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幻の天空都市マチュピチュ。世界遺産にも登録されたこの神秘の遺跡は南米ペルーにあります。 「マチュピチュは行ってみたいけれど、どうやって行くの?あと凄くお金がかかるんでしょ?」とは友人に言われた言葉です。
実際日本からのツアーは20万円~が多い模様。今回はお金をかけずに旅するバックパッカー式のマチュピチュの行き方をお伝えします。
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ペルーが誇る世界遺産「マチュピチュ遺跡」。古代インカ帝国が遺したこの遺物は、アンデスの山の中、標高2,450mの山の尾根に建っています。約13kmもの広大な遺跡であるにも関わらず、山の裾からはその姿を見ることができません。そのため、1911年に発見されるまでは、その存在自体が知られていませんでした。
「空中都市」「天空の遺跡」「インカの失われた都市」などと呼ばれて人々を魅了して止まないマチュピチュ遺跡。早速、観光に行ってみましょう!
マチュピチュへ向かう旅の拠点となるのは、インカ帝国の首都でもあったクスコ。 クスコには大きな国際空港もあり、日本からツアーを利用した場合も飛行機はこの国際空港へと到着します。
そしてクスコからマチュピチュ遺跡へ行くには鉄道、トレッキング、徒歩と大きく分けて3つのルートがあります。
もっとも一般的なのは鉄道(勝手な想像ですが、観光客の80%はこの鉄道の旅を選んでいると思います)。国外からの〝観光客〟の利用を想定した観光列車なだけあって、車内や設備は快適!クスコから直通でマチュピチュ遺跡の最寄り駅まで運んでくれる上、快適な列車の旅を楽しめます。 ですがその分、料金は高め。少なく見積もっても片道55ドルちょっと、往復110ドル~の出費となります。
トレッキングは、「カミノ・インカ(インカの道)」と呼ばれる、古代インカ人が利用した道を進むロマン溢れるルート。アンデス山脈を通り抜ける道中インカの遺跡やアンデスの美しい自然を体感できる、とても魅力的なルートですが、3泊4日もの間、標高の高い山を歩き続けるなかなかハードなルートでもあります。 また専任ガイドさんが付くツアーとなるため、事前申し込みが必要。計画性が求められ、値段もけっして安くはありません。
ラストは、徒歩!行けるところまでバスで行って、そこからは線路の上を歩いて行こう!というルートです。 お金がなくて時間のあるバックパッカーが選ぶのは、こちらのルート。バックパッカースタイルで南米を旅行していた私も、マチュピチュ遺跡は観たい!でも列車に110ドルなんて払えない!4日間も山道を歩く体力もない!ということで、徒歩でマチュピチュ遺跡に向かうことにしました。
クスコからマチュピチュ遺跡までの徒歩ルートは2つに分かれます。
バスで7時間かけて水力発電所まで行き、そこから10kmの道を歩く水力発電所ルート。 歩く時間はだいたい3~4時間で、道沿いにマチュピチュ遺跡への案内看板が設置されるほど周知されています。
時々、旅好きな人が「マチュピチュまで歩いたぜ!」と自慢していることがありますが、だいたいがこのルート。映画『スタンド・バイ・ミー』のように線路沿いを歩くことから、「スタンド・バイ・ミー・ルート」と日本語で別名がつけられるほど日本人バックパッカーの中で有名です。
もう一つのルートは民間のバスを乗り継いで、KM82地点と呼ばれる場所まで行き、そこから28kmの距離をひたすら歩き続けるルートです。 時間にするとバス3時間、徒歩6~8時間の長旅。でも現地の人も利用する民間のバスを使うため、一番節約ができます。
また、28kmの長い道のりですが、ほとんどの道を鉄道が走っている線路に沿って進むため道に迷うことはありません。私はこのバス3時間+徒歩7時間ルートを選択して、マチュピチュ遺跡へ行くことにしました。
怖いもの知らずで基本どこにでも一人旅行をしてきた私ですが、さすがに治安の良くない南米で28kmもの道のりを一人で歩く勇気はありません。しかも標高は2,000m越え。「一人で歩いた」という強者にも出会いましたが、私は人も事件も野犬も怖い…。 マチュピチュ観光は、クスコの安宿で意気投合した日本人バックパッカー2人と計3人で行くことにしました。
28kmの距離を歩く時点で無謀だと思われるかも知れませんが、無謀な中でも危険な目に合う確率を減らすため念入りにシュミレーションしました。
バスに乗るのは3時間だけ、だから普通に考えれば朝7時のバスに乗れば10時にはKM82に到着し、そこから7時間歩いたとしても17時には到着できます。 でもここは南米ペルー。バスは平気で1~2時間遅れ、何の理由もなく突然30分くらい停車したりします。
「暗くなってから歩くことだけは絶対に避けたい」それが3人一致の意見でした。 綿密に旅の計画を練った結果、まだ日が昇らない早朝にクスコを出発することで合意。早朝に出発すれば、どれだけ遅くとも10時にはKM82地点を出発し夕方、日が暮れる前にはマチュピチュ遺跡の麓の村・マチュピチュ村に到着することができる、という計算です。
