
岩座では、そんな神聖な鶴や亀が、モチーフになっている商品も取り扱っております。 ぜひお気に入りのものを身につけて過ごしてみてください。
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人生のまだほんの初めのころ、何度も食べたものではないのになぜか強く残る、うれしい千歳飴の思い出。
七五三の根底には、「子どもが3歳まで、5歳まで、7歳まで生きられた、本当によかった、神様ありがとうございます」という今も昔も変わらない、親のとてもシンプルな心からの喜びがあります。
今度は親として味わう千歳飴。また新しく、幸せな千歳飴の思い出を、お子さんと一緒に重ねる方も多いのではないでしょうか。
11月、秋の澄んだ高い空の下。
神社では、七五三のお参りをする晴れ着姿の子どもたちを見掛けるようになります。
七五三は、子どもの無事の成長を喜び、この先も健やかに長生きしますように、との願いを込めたはるか昔に由来を持つ伝統行事。
かつては、子どもの厄除け、大人になるための通過儀礼として行われてきました。
そんな七五三に彩りを添えるのが、千歳飴。
小さな子どもが引きずりそうになりながら持つ千歳飴の長い化粧袋は、縁起物が色鮮やかに描かれ、おめでたい雰囲気を一層盛り上げてくれます。
この千歳飴はなぜ七五三の定番となったのでしょうか?
ここでは千歳飴の由来と込められた願い、また食べ方についても紹介していきます。
目次
千歳飴とは
千歳飴の原料は水飴と砂糖。
二つを調合したものを、釜で160℃くらいまで煮詰めます。それを台の上に載せ、ほどよく冷やし固めていきます。このとき飴は琥珀色の透明な状態。
そこから「製白機」という機械にかけ、引きのばしては折り重ねる作業を繰り返すことで、透明だった飴は空気を抱いて、真っ白に変わっていきます。
その後、大きなかたまりの飴を機械で細く長く伸ばし、最後に職人の技でまっすぐ均等な太さに捻り整えて、固まりきる前に決まった長さに叩き切るのです。
千歳飴は規格で、長さ1m以内、太さは直径14.5mm以内と定められているのだそう。
現代の千歳飴の長さは15〜20cmが主流でしょうか。
小さな子が食べやすいように、また千歳飴のおいしさを手軽に楽しめるよう、ひと口サイズのミニ千歳飴も見かけるようになりました。
最近では、味もミルクやイチゴ、抹茶などさまざまな味とカラフルな模様の千歳飴も人気です。
千歳飴の意味・由来
では、この千歳飴はどんな意味が込められ、どんな由来を持つのでしょうか。
千歳飴に込められた意味
千歳飴は、細く長く伸ばしながらできあがるその形状と、「長い年月」という意味を持つ「千歳」の名に掛けて、「細く長く、いつまでも健やかに生きられますように」という意味が込められています。
また、千歳飴の色は一般的に、白い飴と、紅を使ってピンク色に仕上げられた飴がセットになっているもの。
紅白の2色は、縁起の良い色の組み合わせとして、昔からお祝い事に取り入れられてきたおめでたい色です。
千歳飴の由来
千歳飴の由来はどれも江戸で始まったというもので、諸説あります。
● 大坂の平野甚左衛門の「千歳飴(せんざいあめ)」
そもそも、飴文化の中心は関西、上方だったと言われています。
飴を扱う大坂の平野甚左衛門という人が、販路を広めるために江戸に出て、浅草寺境内で飴を売り始めたのだとか。「この長い千年飴を食べると長生きできる」という売り文句で人気になったという説があります。
● 浅草の飴売り七兵衛の「千年飴(せんねんあめ)」
元禄・宝永期に浅草の飴売り七兵衛が売り出した、「千年飴」だという説。
にぎやかに、歌ったり踊ったりしながら売る長い飴は、めでたい松竹梅や鶴亀の絵柄の袋に入り、紅白の飴は縁起がよいと評判になったといわれています。
● 神田明神の「祝い飴」
江戸時代、江戸を守護する「江戸総鎮守」とされた神田明神の「祝い飴」が起源だという説も伝わっています。
もともとお参りのお土産やお祝い返し、厄除けのために、神田明神の社頭で売られていた「祝い飴」。
当時の様子を描いた歌川広重の浮世絵には、神田明神にお参りする家族と、その後ろから長い千歳飴の袋を持つ丁稚の姿が描かれています。
本当の由来は定かではありません。
ただどれも、いつまでも健やかな日々が送れるようにという、長寿への憧れや願いを感じるもの。
その願いが、広く人々の間に千歳飴を伝えていったのでしょう。
なぜ七五三に千歳飴を食べるの?
では江戸時代に広まった千歳飴は、なぜ七五三と結びついたのでしょうか。
七五三は子どもの成長を祝い、長寿を祈るもの
「七つまでは神のうち」という言葉があります。
生まれてから7歳になるまでは神からの預かりものであってまだ人の子ではない、そんな意味を持つ、いにしえから伝わる言葉です。
江戸時代、乳幼児の死亡率は非常に高かったと言われます。そのため、生後すぐではなく、3、4歳を迎えられてから戸籍に登録することもあったほどだそう。
そんな時代に「食べれば千年も寿命を伸ばすことのできる飴」と評判になった千歳飴。
子どもの成長を祝う七五三に、子どもが喜ぶ甘い飴、しかもこんなに縁起の良い飴なら食べさせてあげたい、という親心を見事にとらえたのが千歳飴だったのでしょう。
いにしえより伝わる七五三。由来と意味をより深く知りたい方はこちらをどうぞ。
七五三で子どもの成長をお祝い|神社への参拝で心に残るひとときを
千歳飴の食べ方は?ルールはある?
