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ヨーガにおいて呼吸法は切っても切り離せません。アーサナ(姿勢/ポーズ)を行うときには、必ず呼吸に合わせて身体を動かしますし、基本的な瞑想では呼吸に意識を向けます。しかし、ヨーガ初心者のなかにはアーサナの効果や身体の動きにばかり注目してしまう方が少なくありません。
そこで、ヨーガの呼吸について深堀りしてみましょう。その効果を知れば、やってみたくなること間違いなし!やり方も紹介しますので、今日から実践できますよ。
まず、ヨーガの呼吸法とはどういったものなのでしょうか。一般的にいう呼吸と比較しながら、基本的な知識を把握しましょう。
人間を含む動物の生命活動の基盤で、呼吸ができなければ誰もが命を保つことができません。
息を吸って空気中の酸素を肺に取り込み、血液の流れとともに全身の細胞に酸素が運ばれ、食事から得た栄養分を分解しエネルギーを作り出します。その際に二酸化炭素が生成され、不要な分が肺に運ばれ息を吐くことで体外に排出されるという仕組みです。このように、私たちが無意識に行っている呼吸は、生命維持には不可欠です。
ヨーガにおいても呼吸は非常に重要視されていますが、生きるためではなく感情を制御し身体を整えるために行います。アーサナを行う際には必ず呼吸をし「呼吸を意識せずにアーサナを行うことはヨーガではなく、単にポーズをとっているだけだ」と考えられるほどです。
ヨーガで呼吸を重要視する理由は、呼吸をすばやく、または緩やかに行うことで、心や身体を調整できるからです。
例えば、緊張しているときや不安を感じているときは呼吸が浅くなりがちです。そのような状態のときに、ゆっくりと深い呼吸を行ってみましょう。徐々に筋肉が弛緩し心身ともにリラックスできるはずです。
では、一般的な呼吸と呼吸法はどう異なるのでしょうか。まず、呼吸は誰もが無意識に行っているもので、生命を維持することを目的としています。
一方、呼吸法は意識して息を吐き吸ったりして、心や身体を調整するために実施するものです。つまり、呼吸法は生命維持のために無意識で行うものではなく、意識的に息を吸い、吐いて、心と身体を調整するという目的があるのです。
なお、呼吸法のことをヨーガでは「プラーナーヤーマ」と呼びます。次からは、プラーナヤーマについて詳しく解説します。
ヨーガでは呼吸法のことを「プラーナーヤーマ」といいます。プラーナとは、人体だけでなくこの世に存在するすべての物に存在すると考えられている生命エネルギーのことを指します。プラーナを呼吸によって体内に取り込み、身体全体に巡らせて身体だけでなく感情を整えるものです。
なお、「ヤーマ」は古代インドの言語であるサンスクリット語の「制御する」に由来しますので、プラーナーヤーマは「プラーナを制御する」という意味になります。
ヨーガでは、基本的に吸うときも吐くときも鼻を使って行います。なかには、口から吸ったり、口から吐いたりする呼吸法もありますが、はじめて呼吸を行う場合や慣れない場合は、まずは鼻呼吸を練習するとよいでしょう。
呼吸法を行うときには、背筋を伸ばして行いましょう。背中にはプラーナの通り道である「ナーディ」が存在し、プラーナがスムーズに流れるには背中がまっすぐであることがポイントだからです。なお、ナーディは身体中に血管のように走っていますが、背骨に沿って存在するナーディは特に太いので、ヨーガでは呼吸法に限らず背骨の動きを重要視しています。
力んだ状態ですと、深い呼吸ができません。ですので、身体の余分な力を抜いて呼吸法を行うことが重要です。具体的には肩や腕の力を抜きましょう。また、無意識に顔に力が入っている人は少なくありません。歯を食いしばっていないか、目の奥に力が入っていないかチェックしてみてくださいね。