幸い南米ペルーは、交通移動手段としてのバスが充実。深夜も早朝も比較的多くのバスが走っていました。 出発当日、真っ暗な中バスという名のバンに乗り込みます。乗客は先住民族であるインディヘナのおばあさんだけ。多分行商に行くのでしょう。巨大な荷物を抱えています。 ガタゴト、ガタゴト、決して舗装が良いとはいえない道を揺られ揺られて、私の長旅は始まりました。
バスは私たちの予想に反して順調に進み、朝9時にはKM82に到着しました。ここから、いよいよ28kmの距離を歩きます。
バスを降り、茶色い草で覆われた高原を抜けた先が徒歩ルートの入口です。小高い丘を渡りきると、トレッキングルートである「カミノインカ」と書かれた木の看板を見つけました。 看板の先には、一目みただけで分かるほどの険しい山、山、山…。その光景を見て、「トレッキングを選ばなくて良かった」と安堵したのを覚えています。
険しい山道とは違い、私たちは平坦な道を線路沿いに歩きます。歩いている人は、ほかに誰もいません。完全なる貸し切り状態。私たち3人はどこか荒涼としたアンデスの自然と線路だけを見つめて、ひたすら歩きました。 始めは他愛もない会話を楽しんでいたりもしましたが、歩くという行為は心を整えたり瞑想したりするのに良いようで、そのうちに各々が自分の世界に入り込んでいきました。
辛いだけの道中だと思っていましたが、嬉しい誤算がありました。それは、線路沿いの至るところに、インカの遺跡があったことです。 きちんとした看板が建てられている遺跡、比較的状態の良い遺跡、名前さえない壊れかけの遺跡…。 どれも小さな遺跡ではありましたが、古代インカの遺物を目の前で、しかも貸し切りで観られるのは、とても素敵なことでした。
歩かなければ見ることができない旅の贈り物。ガイドブックにも載っていない遺跡を見ていると、自分が考古学者になったかのような不思議な気分も味わいました。
インカの悠久の時間を感じながらマチュピチュ遺跡へと徒歩で向かう旅は、次回に続きます。
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大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。 マイナーな国をメインに、世界中を旅する。 旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。 出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。 公式HP:Lucia Travel
幻の天空都市マチュピチュ。世界遺産にも登録されたこの神秘の遺跡は南米ペルーにあります。
「マチュピチュは行ってみたいけれど、どうやって行くの?あと凄くお金がかかるんでしょ?」とは友人に言われた言葉です。
実際日本からのツアーは20万円~が多い模様。今回はお金をかけずに旅するバックパッカー式のマチュピチュの行き方をお伝えします。
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目次
世界遺産マチュピチュ遺跡
ペルーが誇る世界遺産「マチュピチュ遺跡」。古代インカ帝国が遺したこの遺物は、アンデスの山の中、標高2,450mの山の尾根に建っています。約13kmもの広大な遺跡であるにも関わらず、山の裾からはその姿を見ることができません。そのため、1911年に発見されるまでは、その存在自体が知られていませんでした。
「空中都市」「天空の遺跡」「インカの失われた都市」などと呼ばれて人々を魅了して止まないマチュピチュ遺跡。早速、観光に行ってみましょう!
マチュピチュまでの3つのルート
マチュピチュへ向かう旅の拠点となるのは、インカ帝国の首都でもあったクスコ。
クスコには大きな国際空港もあり、日本からツアーを利用した場合も飛行機はこの国際空港へと到着します。
そしてクスコからマチュピチュ遺跡へ行くには鉄道、トレッキング、徒歩と大きく分けて3つのルートがあります。
もっとも一般的なのは鉄道(勝手な想像ですが、観光客の80%はこの鉄道の旅を選んでいると思います)。国外からの〝観光客〟の利用を想定した観光列車なだけあって、車内や設備は快適!クスコから直通でマチュピチュ遺跡の最寄り駅まで運んでくれる上、快適な列車の旅を楽しめます。
ですがその分、料金は高め。少なく見積もっても片道55ドルちょっと、往復110ドル~の出費となります。
トレッキングは、「カミノ・インカ(インカの道)」と呼ばれる、古代インカ人が利用した道を進むロマン溢れるルート。アンデス山脈を通り抜ける道中インカの遺跡やアンデスの美しい自然を体感できる、とても魅力的なルートですが、3泊4日もの間、標高の高い山を歩き続けるなかなかハードなルートでもあります。
また専任ガイドさんが付くツアーとなるため、事前申し込みが必要。計画性が求められ、値段もけっして安くはありません。
ラストは、徒歩!行けるところまでバスで行って、そこからは線路の上を歩いて行こう!というルートです。
