意外と知られていない日本発祥のものとは?日本人が発明した食べ物や文化などを紹介!

皆さんは日本発祥のものというとどんなものを思い浮かべますか?
歌舞伎や茶道など伝統的なものや寿司や天ぷらなどの食べ物、アニメやゲームなど日本を代表するものはもちろんのこと、実は日本人にあまり知られていない日本発祥のものなどが、海外で注目を集めています。

そこで今回は、意外と知られていない日本発祥のものや日本発祥の文化などについて解説していきます。

日本発祥のものが世界を魅了する理由

日本発祥のものが世界を魅了する理由

日本の文化や日本独自の食べ物など、日本発祥のものは世界中の人たちを魅了しています。
なぜ、日本発祥のものは世界で評価されているのでしょうか?

日本独自の文化は、昔から受け継がれてきた日本人独自の価値観や美意識によって作られてきました。
日本は周りを海に囲まれた自然豊かな島国であり、縄文時代から中国大陸や朝鮮半島の文化や技術を受け入れてきた国です。
そのため、自然の中にあるものに美しさを見出しつつ、他の国の文化を吸収し融合させた日本独自の文化が作られていきました。
この日本独自の文化は「侘び寂び」という価値観や茶道や華道、禅などの文化や、陶器や織物などの工芸品に表され、海外の人たちを魅了しているのです。

また、近年では日本文化を世界に発信することにも力を入れているため、日本発祥の文化が海外にも広まっています。
これは、和食を扱う企業や各店舗が海外に出店したり日本の地方自治体などが海外向けイベントで日本産の食品を紹介したりすることでより多くの国で和食の良さを知って貰ったり、欧米などで禅のセミナーや道場を開いて広めたり、日本のアニメーションを大手海外企業によって世界中で配信したりといったグローバル展開を行っているからです。

グローバル展開を行ううえで最も注目されているのが、日本人の丁寧なものづくりと精巧な技術力です。
これらは「ニッポンの原点」として世界で再評価されており、世界中の人たちを魅了しています。

また、日本の伝統的な文化である「能楽、人形浄瑠璃文楽、歌舞伎、雅楽、和食、和紙、山・鉾・屋台行事(お神輿や山鉾など祭りで担いだり引いたりする出し物のこと)、来訪神(ナマハゲなどの仮装をした神々)、伝統建築工匠の技(茅葺や屋根瓦、左官など日本ならではの木造建造物を受け継ぐための伝統技術)、風流踊(盆踊りや念仏踊りなど地域で受け継がれてきた踊り)、伝統的な酒造り」などがユネスコ無形文化遺産にも登録され、日本だけでなく世界で評価されています。

「美と様式」日本の伝統文化

現代の私たちの生活にも、昔から受け継がれてきた日本発祥のものは沢山あります。
それらの中でも、特に身近で海外の人たちをも魅了している伝統文化を紹介していきましょう。

家紋

家紋

家紋とは、家系や家族を表す紋章(ロゴマーク)のことで、一目で見てわかる各家のシンボルのようなものです。
家紋は平安時代の貴族が自分の家の牛車の目印として付けるようになったのが始まりとされ、鎌倉時代以降には武士が戦場で敵味方を区別するために使われるようになり、江戸時代以降には庶民も家紋を持つようになりました。

家紋は植物や動物、大昔から使われてきた文様、矢や車などの器物などを簡略化し、白と黒だけで描かれています。
このように一目ではっきりと分かる家紋は、視覚で語る「日本のロゴ」文化の1つなのです。

着物

着物

着物や兵児帯は、日本特有の伝統的な民族衣装です。
自然豊かで四季の変化をはっきりと感じられる日本では独自の美意識が育っていきました。
着物でも、季節によって絹や木綿、麻など素材や織り方の違う布が使い分けたり、色の重ね方や模様などを選んだりして日本の美意識を表現してきたのです。
また、現在浴衣の帯などによく使われている柔らかい生地で作られた兵児帯のように、かつては男性用や子供用として使われていた帯も、時代が変われば性別や年齢を問わずファッションとして取り入れることができるのも日本の美意識の1つといえます。
このように、日本人の美意識は着物を通して現代まで受け継がれ、日本人特有の芸術品や伝統工芸として世界中で愛され続けているのです。

華道・茶道・書道

華道・茶道・書道

華道・茶道・書道は、日本の伝統文化の代表的なものです。
「道」には、「何度も同じことを繰り返しやって学ぶことで得る最高の状態」という意味があり、華道・茶道・書道も練習を積み重ねて技を磨いていきます。
また、華道・茶道・書道では所作も重要なものと考えられており、「所作は心の現れ」ともいわれています。

日本では、「道」の意味や所作は普段の生活の中でも大切にされており、これが日本人らしさを作っているともいえるのではないでしょうか。
この日常に宿る「道」の哲学が海外の人たちを魅了し、伝統文化として評価されているのです。

日本の伝統的な食文化「和食」

日本の伝統的な食文化「和食」

日本発祥の食べ物といえば「和食」です。
和食は日本特有の四季がはっきりとした気候や南北に長く海や山など様々な地形的などの風土や社会の中で生まれた料理です。
和食とは「ご飯・汁物・おかず・漬け物(一汁三菜)」が基本の組み合わせで、だしや醤油、味噌などの発酵調味料を使った料理のことを指します。
和食には次のような4つの特徴があります。

  • 海や山に囲まれた日本ならではの食材を使い、食材本来の風味を大切にする(多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重)
  • 一汁三菜のバランスが取れた食事(健康的な食生活を支える栄養バランス)
  • 旬の食材を使ったり、四季を表現する器を使ったりして自然の美しさを表現する(自然の美しさや季節の移ろいの表現)
  • 正月などの年中行事に食べられる特別な伝統料理がある(正月などの年中行事との密接な関わり)

これらの特徴から、和食は日本の伝統的で守っていくべき食文化と評価され、2013年12月4日に、ユネスコ無形文化遺産に登録されました。

日本発祥の意外な食べ物

日本には和食以外にも日本発祥の食べ物が数多くあります。
しかし、中には洋食などとして広まっていて実は日本発祥だとは知られていない食べ物もあるので紹介していきましょう。

オムライス

オムライス

オムライスは洋食の代表的なメニューとして、レストランや喫茶店などで提供されている料理ですが、実は日本発祥の料理なのです。

オムライス発祥といわれている店はいくつかありますが、中でも有名なのが大阪心斎橋にある「北極星」という店です。
大正時代に大坂市難波で「パンヤの食堂」(「北極星」の前身)という洋食屋を開いていた北橋茂雄氏が、1925年(大正14年)のある日、胃が悪くていつもライスとオムレツを頼んでいた常連客のために、マッシュルームとタマネギを一緒に炒めたケチャップライスを薄焼き卵で包んだ創作料理を作ったのがオムライスの始まりといわれています。

ナポリタン

ナポリタン

喫茶店の定番メニューとして親しまれているナポリタンは、その名前やパスタ料理であることからイタリア発祥と思われがちですが、実は日本発祥の食べ物です。

ナポリタンの生みの親は、横浜の老舗ホテル「ホテルニューグランド」だとの2代目総料理長だった入江茂忠氏いわれています。
入江氏は、戦後間もない時期に総料理長としてホテルニューグランドで働いていました。
当時のホテルニューグランドは進駐軍の拠点となっていて、進駐軍の兵士たちは具の無いパスタにケチャップをかけて食べていました。
それを見た入江氏は、先代のフランス人料理長から受け継いだ西洋料理の知識を生かして、マッシュルームやタマネギ、芝エビ、サラミ、ハムなどを加えてトマトソースで和えたパスタ「ナポリタン」を生み出しました。
「ナポリタン」という名前は、フランス料理の「ナポリテーヌ(ナポリ風)」という名前が由来となっています。
フランス料理では、トマトで味付けした料理を「ナポリテーヌ(ナポリ風)」と呼ぶのが一般的で、入江氏もこのパスタを「ナポリテーヌ」と名付けました。
この「ナポリテーヌ」がいつごろからか「ナポリタン」と呼ばれるようになったのです。
また、1946年(昭和21年)創業の横浜市野毛のある洋食レストラン「センターグリル」では、創業当時からトマトケチャップを使ったナポリタンを出していたことから「ケチャップナポリタンの発祥」とされていますが、センターグリルのシェフ・石橋豊吉氏は入江氏と昔から交流がありアドバイスを受けていたともいわれています。

カップヌードル

カップヌードル

今や世界中で食べられている「カップヌードル」は、その名前や手軽に食べられること、かつてテレビCMで外人を起用していたことなどから、アメリカ発祥のイメージが強いですが、実は日本発祥の食べ物なのです。

「カップヌードル」の生みの親は、世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を作った安藤百福氏です。
安藤氏は、1966年(昭和41年)にチキンラーメンの海外進出を目指してアメリカ・ロサンゼルスのスーパーマーケットに売り込みに行きました。
その際安藤氏は、アメリカではどんぶりや箸が無いという重大な欠点に気づきます。
しかし、アメリカの担当者がチキンラーメンを砕いて紙コップに入れ、お湯を注いでフォークで食べたことにヒントを得て、安藤氏はカップヌードルを開発したのです。