呼吸のスピードによって心身への効果が異なります。息を吐くときや吸うときは、どのくらいの時間をかけるかを注視することも重要です。例を挙げると、精神を落ち着かせ、緊張状態を解く際にはゆっくりとしたスピードで呼吸を行います。逆に、集中力を高め、頭をスッキリさせたい場合には、後にご紹介する「カパラバティ呼吸」のように、素早く呼吸をします。
ヨガクラスでアーサナを行うときに、インストラクターから「呼吸を止めないで」と言われたことはありませんか。アーサナをするときには、基本的に呼吸とともに身体を動かしますので、身体の動きだけでなく、呼吸をし続けることが重要です。そして、呼吸法でも意識的に息を止める種類を除けば、止めることなく呼吸をし続けることになります。
しかし、厳密にいうとアーサナで行う呼吸でも呼吸法でも息を止めているのです。呼吸を注意深く観察してみてください。息を吸って吐く行為の間に無意識に呼吸が止まる瞬間があることに気づくでしょう。この呼吸が止まる「間」に気づき感じることが、呼吸法で最も重要だと言われています。
ですから、呼吸を止めないつもりでいても、実は無意識のうちに呼吸が一瞬だけ止まっているのです。ヨーガを行うときに余裕があるなら、この「間」にも意識を向けてみてくださいね。
呼吸法は、心にも体にもよい影響を与えてくれ、誰もが気軽にできるものです。次からご紹介する呼吸法の効果を知れば、「やってみたい!」と思えること間違いなしです。
呼吸法を行うと自律神経が整い、体内に多くの酸素を取り込め、血流循環が改善されます。すると、次のような効果が期待できます。
肩や首のこり、冷え性といった不調を感じているなら、呼吸法を行うことで改善が見込まれます。呼吸法で体内に多くの酸素を摂取すると、全身の血行が促進され、首や肩などのコリ、冷えなどの改善するためです。
ゆっくりと行う深い呼吸は、心が落ち着きますし、身体の力も抜けやすくなります。時間をかけて呼吸をすることで、副交感神経が優位となり、心拍数や血圧が下がり筋肉が緩み、精神が安定するためです。副交感神経が活性化すると、不安や怒りといった感情が和らぐので、ストレス軽減にも役立ちますよ。
持久力向上や疲労回復など身体機能を強化したいときにも呼吸法は非常に有効です。呼吸法を継続して行えば、呼吸の際に使われる横隔膜や肋間筋が鍛えられ、効率よく酸素を摂取できるようになり、その結果心肺機能が向上するでしょう。
前述したように、深い呼吸によって副交感神経が優位となり精神が落ち着き、筋肉が緩みます。このように心身がリラックスすると免疫細胞が活性化し、免疫力が向上するからです。また、鼻呼吸は鼻毛が空気中のウイルスや細菌の侵入を防いでくれますよ。
血行が良くなるだけでなく、リンパの流れも促進されるため、体内の老廃物の排出を助けてくれますまた、呼吸法で血流が促進されると内臓機能が高まりますので、消化機能が良くなり、便秘や下痢、お腹のハリ、胃の不快感といった症状の改善も見込めます。
呼吸法を続けることで代謝がアップするので、痩せやすい身体づくりが可能です。脂肪は酸素と結合すると、エネルギーとして燃焼されるためです。深い呼吸で多くの酸素を体内に取り込めば、脂肪燃焼が促進されるという仕組みです。
呼吸法は意識して息を吐き、吸うだけなので、気軽に行える点がメリット。特別な道具が必要なく、時間や場所を選ばずに行えます。就寝前や仕事の休憩中、出勤の電車内などなど、好きなときに行えます。「疲れて動けない」という方でも、呼吸法ならできるかもしれません。
