人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
みなさんは、「八十八夜(はちじゅうはちや)」という言葉を聞いたことがありますか?「夏も近づく八十八夜~♪」という茶摘み歌の歌詞として知っているという方もいるかもしれませんし、名前だけは聞いたことがあるけれど、詳しい意味はよくわかっていない……という方もいるかもしれませんね。
そこで、今回のコラムでは、そんな「八十八夜」について、そもそもいつなのか、八十八夜の由来や意味、八十八夜と気候・農業との関係、私たちにも気軽にできる八十八夜の風習と楽しみ方などについてわかりやすくていねいにご紹介していきたいと思います。
このコラムを最後まで読んで、日本の素敵な風習に親しんでみませんか?
八十八夜はなんとなく知っているけれど、実際いつなの?と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
2025年の八十八夜は「5月1日(木)」です。
八十八夜は「立春から数えて88日目」の日のことを指します。そもそも立春は、太陽の角度が315度になる日であり、その年によって立春の日にちが変わることがあるため、それに応じて八十八夜の日にちもその年によって多少変わります。たいてい、5月2日ごろが八十八夜にあたります。
ちなみに、八十八夜は、中国で生まれた暦「二十四節気(にじゅうしせっき)」を補完する節気として、日本で生まれた独自の暦「雑節(ざっせつ)」のひとつです。
二十四節気には、「立春」や「春分」、「夏至」、「冬至」などの季節を表す言葉が含まれます。雑節には、八十八夜のほかに「節分」や「彼岸(春・夏)」、「半夏生」などが含まれます。
立春から数えて八十八日目のことをどうして「八十八夜」と呼ぶようになったのでしょうか?ここからは、八十八夜の由来についてご紹介します。
八十八夜の「八」は末広がりで縁起が良いと考えられている漢字です。それに加えて、八十八の字を重ねると「米」という字になることから、米寿(88歳)まで健康にいることができると考えられてきました。
また、「米」という字は農業にも関係していることから、八十八夜は「農業にとって縁起のいい吉日」ともされてきたと言われています。
さらに、立夏という夏の始まりを目前にしたこの時期は、昔から夏へ向けての準備をするのに最適な日であり、縁起の良い日でもあると考えられてきたそうです。
こうした理由から、八十八夜の日は昔から縁起の良い日として人々から大切にされてきたのです。
八十八夜は、立春から数えて88日目のことであり、「夜」だけを指すものではありません。では、どうして「夜」というのでしょうか?
これには、暦が関係しています。明治5(1872)年以前の日本では、現在のような新暦ではなく、月の満ち欠けの周期を基準とする旧暦が使われていました。そのため、昔の人々は月齢を基準(夜を基準)にカウントしていたことから「88日目=八十八夜」となったのです。
先ほど八十八夜は農家にとっても縁起が良い日と考えられてきたとご紹介しました。ここからは、八十八夜と気候・農業の関係について深掘りしていきましょう!
「八十八夜」に関連した表現に、「八十八夜の別れ霜」という言葉があります。このころから夜でも気温が下がることがなくなり、霜が降らなくなると言われています。
逆に言えば、この日(八十八夜)までは遅霜(おそじも)に注意が必要でした。農家さんにとっては、八十八夜が稲作をはじめとして、いろいろな農作物の作業を開始する目安の日でもあったのです。
八十八夜以降は、霜が降りないと言われているため、農家さんたちは種まきや田植えを本格的にはじめます。
八十八夜は、農業全体にとって大切な日ですが、新茶シーズンの幕開けでもあります。
八十八夜に摘んだ新茶は最高級の品質とされていて、「不老長寿の縁起物」と言われているんですよ!新茶は、二番茶に比べてカフェインやカテキンが少なく、すっきりと飲みやすいのが特徴。また、新茶にはテアニンという甘味・うまみ成分が豊富(なんと二番茶の約3倍!)に含まれています。テアニンは、リラックス効果やストレス解消効果も期待できると言われています。ほかに、血圧の抑制効果や脳梗塞の予防などにも効果的だと考えられています。
また、新茶シーズンである八十八夜前後には、日本各地のお茶の産地でも、茶摘みイベントが行われ、にぎわいを見せています。
八十八夜は、農家さんやお茶の生産にたずさわる人々のもの、というイメージがあるかもしれませんが、私たちも気軽に親しめる風習がありますよ。ここからは、八十八夜の風習と楽しみ方についてご紹介しましょう♪
「夏も近づく八十八夜~♪」という歌詞で有名な茶摘み歌があります。「茶つみ」というタイトルの歌なのですが、これは、先ほどもご紹介したとおり、八十八夜の時期と茶摘みの時期が重なることに由来します。
八十八夜のころに摘んだお茶は上等なものとされているため、お茶農家さんたちはこのタイミングを見計らって、茶摘みを行います。歌の作詞・作曲した人はわかっていませんが、この風習から生まれた歌と考えられています。
参考までに、「茶つみ」の1番の歌詞をご紹介しますね。
「夏も近づく八十八夜野にも山にも若葉が茂るあれに見えるは茶摘みじゃないかあかねだすきに菅の笠」
歌詞にも出てくる「あかねだすき」とは、茶摘みをするときに着る、赤いたすきがけの服装であり、この季節の風物詩でもあります。
八十八夜には、やると良いことがいくつかあります。
まずひとつめは、新茶を飲むことです。先ほどもご紹介したように、この時期に取れる新茶は栄養価も高く、飲むと無病息災だと言われています。また、若くやわらかい状態の葉っぱでつくられた新茶は、新鮮でさわやか、エネルギッシュな香りをしています。この独特の香りは、二番茶や三番茶にはない新茶ならではのもの。
また、新茶は毎年味わいや舌ざわりが異なります。その年によって変わる新茶の風味を楽しむのも素敵ではないでしょうか。
さらに、「八十八夜」は縁起の良い日として、種まきや農作業を始めるのにも最適です。一般的なご家庭では、農家さんのような大規模な農作業は難しいと思いますので、手軽にできる家庭菜園などがおすすめです。夏野菜の種などを選んで種まきをしてみるのも良いのではないでしょうか。
八十八夜は、農家さんやお茶栽培にかかわる人にとって、作業の目安となる大切な日であることがわかりましたね。また、八十八夜は、「八」という末広がりの字が重なることから、とても縁起が良い日であることも、ぜひ覚えておきたいですよね♪
八十八夜は、新茶を飲んだり、種まきをしたりと、私たちにも身近にできる風習や楽しみ方がいくつもあります。今年は、日本の伝統を感じられる八十八夜という日に親しんでみませんか?
抹茶は和の心!飲み方から楽しみ方をご紹介!▼
抹茶の飲み方の作法を分かりやすくポイント解説!
日本茶とは?緑茶の種類や味の違いをご紹介!▼
美味しい日本茶とは?緑茶の種類や味の違いなどについて徹底解説!
みなさんは、「八十八夜(はちじゅうはちや)」という言葉を聞いたことがありますか?「夏も近づく八十八夜~♪」という茶摘み歌の歌詞として知っているという方もいるかもしれませんし、名前だけは聞いたことがあるけれど、詳しい意味はよくわかっていない……という方もいるかもしれませんね。
そこで、今回のコラムでは、そんな「八十八夜」について、そもそもいつなのか、八十八夜の由来や意味、八十八夜と気候・農業との関係、私たちにも気軽にできる八十八夜の風習と楽しみ方などについてわかりやすくていねいにご紹介していきたいと思います。
このコラムを最後まで読んで、日本の素敵な風習に親しんでみませんか?
目次
2025年の八十八夜っていつ?
八十八夜はなんとなく知っているけれど、実際いつなの?と疑問に思っている方もいるのではないでしょうか。
2025年の八十八夜は「5月1日(木)」です。
八十八夜は「立春から数えて88日目」の日のことを指します。そもそも立春は、太陽の角度が315度になる日であり、その年によって立春の日にちが変わることがあるため、それに応じて八十八夜の日にちもその年によって多少変わります。たいてい、5月2日ごろが八十八夜にあたります。
ちなみに、八十八夜は、中国で生まれた暦「二十四節気(にじゅうしせっき)」を補完する節気として、日本で生まれた独自の暦「雑節(ざっせつ)」のひとつです。
二十四節気には、「立春」や「春分」、「夏至」、「冬至」などの季節を表す言葉が含まれます。雑節には、八十八夜のほかに「節分」や「彼岸(春・夏)」、「半夏生」などが含まれます。
八十八夜の由来
立春から数えて八十八日目のことをどうして「八十八夜」と呼ぶようになったのでしょうか?ここからは、八十八夜の由来についてご紹介します。
八十八夜の「八」は末広がりで縁起が良いと考えられている漢字です。それに加えて、八十八の字を重ねると「米」という字になることから、米寿(88歳)まで健康にいることができると考えられてきました。
また、「米」という字は農業にも関係していることから、八十八夜は「農業にとって縁起のいい吉日」ともされてきたと言われています。
さらに、立夏という夏の始まりを目前にしたこの時期は、昔から夏へ向けての準備をするのに最適な日であり、縁起の良い日でもあると考えられてきたそうです。
こうした理由から、八十八夜の日は昔から縁起の良い日として人々から大切にされてきたのです。
なぜ「夜」なの?
八十八夜は、立春から数えて88日目のことであり、「夜」だけを指すものではありません。では、どうして「夜」というのでしょうか?