お金がなくて時間のあるバックパッカーが選ぶのは、こちらのルート。バックパッカースタイルで南米を旅行していた私も、マチュピチュ遺跡は観たい!でも列車に110ドルなんて払えない!4日間も山道を歩く体力もない!ということで、徒歩でマチュピチュ遺跡に向かうことにしました。
線路沿いを歩く
『スタンド・バイ・ミー・ルート』
クスコからマチュピチュ遺跡までの徒歩ルートは2つに分かれます。
バスで7時間かけて水力発電所まで行き、そこから10kmの道を歩く水力発電所ルート。
歩く時間はだいたい3~4時間で、道沿いにマチュピチュ遺跡への案内看板が設置されるほど周知されています。
時々、旅好きな人が「マチュピチュまで歩いたぜ!」と自慢していることがありますが、だいたいがこのルート。映画『スタンド・バイ・ミー』のように線路沿いを歩くことから、「スタンド・バイ・ミー・ルート」と日本語で別名がつけられるほど日本人バックパッカーの中で有名です。
もう一つのルートは民間のバスを乗り継いで、KM82地点と呼ばれる場所まで行き、そこから28kmの距離をひたすら歩き続けるルートです。
時間にするとバス3時間、徒歩6~8時間の長旅。でも現地の人も利用する民間のバスを使うため、一番節約ができます。
また、28kmの長い道のりですが、ほとんどの道を鉄道が走っている線路に沿って進むため道に迷うことはありません。私はこのバス3時間+徒歩7時間ルートを選択して、マチュピチュ遺跡へ行くことにしました。
真っ暗な早朝に出発
怖いもの知らずで基本どこにでも一人旅行をしてきた私ですが、さすがに治安の良くない南米で28kmもの道のりを一人で歩く勇気はありません。しかも標高は2,000m越え。「一人で歩いた」という強者にも出会いましたが、私は人も事件も野犬も怖い…。
マチュピチュ観光は、クスコの安宿で意気投合した日本人バックパッカー2人と計3人で行くことにしました。
28kmの距離を歩く時点で無謀だと思われるかも知れませんが、無謀な中でも危険な目に合う確率を減らすため念入りにシュミレーションしました。
バスに乗るのは3時間だけ、だから普通に考えれば朝7時のバスに乗れば10時にはKM82に到着し、そこから7時間歩いたとしても17時には到着できます。
でもここは南米ペルー。バスは平気で1~2時間遅れ、何の理由もなく突然30分くらい停車したりします。
「暗くなってから歩くことだけは絶対に避けたい」それが3人一致の意見でした。
綿密に旅の計画を練った結果、まだ日が昇らない早朝にクスコを出発することで合意。早朝に出発すれば、どれだけ遅くとも10時にはKM82地点を出発し夕方、日が暮れる前にはマチュピチュ遺跡の麓の村・マチュピチュ村に到着することができる、という計算です。
幸い南米ペルーは、交通移動手段としてのバスが充実。深夜も早朝も比較的多くのバスが走っていました。
出発当日、真っ暗な中バスという名のバンに乗り込みます。乗客は先住民族であるインディヘナのおばあさんだけ。多分行商に行くのでしょう。巨大な荷物を抱えています。
ガタゴト、ガタゴト、決して舗装が良いとはいえない道を揺られ揺られて、私の長旅は始まりました。
ガイドブックにも載らない、名もなきインカ遺跡
バスは私たちの予想に反して順調に進み、朝9時にはKM82に到着しました。ここから、いよいよ28kmの距離を歩きます。
バスを降り、茶色い草で覆われた高原を抜けた先が徒歩ルートの入口です。小高い丘を渡りきると、トレッキングルートである「カミノインカ」と書かれた木の看板を見つけました。
看板の先には、一目みただけで分かるほどの険しい山、山、山…。その光景を見て、「トレッキングを選ばなくて良かった」と安堵したのを覚えています。
険しい山道とは違い、私たちは平坦な道を線路沿いに歩きます。歩いている人は、ほかに誰もいません。完全なる貸し切り状態。私たち3人はどこか荒涼としたアンデスの自然と線路だけを見つめて、ひたすら歩きました。
始めは他愛もない会話を楽しんでいたりもしましたが、歩くという行為は心を整えたり瞑想したりするのに良いようで、そのうちに各々が自分の世界に入り込んでいきました。
辛いだけの道中だと思っていましたが、嬉しい誤算がありました。それは、線路沿いの至るところに、インカの遺跡があったことです。
きちんとした看板が建てられている遺跡、比較的状態の良い遺跡、名前さえない壊れかけの遺跡…。
どれも小さな遺跡ではありましたが、古代インカの遺物を目の前で、しかも貸し切りで観られるのは、とても素敵なことでした。
歩かなければ見ることができない旅の贈り物。ガイドブックにも載っていない遺跡を見ていると、自分が考古学者になったかのような不思議な気分も味わいました。
インカの悠久の時間を感じながらマチュピチュ遺跡へと徒歩で向かう旅は、次回に続きます。
Lucia Travel:連載一覧はこちらから
筆者プロフィール:R.香月(かつき)
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel