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インドにはタージマハルやアジャンター石窟寺院など有名な世界遺産が多くあります。中でもインド北西部にあるラジャスタン州のジャイプールは首都デリーやタージマハルのあるアグラと並んで人気の観光スポットになっています。
ジャイプールにおいて外せない場所になっているのが、世界一美しいと言われる「ガネーシャ門」があるアンベール城です。
アンベール城はインド北西部に位置するラジャスタン州のジャイプール郊外にある丘の上に立つ城塞です。1128年から1947年まで存在したアンベール王国の首都として繫栄し、世界遺産に登録されています。
アンベール城のあるラジャスタン州はパキスタンの国境に位置し、現在はインド最大の州。ジャイプールはラジャスタン州の州都になっています。
ラジャスタン州には8世紀頃からヒンドゥー教を信仰するラージプート族が住み始めました。ラージプートはサンスクリット語で王子を意味するラージプトラに由来。また、ラジャスタンには「ラージプート族の地」という意味があります。
ラージプート族はラジャスタン州でペルシャ、トルコなどの文化を取り入れ、独自の文化を築きました。ジャイプール一帯はラージプート族のカチュワーラー家が支配し、アンベール王国を建国。この地は様々な民族が行き交う要衝であったため、強固な砦を築き、アフガニスタンや中央アジアといった異民族の侵入に備えました。
アンベール王国は1562年にムガル帝国の第3代皇帝・アクバル帝と同盟を結び、ムガル帝国の傘下に入ります。1592年にムガル帝国の軍司令官かつアンベール王国のマハラジャ(藩王)であったマン・スィン1世がもともと砦のあった場所にアンベール城を築城しました。
ムガル帝国はインドのデリーに建国したイスラム国家でしたが、アクバル帝はイスラム世界で慣習となっている他教徒への人頭税(ジズヤ)を廃止するなど、宗教の融和に努めた皇帝でした。そのため、アンベール城はムガル帝国の影響を受けたイスラム建築とヒンドゥー教を信仰したラージプート族の伝統様式が交じり合った建築様式になっています。
アンベール王国の本拠地として繫栄します。ジャイ・シング2世がアンベール王国の首都をジャイプールに遷都するまで、100年以上にわたり歴代のマハラジャによって増改築が繰り返されました。
アンベール城は「ラジャスタンの丘陵城砦群」の構成資産の1つとして、チットールガル城、クンバルガル城、ランタンボール城、ガグロン城、ジャイサイメール城とともに2013年に世界遺産に登録されました。
アンベール城が世界遺産に登録された理由としては大きく二つあり、
が登録理由になっています。
ジャイプールにはアンベール城以外にも、ジャイ・シング2世が建設した天体観測施設である「ジャイプールのジャンタル・マンタル」やピンクシティと呼ばれる「ラジャスタン州のジャイプール市街」が世界遺産に登録されています。
ちなみに、ジャイプールの「ジャイ」はジャイ・シング2世が由来となり、「プル」は「城壁に囲まれた街」を意味しています。
アンベール城は岩山の上に位置するため、麓から150mほどの急坂を上る必要があります。インドの暑い気候の中、急坂を上るのは困難なため、象タクシーの利用がおすすめです。化粧が施された象がアンベール城まで運んでくれるサービスで、象タクシーはインドでも珍しく、アンベール城の名物となっています。
象タクシーに乗れば、かつて象に乗って登城したマハラジャの気分を味わうことができるかもしれません。
しかしながら、象の頭数に限りがあり、象の体調や現地の事情などで象タクシーに乗れないケースもあります。その場合にはジープを利用して登城することができます。上りと下りでルートが異なり、下りは徒歩かジープの利用が一般的です。
象タクシーの営業時間は午前10時30分までとなっているため、象タクシーに乗りたければ、朝の訪問がおすすめです。象タクシーは1頭につき定員2名。利用には1頭につき3,500ルピー(2025年4月現在で6000円弱)、アンベール城の入場は500ルピー(2025年4月現在で1000円弱)となっています。
アンベール城はムガル帝国の影響を受けたイスラム様式とヒンドゥー教を信仰したラージプート族の伝統様式が交じり合った建築様式が特徴です。
丘の上に堅固な城壁に囲まれて建つ外観ながら、城内はイスラムの影響を感じさせる優美な建築物が築かれています。今回は特に見るべき4つの観光名所をご紹介します。
アンベール城の最大の見どころは、世界一美しい門と言われるガネーシャ門です。アンベール城の入口にガネーシャ門があります。
ガネーシャとは、象の頭を持つヒンドゥー教の神様。商売や学問の神としても崇められています。ガネーシャ門にはガネーシャがパステル調で描かれ、壁面には幾何学模様のモザイクが施されており、ヒンドゥー教とイスラム教の融合を感じることができます。
ガネーシャ門をくぐると、幾何学模様にデザインされたイスラム調の中庭へ。マハラジャの住まいである宮殿に入ることができます。
ガネーシャについてはコチラ
アンベール城内には、貴賓謁見のために築かれた勝利の間(ジャイ・マンディル)があり、その奥に天井や壁一面に小さな鏡を散りばめた鏡の間(シーシュ・マハル)があります。無数の鏡が美しく光る鏡の間もアンベール城の見どころの1つです。
