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皆さんはジンクスや言い伝えを信じますか?日本では縁起を担ぐために「ジンクス」や「迷信」といった言葉を用いますが、海外では意味が少し違っていたり、その土地ならではのジンクスや言い伝えがあります。
そこで今回は、世界の面白いジンクスや言い伝えを「ジンクス」という言葉の本来の意味や使い方なども交えながら紹介していきます。
日本でも「ジンクス」という言葉は浸透していますが、そもそも「ジンクス」とはどういう意味の言葉なのでしょうか?
実は本来の「ジンクス」は「縁起の悪いもの」という意味の言葉です。
「ジンクス」はギリシャ語の「jynx(ジンクス)」が語源となっているといわれています。「jynx(ジンクス)」とはキツツキの仲間で、別名「アリスイ」という鳥です。
古代の人は、アリスイが威嚇や求愛で首を180度真後ろに向けた姿が不吉に見えたことから「jynx(ジンクス)=縁起の悪いもの」という意味となったとされています。
日本では、「縁起の悪いもの」という意味だけではなく「縁起の良いもの」「幸運を招くもの」というような意味でも使われていますが、これは日本独自の使い方です。
世界には、食べ物にまつわるジンクスや言い伝えが数多くあります。食べ物にまつわるジンクスや言い伝えは、その国の文化や歴史に由来したものが多く見られるので、詳しく紹介していきましょう。
フランスには、「フランスパン(バゲット)をテーブルやカウンターに置くとき、上下逆さまにすると不幸が訪れる」というジンクスがあります。
このジンクスは、中世で罪人に行われていた習慣が由来とされています。中世のフランスでは、死刑が執行される罪人の食事を運ぶ際、フランスパンを裏返しにして与えていました。この習慣により、逆さに置かれたフランスパンは「死」を彷彿とさせるようになったため、フランスパンを逆さに置くと不幸が訪れると言われるようになったとされています。
ちなみに、フランスパンの裏側(平らな部分)に十字の切れ込みを入れると、逆さに置いても不幸から守られるというジンクスもあるそうです。
韓国では、「夫や彼氏に手羽先を食べさせてはいけない」というジンクスがあります。韓国は昔から鳥をよく食べているイメージがあるのですが、どうして手羽先だけダメなのでしょうか?その理由は、夫や彼氏に手羽先を食べさせると浮気をするからなのだそうです。
韓国では昔から、手羽先を食べさせると食べた人が羽を羽ばたかせて遠くに行ってしまうと言われていることからこのジンクスが生まれたとされています。ようするに、パートナーがいる男性に羽が生えて開放的になり浮気してしまうというイメージからできたジンクスなのでしょう。そのため韓国の家庭では、手羽先はお母さんが食べるのが当たり前なのだそうです。
イタリアでは、「塩やオリーブオイルをテーブルの上にこぼすと不幸になる」というジンクスがあります。
古代ローマでは塩はとても貴重なもので歩兵の給料として支給されており、塩を数粒落とすだけでもお金を失うことを意味していました。また、オリーブオイルもとても貴重なもので、限られた人しか買うことができませんでした。
ゆえに、塩やオリーブオイルを粗末にしないよう戒めるためにこのジンクスが生まれたとされています。
そのためイタリアでは、渡し損ねたり受け取り損ねたりして塩がこぼれることを防ぐために塩を手渡ししてはいけないというマナーがあります。
ちなみに塩をテーブルにこぼしてしまった場合は、すぐに指先でつまみ上げて3回左肩に振りかけると厄除けになるといわれています。
ハワイでは、「船にバナナを積むと不吉なことが起きる」というジンクスがあります。バナナは持ち運びやすい果物なので日本でもお弁当などに持っていくことがよくありますし、積んだからといってなんの問題もなさそうなのですが、どうしてこんなジンクスが生まれたのでしょうか?実は、とても怖い歴史が由来となっているジンクスなのです。