こうして誕生したカップヌードルは「歩きながらフォークで食べる」というコンセプトで1971年(昭和41年)9月18日から販売されるようになりました。
初めは高価だったことや日本では歩きながら食べることに抵抗のあったことなどからなかなか売れませんでしたが、歩行者天国で試食販売したことで、ファッションの1つとして若者を中心に人気が高まって徐々に広まっていき、新しいファストフードとして世界中に浸透していったのです。

なお、日本発祥の食べ物については、以下のコラムで詳しくご紹介していますので、ぜひあわせてチェックしてみてくださいね。

実は日本発祥!知って驚く食べ物とは?そのルーツをご紹介

意外と知られていない現代の日本発祥のもの

意外と知られていない日本発祥のものは食べ物以外にも沢山あります。
ここでは、海外の人たちにも人気の高い日本発祥のものを紹介していきます。

カラオケ

カラオケ

日本のみならず世界中で大人気のカラオケは、日本発祥の娯楽です。
「カラオケ」とは元々「空(から)のオーケストラ」を略した言葉で、あらかじめカセットテープに録音した伴奏をテレビの歌番組などで使われるものでした。

現在のような一般の人たちが録音された伴奏で歌う形の「カラオケ」は、1960年後半に誕生したカセットテープレイヤーにマイクを付けたものが最初で、スナックやバーなどで男性を中心に普及していきました。
その後、カラオケ機器が発展し、1985年に岡山県でトラックのコンテナを改装した「カラオケボックス」が誕生したことにより、カラオケは年齢性別に関係なく人気の娯楽となります。
1990年代以降は、ビルの中にカラオケ用の個室が置かれるのが主流となっていき、現在ではアジアや欧米などでも楽しまれる娯楽となっています。

食品サンプル

食品サンプル

海外からの観光客にお土産として人気の高い食品サンプルは、大正時代に岐阜県の郡上八幡という町で誕生しました。
食品サンプルが作られるようになったきっかけは、当時郡上八幡のとあるレストランでオムライスが提供されるようになったことです。
当時の郡上八幡には、オムライスがどんな料理なのか知っている人はほとんどいませんでした。
そこで、蝋で物を作るのが好きだった岩崎瀧蔵氏が、蝋や寒天を使って精巧なオムライスの模型を作り出したのです。
この食品サンプルが1932年に大坂のデパートで登場したことで食品サンプルは大人気となり、日本中に広まっていきました。
1970年代以降、食品サンプルは合成樹脂が使われるようになり、より丈夫で精巧なものが作られるようになりました。
近年、食品サンプルは本物よりも本物らしく作られるその技術と見て楽しめる一面から、日本特有の芸術品としても評価されるようになり、展示会や美術館で発表されることもあります。

絵文字

絵文字

携帯電話のメールやSNSなどで当たり前のように使われている絵文字は、日本発祥のものです。
絵文字は、株式会社NTTドコモが開発した携帯電話端末対応のインターネット接続サービスiモードに搭載するため1990年に作られたのが始まりとされています。
嬉しい顔や困った顔などの人の表情や、コアラやクジラなどの動物、食べ物や日常生活に使う道具などをシンプルな絵で作られた絵文字は、文章だけでは伝わりにくい微妙な感情のニュアンスを表すことができ、若い世代を中心に広まっていきました。

2000年代に入ると、絵文字は日本人にとって重要なコミュニケーションツールとなり、だれもが日常的に使うようになりましたが、海外では一切使われていませんでした。
そのため、アメリカで開発されたiPhoneが日本で発売された当初は絵文字が使えませんでしたが、ソフトバンクの孫社長が日本でiPhoneを普及させるために絵文字は必要不可欠であると主張したことで、2011年からiPhoneでも絵文字が使えるようになりました。
これをきっかけに、絵文字は世界中に広がっていったのです。

オセロ

オセロ

チェスのような海外のボードゲームに思われているオセロは、実は日本人が開発したゲームなのです。

オセロは、日本オセロ連盟の会長だった長谷川五郎氏によって1945年に作られました。
この時代の日本は終戦直後で、ゲームなどのおもちゃがほとんどありませんでした。
当時中学生だった長谷川氏は、学校の休み時間に友だちと遊ぶため、碁石を使ったゲームを考案します。
自分の色の碁石で相手の色の碁石を挟み自分の色の碁石に還るというルールのゲームは友達の間で評判となりました。
その後、大人になった長谷川氏は牛乳瓶のふたの片面を黒く塗ったものを碁石の代わりとしたゲームの試作品を玩具メーカーに持ち込み、これが採用されて1973年4月29日に「オセロ」という名前で販売されたのです。
簡単なルールにも関わらず奥深いゲームで子供から大人まで楽しめるオセロは瞬く間に広まっていき、日本のみならず海外でもブームとなりました。
オセロの原型は、1880年代にイギリスで考案されたボードゲーム「リバーシ」というゲームです。海外でもヒットしたのは、似たゲームがあり親しみやすかったからなんですね。