短時間でも効果を感じられますので、スキマ時間に呼吸法を行ってみてくださいね。
ヨーガにはさまざまな種類の呼吸法があります。代表的な呼吸法の効果と手順、ポイントを紹介しますので、参考にして実施してみてくださいね。
お腹をふくらませるようにして行う「腹式呼吸」は、ヨーガを行ったことがないという人でも、やったことがある、または聞いたことがあるのではないでしょうか。ヨーガにおいて、腹式呼吸は最も基本的な呼吸法です。ゆるやかに呼吸すると副交感神経が活性化するので、リラックスしたいときにぴったり。息を吸ったときに横隔膜が下がり内蔵を刺激するので、内蔵機能を高め便秘解消にも役立ちます。
なお、基本的にはアーサナの際の呼吸は腹式呼吸で行います。
【方法】
胸式呼吸は、腹式呼吸とは逆にお腹を膨らませず、胸を膨らませるようにして行います。前述した腹式呼吸とは反対に、交感神経が活性化するので集中力アップやリフレッシュしたいときに行うのがおすすめです。
後屈のアーサナは腹式呼吸が難しいため、胸式呼吸を行います。
腹式呼吸であっても胸式呼吸であっても、空気が入る部位は肺です。ではなぜ、膨らむ箇所が異なるのでしょうか。それは、次のように使用する筋肉が異なるからです。
腹式呼吸で使用する筋肉:横隔膜胸式呼吸で使用する筋肉:肋間筋
腹式呼吸で使用する筋肉・横隔膜は肺の下部にあり、肺に入った空気が横隔膜を下げるので、内蔵が押されてお腹が膨らみます。一方、胸式呼吸で使用する肋間筋は肋骨と肋骨の間に存在します。胸式呼吸を行うと肋間筋が上方に動いて胸が広がるのです。
片鼻呼吸は、名前のとおり片方の穴だけで呼吸を行います。手で片方の鼻の穴をふさぎ、もう片方の鼻の穴で呼吸をし、左と右、交互に行います。ヨーガでは左の鼻穴は副交感神経、右の鼻穴は交感神経を司ると考えており、片方ずつ呼吸を行うことで、自律神経のバランスが整う効果が期待できます。
ストレス解消のほか、集中力の向上、心の安定といった効果が期待できるので、瞑想前に行うケースも多いです。
2〜7を1セットとし、7〜10セット繰り返します。
鼻から吸って吐くヨーガの基本的な呼吸とは異なり、シータリー呼吸では逆に口から吸って鼻から吐きだします。
体温を下げる効果のある呼吸法で体温を下げてくれるので、夏にピッタリ。口から息を吸うときに、唾液が空気の熱を奪ってくれるので冷たい空気を体内に取り入れられるためです。夏バテ予防に実施してみましょう。
2〜4を3〜10分ほど繰り返す
丹田呼吸とは、ブッダが修行時に行っていたといわれている呼吸法で、仏教と深い関わりがありますが、現代ではヨーガでも行われています。丹田とは、おへそから指3〜4本分下のお腹の奥にある場所で、東洋医学では気が集まる場所と考えられ、ヨガでは性的エネルギーや生命力を司る第2チャクラのことを指します。
この丹田に意識を向けた腹式呼吸が丹田呼吸です。集中力が高まるので、ヨーガだけでなく武術や坐禅など、広い分野で取り入れられています。
カパラバティ呼吸は以下の部位をしっかりと動かして短いスパンで「フッ、フッ、フッ」と勢いよく息を吐き出す、エネルギッシュな呼吸法です。
血行が促進され、リフレッシュできるほか、内蔵がマッサージされるので、デトックスにも効果的。
なお、カパラバティ呼吸は激しい呼吸で血圧が急上昇するおそれがあり、自己流で行うことはおすすめしません。ヨガインストラクターなど指導者のもと行うと安心です。
2と3を1秒に1回、25〜30回行う
また、次のような方はカパラバティを行わないよう、ご注意ください。
ウジャイ呼吸は胸式呼吸の一種で、バンダという身体の特定の部位を意識的に締め付けて実施し、気を制御する呼吸法です。名にサンスクリット語で「勝利」を意味する「ウジャイ」がつくように、恐怖や不安といった自分自身の内側に存在するネガティブな感情に勝つという意味です。恐れや心配事があるときには、ウジャイ呼吸をお試しください。心も身体もポジティブなエネルギーで満たされるのを感じられるでしょう。内蔵の活性や基礎体温の上昇のほか、体幹強化、呼吸器系トラブルの緩和に役立つ呼吸法です。
ウジャイ呼吸は、ヨーガ初心者の方は少し難しいと感じるかもしれません。できるかぎり、カパラバティ呼吸同様に指導者のもとで習得しましょう。
呼吸法を日常生活に取り入れ、継続することでしっかりと効果を得られます。最後のこの章では、いつ呼吸法を行うべきか、また習慣として続けられるコツを述べます。
呼吸法は種類によって効果が異なりますので、シーンに合わせたものを行うことがポイントです。
たとえば、就寝前や仕事のプレゼン前などで緊張しているとき、ストレスを感じているときは、リラックスできる腹式呼吸や丹田呼吸が適しています。また、リフレッシュしたいときは胸式呼吸、エネルギッシュになりたいときはカパラバティなどがぴったりです。自分が得たい効果は何なのか明確にしてから、どの呼吸法を行うか決めましょう。
また、呼吸法を実施する際には、静かで集中できる環境を整えると、より実践しやすくなります。リラックスできるように、お香やアロマなどを焚く、自然音の音源やヒーリング音楽を流すなど、工夫してもよいですね。また、長時間座っていると足や腰が痛くなるという方は、瞑想用クッションやヨガマット、ラグなどの上で呼吸法を行うと身体への負担を軽減できます。
さらに、しっかり呼吸ができるよう、鼻の通りをよくするために鼻をかむのをお忘れなく!
呼吸法の練習をすることで呼吸筋(横隔膜及び肋間筋)が鍛えられ、より深い呼吸が可能となります。そのため、日常的に呼吸法を取り入れ継続して行いましょう。呼吸法を習慣化するには、いくつかポイントがあります。
まず、一度に多くの呼吸法を習得しようとせず、毎日少しずつ実施しましょう。1種類の呼吸法を短時間でも良いので、日々繰り返し練習することが大切です。続けて行えば、日々のルーティンとして無意識に呼吸法を実施できるようになります。
また「呼吸法を行うと気持ち良くなる」「すっきりする」などの、体感も重要です。気持ち良いと感じたことを脳が成功体験と認識し、続けて行いたいと思えるようになり、最終的に呼吸法が日常の一部となるでしょう。
生きるためには呼吸が不可欠であるように、ヨーガでも呼吸はなくてはならないものです。呼吸を意識しなければ、ヨーガとはいえないでしょう。
それだけ呼吸法がヨーガで重要視されているのは、この記事でご紹介したように、心身に良い影響を与えてくれるためです。できるだけゆっくり行うことも重要です。しかも手軽に行えます。忙しい方でも「身体が硬いのでアーサナは難しそう」という方でも、呼吸法なら始めやすいのではないでしょうか。
少し行うだけでも効果を感じられますので、ぜひお試しくださいね。
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ヨーガにおいて呼吸法は切っても切り離せません。アーサナ(姿勢/ポーズ)を行うときには、必ず呼吸に合わせて身体を動かしますし、基本的な瞑想では呼吸に意識を向けます。
しかし、ヨーガ初心者のなかにはアーサナの効果や身体の動きにばかり注目してしまう方が少なくありません。
そこで、ヨーガの呼吸について深堀りしてみましょう。
その効果を知れば、やってみたくなること間違いなし!やり方も紹介しますので、今日から実践できますよ。
目次
ヨーガの呼吸法の基礎知識・普通の呼吸とは何が違うの?
まず、ヨーガの呼吸法とはどういったものなのでしょうか。一般的にいう呼吸と比較しながら、基本的な知識を把握しましょう。
呼吸の重要性
人間を含む動物の生命活動の基盤で、呼吸ができなければ誰もが命を保つことができません。
息を吸って空気中の酸素を肺に取り込み、血液の流れとともに全身の細胞に酸素が運ばれ、食事から得た栄養分を分解しエネルギーを作り出します。その際に二酸化炭素が生成され、不要な分が肺に運ばれ息を吐くことで体外に排出されるという仕組みです。
このように、私たちが無意識に行っている呼吸は、生命維持には不可欠です。
ヨーガにおいても呼吸は非常に重要視されていますが、生きるためではなく感情を制御し身体を整えるために行います。
アーサナを行う際には必ず呼吸をし「呼吸を意識せずにアーサナを行うことはヨーガではなく、単にポーズをとっているだけだ」と考えられるほどです。
ヨーガで呼吸を重要視する理由は、呼吸をすばやく、または緩やかに行うことで、心や身体を調整できるからです。
例えば、緊張しているときや不安を感じているときは呼吸が浅くなりがちです。そのような状態のときに、ゆっくりと深い呼吸を行ってみましょう。徐々に筋肉が弛緩し心身ともにリラックスできるはずです。
呼吸と呼吸法の違い
では、一般的な呼吸と呼吸法はどう異なるのでしょうか。
まず、呼吸は誰もが無意識に行っているもので、生命を維持することを目的としています。
一方、呼吸法は意識して息を吐き吸ったりして、心や身体を調整するために実施するものです。つまり、呼吸法は生命維持のために無意識で行うものではなく、意識的に息を吸い、吐いて、心と身体を調整するという目的があるのです。
なお、呼吸法のことをヨーガでは「プラーナーヤーマ」と呼びます。次からは、プラーナヤーマについて詳しく解説します。
ヨーガの呼吸法「プラーナーヤーマ」とは
ヨーガでは呼吸法のことを「プラーナーヤーマ」といいます。
プラーナとは、人体だけでなくこの世に存在するすべての物に存在すると考えられている生命エネルギーのことを指します。プラーナを呼吸によって体内に取り込み、身体全体に巡らせて身体だけでなく感情を整えるものです。
なお、「ヤーマ」は古代インドの言語であるサンスクリット語の「制御する」に由来しますので、プラーナーヤーマは「プラーナを制御する」という意味になります。
呼吸法のポイント4つ
1.鼻呼吸
ヨーガでは、基本的に吸うときも吐くときも鼻を使って行います。
なかには、口から吸ったり、口から吐いたりする呼吸法もありますが、はじめて呼吸を行う場合や慣れない場合は、まずは鼻呼吸を練習するとよいでしょう。
2.背筋を伸ばす
呼吸法を行うときには、背筋を伸ばして行いましょう。
背中にはプラーナの通り道である「ナーディ」が存在し、プラーナがスムーズに流れるには背中がまっすぐであることがポイントだからです。
なお、ナーディは身体中に血管のように走っていますが、背骨に沿って存在するナーディは特に太いので、ヨーガでは呼吸法に限らず背骨の動きを重要視しています。
3.余分な力を抜く
力んだ状態ですと、深い呼吸ができません。ですので、身体の余分な力を抜いて呼吸法を行うことが重要です。
具体的には肩や腕の力を抜きましょう。また、無意識に顔に力が入っている人は少なくありません。歯を食いしばっていないか、目の奥に力が入っていないかチェックしてみてくださいね。
4.呼吸の長さを意識する
呼吸のスピードによって心身への効果が異なります。息を吐くときや吸うときは、どのくらいの時間をかけるかを注視することも重要です。