昔、バナナには毒グモが付いていることが多く、毒グモに噛まれてしまう船乗りが続出したそうです。毒グモに噛まれた人は、激痛に苦しみ場合によっては亡くなってしまうこともあったのだとか。そのため、ハワイではバナナを船に積み込むと不幸になるといわれるようになったのです。
ハワイでは現代でも船にバナナはもちろん、バナナ味のお菓子も持ち込むことが禁止されています。もちろん観光客にも徹底されているルールなので、観光に行った際には気をつけましょう。
幸運を招くとされるジンクスや言い伝えは世界中にあり、中には日本でも知られているものもあります。ここからは、様々な国のポピュラーなジンクスや言い伝えを紹介しましょう。
アメリカでは、「抜けた乳歯を枕の下に入れて眠ると妖精がやってくる」という言い伝えがあります。
やってくる妖精は「トゥース・フェアリー」と呼ばれる歯の妖精で、子供が寝ている間に抜けた乳歯を枕の下に置いておくとコインやプレゼントと交換してくれるといわれています。
しかし、トゥース・フェアリーは白くてきれいな歯しか持って行かないので、「歯をきちんと磨かないと妖精さんが来てくれないよ」と子供に言い聞かせて歯磨きを促すのが定番なのだそうです。
この言い伝えはアメリカだけでなく、ヨーロッパなどの西洋文化に根付いています。子供たちは、コインやプレゼントが貰えるのでクリスマスのプレゼントと同様に歯が抜けた翌朝を楽しみにしているのでしょうね。
イギリスでは、「木に触ると幸運が訪れる」という言い伝えがあります。この言い伝えは、イギリスを含むヨーロッパ圏に広く知られているもので、おまじないのようなものだといわれています。
でも、どうして木に触ると幸運が訪れるのでしょうか?これは、古代ヨーロッパ人の木に対する考え方が由来となっています。
古代ヨーロッパでは、木に神様が宿っていると信じられていました。そのため、良くないことが起こりそうな時や縁起の悪い発言をしてしまった時に「touch wood!」と言って近くの木に触ると、神様の力で不運が無くなるという言い伝えが生まれたとされています。
また、触るのは木だけでなく木製品なら何でもOKで、木のテーブルやドアなどを慌て触り、悪いことを消して幸運を呼び込むのだそうです。
ちなみに、アメリカでは「Knock on wood」と言いながら2回木製品を叩くという習慣が伝わっています。
インドやフランスには、「雨の日の結婚は幸運の象徴」という言い伝えがあります。日本では結婚式の日にはなるべく雨が降らないで欲しいと考える人が多いと思いますが、なぜインドやフランスでは雨が好まれるのでしょうか?
インドやフランスでは、雨は神様が住む天界と地上を繋ぐものと考えられていて、雨が降ると「神様が祝福してくれている」「天使が舞い降りてきている」などといわれています。そんな雨の日に結婚式を行うのは、神様の祝福を与えられている最高の日と考えられているのです。
また、フランスでは結婚式に雨が降ると「新郎新婦が一生涯で流す涙を神様が代わりに流している」ともいわれています。ちなみに他にも結婚式に雨が降ると良いという言い伝えがある国はいくつかあります。
イタリアでは「雨に濡れた花嫁は幸せになれる」といわれており、これは雨が降ると土壌が良くなり作物がよく育つことから子孫繁栄に繋がると考えられているからだとされています。
中国では神様の使いである「雨龍」が雨を降らすことで祝福しているといわれていて、結婚式の日に雨が降ることを望む人も多いのだそうです。
雨男や雨女は龍神に好かれている?雨に関するコラムはこちら
フランスでは、「スズランの花を贈ると受け取った人が幸せになる」という言い伝えがあります。この言い伝えは、16世紀のフランス王・シャルル9世にまつわる話が由来となっています。
