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「伝統的な朝ごはん」といえば、ご飯に味噌汁・焼き鮭・卵焼き・青菜のお浸しといった、日本式の一汁三菜の組み合わせを連想する人は多いでしょう。もちろん飲み物は熱い緑茶です。しかし世界の伝統的な朝食はどのようになっているのでしょうか?
今回は、世界の朝食事情を取り上げます。全ての国の全部の朝食をピックアップすることは残念ながら難しいので、できるだけ特徴のはっきりした国の朝食を取り上げることにしました。
朝ごはんには、それを食べる人々のいろいろな態度や習慣が反映されています。朝食の時間帯やメニューには、各国のいろいろな文化の要素が詰まっています。さあ、一緒にのぞいてみましょう。
アジア諸国では屋台や食堂などが発達している国々が多くあります。そのような地域では、朝ごはんを外で済ます人が大半です。
中国の朝食は「油条(ヨウティアオ)」と呼ばれる揚げパンと「豆浆(トウジャン)」と呼ばれる豆乳が定番です。豆乳はそのまま飲むのではなく、温めて干しエビやネギやパクチーを入れて、ラー油や醤油で味を調節し、油条を浸して食べます。中国の都会では、家で朝食を取らずに屋台で油条と豆浆を買って、歩きながら食べたり職場で食べたりする人も多くいます。
タイでは屋台で朝食を取る人がほとんどです。特に人気のあるものが、米を細かく砕いて煮込んだ「ジョーク」というお粥です。ジョークには豚肉や卵・パクチー・ネギなどをトッピングして、ナンプラーなどで味付けします。「パートンコー」という甘くない揚げパンも人気です。パートンコーは豆乳や練乳、パンダンリーフで香りを付けたカスタードと一緒に頂きます。
ベトナム料理は中国やフランスの影響を受けていて、とても洗練されています。朝食の代表的なメニューとして「フォー」があげられます。米粉で作った麺をスープで煮込んだ定番料理で、牛肉や豚肉と一緒に盛り付けます。さまざまな調味料を使って自分好みの味に調節して食べるのも、特徴のひとつです。フランスパンに肉・パテ・ピクルス・香草をはさんだベトナム式サンドイッチの「バインミー」も、屋台で手軽に食べられるので、人気があります。
インド北部の朝食は、カレーに「チャパティ」という薄いパンや「プーリー」という揚げパンを添えたものが、一般的です。飲み物はスパイスを加えた甘いチャイ(紅茶)が人気です。インド南部では「イドゥリ」という米と豆で作ったふわふわのライスケーキが朝食によく食べられます。イドゥリは「サンバル」と呼ばれるレンズ豆のカレーやチャツネに添えて出されます。飲み物は北部と異なり、甘くしたコーヒーが好まれます。
西欧では朝食を軽く食べて、東欧やロシアではしっかり食べる傾向があります。また朝食を2回取る習慣がある国々も、ヨーロッパ諸国では意外に多いようです。
伝統的なイギリスの食事は質素ですが、朝食は昔から別格で、「イギリスで一番美味しいのは朝食だ」といわれるほどです。「イングリッシュ・ブレックファースト」の内容は、卵料理・ベーコン・ソーセージ・ベイクドビーンズ・焼きトマト・マッシュルーム・トーストなど、ボリュームたっぷりです。ただし現在では、毎日このような朝食を食べている人は少なく、シリアルのように簡単に食べられるもので済ませる場合が多いようです。飲み物はコーヒーより紅茶が圧倒的に好まれています。イギリス人と紅茶は切り離せないようです。
フランス人は朝食を、パンと飲み物だけで済ませます。パンといえばバターやジャムを塗った細長いバゲット、飲み物はコーヒー・カフェオレ・ホットチョコレートなどです。休日にはクロワッサンなどの甘いペストリーを食べることもあります。
イタリアの朝食は、甘いものが中心です。ビスケットやパンにジャムやヌテラ(甘いスプレッド)を塗って食べたり、コーヒーに浸して食べたりします。パンではクロワッサンに似た生地にジャムやカスタードクリームを詰めた「コルネット」、飲み物はカプチーノなどのコーヒー類が人気です。尚、イタリアでカプチーノは、朝食のときだけ飲む飲み物です。
