人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
「ウールをクリーニングに出さずに家で洗いたい」という方もいるのではないでしょうか? さまざまな衣類に使われているウールは、ニットやスーツの洋服だけでなく、帽子や靴下、肌着などにも使用されています。ウールは水洗いすると縮むといわれますが、繊維の特徴を知ってポイントさえ抑えれば家でも洗えます。
この記事ではウールの洗濯で失敗しないためのポイントや洗い方、ウールの特徴などを紹介します。 最後まで読んでウール洗いを得意にしましょう。
ウールはよく目にする素材ですが、どんな特徴があるのでしょうか。特徴を知れば洗濯のコツや、手入れが必要な理由も分かります。
ウールは吸湿性と速乾性の両方をあわせもつ素材です。
ウールの吸湿性はコットンの2倍、ポリエステルの40倍にもなります。化学繊維の糸と違って、ウールは繊維の糸そのものが水分を吸ってくれるのです。吸った水分を外に放出する効果も高いため、速乾性にも優れています。
汗をかいても繊維が湿気を吸い取り外へ逃がすので、衣類の中が蒸れずに保てます。快適に過ごせる素材といえますね。
ウールは化学繊維よりも保温性が高いです。繊維が縮れて表面がうろこ状の構造をしているため、空気の層ができて暖かい空気をため込んでくれるのです。
外の気温にも左右されにくく、衣類の中の温度を一定に保ってくれます。冬の冷たい外気も夏の暑い外気も遮断するので、気温差が激しく過酷な環境で過ごす登山では、オールシーズン使われています。
吸湿性があるのにはっ水性もあるという、不思議な2面性をもつ素材です。繊維の中に細かい蒸気の湿気は吸い込みますが、大きな水滴は弾いてくれます。実際にウール製品に水滴を垂らしてみると、吸い込まずに転がっていくのが分かります。
動物の毛が雨を弾いて体を守るようにできているためです。このはっ水性のおかげで汚れが付きにくいというメリットもあります。
ウールはシワと毛玉ができにくいのも特徴です。
ウールは弾力があるので畳んだままでもシワはほとんどできず、多少あったとしてもすぐに消えます。毛玉はほかの素材に比べてできにくく、化学繊維と違って生地に残らず自然に脱落します。
ウールは繊維の縮れのおかげで伸縮性があり、動いても快適に過ごせます。
さらに燃えにくいという特徴もあり、火が付いても表面が少し黒くなるだけですぐに鎮火します。発火温度が約600度と高温で、繊維の中に窒素や水分を含んでいるためです。
火を扱うような場所では燃え広がる危険を減らせますね.
ウールは水に弱く、水洗いをすると縮んでしまうことがあります。水に濡れるとうろこ状の繊維の表面が開いて、絡みやすい状態になります。この状態で摩擦を起こすと繊維が絡み合い、縮んで固くなってしまうのです。こするほどに目の詰まったフェルト状になっていきます。
ただし、洗い方さえ気をつければ縮まずに水洗いできますよ。
ウールといっても何からできているのか、正しく知らない方もいるかもしれませんね。 ウールの原料について解説します。
ウールとは、羊毛を原料にしてつくられる素材です。羊の種類に関係なく、羊の毛を使っているものをすべてウールといいます。 羊のなかでもメリノ種という種類からとれたものをメリノウールといい、衣類に多く使われる品種です。ほかのウールと比べると繊維が細いのでチクチク感が少なく、保温性が高いというメリットがあります。
「ウール」と「毛」の2種類の洗濯表示には違いがあります。
表示法では羊毛を「ウール」と表記し、羊毛も含めた動物繊維すべてを「毛」と表記します。「毛」と表記してあるものに化学繊維は含まれませんが、何の動物繊維を使っているかまでは分かりません。
羊毛以外にもさまざまな動物繊維があります。
アンゴラ
アンゴラウサギの毛で、細く柔らかいのでなめらかな肌触りです。重さはウールの3分の1で暖かさは3倍といわれています。
モヘヤ
アンゴラヤギの毛が原料で、毛足が長く絹のような光沢があります。耐久性に優れています。
カシミヤ