1560年5月1日、当時11歳だったシャルル9世は母親のカトリーヌ・ド・メディシスとともにドローム地方を旅行していました。
その時、地元の住民から幸運のシンボルとされているスズランの花束を貰い感激します。シャルル9世は、この喜びを周りにも分け与えたいと思い、宮廷に仕える女性たちにスズランを贈りました。
それ以降、シャルル9世は毎年5月1日にスズランを宮廷の女性たちに贈り、この風習はフランス全土に広まりました。
フランスでは現代でも5月1日を「スズランを贈る日」としており、この日には町中にスズランが溢れるのだそうです。幼い王様が作ってくれた最高の風習ですよね。
世界には動物にまつわるジンクスや言い伝えが沢山あります。ここでは、日本であまり馴染みのない動物に関するジンクスや言い伝えを紹介していきましょう。
ヨーロッパには、「野兎が目の前を横切るのは凶兆の印」というジンクスがあります。このジンクスは、中世ヨーロッパの魔女に対する考え方から生まれたとされています。
中世ヨーロッパにおいて、魔女は忌み嫌われるもので、魔女は自分の姿を野兎に変えることができると信じられていました。野兎に変身した魔女は牝牛から牛乳を盗むといわれており、魔女の野兎を退治するためには月を象徴する銀の弾丸のみが有効な武器とされるほど、野兎は厄介な生き物と考えられていたのです。
そのため、野兎は不吉な生き物とされ「野兎が目の前を横切るには凶兆の印」といわれるようになったと考えられています。日本でいう「黒猫が横切られたら不幸が訪れる」というジンクスのようなものですね。
とくにイングランドでは野兎に関するジンクスが多く、「野兎が道路を走っていたらその日のうちに火事になる」「野兎が新郎新婦の行く手を横切るとどんなに遠く離れていても二人は不幸に見舞われる」「妊婦が野兎を見ると三つ口(口唇裂(こうしんれつ):先天的に上唇が割れている病気)の子供が生まれる」などのジンクスがあります。また、漁師は船に乗り込むまでに野兎を見かけたらその日は家に戻って海に出なかったそうです。
ウサギに関するジンクスは悪いものだけではなく良いものもあります。イギリスやアメリカでは、毎月1日の朝起きてすぐに「White rabbit」と3回唱えると、その月は幸運が訪れるといわれています。ただし、起きて最初に発する言葉が「White rabbit」でないと効果が無く、あくびや伸びなどで声を出した後ではダメという厳しいルールがあるそうです。
同じくヨーロッパには、「ハリネズミに出会うと願いが叶う」という言い伝えもあります。ヨーロッパでは野生のハリネズミが多く生息している地域が多く、ときに道端で出会うことがあるのだそうです。ではなぜ、ハリネズミに出会うと願いが叶うのでしょうか?
ハリネズミは、ヨーロッパでは幸運のシンボルとして昔から親しまれてきた動物です。これは、ハリネズミが古代ローマの神話に登場する豊穣の女神セレスの化身で、ハリネズミが畑に姿を現すと実りを授けてくれると信じられ、ハリネズミは幸運を運んでくれる動物として愛されてきました。
このような理由から、幸運のシンボルとされるハリネズミにばったり出会うと願いが叶うといわれるようになったのです。
また、「ハリネズミに出会うと幸運が訪れる」や「ハリネズミが住み着いた家は幸せになる」という言い伝えもあり、ヨーロッパではハリネズミモチーフのアクセサリーなども人気です。
中国では、「コウモリが5匹揃うと願いが叶う」という言い伝えがあります。
欧米ではあまり良いイメージの無いコウモリですが、中国でコウモリは「豊富な富」を象徴する縁起の良い生き物として昔から親しまれています。そのため、コウモリが家に入ってきたり巣を作ったりすると幸運が訪れる前触れであるといわれているのです。