スペインでは朝食を1日に2回食べます。1回目は「デザジュノ」と呼ばれ、2回目は「アルムエルソ」と呼ばれるサンドイッチなどの間食を食べる時間です。平日のデザジュノはパンとコーヒーで済ませることが多いですが、休日にはチュロスというドーナツをよく食べます。細長くサックリ揚がったチュロスを濃厚なホットチョコレートに浸して食べるのが、スペインの伝統的な食べ方です。
スウェーデンの朝食は、オープンサンドをよく食べます。またスウェーデンは薄くてパリパリとした「クネッケブロート」の発祥地です。クネッケブロートにはバターを塗って、好みの具をのせて食べます。ミューズリー(シリアルの一種)やオートミールも朝食メニューのひとつです。飲み物は北欧の国らしくコーヒーが主流ですが、フレッシュジュースや牛乳も飲まれます。
フィンランドの朝食では、オーツ麦やライ麦などを牛乳で煮込んだ「プーロ」というお粥がよく食べられます。プーロにはバターを落として食べるのが伝統的ですが、最近ではハチミツやジャムを落としたり、ベリーをトッピングしたりして食べる人が増えています。ライ麦パンも朝食に欠かせないもののひとつで、ハムやチーズやスライスした野菜をはさんで食べるのが一般的です。飲み物はコーヒー、特に浅煎りのものが良く飲まれます。フィンランドは、世界一のコーヒー消費国です。
ロシアの朝食は、栄養価が高くて家庭的な料理が多く、カーシャと呼ばれるお粥・サンドイッチ・卵料理などが一般的なメニューです。カーシャにはさまざまな種類がありますが、蕎麦の実を使ったカーシャが有名です。「シルニキ」と呼ばれるカッテージチーズを使ったパンケーキも朝食メニューのひとつです。シルニキはサワークリーム・ジャム・溶かしバターと一緒に楽しみます。飲み物は、シナモンやグローブを加えたロシア式の紅茶が一般的ですが、近頃ではコーヒーを飲む人も増えてきました。
北アフリカのイスラム圏において、朝食は家族や友人が集まって語り合う特別な時間です。飲み物はミントティーが広まっています。また東アフリカの国々では揚げパンを朝ごはんにする人が多くいます。
エジプトのパンは「アエーシ」と呼ばれています。パン種を入れていない、中が空洞になった薄いパンです。エジプトの人は、このアエーシで「フール・ミダミス」と呼ばれるそら豆の煮込みをすくって食べたり、「ターメイヤ」と呼ばれるそら豆のコロッケを挟んで食べたりします。飲み物はミントティーなどです。
ケニアでは、「マンダジ」と呼ばれる揚げパンを朝食によく食べます。マンダジの形はふつう三角形で、中央が膨らんでいます。マンダジと熱く甘いミルクティーが、ケニア流の朝食です。これだけでは物足りない人は、薄焼き卵のような卵料理を追加することも可能です。
アメリカ大陸の国々は、広い国土にさまざまなルーツを持つ移民が入植して作り上げたところが大半です。そのため、さまざまな民族文化の影響を受けたバラエティ豊かな朝食が見られます。
アメリカ合衆国の朝食の定番は、さまざまな卵料理・パンケーキやワッフル・シリアル類・各種のベーカリー製品です。朝食について特筆すべきなのは、ボリュームがたっぷりあることかもしれません。たっぷりの卵料理にはベーコンやソーセージを添え、大型のパンケーキやワッフルには溶かしバターやシロップをたっぷりかけて楽しみます。飲み物は多くの場合、コーヒーです。コーヒーとは別にフレッシュジュースを出すこともあります。
カナダの一般的な朝食メニューはアメリカ合衆国のものと似ています。しかしカナダ独自の特色もあることに注意してください。それは新鮮な食材を活用していることや、メープルシロップを大量に使用していることです。飲み物はコーヒーが主体ですが、あわせてフレッシュジュースもよく飲まれています。
メキシコでは、昼食が午後2時から4時と遅いため、朝食をしっかりと取る傾向があります。メキシコの朝食に欠かせないのが、「トルティーヤ」(とうもろこし粉などで作られた薄焼きのパン)です。トルティーヤを使った朝食メニューの代表的なものとして、細かくカットしたトルティーヤをあげてサルサソースと一緒に似た「チラキレス」やトルティーヤに目玉焼きをトッピングしてサルサソースをかけた「ウエボス・ランチェロス」があります。これらの料理には、「フリホーレス」と呼ばれる煮豆が添えられます。飲み物はシナモンで香りづけされたメキシカンコーヒーの他、フレッシュジュースが提供されます。