例を挙げると、精神を落ち着かせ、緊張状態を解く際にはゆっくりとしたスピードで呼吸を行います。逆に、集中力を高め、頭をスッキリさせたい場合には、後にご紹介する「カパラバティ呼吸」のように、素早く呼吸をします。
呼吸が一瞬止まる「間」
ヨガクラスでアーサナを行うときに、インストラクターから「呼吸を止めないで」と言われたことはありませんか。アーサナをするときには、基本的に呼吸とともに身体を動かしますので、身体の動きだけでなく、呼吸をし続けることが重要です。
そして、呼吸法でも意識的に息を止める種類を除けば、止めることなく呼吸をし続けることになります。
しかし、厳密にいうとアーサナで行う呼吸でも呼吸法でも息を止めているのです。
呼吸を注意深く観察してみてください。息を吸って吐く行為の間に無意識に呼吸が止まる瞬間があることに気づくでしょう。この呼吸が止まる「間」に気づき感じることが、呼吸法で最も重要だと言われています。
ですから、呼吸を止めないつもりでいても、実は無意識のうちに呼吸が一瞬だけ止まっているのです。ヨーガを行うときに余裕があるなら、この「間」にも意識を向けてみてくださいね。
呼吸法で期待できる6つの効果とメリット
呼吸法は、心にも体にもよい影響を与えてくれ、誰もが気軽にできるものです。次からご紹介する呼吸法の効果を知れば、「やってみたい!」と思えること間違いなしです。
呼吸法の効果
呼吸法を行うと自律神経が整い、体内に多くの酸素を取り込め、血流循環が改善されます。すると、次のような効果が期待できます。
1.身体の不調の改善
肩や首のこり、冷え性といった不調を感じているなら、呼吸法を行うことで改善が見込まれます。呼吸法で体内に多くの酸素を摂取すると、全身の血行が促進され、首や肩などのコリ、冷えなどの改善するためです。
2.リラックス効果・ストレス軽減
ゆっくりと行う深い呼吸は、心が落ち着きますし、身体の力も抜けやすくなります。時間をかけて呼吸をすることで、副交感神経が優位となり、心拍数や血圧が下がり筋肉が緩み、精神が安定するためです。
副交感神経が活性化すると、不安や怒りといった感情が和らぐので、ストレス軽減にも役立ちますよ。
3.身体機能の強化
持久力向上や疲労回復など身体機能を強化したいときにも呼吸法は非常に有効です。
呼吸法を継続して行えば、呼吸の際に使われる横隔膜や肋間筋が鍛えられ、効率よく酸素を摂取できるようになり、その結果心肺機能が向上するでしょう。
4.免疫力アップ
前述したように、深い呼吸によって副交感神経が優位となり精神が落ち着き、筋肉が緩みます。このように心身がリラックスすると免疫細胞が活性化し、免疫力が向上するからです。
また、鼻呼吸は鼻毛が空気中のウイルスや細菌の侵入を防いでくれますよ。
5.デトックス
血行が良くなるだけでなく、リンパの流れも促進されるため、体内の老廃物の排出を助けてくれます
また、呼吸法で血流が促進されると内臓機能が高まりますので、消化機能が良くなり、便秘や下痢、お腹のハリ、胃の不快感といった症状の改善も見込めます。
6.脂肪燃焼・ダイエット
呼吸法を続けることで代謝がアップするので、痩せやすい身体づくりが可能です。
脂肪は酸素と結合すると、エネルギーとして燃焼されるためです。深い呼吸で多くの酸素を体内に取り込めば、脂肪燃焼が促進されるという仕組みです。
呼吸法は気軽にできることがメリット
呼吸法は意識して息を吐き、吸うだけなので、気軽に行える点がメリット。特別な道具が必要なく、時間や場所を選ばずに行えます。就寝前や仕事の休憩中、出勤の電車内などなど、好きなときに行えます。「疲れて動けない」という方でも、呼吸法ならできるかもしれません。
短時間でも効果を感じられますので、スキマ時間に呼吸法を行ってみてくださいね。