家に来たコウモリが1匹だけでも幸運の前触れといわれていますが、2匹だとさらなる幸福が訪れ、5匹来ると「功名、福寿、結婚、金運、健康」の5つに恵まれるという最上級の幸運が訪れるとされています。
カンボジアでは「ヤモリの鳴き声を7回連続で聞くと幸せが訪れる」という言い伝えがあります。
日本にいるニホンヤモリは、「ケッケッケッ」や「キュッキュッ」と鳴きますが、カンボジアのヤモリは「トッケイトッケイ」と鳴くので、その鳴き声から「トッケイヤモリ」と名付けられたそうです。
トッケイヤモリはカンボジアではポピュラーなヤモリで、夜になると鳴き声がよく聞こえてくるそうです。トッケイヤモリは鳴き始めると何回か連続で鳴くそうですが、7回連続で鳴くことはかなり珍しいとのこと。そんなレアケースに遭遇したら確かに幸運が訪れそうですよね。
しかし、地域によっては7回と決まっておらず、「いっぱい鳴いたら幸運が訪れて、鳴く回数が少なかったら不幸が訪れる」という言い伝えもあります。
ジンクスや言い伝えは、その国の歴史や独自の風習、神話、習慣などに由来しています。ヨーロッパで野兎が不吉な動物と考えられていることや、ハワイでバナナを船に積んだら不幸になるといわれることなどは日本では疑問に感じますが、それぞれの国の時代背景や歴史を知ると納得できますよね。
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皆さんはジンクスや言い伝えを信じますか?
日本では縁起を担ぐために「ジンクス」や「迷信」といった言葉を用いますが、海外では意味が少し違っていたり、その土地ならではのジンクスや言い伝えがあります。
そこで今回は、世界の面白いジンクスや言い伝えを「ジンクス」という言葉の本来の意味や使い方なども交えながら紹介していきます。
目次
そもそもジンクスって何?
日本でも「ジンクス」という言葉は浸透していますが、そもそも「ジンクス」とはどういう意味の言葉なのでしょうか?
実は本来の「ジンクス」は「縁起の悪いもの」という意味の言葉です。
「ジンクス」はギリシャ語の「jynx(ジンクス)」が語源となっているといわれています。
「jynx(ジンクス)」とはキツツキの仲間で、別名「アリスイ」という鳥です。
古代の人は、アリスイが威嚇や求愛で首を180度真後ろに向けた姿が不吉に見えたことから「jynx(ジンクス)=縁起の悪いもの」という意味となったとされています。
日本では、「縁起の悪いもの」という意味だけではなく「縁起の良いもの」「幸運を招くもの」というような意味でも使われていますが、これは日本独自の使い方です。
食べ物にまつわる世界のジンクス・言い伝え
世界には、食べ物にまつわるジンクスや言い伝えが数多くあります。
食べ物にまつわるジンクスや言い伝えは、その国の文化や歴史に由来したものが多く見られるので、詳しく紹介していきましょう。
フランス:フランスパンを逆さに置くと不幸が訪れる
フランスには、「フランスパン(バゲット)をテーブルやカウンターに置くとき、上下逆さまにすると不幸が訪れる」というジンクスがあります。
このジンクスは、中世で罪人に行われていた習慣が由来とされています。
中世のフランスでは、死刑が執行される罪人の食事を運ぶ際、フランスパンを裏返しにして与えていました。
この習慣により、逆さに置かれたフランスパンは「死」を彷彿とさせるようになったため、フランスパンを逆さに置くと不幸が訪れると言われるようになったとされています。
ちなみに、フランスパンの裏側(平らな部分)に十字の切れ込みを入れると、逆さに置いても不幸から守られるというジンクスもあるそうです。
韓国:夫や彼氏に手羽先を食べさせてはいけない
韓国では、「夫や彼氏に手羽先を食べさせてはいけない」というジンクスがあります。
韓国は昔から鳥をよく食べているイメージがあるのですが、どうして手羽先だけダメなのでしょうか?
