掲載日:2025.04.06

美味しい日本茶とは?緑茶の種類や味の違いなどについて徹底解説!

日本茶(緑茶)とは、日本を代表する飲み物です。
澄んだ緑色と独特の香りが特徴的な緑茶は、抹茶や煎茶など様々な形で飲まれています。
現代では日本の伝統文化の1つとして世界中に広まった日本茶は、体に良い飲み物としても注目されています。

そこで今回は、日本のお茶文化の歴史や緑茶の効能などについて紹介していきましょう。

日本のお茶文化について

日本のお茶文化について

私たち日本人にとって、日本茶は最も身近な文化の1つです。
中国から伝わったお茶は、煎茶やほうじ茶など日本独自の進化を遂げ、日常的な飲み物として日本中に広まっていきました。
また、独自の作法に則って抹茶を客人に振る舞う「茶道」も誕生し、世界に誇る伝統文化にまでなりました。
そこで今回は、日本のお茶文化やお茶の歴史などについて詳しく紹介していきましょう。

美しい日本のお茶文化

日本のお茶文化の代表といえば「茶道」です。
茶道は、決まった作法でお茶を点て、決まった作法でお茶を頂くというものですが、実際には仏教の禅と深い関りがあります。
茶道の原型とされる「わび茶」を作ったのは室町時代の僧侶・村田珠光(むらたじゅこう)です。
鎌倉時代に公家や武士の間で流行した茶会は、高価な中国製の茶道具を使った華やかなものでした。
それに対し、禅僧であった村田珠光は質素な茶道具を使い、接待役の主人と客人との交流を重んじる形式の茶会「わび茶」を作ったのです。
「わび茶」はその後、千利休によってさらに発展し、現代まで続く「茶道」が確立しました。

「茶道」には、禅の考えが取り入れられており、静かで狭い茶室の中でお茶を点てることで心を落ち着かせ、自分自身を見つめ直すことを重要としています。
また、茶道の所作や茶道で使われる道具、茶室に置かれる壺や掛け軸、生け花などにはすべて客人をもてなす為の意味があるため、お茶を点てる主人は道具や美術品、華道などについて幅広い知識が必要とされ、美的感覚も培っていかなければなりません。
これらのことから、「茶道」は日本の伝統文化というだけでなく、日本の美しい部分を集約した総合芸術とも呼べるのです。

日本茶の歴史

お茶の歴史の始まりは紀元前2800年ごろの中国だといわれています。

お茶の歴史の始まりは紀元前2800年ごろの中国だといわれています。
お茶の原料となる葉が採れる「茶の木(カメリア・シネンシス)」は中国が原産といわれ、中国で飲み物として発展していきました。

日本には奈良時代から平安時代にかけて遣唐使や留学僧によって伝えられました。当時のお茶は薬として扱われ、皇族や貴族、僧侶のみが口にできる貴重品でした。日本での本格的な茶の栽培は鎌倉時代に始まり、宋に留学した僧・栄西が1191年に茶の木の種を持ち帰り、佐賀県の背振山で栽培を開始したといわれています。
また栄西は禅宗の「茶礼」を学び、その文化を日本に広めるために『喫茶養生記』を著しました。これにより、お茶は武士を中心に広まっていき室町時代には武士の間で嗜好品となり、千利休らによって「茶の湯(茶道)」が確立されていきました。

そして江戸時代には庶民の間にも広がり、1738年に永谷宋円が煎茶の製法を開発、1835年には山本嘉兵衛が玉露を生み出しました。明治時代までは贅沢品でしたが、大正時代以降の機械化による生産量増加で、日本茶は庶民の身近な飲み物となり、現在に至ります。

栽培・製造方法の違い

お茶は、茶葉の栽培や製造方法によって種類が分けられています。

製造方法

製造方法

お茶は大きく分けて、不発酵茶・発酵茶・半発酵茶の3種類に分けられます。

不発酵茶

茶葉を蒸したり炒ったりし天日干ししたりして茶葉に熱を加えて発酵させない状態にして作るお茶を「不発酵茶」といい、緑茶はこの方法で作られます。
さらに緑茶は、生茶葉を蒸して加熱する「蒸し製」と生茶葉を窯で炒って加熱する「釜炒り製」の2種類の製造方法があり、ほとんどの緑茶は「蒸し製」で作られています。