ヨーガの主な呼吸法の種類
ヨーガにはさまざまな種類の呼吸法があります。代表的な呼吸法の効果と手順、ポイントを紹介しますので、参考にして実施してみてくださいね。
腹式呼吸
お腹をふくらませるようにして行う「腹式呼吸」は、ヨーガを行ったことがないという人でも、やったことがある、または聞いたことがあるのではないでしょうか。
ヨーガにおいて、腹式呼吸は最も基本的な呼吸法です。
ゆるやかに呼吸すると副交感神経が活性化するので、リラックスしたいときにぴったり。息を吸ったときに横隔膜が下がり内蔵を刺激するので、内蔵機能を高め便秘解消にも役立ちます。
なお、基本的にはアーサナの際の呼吸は腹式呼吸で行います。
【方法】
ゆっくりとした呼吸を心がけることも大切です。
胸式呼吸
胸式呼吸は、腹式呼吸とは逆にお腹を膨らませず、胸を膨らませるようにして行います。
前述した腹式呼吸とは反対に、交感神経が活性化するので集中力アップやリフレッシュしたいときに行うのがおすすめです。
後屈のアーサナは腹式呼吸が難しいため、胸式呼吸を行います。
【方法】
腹式呼吸と胸式呼吸の違い
腹式呼吸であっても胸式呼吸であっても、空気が入る部位は肺です。ではなぜ、膨らむ箇所が異なるのでしょうか。
それは、次のように使用する筋肉が異なるからです。
腹式呼吸で使用する筋肉:横隔膜
胸式呼吸で使用する筋肉:肋間筋
腹式呼吸で使用する筋肉・横隔膜は肺の下部にあり、肺に入った空気が横隔膜を下げるので、内蔵が押されてお腹が膨らみます。
一方、胸式呼吸で使用する肋間筋は肋骨と肋骨の間に存在します。胸式呼吸を行うと肋間筋が上方に動いて胸が広がるのです。
片鼻呼吸
片鼻呼吸は、名前のとおり片方の穴だけで呼吸を行います。手で片方の鼻の穴をふさぎ、もう片方の鼻の穴で呼吸をし、左と右、交互に行います。ヨーガでは左の鼻穴は副交感神経、右の鼻穴は交感神経を司ると考えており、片方ずつ呼吸を行うことで、自律神経のバランスが整う効果が期待できます。
ストレス解消のほか、集中力の向上、心の安定といった効果が期待できるので、瞑想前に行うケースも多いです。
【方法】
2〜7を1セットとし、7〜10セット繰り返します。
シータリー呼吸
鼻から吸って吐くヨーガの基本的な呼吸とは異なり、シータリー呼吸では逆に口から吸って鼻から吐きだします。
体温を下げる効果のある呼吸法で体温を下げてくれるので、夏にピッタリ。口から息を吸うときに、唾液が空気の熱を奪ってくれるので冷たい空気を体内に取り入れられるためです。夏バテ予防に実施してみましょう。
【方法】
2〜4を3〜10分ほど繰り返す
丹田(たんでん)呼吸
丹田呼吸とは、ブッダが修行時に行っていたといわれている呼吸法で、仏教と深い関わりがありますが、現代ではヨーガでも行われています。
丹田とは、おへそから指3〜4本分下のお腹の奥にある場所で、東洋医学では気が集まる場所と考えられ、ヨガでは性的エネルギーや生命力を司る第2チャクラのことを指します。
この丹田に意識を向けた腹式呼吸が丹田呼吸です。集中力が高まるので、ヨーガだけでなく武術や坐禅など、広い分野で取り入れられています。
【方法】
【応用編1】カパラバティ呼吸
カパラバティ呼吸は以下の部位をしっかりと動かして短いスパンで「フッ、フッ、フッ」と勢いよく息を吐き出す、エネルギッシュな呼吸法です。
血行が促進され、リフレッシュできるほか、内蔵がマッサージされるので、デトックスにも効果的。
なお、カパラバティ呼吸は激しい呼吸で血圧が急上昇するおそれがあり、自己流で行うことはおすすめしません。ヨガインストラクターなど指導者のもと行うと安心です。
【方法】