毛足が長く細いカシミヤヤギの毛です。柔らかく繊細で光沢があります。一頭から取れる量が少ないので高級な素材とされています。
アルパカ
アルパカの毛はモコモコ感があるものと、柔らかく光沢があるものの2種類に分かれます。ウールよりも暖かく、丈夫で縮みにくい特徴があります。
ウールは洗い方さえ間違えなければ水洗いができます。手洗いと洗濯機で洗う方法を紹介します。
ウールの衣類を失敗せずに洗いたいなら手洗いがおすすめです。洗濯機より摩擦が少なく縮むリスクを防げます。
<畳み>
衣類を網の目が細かいネットに畳んで入れます。汚れやすい袖口や襟が外側になるように畳み、ネットの大きさが余らないようぴったりに入れるのがポイントです。ネットより小さく畳むと中で動いて生地が傷みやすくなります。
<洗い>
洗面台や洗面器に30度程度のぬるま湯を入れて、中性洗剤を溶かしてから衣類を浸します。こすったりゆらしたりしてはいけません。畳んだ衣類の形が崩れないようそっと手で持ち上げて、また浸すという行動を繰り返します。衣類の厚さにもよりますが、5~10回程度繰り返し、繊維に十分に洗剤液が染みわたればOKです。
<1回目のすすぎ>
優しく手で押して脱水するか、洗濯機のドライコースで30~60秒程脱水をして、綺麗な水ですすぎをします。洗いのときと同じで、衣類を持ち上げてまた浸し水にくぐらせる行動を繰り返します。
<2回目のすすぎ>
1回目のすすぎのあとに、また脱水にかけてから2回目のすすぎに入ります。柔軟剤かウールの仕上げ材を入れてすすぎます。
<脱水>
洗濯機で2~3分程の脱水をします。ドライコースで30~60秒回したら一度止め、形を整えてまた30~60秒回します。3分脱水をする場合も一度に3分回さず、数十秒ごとに止めて形を整えながら回すのが傷まないコツです.
洗濯機でもウールは洗えますが、手洗いに比べて摩擦が多いため、縮みが起きやすく注意が必要です。
必ずドライコースやオシャレ着洗いコースといった優しく洗えるコースを使いましょう。ただし、それでも摩擦は完全には防げません。洗いの時間を短く設定して、衣類に対して水を多く入れるなど摩擦を減らす工夫をします。
乾燥機にかけるのは縮みの原因になるので禁止です。
手洗いに比べて手間がかからないのがメリットですが、失敗のリスクが高くなるのを理解して行いましょう。動物繊維のなかでも繊細なカシミヤやアンゴラなどにはおすすめしません。
ウールを失敗なく洗うために、成功のポイントとやってはいけないNG行動を見ていきましょう。
干すまえに形を見て、縮んでいる箇所があれば手で優しく伸ばしながら形を整えます。縫い目は一番縮みやすい箇所なので、生地が傷まないようそっと伸ばしてから干しましょう。
型崩れを防ぐには平干しがおすすめですが、スペースがない場合はハンガーを2本使います.1本のハンガーに服をかけたら、もう1本のハンガーには両袖をかけます。両腕を前にいる人の肩に乗せているようなポーズですね。重力を分散させて型崩れ防止になります。
ウールの洗濯にはアクロンやエマールのような中性洗剤を使いましょう。ウール専用の洗剤もあり、ウールに特化しているのでこちらもおすすめです。柔軟剤もウール用の仕上げ材を使うと、繊維の絡まりを防いでなめらかに仕上がります。
ウール専用の仕上げ材がないときは、ヘアトリートメントでも代用できます。「ジメチコン」という成分が入っているトリートメントを選んでください。ジメチコンには種類があり、「ジメチコノール」や「アモジメチコン」など、商品によって名前はさまざまです。
ジメチコンは髪のキューティクルをコーティングして、絡まりやきしみから守ってくれます。ウールも動物の毛なのでキューティクルを保護することで、繊維同士の絡まりを防いで縮みが起こらなくなります。
ウールは着るたびに洗う必要はありません。はっ水効果があり汚れも寄せつけないので、ほかの素材のように毎回洗わなくてよいのです。
見た目の汚れや匂いが気になった頃を洗う目安として、シーズン終わりの片付けまえにも洗うようにしましょう。 着るたびに洗うと傷むので、大事な衣類を長く愛用できるよう洗濯の頻度は控えめにします。