半発酵茶

発酵を途中で窯入りして揉んでから乾燥させて作るお茶を「半発酵茶」といい、ウーロン茶はこの方法で作られます。

発酵茶

茶葉を完全に発酵させてから乾かして作るお茶を「発酵茶」といい、紅茶はこの方法で作られます。

栽培方法

栽培方法は、茶樹の葉を覆って直射日光を遮り光合成を抑えた栽培方法(被覆栽培・覆下栽培)と覆いをせずに直射日光をあてて光合成をさせる栽培方法(露天栽培)の2種類があります。

覆下栽培の緑茶

日光を遮ることにより、うまみ成分であるテアニンが増えて渋み成分であるタンニンが減り、まろやかな味と深みのある香りの緑茶になります。
覆下栽培の茶葉は、抹茶や玉露などに加工されます。

露天栽培の緑茶

直射日光があたって光合成が活発に行われるため、渋み成分のテアニンがポリフェノールの一種であるカテキンに変化し、ほどよい渋みの味わいと爽やかな香りの緑茶になります。
露天栽培の茶葉は、煎茶やほうじ茶などに加工されます。

日本茶の種類

日本茶の種類
  • 抹茶
  • 煎茶(せんちゃ)
  • 玉緑茶
  • 玉露
  • かぶせ茶
  • 番茶
  • ほうじ茶

抹茶

抹茶とは、覆下園で育てられた茶葉を、蒸してから揉まずに乾燥させて茎や葉脈などを取り除いた碾茶(てんちゃ)という状態にし、石臼や微細粉砕機で丁寧に挽いて粉末状にしたお茶です。
強い渋みの中に上品な旨みとまろやかな甘みを感じる味わいが特徴で、茶筅で点てて飲んだり、お菓子や料理に使われたりしています。

煎茶(せんちゃ)

茶の木の新芽を蒸して揉み、乾燥させたもっとも一般的な緑茶です。
蒸す過程で、普通・浅蒸し・深蒸しに分けられます。
普通煎茶は渋みと旨みのバランスが良く、爽やかな香りが特徴で、浅蒸し煎茶はさらっとした飲み口が特徴、深蒸し煎茶は渋みが少なく濃厚な味わいが特徴です。

玉緑茶

煎茶と同じ製法で作られますが、最後の工程で葉を伸ばさずに丸めるため、独特の形状をしています。主に九州地方で生産され、「ぐり茶」とも呼ばれます。味わいは煎茶よりも渋みが少なく、まろやかで甘みがあり、日本茶の中でも個性的な種類のひとつです。

玉露

玉露とは、茶の木の新芽が2~3枚出始めたころに葦簀(よしず)や藁、寒冷紗などで20日間、茶園全体を覆い日があたらないように育てるお茶です。
日光を遮ることで渋みが減って、うまみ成分であるアミノ酸が豊富になるため、青のりのような「覆い香(おおいか)」と呼ばれる香りと渋みが少なく旨みの強い上品な味わいが特徴の高級茶です。

かぶせ茶

収穫の7〜10日前から茶畑に覆いをかけて日光を遮ることで、渋みのもととなるカテキンの生成を抑え、旨みを引き出したお茶です。玉露と煎茶の中間的な味わいを持ち、まろやかでコクのある風味が特徴で西日本を中心に広く親しまれています。

番茶

番茶とは、「番外茶」からきている普段使いのお茶の総称で、一般的には新芽が伸びて硬くなった生茶葉や古い生茶、茎などを原料としたお茶を指しています。
最初に摘み取られた新芽で作られる一番茶(煎茶)ほど旨みはありませんが、渋みが少なくさっぱりとした味わいが特徴の非常に飲みやすいお茶です。

ほうじ茶

ほうじ茶とは、下級の煎茶や番茶、茎茶(新芽の茎の部分だけで作られたお茶)などを、強火で茶色くなるまで炒って焙じた(焙煎した)、香ばしい香りと味わいが特徴お茶です。
高温で焙煎することでカフェインが大幅に減少するため、刺激が弱くて胃にやさしいのも特徴で、子供や就寝前、病気で胃が弱っているときなどにおすすめします。