鏡の間の天井や壁に埋め込まれた無数の鏡は電気のなかった時代に室内を明るくするために工夫されたものだと言われています。また、窓は強い日差しが降り注がず、涼しい風が抜けるように設計されています。
アンベール城の最奥部にはザナーナ・マハルと呼ばれるイスラム教における女性専用の居住区域であるハーレムがあります。ハーレムとは女性が生活する神聖な場所とされ、外部の男性から隔離され、近親者以外の男性は立ち入ることができませんでした。
アンベール城のザナーナ・マハルにはマハラジャの妻たちが暮らしていました。「マハル」はペルシャ語で宮殿を意味し、宮殿のように各部屋の壁や天井にも豪華な装飾が施されています。
それぞれの部屋は独立した造りになっており、マハラジャがどの部屋を訪れたのか分からないようになっています。透かし彫りの窓から外の様子を見ることができる設計に。また、床には水路を通し、涼しく過ごせる工夫がもたらされています。
ジャイガル要塞はアンベール城を一望できる穴場スポットです。アンベール城を防衛する目的で建造され、アンベール城から少し離れた場所にありますが、徒歩でアクセスできます。
ジャイガル要塞には大砲や武具を展示する博物館やアンベール城を見下ろせる展望台があります。
アンベール城に行った人はいても、ジャイガル要塞まで行く人は珍しいので、穴場スポットで一味違う気分を味わいたい人にオススメです。
ジャイプール郊外にあるアンベール城はアンベール王国の都として繫栄した世界遺産です。
ムガル帝国の傘下にあったこともあり、イスラム教の影響を受けました。丘の上に立つ質実剛健な外観とは裏腹に、城内は世界一美しい門と言われる「ガネーシャ門」や無数の鏡が輝く「鏡の間」などイスラム教の影響を感じさせる建築美が多数あります。
また、象に乗って急坂を上る象タクシーはマハラジャの気分を味わうことができ、アンベール城の名物となっています。アンベール城に行かれた際には象タクシーに乗ってみてはいかがでしょうか。
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インドにはタージマハルやアジャンター石窟寺院など有名な世界遺産が多くあります。中でもインド北西部にあるラジャスタン州のジャイプールは首都デリーやタージマハルのあるアグラと並んで人気の観光スポットになっています。
ジャイプールにおいて外せない場所になっているのが、世界一美しいと言われる「ガネーシャ門」があるアンベール城です。
目次
インドの世界遺産・アンベール城とは?
アンベール城はインド北西部に位置するラジャスタン州のジャイプール郊外にある丘の上に立つ城塞です。
1128年から1947年まで存在したアンベール王国の首都として繫栄し、世界遺産に登録されています。
ジャイプール郊外にそびえ立つ増改築を繰り返してできた山城
アンベール城のあるラジャスタン州はパキスタンの国境に位置し、現在はインド最大の州。ジャイプールはラジャスタン州の州都になっています。
ラジャスタン州には8世紀頃からヒンドゥー教を信仰するラージプート族が住み始めました。ラージプートはサンスクリット語で王子を意味するラージプトラに由来。また、ラジャスタンには「ラージプート族の地」という意味があります。
ラージプート族はラジャスタン州でペルシャ、トルコなどの文化を取り入れ、独自の文化を築きました。ジャイプール一帯はラージプート族のカチュワーラー家が支配し、アンベール王国を建国。この地は様々な民族が行き交う要衝であったため、強固な砦を築き、アフガニスタンや中央アジアといった異民族の侵入に備えました。
同盟によって文化が栄えたアンベール王国
アンベール王国は1562年にムガル帝国の第3代皇帝・アクバル帝と同盟を結び、ムガル帝国の傘下に入ります。1592年にムガル帝国の軍司令官かつアンベール王国のマハラジャ(藩王)であったマン・スィン1世がもともと砦のあった場所にアンベール城を築城しました。
ムガル帝国はインドのデリーに建国したイスラム国家でしたが、アクバル帝はイスラム世界で慣習となっている他教徒への人頭税(ジズヤ)を廃止するなど、宗教の融和に努めた皇帝でした。そのため、アンベール城はムガル帝国の影響を受けたイスラム建築とヒンドゥー教を信仰したラージプート族の伝統様式が交じり合った建築様式になっています。
アンベール王国の本拠地として繫栄します。ジャイ・シング2世がアンベール王国の首都をジャイプールに遷都するまで、100年以上にわたり歴代のマハラジャによって増改築が繰り返されました。
アンベール城が世界遺産に登録された理由
アンベール城は「ラジャスタンの丘陵城砦群」の構成資産の1つとして、チットールガル城、クンバルガル城、ランタンボール城、ガグロン城、ジャイサイメール城とともに2013年に世界遺産に登録されました。
アンベール城が世界遺産に登録された理由としては大きく二つあり、
が登録理由になっています。
ジャイプールにはアンベール城以外にも、ジャイ・シング2世が建設した天体観測施設である「ジャイプールのジャンタル・マンタル」やピンクシティと呼ばれる「ラジャスタン州のジャイプール市街」が世界遺産に登録されています。
ちなみに、ジャイプールの「ジャイ」はジャイ・シング2世が由来となり、「プル」は「城壁に囲まれた街」を意味しています。
アンベール城に行くなら象タクシーで!
アンベール城は岩山の上に位置するため、麓から150mほどの急坂を上る必要があります。インドの暑い気候の中、急坂を上るのは困難なため、象タクシーの利用がおすすめです。化粧が施された象がアンベール城まで運んでくれるサービスで、象タクシーはインドでも珍しく、アンベール城の名物となっています。
象タクシーに乗れば、かつて象に乗って登城したマハラジャの気分を味わうことができるかもしれません。
しかしながら、象の頭数に限りがあり、象の体調や現地の事情などで象タクシーに乗れないケースもあります。その場合にはジープを利用して登城することができます。上りと下りでルートが異なり、下りは徒歩かジープの利用が一般的です。
象タクシーの営業時間は午前10時30分までとなっているため、象タクシーに乗りたければ、朝の訪問がおすすめです。象タクシーは1頭につき定員2名。利用には1頭につき3,500ルピー(2025年4月現在で6000円弱)、アンベール城の入場は500ルピー(2025年4月現在で1000円弱)となっています。
アンベール城の見どころ
アンベール城はムガル帝国の影響を受けたイスラム様式とヒンドゥー教を信仰したラージプート族の伝統様式が交じり合った建築様式が特徴です。
丘の上に堅固な城壁に囲まれて建つ外観ながら、城内はイスラムの影響を感じさせる優美な建築物が築かれています。今回は特に見るべき4つの観光名所をご紹介します。
世界一美しい門と言われる「ガネーシャ門」
アンベール城の最大の見どころは、世界一美しい門と言われるガネーシャ門です。アンベール城の入口にガネーシャ門があります。
ガネーシャとは、象の頭を持つヒンドゥー教の神様。商売や学問の神としても崇められています。ガネーシャ門にはガネーシャがパステル調で描かれ、壁面には幾何学模様のモザイクが施されており、ヒンドゥー教とイスラム教の融合を感じることができます。
ガネーシャ門をくぐると、幾何学模様にデザインされたイスラム調の中庭へ。マハラジャの住まいである宮殿に入ることができます。
ガネーシャについてはコチラ
無数の鏡が美しく輝く「鏡の間」
アンベール城内には、貴賓謁見のために築かれた勝利の間(ジャイ・マンディル)があり、その奥に天井や壁一面に小さな鏡を散りばめた鏡の間(シーシュ・マハル)があります。無数の鏡が美しく光る鏡の間もアンベール城の見どころの1つです。
鏡の間の天井や壁に埋め込まれた無数の鏡は電気のなかった時代に室内を明るくするために工夫されたものだと言われています。また、窓は強い日差しが降り注がず、涼しい風が抜けるように設計されています。
宮殿の最奥部「ザナーナ・マハル」
アンベール城の最奥部にはザナーナ・マハルと呼ばれるイスラム教における女性専用の居住区域であるハーレムがあります。ハーレムとは女性が生活する神聖な場所とされ、外部の男性から隔離され、近親者以外の男性は立ち入ることができませんでした。
アンベール城のザナーナ・マハルにはマハラジャの妻たちが暮らしていました。「マハル」はペルシャ語で宮殿を意味し、宮殿のように各部屋の壁や天井にも豪華な装飾が施されています。
それぞれの部屋は独立した造りになっており、マハラジャがどの部屋を訪れたのか分からないようになっています。透かし彫りの窓から外の様子を見ることができる設計に。また、床には水路を通し、涼しく過ごせる工夫がもたらされています。
アンベール城を一望できる「ジャイガル要塞」
ジャイガル要塞はアンベール城を一望できる穴場スポットです。アンベール城を防衛する目的で建造され、アンベール城から少し離れた場所にありますが、徒歩でアクセスできます。
ジャイガル要塞には大砲や武具を展示する博物館やアンベール城を見下ろせる展望台があります。
アンベール城に行った人はいても、ジャイガル要塞まで行く人は珍しいので、穴場スポットで一味違う気分を味わいたい人にオススメです。
アンベール城はヒンドゥーとイスラムの建築様式が融合した世界遺産
ジャイプール郊外にあるアンベール城はアンベール王国の都として繫栄した世界遺産です。
ムガル帝国の傘下にあったこともあり、イスラム教の影響を受けました。丘の上に立つ質実剛健な外観とは裏腹に、城内は世界一美しい門と言われる「ガネーシャ門」や無数の鏡が輝く「鏡の間」などイスラム教の影響を感じさせる建築美が多数あります。
また、象に乗って急坂を上る象タクシーはマハラジャの気分を味わうことができ、アンベール城の名物となっています。アンベール城に行かれた際には象タクシーに乗ってみてはいかがでしょうか。
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