その理由は、夫や彼氏に手羽先を食べさせると浮気をするからなのだそうです。
韓国では昔から、手羽先を食べさせると食べた人が羽を羽ばたかせて遠くに行ってしまうと言われていることからこのジンクスが生まれたとされています。
ようするに、パートナーがいる男性に羽が生えて開放的になり浮気してしまうというイメージからできたジンクスなのでしょう。
そのため韓国の家庭では、手羽先はお母さんが食べるのが当たり前なのだそうです。
イタリア:塩やオリーブオイルをこぼすと不幸が訪れる
イタリアでは、「塩やオリーブオイルをテーブルの上にこぼすと不幸になる」というジンクスがあります。
古代ローマでは塩はとても貴重なもので歩兵の給料として支給されており、塩を数粒落とすだけでもお金を失うことを意味していました。
また、オリーブオイルもとても貴重なもので、限られた人しか買うことができませんでした。
ゆえに、塩やオリーブオイルを粗末にしないよう戒めるためにこのジンクスが生まれたとされています。
そのためイタリアでは、渡し損ねたり受け取り損ねたりして塩がこぼれることを防ぐために塩を手渡ししてはいけないというマナーがあります。
ちなみに塩をテーブルにこぼしてしまった場合は、すぐに指先でつまみ上げて3回左肩に振りかけると厄除けになるといわれています。
塩を投げることで悪魔を盲目にし、無力化するのだ。
ハワイ:船にバナナを積むと不吉なことが起きる
ハワイでは、「船にバナナを積むと不吉なことが起きる」というジンクスがあります。
バナナは持ち運びやすい果物なので日本でもお弁当などに持っていくことがよくありますし、積んだからといってなんの問題もなさそうなのですが、どうしてこんなジンクスが生まれたのでしょうか?
実は、とても怖い歴史が由来となっているジンクスなのです。
昔、バナナには毒グモが付いていることが多く、毒グモに噛まれてしまう船乗りが続出したそうです。
毒グモに噛まれた人は、激痛に苦しみ場合によっては亡くなってしまうこともあったのだとか。
そのため、ハワイではバナナを船に積み込むと不幸になるといわれるようになったのです。
ハワイでは現代でも船にバナナはもちろん、バナナ味のお菓子も持ち込むことが禁止されています。
もちろん観光客にも徹底されているルールなので、観光に行った際には気をつけましょう。
幸運にまつわる世界のジンクス・言い伝え
幸運を招くとされるジンクスや言い伝えは世界中にあり、中には日本でも知られているものもあります。
ここからは、様々な国のポピュラーなジンクスや言い伝えを紹介しましょう。
アメリカ:抜けた乳歯を枕の下に入れて眠ると妖精がやってくる
アメリカでは、「抜けた乳歯を枕の下に入れて眠ると妖精がやってくる」という言い伝えがあります。
やってくる妖精は「トゥース・フェアリー」と呼ばれる歯の妖精で、子供が寝ている間に抜けた乳歯を枕の下に置いておくとコインやプレゼントと交換してくれるといわれています。
しかし、トゥース・フェアリーは白くてきれいな歯しか持って行かないので、「歯をきちんと磨かないと妖精さんが来てくれないよ」と子供に言い聞かせて歯磨きを促すのが定番なのだそうです。
この言い伝えはアメリカだけでなく、ヨーロッパなどの西洋文化に根付いています。
子供たちは、コインやプレゼントが貰えるのでクリスマスのプレゼントと同様に歯が抜けた翌朝を楽しみにしているのでしょうね。
イギリス:木に触ると幸運が訪れる
イギリスでは、「木に触ると幸運が訪れる」という言い伝えがあります。
この言い伝えは、イギリスを含むヨーロッパ圏に広く知られているもので、おまじないのようなものだといわれています。
でも、どうして木に触ると幸運が訪れるのでしょうか?