玄米茶

玄米茶とは、蒸した米を茶色くなるまで炒ったものと煎茶や番茶などの茶葉を同量の割合で混ぜ合わせたお茶です。
炒った米の香ばしさとお茶の爽やかでさっぱりとした味わいが特徴のお茶で、近年では玉露や抹茶などを混ぜたものも人気となっています。

緑茶の効能

緑茶には、カテキンやテアニン、カフェイン、ビタミンC、ビタミンE、ビタミンB群、フラボノイド、ミネラルなど成分が豊富に含まれています。
そのため、次のような効能があるとされています。

  • 生活習慣病の予防や改善
  • 老化の予防
  • 虫歯や口臭の予防
  • 自律神経の調整

生活習慣病の予防や改善

緑茶に含まれるカテキンには、血圧の上昇を抑える効果や悪玉コレステロール(LDL)を低下させる効果、血糖値を整える効果などがあるとされ、高血圧や高脂肪血症、動脈硬化、糖尿病など生活習慣病の予防や改善によいとされています。

老化の予防

緑茶に含まれるカテキンはポリフェノール一種で、老化の原因となる活性酸素を除去する抗酸化作用があるとされています。
また、緑茶には抗酸化作用を持ちコラーゲンの形成に必要不可欠なビタミンCも多く含まれているため、老化の予防に効果があるといわれています。

虫歯や口臭の予防

緑茶に多く含まれるカテキンには、虫歯や歯周病菌の原因菌の増殖を抑える効果があるとされています。
また、カテキンには消臭作用もあるため、口臭を予防する効果があります。

自律神経の調整

緑茶に含まれるテアニンには、副交感神経を優位にしてリラックスさせ、自律神経を整える効果があるとされています。

緑茶にカフェインは含まれているの?

カフェインは、コーヒーや紅茶など多く含まれているイメージがありますが、緑茶にもカフェインは含まれています。
緑茶のカフェイン含有量はコーヒーや紅茶よりも少ないとされていますが、お茶の種類によって異なってきます。

緑茶やほかの飲み物に含まれるカフェイン含有量(100mlあたり)を比較してみましょう。

■カフェイン量(100mlあたり)

コーヒー 約60㎎
紅茶 約30㎎
玉露 約160mg
煎茶、ほうじ茶 約20mg
ウーロン茶 約20mg
麦茶 0㎎

お茶に含まれるカフェインは、茶の木の新芽が日光にあたる時間が長くなるほど少なくなっていきます。
そのため、覆下栽培法で栽培された玉露や覆下栽培の茶葉を粉にしてそのまま飲む抹茶はカフェインの含有量はコーヒーよりも多くなるのです。

カフェインの作用について

カフェインには次のような作用があります。

疲労感を和らげる効果

カフェインには交感神経を高める働きがあり、筋肉や神経を興奮させて疲労感を感じさせなくする効果があるとされています。

眠気を覚ます効果

カフェインには、脳に刺激を与えて興奮状態にし、眠気を覚ます効果があるとされています。

むくみを予防する効果

カフェインには、腎臓の血流を促進させて体内の水分を尿に変えて排出させる作用があります。
尿の量が増えることで、むくみ予防の効果が期待されます。

1日何杯までがおススメ?

カフェインが含まれている緑茶は、1日何杯まで飲んでも良いのでしょうか?
カフェインは過剰摂取すると、中枢神経系の刺激によるめまいや心拍数の増加、興奮、不安、不眠、吐き気などの症状が出ることがあります。
そのため、健康な成人のカフェイン1日摂取量の上限は、400㎎とされています。
緑茶は種類によってカフェイン含有量が違っていますが、よく飲まれている煎茶だと2ℓくらい、湯のみに5~10杯が適量です。

世界のお茶について紹介!

世界のお茶について紹介!

日本でポピュラーなお茶は緑茶ですが、世界では紅茶やウーロン茶、ルイボス茶、マテ茶、花茶、トウモロコシ茶、ハーブティーなど様々なお茶が飲まれています。
その中でも、世界で1番飲まれているお茶は紅茶です。

紅茶も緑茶と同じ茶の木の葉を原料としていますが、緑茶と違って茶葉を完全に発酵させてから乾燥させて作られます。
茶葉・茶湯ともに赤褐色で、花や果物のような香りが特徴のお茶です。

世界三大紅茶とは

紅茶には多くの種類がありますが、中でもダージリン・ウバ・キーモンはとくに有名で、世界三大紅茶と呼ばれています。
ここでは、世界三大紅茶について詳しく紹介していきましょう。

インド「ダージリン」

ダージリンは、インド北東部のダージリン地方で生産された紅茶です。
癖のない味わいとフルーティな香りが特徴のダージリンは「紅茶のシャンパン」とも呼ばれています。
生産期は3月~11月で3回に分けて収穫されており、収穫された時期によって味や香りが大きく違っているのも特徴です。
香りが良いので、ストレートティーで味わうことをおすすめします。

●ファーストフラッシュ(一番摘み)

3月~4月に収穫されるものです。
黄金色の水色(すいしょく:紅茶の茶液の色)で、フルーツのような香りと爽やかな味わいが特徴です。

●セカンドフラッシュ(二番摘み)

5月~6月に収穫されるものです。
やや濃いめのオレンジ色の水色で、マスカットのような香りと深い味わいが特徴です。

●オータムナル(秋摘み)

10月~11月に収穫されるものです。
セカンドフラッシュよりも濃い赤みがかったオレンジ色の水色で、フルーティな香りと渋みが加わった味わいが特徴です。

スリランカ「ウバ」

ウバは、スリランカのセイロン島南東部に位置するウバ地区一帯の茶園で生産された紅茶です。
セイロン島の紅茶は、生産地の標高によって「ハイグロウン」「ミディアムグロウン」「ローグウン」の3種類に分けられます。
ウバは、標高1800m以上の地域で栽培される「ハイグロウン」です。
1年中生産されていおり、濃い紅色の水色と「ウバフレーバー」と呼ばれる甘く刺激的な香りが特徴ですが、8月~9月に収穫される茶葉で作られた紅茶はメントールのような香りがします。
強めの渋みとコクのある味わいがあり、人によって好き嫌いが分かれる紅茶といわれています。
ミルクとの相性が抜群で、すっきりとした味わいのミルクティーがお好きな人におすすめです。

中国「キーモン」

キーモンは、中国安徽省(あんきしょう)祁門(きーもん)で生産される紅茶で、「キーマン」や「キームン」とも呼ばれます。
生産時期は6月~9月と短く、希少価値のある高級な紅茶です。
キーモンは古典的な紅茶で、蘭やバラのような香りと甘みのある味わいが特徴で、中にはスモーキーな香りがするものあります。
渋みが少ないので、子供や渋みが苦手な人にもおすすめの紅茶です。

最近のトレンド「和紅茶」!

最近、「和紅茶」がメディアなどで話題になっていますよね。
コンビニやスーパーなどでも、ペットボトルの和紅茶や和紅茶の茶葉が販売されているのをよく目にします。
和紅茶は、日本の茶葉で作られた紅茶で、「国産紅茶」や「地紅茶」とも呼ばれます。海外の紅茶に比べて渋みが少なく、マイルドで爽やかな味わいと柑橘や花のような香りが特徴で、和菓子や食事にもよく合います。

和紅茶の歴史は意外と古く、明治8年(1875年)に熊本県山鹿市で中国の技術者の指導のもと栽培が始まりました。明治10年(1877年)には紅茶が海外へ輸出され、生産量は増え続け、輸出も盛んになりました。

しかし、昭和46年(1971年)の紅茶輸入自由化により需要が激減し、一時は生産が衰退。その後、平成7年(1995年)に紅茶専用品種「べにふうき」が誕生し、平成12年(2000年)以降、生産が復活。現在は各地で「ご当地和紅茶」が作られ、再び注目を集めています。

日本茶は日本の歴史と共に進化した文化

日本茶は日本の歴史と共に進化した文化

日本茶は、中国から薬として伝わったものでしたが、江戸時代以降収穫量が増えたことにより、庶民でも気軽に飲めるものとして広まっていきました。
一方、客人をもてなす特別な作法としても緑茶は飲まれるようになります。
村田珠光や千利休などの茶人たちによって「茶道」が作られ、緑茶は客人をおもてなしするための方法として発展していき、現代では日本を代表する文化となったのです。

また、緑茶はかつて滋養強壮や体力回復などの薬として飲まれていましたが、近年の研究で様々な効能があることが分かっています。
みなさんも、健康のために普段から緑茶を飲んだり、茶道に触れて歴史ある日本文化を感じてみてはいかがでしょうか。


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