これには、暦が関係しています。明治5(1872)年以前の日本では、現在のような新暦ではなく、月の満ち欠けの周期を基準とする旧暦が使われていました。そのため、昔の人々は月齢を基準(夜を基準)にカウントしていたことから「88日目=八十八夜」となったのです。
八十八夜と気候・農業の関係
先ほど八十八夜は農家にとっても縁起が良い日と考えられてきたとご紹介しました。ここからは、八十八夜と気候・農業の関係について深掘りしていきましょう!
「八十八夜の別れ霜」とは?
「八十八夜」に関連した表現に、「八十八夜の別れ霜」という言葉があります。このころから夜でも気温が下がることがなくなり、霜が降らなくなると言われています。
逆に言えば、この日(八十八夜)までは遅霜(おそじも)に注意が必要でした。農家さんにとっては、八十八夜が稲作をはじめとして、いろいろな農作物の作業を開始する目安の日でもあったのです。
八十八夜以降は、霜が降りないと言われているため、農家さんたちは種まきや田植えを本格的にはじめます。
新茶シーズンの幕開け
八十八夜は、農業全体にとって大切な日ですが、新茶シーズンの幕開けでもあります。
八十八夜に摘んだ新茶は最高級の品質とされていて、「不老長寿の縁起物」と言われているんですよ!新茶は、二番茶に比べてカフェインやカテキンが少なく、すっきりと飲みやすいのが特徴。また、新茶にはテアニンという甘味・うまみ成分が豊富(なんと二番茶の約3倍!)に含まれています。テアニンは、リラックス効果やストレス解消効果も期待できると言われています。ほかに、血圧の抑制効果や脳梗塞の予防などにも効果的だと考えられています。
また、新茶シーズンである八十八夜前後には、日本各地のお茶の産地でも、茶摘みイベントが行われ、にぎわいを見せています。
八十八夜の風習と楽しみ方
八十八夜は、農家さんやお茶の生産にたずさわる人々のもの、というイメージがあるかもしれませんが、私たちも気軽に親しめる風習がありますよ。ここからは、八十八夜の風習と楽しみ方についてご紹介しましょう♪
茶摘みの風習と歌
「夏も近づく八十八夜~♪」という歌詞で有名な茶摘み歌があります。「茶つみ」というタイトルの歌なのですが、これは、先ほどもご紹介したとおり、八十八夜の時期と茶摘みの時期が重なることに由来します。
八十八夜のころに摘んだお茶は上等なものとされているため、お茶農家さんたちはこのタイミングを見計らって、茶摘みを行います。歌の作詞・作曲した人はわかっていませんが、この風習から生まれた歌と考えられています。
参考までに、「茶つみ」の1番の歌詞をご紹介しますね。
「夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘みじゃないか
あかねだすきに菅の笠」
歌詞にも出てくる「あかねだすき」とは、茶摘みをするときに着る、赤いたすきがけの服装であり、この季節の風物詩でもあります。
八十八夜にやると良いこと
八十八夜には、やると良いことがいくつかあります。
まずひとつめは、新茶を飲むことです。先ほどもご紹介したように、この時期に取れる新茶は栄養価も高く、飲むと無病息災だと言われています。また、若くやわらかい状態の葉っぱでつくられた新茶は、新鮮でさわやか、エネルギッシュな香りをしています。この独特の香りは、二番茶や三番茶にはない新茶ならではのもの。
また、新茶は毎年味わいや舌ざわりが異なります。その年によって変わる新茶の風味を楽しむのも素敵ではないでしょうか。
さらに、「八十八夜」は縁起の良い日として、種まきや農作業を始めるのにも最適です。一般的なご家庭では、農家さんのような大規模な農作業は難しいと思いますので、手軽にできる家庭菜園などがおすすめです。夏野菜の種などを選んで種まきをしてみるのも良いのではないでしょうか。
八十八夜の素敵な風習に親しもう!
八十八夜は、農家さんやお茶栽培にかかわる人にとって、作業の目安となる大切な日であることがわかりましたね。また、八十八夜は、「八」という末広がりの字が重なることから、とても縁起が良い日であることも、ぜひ覚えておきたいですよね♪
八十八夜は、新茶を飲んだり、種まきをしたりと、私たちにも身近にできる風習や楽しみ方がいくつもあります。今年は、日本の伝統を感じられる八十八夜という日に親しんでみませんか?
関連記事
抹茶は和の心!飲み方から楽しみ方をご紹介!▼
抹茶の飲み方の作法を分かりやすくポイント解説!
日本茶とは?緑茶の種類や味の違いをご紹介!▼
美味しい日本茶とは?緑茶の種類や味の違いなどについて徹底解説!