これは、古代ヨーロッパ人の木に対する考え方が由来となっています。
古代ヨーロッパでは、木に神様が宿っていると信じられていました。
そのため、良くないことが起こりそうな時や縁起の悪い発言をしてしまった時に「touch wood!」と言って近くの木に触ると、神様の力で不運が無くなるという言い伝えが生まれたとされています。
また、触るのは木だけでなく木製品なら何でもOKで、木のテーブルやドアなどを慌て触り、悪いことを消して幸運を呼び込むのだそうです。
ちなみに、アメリカでは「Knock on wood」と言いながら2回木製品を叩くという習慣が伝わっています。
インド:雨の日の結婚は幸運の象徴
インドやフランスには、「雨の日の結婚は幸運の象徴」という言い伝えがあります。
日本では結婚式の日にはなるべく雨が降らないで欲しいと考える人が多いと思いますが、なぜインドやフランスでは雨が好まれるのでしょうか?
インドやフランスでは、雨は神様が住む天界と地上を繋ぐものと考えられていて、雨が降ると「神様が祝福してくれている」「天使が舞い降りてきている」などといわれています。
そんな雨の日に結婚式を行うのは、神様の祝福を与えられている最高の日と考えられているのです。
また、フランスでは結婚式に雨が降ると「新郎新婦が一生涯で流す涙を神様が代わりに流している」ともいわれています。
ちなみに他にも結婚式に雨が降ると良いという言い伝えがある国はいくつかあります。
イタリアでは「雨に濡れた花嫁は幸せになれる」といわれており、これは雨が降ると土壌が良くなり作物がよく育つことから子孫繁栄に繋がると考えられているからだとされています。
中国では神様の使いである「雨龍」が雨を降らすことで祝福しているといわれていて、結婚式の日に雨が降ることを望む人も多いのだそうです。
雨男や雨女は龍神に好かれている?雨に関するコラムはこちら
フランス:スズランの花を贈ると受け取った人が幸せになる
フランスでは、「スズランの花を贈ると受け取った人が幸せになる」という言い伝えがあります。
この言い伝えは、16世紀のフランス王・シャルル9世にまつわる話が由来となっています。
1560年5月1日、当時11歳だったシャルル9世は母親のカトリーヌ・ド・メディシスとともにドローム地方を旅行していました。
その時、地元の住民から幸運のシンボルとされているスズランの花束を貰い感激します。
シャルル9世は、この喜びを周りにも分け与えたいと思い、宮廷に仕える女性たちにスズランを贈りました。
それ以降、シャルル9世は毎年5月1日にスズランを宮廷の女性たちに贈り、この風習はフランス全土に広まりました。
5月1日に限り誰でも自由にスズランを売ることができる。
フランスでは現代でも5月1日を「スズランを贈る日」としており、この日には町中にスズランが溢れるのだそうです。
幼い王様が作ってくれた最高の風習ですよね。
動物にまつわる世界のジンクス・言い伝え
世界には動物にまつわるジンクスや言い伝えが沢山あります。
ここでは、日本であまり馴染みのない動物に関するジンクスや言い伝えを紹介していきましょう。
ヨーロッパ:野兎が目の前を横切るのは凶兆の印
ヨーロッパには、「野兎が目の前を横切るのは凶兆の印」というジンクスがあります。
このジンクスは、中世ヨーロッパの魔女に対する考え方から生まれたとされています。
中世ヨーロッパにおいて、魔女は忌み嫌われるもので、魔女は自分の姿を野兎に変えることができると信じられていました。
野兎に変身した魔女は牝牛から牛乳を盗むといわれており、魔女の野兎を退治するためには月を象徴する銀の弾丸のみが有効な武器とされるほど、野兎は厄介な生き物と考えられていたのです。
そのため、野兎は不吉な生き物とされ「野兎が目の前を横切るには凶兆の印」といわれるようになったと考えられています。
日本でいう「黒猫が横切られたら不幸が訪れる」というジンクスのようなものですね。
とくにイングランドでは野兎に関するジンクスが多く、「野兎が道路を走っていたらその日のうちに火事になる」「野兎が新郎新婦の行く手を横切るとどんなに遠く離れていても二人は不幸に見舞われる」「妊婦が野兎を見ると三つ口(口唇裂(こうしんれつ):先天的に上唇が割れている病気)の子供が生まれる」などのジンクスがあります。
また、漁師は船に乗り込むまでに野兎を見かけたらその日は家に戻って海に出なかったそうです。
ウサギのジンクスには良いものもある
ウサギに関するジンクスは悪いものだけではなく良いものもあります。
イギリスやアメリカでは、毎月1日の朝起きてすぐに「White rabbit」と3回唱えると、その月は幸運が訪れるといわれています。
ただし、起きて最初に発する言葉が「White rabbit」でないと効果が無く、あくびや伸びなどで声を出した後ではダメという厳しいルールがあるそうです。
ヨーロッパ:ハリネズミに出会うと願いが叶う
同じくヨーロッパには、「ハリネズミに出会うと願いが叶う」という言い伝えもあります。
ヨーロッパでは野生のハリネズミが多く生息している地域が多く、ときに道端で出会うことがあるのだそうです。
ではなぜ、ハリネズミに出会うと願いが叶うのでしょうか?
