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東南アジアを旅するとき、つい頼ってしまうのがバイクタクシー。危険と言われることもありますが、渋滞知らずでスピーディ、しかもちょっとした冒険気分も味わえます。今回は、セブでのバイクタクシー体験をリアルにレポートします。
Lucia Travel連載一覧は こちら
「危ないからダメ」と言われることの多いバイクタクシーですが、私は東南アジアを旅するとき好んで使っています。車酔いするから、渋滞でもスイスイ動けるから、安いから――理由はいろいろありますが、何よりも単純にバイク移動が好きだからが一番の理由です。
セブでも早速バイクタクシーを利用しました。雨上がりの夕方、圧倒されるほど巨大で豪華なショッピングモールを出ると、前にはズラリとタクシー待ちの列ができていました。でも大ざっぱに並んでいて、最後尾がどこか見分けがつきません。タクシー待ちなのか、お迎え待ちなのか、雨宿りなのか分からない人たちも多数います。そしてタクシー乗り場なのにタクシーは一台もおらず、手前の道路には数台のバイクが止まっていました。
後で知りましたが、金曜・土曜の夕方から夜はタクシーが捕まらないことで有名だとか。何も知らない私は「雨だったから、みんなタクシーに乗りたいのね。荷物も多いし」と呑気に考えていました。
行列の最後尾を探していたとき、バイクに乗ったおじさんと目が合いました。目が合った瞬間、自然に会話が始まります。
「どこまで行くの?」
「マキシロム・アベニューの教会まで」
宿の最寄りの教会の名を告げると、おじさんは「さぁどうぞ!」と言わんばかりにヘルメットを差し出します。私も乗り気でした。〝バイクタクシー懐かしい!並ばなくていいし、ラッキー〟。しかし次の一言で思わず冷静になります。
「200ペソでどう?」
高すぎます。相場は100ペソ。おじさんは「雨だし」「タクシーは大行列だから」と説明しますが、私はヘルメットを返してタクシーの列に並び直しました。
おじさんは諦めません。「俺のバイクならすぐ出発できるよ」と説得し、とうとう「150!150にするよ」と言います。タクシー待ちの列は全く進まず、30分待ち状態。それを考えると妥当な値段に思えました。一緒にいた人も「バイクタクシー乗ってみたい」と一言。
再びおじさんの前に立つと、おじさんはニコニコ笑顔でした。〝分かっている。150だって高い。だからニコニコなのよね。でもこちらは2人。雨でタクシーも捕まらないし、この額は許容範囲〟と思いつつ、つい笑顔を返してしまいました。
おじさんからヘルメットを受け取り、いざバイクに乗ろうとしたとき問題が起きました。
私はバイクに慣れているので一番後ろ、そして「バイクは初めて」という同行者をドライバーと私の間に挟む形で乗せることにしました。しかし、大きな荷物を抱えていたため、どうしても私の座るスペースが作れません。
あれこれ試行錯誤しましたが、お尻半分ほどのスペースも作れず、荷物でバランスを崩してしまいました。諦めかけたとき、別のバイクタクシー運転手がやってきて乗車をサポートしてくれました。
まるで魔法のようでした。「あなたはここに」「荷物はここに」と指示されるまま動くだけで、なぜか私の座るスペースが完成。安全のためにと、真ん中に座った同行者の脚は私の脚(正確には靴)の上に乗せられました。不衛生な気もしますが仕方ありません。あれほど苦労していたのに、気づけば席には不思議なほどのゆとりがありました。
サポートしてくれたおじさんがGOOD!と親指を立てると、バイクは動き出しました。運転手同士が助け合う姿を見て旅の実感が湧き、なんだか嬉しくなりました。
雨上がりの4人乗り。バイク好きとはいえ、やはり少し怖さを感じます。ドライバーに「ゆっくりね、安全にね」と繰り返しお願いしました。おじさんは運転がとても上手で、道路の凸凹に悲鳴を上げた以外はスムーズに目的地まで連れて行ってくれました。
バイク移動はあっという間で〝こんなに近いなら、もっと値下げ交渉しても良かったかも〟と思うほどの距離でした。
おじさんは「ここだよ~」と言うと、道路をまたぐ形で左折を強行。右から来る車もスピードを緩めませんが、無事に曲がりきるのです。
気持ちよくバイクを降りると、おじさんが「一人150だよ」と言い出しました。〝出た!定番のボッタクリ〟
「もう知ってるよ!150だって充分高いでしょ、何言ってんの!」と明るく返すと、おじさんは肩をすくめて笑いました。料金はきっちり150ペソ支払い、記念写真も撮影。
普通ならボッタクリしようとした相手と記念撮影なんてしません。でもなぜか、私たちは笑顔で写りました。
感覚で分かりましたが、おじさんもなんとなく「一人150」と言ってみただけの様子。それで払ってくれたらラッキー程度の軽い気持ちだったのでしょう。その程度だったから無事に済んだのだと思います。でもこれが悪質な運転手だったら…と思うとゾッとしました。
そして“一人150ペソなのか、全員で150ペソなのか” を確かめなかったのは私のミスです。絶対に確認しなきゃいけない基本のキ。でも、それさえ忘れていた…。自分の甘さがショックでした。
危険と楽しさは紙一重。でもそれが旅の醍醐味なのだと改めて感じました。
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大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。マイナーな国をメインに、世界中を旅する。旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。公式HP:Lucia Travel