ブラジルでは、朝は軽く済ませて昼食を重要視する傾向があります。そのため、朝食のメニューはパンとコーヒーが中心です。パンは「ポン・フランセース」と呼ばれるブラジル独特のふわふわしたフランスパンで、ハムやチーズやサラミなどをはさんで頂きます。「ポン・デ・ケージョ」という、タピオカ粉を使った小さなチーズパンも朝食の定番です。フルーツ類は豊富にあるので、新鮮なフルーツやフルーツジュースは欠かせません。飲み物はコーヒーです。
以上、世界のさまざまな朝食を駆け足で追いかけてきました。ところで、世界で一番美味しい朝食はどれでしょうか?実は2010年に、スペインのある有力紙が「世界一の朝食は何か?」という投票を実施しました。そしてその結果一位を獲得したのは、当時ほとんど無名だったペルーの「チチャロンサンド」(パン・コン・チチャロン)でした。チチャロンサンドは、誰もが知っているスペインの「ホットチョコレートとチュロス」やフランスの「クロワッサンとカフェ・オ・レ」を押しのけて、堂々と第一位に輝いたのです。
チチャロンサンドの材料の「チチャロン」は豚バラ肉をゆでた後、さらにラードで揚げた、塩味の効いた豚肉です。チチャロンは外がカリッと、中がジューシーな食感が特徴で、揚げた甘いサツマイモ(カモテ)や赤玉ネギのマリネ、そしてサルサ・クリオージャ(玉ネギ・レモン・チリ・コリアンダーを使ったペルーの伝統的なソース)と共に、パン・フランセスと呼ばれる丸いパンに挟んで提供されます。チチャロンサンドには美味しいだけでなくとてもボリュームがあり、1個食べただけで満足してしまうでしょう。
「世界一」と評判のチチャロンサンドを含む、世界中の朝食18種類を、紹介してきました。チチャロンサンドと日本の伝統的な「一汁三菜」の朝食も含めれば、全部で20種類です。どの朝食も、それぞれの国の実情に応じた姿をしていますが、その背景にはそれぞれの文化的な事情を反映した、ユニークな姿を見せています。
「伝統的な朝ごはん」といえば、ご飯に味噌汁・焼き鮭・卵焼き・青菜のお浸しといった、日本式の一汁三菜の組み合わせを連想する人は多いでしょう。もちろん飲み物は熱い緑茶です。
しかし世界の伝統的な朝食はどのようになっているのでしょうか?
今回は、世界の朝食事情を取り上げます。全ての国の全部の朝食をピックアップすることは残念ながら難しいので、できるだけ特徴のはっきりした国の朝食を取り上げることにしました。
目次
世界の朝食早めぐり
朝ごはんには、それを食べる人々のいろいろな態度や習慣が反映されています。朝食の時間帯やメニューには、各国のいろいろな文化の要素が詰まっています。さあ、一緒にのぞいてみましょう。
アジア諸国の朝食
アジア諸国では屋台や食堂などが発達している国々が多くあります。そのような地域では、朝ごはんを外で済ます人が大半です。
中国の朝食
中国の朝食は「油条(ヨウティアオ)」と呼ばれる揚げパンと「豆浆(トウジャン)」と呼ばれる豆乳が定番です。豆乳はそのまま飲むのではなく、温めて干しエビやネギやパクチーを入れて、ラー油や醤油で味を調節し、油条を浸して食べます。
中国の都会では、家で朝食を取らずに屋台で油条と豆浆を買って、歩きながら食べたり職場で食べたりする人も多くいます。
タイの朝食
タイでは屋台で朝食を取る人がほとんどです。
特に人気のあるものが、米を細かく砕いて煮込んだ「ジョーク」というお粥です。ジョークには豚肉や卵・パクチー・ネギなどをトッピングして、ナンプラーなどで味付けします。「パートンコー」という甘くない揚げパンも人気です。パートンコーは豆乳や練乳、パンダンリーフで香りを付けたカスタードと一緒に頂きます。
ベトナムの朝食
ベトナム料理は中国やフランスの影響を受けていて、とても洗練されています。
朝食の代表的なメニューとして「フォー」があげられます。米粉で作った麺をスープで煮込んだ定番料理で、牛肉や豚肉と一緒に盛り付けます。さまざまな調味料を使って自分好みの味に調節して食べるのも、特徴のひとつです。
フランスパンに肉・パテ・ピクルス・香草をはさんだベトナム式サンドイッチの「バインミー」も、屋台で手軽に食べられるので、人気があります。
インドの朝食
インド北部の朝食は、カレーに「チャパティ」という薄いパンや「プーリー」という揚げパンを添えたものが、一般的です。飲み物はスパイスを加えた甘いチャイ(紅茶)が人気です。