千歳飴の細長い形状には意味が込められているとお伝えしましたが、子どものころは長すぎて、食べているうちにベトベトして最後まで食べ切った記憶がない、という方も多いのではないでしょうか?
縁起の良い千歳飴を短く切って食べることは、縁起が悪いのではと思われるかもしれませんが、大丈夫です。
ありがたく食べること以外とくにルールもありません。
昔は七五三を祝う家が、厄除けやお祝い返しなどとして、お世話になっている方やご近所にも配ったとされていたとも言われています。
家族、親しい人たちと分け合って食べるのがいいですね。
長い千歳飴、余ったらどうする?
では、長い千歳飴、七五三で食べ切れなかったらどうしたらいいのでしょう?
保存する場合は、密封容器に入れて高温多湿を避けるのがよいそう。
ただ、やはり常温だとどうしてもベタついてしまうため、冷蔵庫に入れると安心です。
割って・切って食べる
現代のキャンディーとまた違い、なんとも素朴でおいしい千歳飴ですから、そのまま召し上がりたいという方も多いでしょう。
包丁の背でトンと叩き割ってみると、形は不揃いになりますが、ひと口サイズくらいに割ることもできます。袋のまま叩くと破片が飛び散りません。
また、電子レンジでほんの少しだけ柔らかくすると、キッチンバサミでもきれいに切り分けることもできます。注意しないとあっという間に溶けてしまうのでご用心。
リメイクして楽しむ
千歳飴はお鍋で簡単に溶かすことができます。
千歳飴と水を鍋で煮詰め、カラメル色になったところに少量の生クリームとバターを加えて再び冷やし固めると、生キャラメルになります。
お料理に調味料として加える
水飴と砂糖でできた千歳飴。
味のついていないプレーン味のものは、調味料としてお料理にも使うことができますよ。
水飴が入っているため、普通のお砂糖よりも照りとコクが出るのが特徴。
お砂糖やみりんの代わりに、煮物や照り焼き、大学芋を美味しく仕上げてくれます。
千歳飴はどこで買える?
お参りの際にご祈祷をお願いする場合には、千歳飴は授与品としていただくこともあります。
また、ご祈祷をしなくても、七五三の時期になると千歳飴を販売する神社もありますので、調べてみてもいいですね。
近所の和菓子屋さんやスーパー、デパートなどの店頭でも、七五三の季節になると見掛けるようになるでしょう。
SNSに映えるようなおしゃれな千歳飴も、キャンディーショップやオンラインショップなどで購入できます。
千歳飴の袋に描かれる縁起物に込められた意味
細長い独特の形をした千歳飴の化粧袋には、いかにもおめでたい縁起の良いモチーフが色鮮やかに描かれています。
主に描かれるのが松竹梅や鶴亀など。
それぞれの図柄にはこんな意味が込められているのです。
松竹梅
この三つの植物は、寒い季節でも枯れることがなく、日本ではおめでたいものの象徴として親しまれています。
松は常緑、寿命も数十年、数百年といわれ、長寿の象徴です。
竹は天に向かって勢いよく伸び、地面に強い根をどこまでも広げていく子孫繁栄の象徴。
そして梅は百花に先駆けて、春もまだ遠い寒い頃から香り高い花を咲かせる生命力の象徴とされています。
鶴と亀
「鶴は千年、亀は萬年」という言葉のように、長寿を象徴する吉祥の動物とされています。
鶴は夫婦仲良く、夫婦円満の象徴とされることもあります。
他を退けるほどの優れた意見、権力のある人の言葉を、「鶴の一声」ということがありますね。これは鶴のどこまでも通る甲高く力強い声からきています。
また、この高く響く鳴き声は、天の神にまで声が届き、天と地をつないでくれるありがたい動物だとされているのです。
一方、亀は仙人が住むという不老不死の地、蓬莱山の使いともいわれる動物。
知恵と長寿の象徴とされ、古代インドではこの地球を支えているのは、大きな象と硬い甲羅を持つ亀であるとされていました。
岩座では、そんな神聖な鶴や亀が、モチーフになっている商品も取り扱っております。 ぜひお気に入りのものを身につけて過ごしてみてください。
岩座のショップリストはこちら
まとめ
人生のまだほんの初めのころ、何度も食べたものではないのになぜか強く残る、うれしい千歳飴の思い出。
七五三の根底には、「子どもが3歳まで、5歳まで、7歳まで生きられた、本当によかった、神様ありがとうございます」という今も昔も変わらない、親のとてもシンプルな心からの喜びがあります。
今度は親として味わう千歳飴。
また新しく、幸せな千歳飴の思い出を、お子さんと一緒に重ねる方も多いのではないでしょうか。