東南アジアを旅するとき、つい頼ってしまうのがバイクタクシー。
危険と言われることもありますが、渋滞知らずでスピーディ、しかもちょっとした冒険気分も味わえます。今回は、セブでのバイクタクシー体験をリアルにレポートします。
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目次
渋滞でもスイスイ!身軽なバイク
「危ないからダメ」と言われることの多いバイクタクシーですが、私は東南アジアを旅するとき好んで使っています。
車酔いするから、渋滞でもスイスイ動けるから、安いから――理由はいろいろありますが、何よりも単純にバイク移動が好きだからが一番の理由です。
セブでも早速バイクタクシーを利用しました。雨上がりの夕方、圧倒されるほど巨大で豪華なショッピングモールを出ると、前にはズラリとタクシー待ちの列ができていました。でも大ざっぱに並んでいて、最後尾がどこか見分けがつきません。
タクシー待ちなのか、お迎え待ちなのか、雨宿りなのか分からない人たちも多数います。そしてタクシー乗り場なのにタクシーは一台もおらず、手前の道路には数台のバイクが止まっていました。
後で知りましたが、金曜・土曜の夕方から夜はタクシーが捕まらないことで有名だとか。何も知らない私は「雨だったから、みんなタクシーに乗りたいのね。荷物も多いし」と呑気に考えていました。
目が合ったら営業スタート
行列の最後尾を探していたとき、バイクに乗ったおじさんと目が合いました。目が合った瞬間、自然に会話が始まります。
「どこまで行くの?」
「マキシロム・アベニューの教会まで」
宿の最寄りの教会の名を告げると、おじさんは「さぁどうぞ!」と言わんばかりにヘルメットを差し出します。私も乗り気でした。
〝バイクタクシー懐かしい!並ばなくていいし、ラッキー〟。しかし次の一言で思わず冷静になります。
「200ペソでどう?」
高すぎます。相場は100ペソ。おじさんは「雨だし」「タクシーは大行列だから」と説明しますが、私はヘルメットを返してタクシーの列に並び直しました。
相場より高い金額だけど…
おじさんは諦めません。「俺のバイクならすぐ出発できるよ」と説得し、とうとう「150!150にするよ」と言います。
タクシー待ちの列は全く進まず、30分待ち状態。それを考えると妥当な値段に思えました。一緒にいた人も「バイクタクシー乗ってみたい」と一言。
再びおじさんの前に立つと、おじさんはニコニコ笑顔でした。〝分かっている。150だって高い。だからニコニコなのよね。でもこちらは2人。雨でタクシーも捕まらないし、この額は許容範囲〟と思いつつ、つい笑顔を返してしまいました。
試行錯誤のバイク4人乗り
おじさんからヘルメットを受け取り、いざバイクに乗ろうとしたとき問題が起きました。
私はバイクに慣れているので一番後ろ、そして「バイクは初めて」という同行者をドライバーと私の間に挟む形で乗せることにしました。しかし、大きな荷物を抱えていたため、どうしても私の座るスペースが作れません。
あれこれ試行錯誤しましたが、お尻半分ほどのスペースも作れず、荷物でバランスを崩してしまいました。
諦めかけたとき、別のバイクタクシー運転手がやってきて乗車をサポートしてくれました。
まるで魔法のようでした。「あなたはここに」「荷物はここに」と指示されるまま動くだけで、なぜか私の座るスペースが完成。安全のためにと、真ん中に座った同行者の脚は私の脚(正確には靴)の上に乗せられました。不衛生な気もしますが仕方ありません。あれほど苦労していたのに、気づけば席には不思議なほどのゆとりがありました。
サポートしてくれたおじさんがGOOD!と親指を立てると、バイクは動き出しました。運転手同士が助け合う姿を見て旅の実感が湧き、なんだか嬉しくなりました。
雨上がりの4人乗り。バイク好きとはいえ、やはり少し怖さを感じます。ドライバーに「ゆっくりね、安全にね」と繰り返しお願いしました。
おじさんは運転がとても上手で、道路の凸凹に悲鳴を上げた以外はスムーズに目的地まで連れて行ってくれました。
ぼったくりと笑顔の記念撮影
バイク移動はあっという間で〝こんなに近いなら、もっと値下げ交渉しても良かったかも〟と思うほどの距離でした。
おじさんは「ここだよ~」と言うと、道路をまたぐ形で左折を強行。右から来る車もスピードを緩めませんが、無事に曲がりきるのです。
気持ちよくバイクを降りると、おじさんが「一人150だよ」と言い出しました。〝出た!定番のボッタクリ〟
「もう知ってるよ!150だって充分高いでしょ、何言ってんの!」と明るく返すと、おじさんは肩をすくめて笑いました。料金はきっちり150ペソ支払い、記念写真も撮影。
普通ならボッタクリしようとした相手と記念撮影なんてしません。でもなぜか、私たちは笑顔で写りました。
感覚で分かりましたが、おじさんもなんとなく「一人150」と言ってみただけの様子。それで払ってくれたらラッキー程度の軽い気持ちだったのでしょう。その程度だったから無事に済んだのだと思います。でもこれが悪質な運転手だったら…と思うとゾッとしました。
そして“一人150ペソなのか、全員で150ペソなのか” を確かめなかったのは私のミスです。絶対に確認しなきゃいけない基本のキ。でも、それさえ忘れていた…。自分の甘さがショックでした。
危険と楽しさは紙一重。でもそれが旅の醍醐味なのだと改めて感じました。
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筆者プロフィール:R.香月(かつき)
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel