掲載日:2025.01.28

面白い語源の日本語-この言葉の由来、知ってる?

ふだん何気なく使っている日本語ですが、どの言葉にも語源があります。
その言葉が「どうして」できあがったのか…?一度気になり始めたら、もう止まりません。気になりすぎて面白い語源を持つ言葉を調べました。

すると本当に面白い!

そこで今回は面白い語源を持つ言葉の中でも、特に面白い言葉をご紹介します。
この「面白い」にも実は面白い語源があります。まずはこの言葉から始めましょう。

始める前に、ご注意ください。語源の多くは「諸説あり」ですので、なるべく信頼できる説をお届けします。しかしここで述べる説だけが真実ではないかもしれません。

日常でよく使う言葉編

日常でよく使う言葉の語源です。
「面白いこと、楽しいことをありがとう」
よく使いますよね。

ここにあげた「面白い」「楽しい」「ありがとう」にも面白い語源があります。

面白い

「面白い」は考えてみれば不思議な言葉です。「面が白い」ことですね。「面」は「かお」を意味し、読み方は「おもて」から来ています。
つまり「面白い」は「かお(おもて)が白い」ことです。

「かお」は人間の頭部の表側にあるので「おもて」と表現されることもあります。
「白い」は「はっきりしている。顕し(しるし)」から来ています。

「面白い」は「顔がはっきりわかる」ということですね。では、それがなぜ面白いのか?これにはいくつかの説があります。

説①天岩戸神話

「面白い」の語源のひとつは、とても古い時代まで遡ります。古事記にも登場する天岩戸神話(あまのいわとしんわ)が由来です。

太陽神であるアマテラスは、弟神スサノオの狼藉を嘆き洞くつに籠もって、岩でできた戸(天岩戸)を閉ざしました。
太陽神が籠もってしまったので世の中は闇に包まれます。困った神様たちはアマテラスになんとか出てきてもらいたく、一計を案じます。
天岩戸の近くで宴会を始めたのです。アマテラスが隠れているので、あかりは篝火程度でしたが、宴会は賑やかで飲めや歌えの大騒ぎです。
クライマックスで芸能の女神、天宇受売命(アメノウズメノミコト)が舞います。その舞いはとても愉快なものでした。

賑やかさも最高潮に達しており、洞くつの中のアマテラスにも聞こえます。
気になったアマテラスがそっと岩戸を開き、外の様子を覗いてみました。するとその瞬間、闇が一気に明るくなり、神様たちの顔もはっきりと分かるほどになりました。
この伝説から「愉快なこと、楽しいことで顔がはっきりわかる。すなわち面が白くなる。」すなわち「面白い」という言葉が生まれたと言われています。

ちなみにアマテラスが戸を開けた時に待ち構えていたのが怪力の神様、天手力男神(アメノタヂカラオ)です。岩戸を持ち上げ投げやり、再び閉めないようにしました。それ以来、アマテラスが岩戸に籠もることはなくなりました。

▼この伝説に関してはこちらのページに詳しく書いています。気になった方はぜひご覧ください。

天岩戸伝説とは?アマテラスが岩戸に籠った物語の本当の意味【日本の神さま】

説②思う・著(しるし)

「面白い」の語源にはもうひとつの説があります。
とても面白いことは、強く印象に残ります。つまり思いが著しく心に刻まれることです。

「著しい」は「いちじるしい」と読みますが、「著す」と書けば「しるす」と読みます。
「面白い」は「思う・著す」で「おもしるす」それが「おもしろい」になりました。

「思う」の「田」の部分は人の脳を表し、その下に心がついています。つまり「考えること、感じること」が「思うこと」なのです。
「しるす」は「印す、記す、標す、顕す」等の漢字がありますが、「はっきりとさせる、書いてあらわす」などの意味があります。
「おもしろい」は興味深く印象的な出来事をあらわすようになりました。

楽しい

「楽しい」の語源も天岩戸神話が関係すると言われています。
アメノウズメの舞う姿が手を伸ばしてとても楽しそうでした。「手・伸ばし」が語源となり「てのばし」から「たのしい」ができました。
このように神話を由来とする言葉が現代まで続いているのですね。

ありがとう

ありがとう

「ありがとう」は感謝の意を伝える美しい言葉です。この言葉の語源は有名かもしれません。
「有り難し」つまり「有ることが難しい」のですから「めったにない」ことですね。そのようなことをしてくれた相手にお礼を言うので「ありがとう」となりました。

この言葉はお釈迦様による弟子の阿難(アナン、アーナンダ)への教えが始まりと伝えられています。
私達が人間に生まれてきたことは確率的に非常に小さい、すなわち「有り難い」ことだと説かれました。
そのことに対して感謝をするために「ありがとう」の言葉が生まれました。