インド南部では「イドゥリ」という米と豆で作ったふわふわのライスケーキが朝食によく食べられます。イドゥリは「サンバル」と呼ばれるレンズ豆のカレーやチャツネに添えて出されます。飲み物は北部と異なり、甘くしたコーヒーが好まれます。
ヨーロッパ諸国の朝食
西欧では朝食を軽く食べて、東欧やロシアではしっかり食べる傾向があります。また朝食を2回取る習慣がある国々も、ヨーロッパ諸国では意外に多いようです。
イギリスの朝食
伝統的なイギリスの食事は質素ですが、朝食は昔から別格で、「イギリスで一番美味しいのは朝食だ」といわれるほどです。
「イングリッシュ・ブレックファースト」の内容は、卵料理・ベーコン・ソーセージ・ベイクドビーンズ・焼きトマト・マッシュルーム・トーストなど、ボリュームたっぷりです。ただし現在では、毎日このような朝食を食べている人は少なく、シリアルのように簡単に食べられるもので済ませる場合が多いようです。
飲み物はコーヒーより紅茶が圧倒的に好まれています。イギリス人と紅茶は切り離せないようです。
フランスの朝食
フランス人は朝食を、パンと飲み物だけで済ませます。パンといえばバターやジャムを塗った細長いバゲット、飲み物はコーヒー・カフェオレ・ホットチョコレートなどです。休日にはクロワッサンなどの甘いペストリーを食べることもあります。
イタリアの朝食
イタリアの朝食は、甘いものが中心です。ビスケットやパンにジャムやヌテラ(甘いスプレッド)を塗って食べたり、コーヒーに浸して食べたりします。パンではクロワッサンに似た生地にジャムやカスタードクリームを詰めた「コルネット」、飲み物はカプチーノなどのコーヒー類が人気です。尚、イタリアでカプチーノは、朝食のときだけ飲む飲み物です。
スペインの朝食
スペインでは朝食を1日に2回食べます。1回目は「デザジュノ」と呼ばれ、2回目は「アルムエルソ」と呼ばれるサンドイッチなどの間食を食べる時間です。
平日のデザジュノはパンとコーヒーで済ませることが多いですが、休日にはチュロスというドーナツをよく食べます。細長くサックリ揚がったチュロスを濃厚なホットチョコレートに浸して食べるのが、スペインの伝統的な食べ方です。
スウェーデンの朝食
スウェーデンの朝食は、オープンサンドをよく食べます。
またスウェーデンは薄くてパリパリとした「クネッケブロート」の発祥地です。クネッケブロートにはバターを塗って、好みの具をのせて食べます。
ミューズリー(シリアルの一種)やオートミールも朝食メニューのひとつです。
飲み物は北欧の国らしくコーヒーが主流ですが、フレッシュジュースや牛乳も飲まれます。
フィンランドの朝食
フィンランドの朝食では、オーツ麦やライ麦などを牛乳で煮込んだ「プーロ」というお粥がよく食べられます。プーロにはバターを落として食べるのが伝統的ですが、最近ではハチミツやジャムを落としたり、ベリーをトッピングしたりして食べる人が増えています。ライ麦パンも朝食に欠かせないもののひとつで、ハムやチーズやスライスした野菜をはさんで食べるのが一般的です。
飲み物はコーヒー、特に浅煎りのものが良く飲まれます。フィンランドは、世界一のコーヒー消費国です。
ロシアの朝食
ロシアの朝食は、栄養価が高くて家庭的な料理が多く、カーシャと呼ばれるお粥・サンドイッチ・卵料理などが一般的なメニューです。
カーシャにはさまざまな種類がありますが、蕎麦の実を使ったカーシャが有名です。
「シルニキ」と呼ばれるカッテージチーズを使ったパンケーキも朝食メニューのひとつです。シルニキはサワークリーム・ジャム・溶かしバターと一緒に楽しみます。
飲み物は、シナモンやグローブを加えたロシア式の紅茶が一般的ですが、近頃ではコーヒーを飲む人も増えてきました。
アフリカ諸国の朝食
北アフリカのイスラム圏において、朝食は家族や友人が集まって語り合う特別な時間です。飲み物はミントティーが広まっています。また東アフリカの国々では揚げパンを朝ごはんにする人が多くいます。
エジプトの朝食
エジプトのパンは「アエーシ」と呼ばれています。パン種を入れていない、中が空洞になった薄いパンです。エジプトの人は、このアエーシで「フール・ミダミス」と呼ばれるそら豆の煮込みをすくって食べたり、「ターメイヤ」と呼ばれるそら豆のコロッケを挟んで食べたりします。飲み物はミントティーなどです。