ハリネズミは、ヨーロッパでは幸運のシンボルとして昔から親しまれてきた動物です。
これは、ハリネズミが古代ローマの神話に登場する豊穣の女神セレスの化身で、ハリネズミが畑に姿を現すと実りを授けてくれると信じられ、ハリネズミは幸運を運んでくれる動物として愛されてきました。
人間に穀物の栽培を教えた神とされている。
このような理由から、幸運のシンボルとされるハリネズミにばったり出会うと願いが叶うといわれるようになったのです。
また、「ハリネズミに出会うと幸運が訪れる」や「ハリネズミが住み着いた家は幸せになる」という言い伝えもあり、ヨーロッパではハリネズミモチーフのアクセサリーなども人気です。
中国:コウモリが5匹揃うと願いが叶う
中国では、「コウモリが5匹揃うと願いが叶う」という言い伝えがあります。
欧米ではあまり良いイメージの無いコウモリですが、中国でコウモリは「豊富な富」を象徴する縁起の良い生き物として昔から親しまれています。
そのため、コウモリが家に入ってきたり巣を作ったりすると幸運が訪れる前触れであるといわれているのです。
家に来たコウモリが1匹だけでも幸運の前触れといわれていますが、2匹だとさらなる幸福が訪れ、5匹来ると「功名、福寿、結婚、金運、健康」の5つに恵まれるという最上級の幸運が訪れるとされています。
カンボジア:ヤモリの鳴き声を7回連続で聞くと幸せが訪れる
カンボジアでは「ヤモリの鳴き声を7回連続で聞くと幸せが訪れる」という言い伝えがあります。
日本にいるニホンヤモリは、「ケッケッケッ」や「キュッキュッ」と鳴きますが、カンボジアのヤモリは「トッケイトッケイ」と鳴くので、その鳴き声から「トッケイヤモリ」と名付けられたそうです。
タイなどの東南アジアでは食用や薬用としても用いられる。
トッケイヤモリはカンボジアではポピュラーなヤモリで、夜になると鳴き声がよく聞こえてくるそうです。
トッケイヤモリは鳴き始めると何回か連続で鳴くそうですが、7回連続で鳴くことはかなり珍しいとのこと。
そんなレアケースに遭遇したら確かに幸運が訪れそうですよね。
しかし、地域によっては7回と決まっておらず、「いっぱい鳴いたら幸運が訪れて、鳴く回数が少なかったら不幸が訪れる」という言い伝えもあります。
ジンクスや言い伝えはその国の歴史や風習が見えてくる
ジンクスや言い伝えは、その国の歴史や独自の風習、神話、習慣などに由来しています。
ヨーロッパで野兎が不吉な動物と考えられていることや、ハワイでバナナを船に積んだら不幸になるといわれることなどは日本では疑問に感じますが、それぞれの国の時代背景や歴史を知ると納得できますよね。
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