外国語が語源の言葉編

外国語が語源なのに、いまではすっかり日本語として定着している言葉がたくさんあります。
特にヨーロッパ由来の言葉には面白い語源を持つものがあります。

天ぷら

天ぷら

天ぷらは「天麩羅」と書く立派な日本語です。そう思っている人も多いでしょう。徳川家康も天ぷらを食べていたと伝えられています。

しかし「天ぷら」はポルトガル語の寺院を表す「テンプル」あるいはそこで行う行事の「テンポーラ」が語源だとされています。
戦国時代にはスペインやポルトガルから多くの宣教師が来ていました。食事の文化が伝えられ、多くの言葉も一緒に伝わりました。外来語なのに今では日本語と思われる言葉もたくさんあります。
その代表的存在が「天ぷら」ですね。

ポン酢

柑橘の香りがして調味料として重宝する「ポン酢」は、お鍋の季節には欠かせません。
ところで「ポン酢」の「ポン」って何だろう…そう考えたことはありませんか?

「ポン酢」の語源はオランダ語の「pons」で、柑橘系全般の果汁の意味です。ですから「ポンの酢」ではなくて「ポンス」そのものが外来語だったのですね。しかし酸っぱいこともあり「ポン酢」という表記が浸透しています。
英語で「フルーツポンチ」あるいは「フルーツパンチ」というのがありますが、この「ポンチ・パンチ」も同じ起源で、ドイツ語では「プンシュ」です。

じょうろ

じょうろ

お庭の植物などの水を遣る道具のことを「じょうろ」と呼びます。
「如雨露」あるいは「如露」と表記されますよね。「露や雨の如き水を出す」ということで、意味としても適切な漢字が使われています。

これこそは日本語と思いきや、これも外来語です。日本語は本当に面白いですね。
「じょうろ」はポルトガル語の「jorro」が語源です。「水の噴出」を意味する言葉で、この言葉も17世紀すなわち江戸時代初期には存在していた言葉です。

実は歴史のある現代語編

タイトルにも使っていますが「マジ、ビビる」とか「ヤバい」等の言葉は若い子が使うので、「最近になって使われている流行語」だと思っている方も多いのではないでしょうか。実はこれらの言葉は意外と歴史があるのです。
「マジやビビるは私達も使っていたよね。」と思うかもしれませんが、起源をたどればそれどころではありません。

ビビる

ビビる

「ビビる」は「怖がってしり込みする」とか「おじけづく」などの意味で使われる俗語です。
「ビクビクする」ことから「ビビる」に転じた言葉です。では、いつ頃できた言葉なのでしょう?語源を調べると面白いことが分かりました。

確実に言えるのは江戸時代後期に成立した「柳多留」に載っていることです。「柳多留」の「あいさつに男のびびるよめの礼」という句は広辞苑などでも引用されています。

そして問題なのは「ビビるは平安時代から使われていた」と多くの人が信じていることです。この説は平成時代に突如広まったのですが、実はこれは嘘なのだそうです。
この説はある学者が「源平合戦の富士川の戦いで、水鳥の羽音に平家軍が今風に言えば『びびって』逃げた。」と記したことから広まりました。
ちゃんと「今風に言えば』と書かれているのを誤読した人が世に広めています。

たしかに「平安時代から使われていた」と言ったほうが物知りみたいですよね。でもきちんと調べたいものですね。ということで「ビビる」が使われはじめたのは江戸時代からのようです。

マジ

「マジすか?」の「マジ」は「真面目」が語源です。説明されなくても想像通りですね。1986年から10年間連載された人気漫画で「本気!」で「本気と書いてマジと読む」が流行語にもなりました。

では古くはいつ頃から使われたのでしょうか?
1810年頃の歌舞伎の台詞にありますので、文化文政の頃です。伊能忠敬や滝沢馬琴が活躍していた頃ですね。

ヤバい

「ヤバい」は以前から普通に使われていました。
「不都合である、危険である」というような意味です。今でもこの使用方法はあります。しかし現代では「いい意味でヤバい」を使う人も多いようです。

ではヤバいの語源と使われ始めた時期を紹介します。
語源は「あやうい」が変化して「あやぶい→やばい」が有力な説のようです。
十返舎一九の「東海道中膝栗毛」には登場しますので1800年頃は既に使われていました。

面白い語源の日本語を調べてわかったこととは?

今回、面白い語源の日本語を調べてわかったことは、意外な歴史です。「人に歴史あり」と言われますが、言葉にも歴史があります。
言葉の意味も時代とともに変化しています。
消えていった言葉もたくさんありますが、長い歴史の中で生き残っている言葉もまた多いのですね。

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