2と3を1秒に1回、25〜30回行う
また、次のような方はカパラバティを行わないよう、ご注意ください。
【応用編2】ウジャイ呼吸
ウジャイ呼吸は胸式呼吸の一種で、バンダという身体の特定の部位を意識的に締め付けて実施し、気を制御する呼吸法です。
名にサンスクリット語で「勝利」を意味する「ウジャイ」がつくように、恐怖や不安といった自分自身の内側に存在するネガティブな感情に勝つという意味です。
恐れや心配事があるときには、ウジャイ呼吸をお試しください。心も身体もポジティブなエネルギーで満たされるのを感じられるでしょう。内蔵の活性や基礎体温の上昇のほか、体幹強化、呼吸器系トラブルの緩和に役立つ呼吸法です。
ウジャイ呼吸は、ヨーガ初心者の方は少し難しいと感じるかもしれません。できるかぎり、カパラバティ呼吸同様に指導者のもとで習得しましょう。
【方法】
なお、妊娠中や生理中の方、高血圧の方はウジャイ呼吸は避けてください。
日常生活への呼吸法の取り入れ方
呼吸法を日常生活に取り入れ、継続することでしっかりと効果を得られます。最後のこの章では、いつ呼吸法を行うべきか、また習慣として続けられるコツを述べます。
呼吸法を行う環境やタイミング
呼吸法は種類によって効果が異なりますので、シーンに合わせたものを行うことがポイントです。
たとえば、就寝前や仕事のプレゼン前などで緊張しているとき、ストレスを感じているときは、リラックスできる腹式呼吸や丹田呼吸が適しています。
また、リフレッシュしたいときは胸式呼吸、エネルギッシュになりたいときはカパラバティなどがぴったりです。
自分が得たい効果は何なのか明確にしてから、どの呼吸法を行うか決めましょう。
また、呼吸法を実施する際には、静かで集中できる環境を整えると、より実践しやすくなります。
リラックスできるように、お香やアロマなどを焚く、自然音の音源やヒーリング音楽を流すなど、工夫してもよいですね。
また、長時間座っていると足や腰が痛くなるという方は、瞑想用クッションやヨガマット、ラグなどの上で呼吸法を行うと身体への負担を軽減できます。
さらに、しっかり呼吸ができるよう、鼻の通りをよくするために鼻をかむのをお忘れなく!
呼吸法を継続させるコツ
呼吸法の練習をすることで呼吸筋(横隔膜及び肋間筋)が鍛えられ、より深い呼吸が可能となります。
そのため、日常的に呼吸法を取り入れ継続して行いましょう。
呼吸法を習慣化するには、いくつかポイントがあります。
まず、一度に多くの呼吸法を習得しようとせず、毎日少しずつ実施しましょう。
1種類の呼吸法を短時間でも良いので、日々繰り返し練習することが大切です。続けて行えば、日々のルーティンとして無意識に呼吸法を実施できるようになります。
また「呼吸法を行うと気持ち良くなる」「すっきりする」などの、体感も重要です。
気持ち良いと感じたことを脳が成功体験と認識し、続けて行いたいと思えるようになり、最終的に呼吸法が日常の一部となるでしょう。
呼吸こそ、ヨーガの第一歩
生きるためには呼吸が不可欠であるように、ヨーガでも呼吸はなくてはならないものです。呼吸を意識しなければ、ヨーガとはいえないでしょう。
それだけ呼吸法がヨーガで重要視されているのは、この記事でご紹介したように、心身に良い影響を与えてくれるためです。
できるだけゆっくり行うことも重要です。しかも手軽に行えます。
忙しい方でも「身体が硬いのでアーサナは難しそう」という方でも、呼吸法なら始めやすいのではないでしょうか。
少し行うだけでも効果を感じられますので、ぜひお試しくださいね。
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