ケニアの朝食
ケニアでは、「マンダジ」と呼ばれる揚げパンを朝食によく食べます。マンダジの形はふつう三角形で、中央が膨らんでいます。
マンダジと熱く甘いミルクティーが、ケニア流の朝食です。これだけでは物足りない人は、薄焼き卵のような卵料理を追加することも可能です。
アメリカ大陸諸国の朝食
アメリカ大陸の国々は、広い国土にさまざまなルーツを持つ移民が入植して作り上げたところが大半です。そのため、さまざまな民族文化の影響を受けたバラエティ豊かな朝食が見られます。
アメリカ合衆国の朝食
アメリカ合衆国の朝食の定番は、さまざまな卵料理・パンケーキやワッフル・シリアル類・各種のベーカリー製品です。朝食について特筆すべきなのは、ボリュームがたっぷりあることかもしれません。
たっぷりの卵料理にはベーコンやソーセージを添え、大型のパンケーキやワッフルには溶かしバターやシロップをたっぷりかけて楽しみます。
飲み物は多くの場合、コーヒーです。コーヒーとは別にフレッシュジュースを出すこともあります。
カナダの朝食
カナダの一般的な朝食メニューはアメリカ合衆国のものと似ています。しかしカナダ独自の特色もあることに注意してください。それは新鮮な食材を活用していることや、メープルシロップを大量に使用していることです。
飲み物はコーヒーが主体ですが、あわせてフレッシュジュースもよく飲まれています。
メキシコの朝食
メキシコでは、昼食が午後2時から4時と遅いため、朝食をしっかりと取る傾向があります。
メキシコの朝食に欠かせないのが、「トルティーヤ」(とうもろこし粉などで作られた薄焼きのパン)です。トルティーヤを使った朝食メニューの代表的なものとして、細かくカットしたトルティーヤをあげてサルサソースと一緒に似た「チラキレス」やトルティーヤに目玉焼きをトッピングしてサルサソースをかけた「ウエボス・ランチェロス」があります。
これらの料理には、「フリホーレス」と呼ばれる煮豆が添えられます。
飲み物はシナモンで香りづけされたメキシカンコーヒーの他、フレッシュジュースが提供されます。
ブラジルの朝食
ブラジルでは、朝は軽く済ませて昼食を重要視する傾向があります。そのため、朝食のメニューはパンとコーヒーが中心です。パンは「ポン・フランセース」と呼ばれるブラジル独特のふわふわしたフランスパンで、ハムやチーズやサラミなどをはさんで頂きます。「ポン・デ・ケージョ」という、タピオカ粉を使った小さなチーズパンも朝食の定番です。フルーツ類は豊富にあるので、新鮮なフルーツやフルーツジュースは欠かせません。飲み物はコーヒーです。
世界一人気のある朝食「チチャロンサンド」
以上、世界のさまざまな朝食を駆け足で追いかけてきました。ところで、世界で一番美味しい朝食はどれでしょうか?
実は2010年に、スペインのある有力紙が「世界一の朝食は何か?」という投票を実施しました。そしてその結果一位を獲得したのは、当時ほとんど無名だったペルーの「チチャロンサンド」(パン・コン・チチャロン)でした。
チチャロンサンドは、誰もが知っているスペインの「ホットチョコレートとチュロス」やフランスの「クロワッサンとカフェ・オ・レ」を押しのけて、堂々と第一位に輝いたのです。
チチャロンサンドの材料の「チチャロン」は豚バラ肉をゆでた後、さらにラードで揚げた、塩味の効いた豚肉です。チチャロンは外がカリッと、中がジューシーな食感が特徴で、揚げた甘いサツマイモ(カモテ)や赤玉ネギのマリネ、そしてサルサ・クリオージャ(玉ネギ・レモン・チリ・コリアンダーを使ったペルーの伝統的なソース)と共に、パン・フランセスと呼ばれる丸いパンに挟んで提供されます。チチャロンサンドには美味しいだけでなくとてもボリュームがあり、1個食べただけで満足してしまうでしょう。
世界の朝食には、いろんな文化が詰まっている
「世界一」と評判のチチャロンサンドを含む、世界中の朝食18種類を、紹介してきました。チチャロンサンドと日本の伝統的な「一汁三菜」の朝食も含めれば、全部で20種類です。どの朝食も、それぞれの国の実情に応じた姿をしていますが、その背景にはそれぞれの文化的な事情を反映した、ユニークな姿を見せています。