また「オセロ」という名前は、長谷川氏の父親でイギリス文学者だった長谷川四郎氏がシェイクスピアの戯曲「オセロ」から取って命名したといわれています。

世界が熱狂するポップカルチャー

現在、世界中から注目されているのがアニメやマンガなどの日本のポップカルチャー(大衆文化)です。
日本のアニメやマンガ、ゲーム、コスプレ文化などは、世界中で熱狂的なブームが起こっており、これらを目当てに日本を訪れる外国人も増えてきています。
ではなぜ、アニメやマンガなどが世界中で注目されるようになったのでしょうか。

アニメ・マンガ・ゲーム

アニメ・マンガ・ゲーム

海外では、アニメやマンガやゲームは子供の娯楽として作られ、内容も子供向けのものが大半を占めていました。
しかし、日本では早い段階で大人も楽しめる内容のアニメやマンガが広まっていき、大人の娯楽としても受け入れられました。
その内容は、多くの人に受け入れられるキャラクターやアート性の高い絵と、喜びや悲しみ、ユーモアなど人々に様々な感動を与えるストーリーで構成されています。
すなわち、日本のアニメやマンガ、ゲームは、創造力と表現力の集大成といえるのです。
そして作品の中には必ず日本の歴史や文化、風景、習慣、考え方などの「日本らしさ」が織り込まれていて、いまや日本文化の1つとなっています。

日本のアニメは1960年代頃から海外輸出が始まり、アニメやマンガのグローバル化が政府の政策となった1990年頃から「ドラゴンボール」や「ポケットモンスター」などといった作品が輸出され、世界中で人気となりました。
初めは「日本らしさ」の濃い作品はあまり好まれませんでしたが、海外の人たちが徐々に日本のポップカルチャーに注目するようになり、現在では「日本らしさ」の濃い作品の人気が高まっています。

コスプレ文化

コスプレとは「コスチューム・プレイ」の略で、アニメやゲームなどのキャラクターに扮することです。
コスプレの起源は諸説ありますが、1970年代に若者たちが開催していた「SF大会」(現在の日本SF大会やコミケなど)で、好きなキャラクターに扮して参加したことが始まりとされています。
当時は「仮装」と呼ばれていましたが、自分たちで衣装を作り好きなキャラクターを表現することを楽しんでいました。

コスプレがブームとなったのは1990年以降で、コミケなどの同人誌即売会だけでなく、コスプレのみのイベントも開催されるようになり、現在ではプロのコスプレイヤーも活躍しています。
このようにコスプレが広まっていったのは、コスプレが自己表現の1つだったからだといえます。
自己表現としての進化系であるコスプレは、日本を代表する文化となりました。
コミケなどのイベントのコスプレやプロのコスプレの写真や動画はインターネットを通じて世界中に発信され、海外でも注目されるようになったのです。
海外でも熱狂的なコスプレファンが増えていき、今ではコスプレ大会が世界各地で開催されるほどになりました。

世界が注目する日本発祥文化のこれから

現在日本では、国や地方自治体、企業などによって日本発祥の文化を未来に伝えるための様々な取り組みが行われています。

専門職の取り組み

着物や和食などの伝統文化や歌舞伎や文楽などの伝統芸能は、これらのプロフェッショナルが次世代に技を伝えることによって伝統を引き継いでいます。
また、地方の祭りや神楽などは専門的な知識や長年携わった経験がある者が、地域の次世代を育てることで受け継がれています。

国や地方自治体の取り組み

国は、2001年に「文化芸術振興基本法」施行し、伝統的または新しく生まれた日本の芸術や文化などを保存するための取り組みや、国民がこれらの芸術や文化などに触れる機会などを充実させるとしています。
このことにより、国だけでなく地方自治体でも保存に必要な支援や国内でのイベントの開催や海外のイベントなどで紹介することなどによって国内外に日本発祥の文化を発信しています。

企業の取り組み

アニメやゲームなどのポップカルチャーは、日本の企業がスポンサーとなって支えたり、国内外の企業によって世界中に配信や販売、コラボレーション企画などを行って発信したりしています。

日本発祥のものを見つめ直してみよう!

日本には、伝統的なものや私たち日本人にもあまり知られていない日本発祥のものが沢山あり、世界中の人たちにも注目されています。
ナポリタンやオセロなど、名前や内容から海外のものと思われている日本発祥のものもあり、驚く人もいるのではないでしょうか。

日本発祥のものが多くの人を魅了している理由は、日本人ならではの美意識による創造力、また丁寧なものづくりや改良を重ねてより良いものを作る技術力にあります。
私たち日本人は身近にあるので日本生まれのものの良さにあまり気づいていないことが多いですが、改めてその素晴らしさを見つめ直してみてはいかがでしょうか。


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