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初恋の女の子がいた。
小学生の頃、クラスに美人で頭脳明晰・スポーツ万能、そして学級委員長までもやる、素敵な女の子がいた。 自分は勉強もスポーツも何もかもが中途半端だし、自由研究にいたっては「何もしない研究」をするくらい怠惰な人間だったので、正反対なその子がすごく眩しく思えた。
本来なら違う穴のムジナで関わらないのが道理だけれども、人間は自分にないものを何故か求める生き物。
小学生にありがちな、女の子にちょっかいを出す。 席替えで近くになるとバカをして笑わせたり、意味もないのに話しかける、、
気付けば彼女に恋をしていた。
ある時、その子に「家で遊ぼ!」と誘われ、お宅にお邪魔することになった。 「そんな言うなら行ってもええよ~」と、さも平常心を装いながらも内心は、女の子の家にお邪魔することにドギマギしていたのを覚えている。
後日、女の子と小学校で待ち合わせをし、いざゆかんと導かれる方向へ。
辿り着いたのは、近所の某神社だった。 到着するなり「うち神社の家なんよ」と彼女の口から、なかなか出ない言葉が飛び出してきた。
地方の片田舎に生まれた自分は小さいころから、近所に神社やお寺があり、物心のついた頃からそういった場所が何故か心の落ち着く場所として好きだった。
そして時々家族や友達と行っていた近所の神社が実は好きな子の家。 何故知らなかったんだろうと首を傾げると同時に、より親近感が沸き、ますますその子に惹かれるばかりだった。
遊んでいる時に何を話したのかは正直全然覚えていない。
しかし、当時流行った「ダ〇スダ〇スレボリューション」という某音楽ゲームで遊んだという記憶が何故か強烈に残っている。 音楽に合わせ足踏みタイプのコントローラーをタイミングよく踏むという単純なゲームだけれど、彼女は小学生とは思えないくらい上手い。 むしろ上手すぎて、少しひいた。
可愛い女の子が真剣な顔で踊り狂う。 その様子が段々と可笑しく思えて、爆笑していたのを思い出す。
神社のお宅にお邪魔し、ダ〇スダ〇スレボリューションをしたという記憶しか残っていないのはなんともいえないけれど、同じ時間を共有できたことが本当にありがたい。
その後、彼女とは別々の中学に進んだ。 当時のスーパーチキンな自分は気持ちを伝えられるはずもなく、その後会うこともなくなった。 しかし、当時好きな女の子と一緒に遊んだという事実は今も忘れずに残っている。
先日、久しぶりに実家に帰る機会があり、ふとこの記憶が蘇った。 なにかの縁かなとも感じ、思い出の神社へ足を運ぶ。
およそ20年ぶりに足を運んだ境内は、当時見た記憶と変わらなかった。 ただ、その当時は何とも思わなかった、松の木や境内がとても価値のあるものに感じた。
思い出に耽りながら一通り境内を見終わった後、ふと神社の由緒と祭神が書かれた立て札に目をやる。
「主神 天宇受売命(アメノウズメノミコト)」
これには驚いた。
アメノウズメノミコトは天岩戸神話に於いて、太陽の神である天照大御神を洞窟の中から引きずり出す為、裸踊りをした女神である。
そのアメノウズメノミコトを主祭神として祀っている神社の娘が、ダ〇スダ〇スレボリューションで踊り狂う。
人によってはなにも感じないものが、自分のかつての記憶からは無関係とは思えない頭になってしまっている。 しばし考えたと同時に、自分の歩んできた人生に於いて、関係のないことは何もないんだなと思った。
そんなことを思いながら、彼女に会うでもなく神社を後にした。
当時の彼女に神が乗り移っていたのか、それともただ単にダンスが上手かっただけなのか、それは誰にも分からない。 ただ、今はそれで笑っていた当時の自分を大事にしたいと思う。
★文 horahukist★
初恋の女の子がいた。
小学生の頃、クラスに美人で頭脳明晰・スポーツ万能、そして学級委員長までもやる、素敵な女の子がいた。
自分は勉強もスポーツも何もかもが中途半端だし、自由研究にいたっては「何もしない研究」をするくらい怠惰な人間だったので、正反対なその子がすごく眩しく思えた。
本来なら違う穴のムジナで関わらないのが道理だけれども、人間は自分にないものを何故か求める生き物。
小学生にありがちな、女の子にちょっかいを出す。
席替えで近くになるとバカをして笑わせたり、意味もないのに話しかける、、
気付けば彼女に恋をしていた。
ある時、その子に「家で遊ぼ!」と誘われ、お宅にお邪魔することになった。
「そんな言うなら行ってもええよ~」と、さも平常心を装いながらも内心は、女の子の家にお邪魔することにドギマギしていたのを覚えている。
後日、女の子と小学校で待ち合わせをし、いざゆかんと導かれる方向へ。
辿り着いたのは、近所の某神社だった。
到着するなり「うち神社の家なんよ」と彼女の口から、なかなか出ない言葉が飛び出してきた。
地方の片田舎に生まれた自分は小さいころから、近所に神社やお寺があり、物心のついた頃からそういった場所が何故か心の落ち着く場所として好きだった。
そして時々家族や友達と行っていた近所の神社が実は好きな子の家。
何故知らなかったんだろうと首を傾げると同時に、より親近感が沸き、ますますその子に惹かれるばかりだった。
遊んでいる時に何を話したのかは正直全然覚えていない。
しかし、当時流行った「ダ〇スダ〇スレボリューション」という某音楽ゲームで遊んだという記憶が何故か強烈に残っている。
音楽に合わせ足踏みタイプのコントローラーをタイミングよく踏むという単純なゲームだけれど、彼女は小学生とは思えないくらい上手い。
むしろ上手すぎて、少しひいた。
可愛い女の子が真剣な顔で踊り狂う。
その様子が段々と可笑しく思えて、爆笑していたのを思い出す。
神社のお宅にお邪魔し、ダ〇スダ〇スレボリューションをしたという記憶しか残っていないのはなんともいえないけれど、同じ時間を共有できたことが本当にありがたい。
その後、彼女とは別々の中学に進んだ。
当時のスーパーチキンな自分は気持ちを伝えられるはずもなく、その後会うこともなくなった。
しかし、当時好きな女の子と一緒に遊んだという事実は今も忘れずに残っている。
先日、久しぶりに実家に帰る機会があり、ふとこの記憶が蘇った。
なにかの縁かなとも感じ、思い出の神社へ足を運ぶ。
およそ20年ぶりに足を運んだ境内は、当時見た記憶と変わらなかった。
ただ、その当時は何とも思わなかった、松の木や境内がとても価値のあるものに感じた。
思い出に耽りながら一通り境内を見終わった後、ふと神社の由緒と祭神が書かれた立て札に目をやる。
「主神 天宇受売命(アメノウズメノミコト)」
これには驚いた。
アメノウズメノミコトは天岩戸神話に於いて、太陽の神である天照大御神を洞窟の中から引きずり出す為、裸踊りをした女神である。
そのアメノウズメノミコトを主祭神として祀っている神社の娘が、ダ〇スダ〇スレボリューションで踊り狂う。
人によってはなにも感じないものが、自分のかつての記憶からは無関係とは思えない頭になってしまっている。
しばし考えたと同時に、自分の歩んできた人生に於いて、関係のないことは何もないんだなと思った。
そんなことを思いながら、彼女に会うでもなく神社を後にした。
当時の彼女に神が乗り移っていたのか、それともただ単にダンスが上手かっただけなのか、それは誰にも分からない。
ただ、今はそれで笑っていた当時の自分を大事にしたいと思う。
★文 horahukist★