まずは水洗いができるかを洗濯表示で確認しましょう。「水洗い不可」のものは水に弱い衣類なので水洗いはできません。
売られているウール衣類のほとんどに「水洗い不可」の表示が付いているのが現状です。しかし実際のところ、水洗いしても問題ないウールも多いです。繊維の絡まりに気をつければ洗えますが、成功の保証はないので自己責任となります。
まれに水洗いで色落ちが起こることがあります。洗濯のまえに色落ちの確認をすると安心ですね。
目立たない脇の下などを一部濡らして、5分以上おいてから不要な白い布を濡れた箇所に押しつけてみます。これで色が布に移るようなら色落ちする衣類なので、水洗いは控えたほうがよいです。
綺麗に洗おうとして、こすり洗いをするのは絶対にやめましょう。摩擦が起きれば繊維同士が絡み合って縮みの原因になります。ウールの洗濯のときに一番気をつけてほしいところです。
熱すぎるお湯で洗うとウールは縮みやすくなります。逆に冷たい水だと汚れは落ちにくいので、30度くらいが適温です。
30度というとかなりぬるめで、「水とお湯の中間」、「水に近いお湯」といった感覚でしょうか。温度計がない場合は手を入れてみてぬるいと感じる程度に調整しましょう。
縮んでしまった部分を手で伸ばしながら、スチームアイロンの蒸気を当てます。熱い蒸気が、絡み合った繊維をほどきながら元に戻してくれます。
戻したいサイズに合わせた型紙を作り、型紙を入れて伸ばした状態で蒸気を当てると、火傷を防げて安全です。手で引き伸ばしながら蒸気を当てるときは、火傷に注意しましょう。
ウールは着用後のお手入れをするだけで清潔に保てて、長く愛用できます。そのためのお手入れ方法を4つ紹介します。
着たあとは専用ブラシで優しくブラッシングをしましょう。埃を払い落とし、着用によってこすれて絡まった繊維をほぐしてあげるためです。
埃を払い落しておくだけで汚れの付着が防げます。また、毛並みが整えられて毛玉予防にもなります。
柔らかい馬毛でできた衣類用の専用ブラシを1本持っておくのがおすすめです。
脱いだあとはすぐにしまわずに、ハンガーに吊るして湿気を飛ばすようにしましょう。着ている間は自覚がなくても多少の汗はかいているものです。
ウールはすぐに湿気が放出されるので、1~2時間程度吊るしておけば十分です。こうすることで洗わなくても清潔に保てます。
毛玉はハサミで取り除きましょう。手で引っ張ると繊維が絡まり、新たな毛玉の原因になるのでハサミで切るようにします。
シミが付いてしまった場合にはすぐに対処しましょう。ウールは汚れをはじくので、液体などをこぼした直後なら、繊維に染み込むまえに布やティッシュを軽く押し当てれば綺麗に落ちます。
時間が経ってしまったあとなら、シミ取り剤をピンポイントで付けて、布で叩くようにして汚れを落とします。
シワのできにくい素材ですが、パンツやスカートなどには付いてしまうこともあるでしょう。直接アイロンを当てずに、スチームアイロンの蒸気を当ててシワを伸ばします。蒸気を当てたあとしばらくはハンガーにかけ、湿気を飛ばしてからしまいましょう。
ウールを長期間使わずに保管するときは、虫食いに注意しましょう。人工でできた化学繊維とは違い、ウールは天然の繊維なので保管中に虫に食われやすいです。ウールの弱点ともいえますね。
虫食いを防いで綺麗な状態で保管するためには、一度しか着ていなくても必ず洗濯をします。乾いたら毛並みを整えるためにブラッシングをするのがおすすめです。
繊維が傷んだり湿気がこもったりしないよう、詰め込みすぎずに余裕をもたせて収納するとよいです。収納ケースはできればプラスチックは避け、不織布などの通気性のよいものを使います。最後に防カビ・防虫剤を忘れずに入れましょう。
モンゴルの民族衣装「デール」から着想したユニセックスで使えるコート。この素材感と温かさはウール100%ならでは。
高品質なメリノ種の羊の毛(メリノウール)を使用しているためチクチクしないさらっとした素材感のストール。 伸縮性があり大判なサイズ感も嬉しいポイント。コーディネートしやすい色展開。
さりげなく遊牧民感が漂うデザインなストール。 ウールと綿のジャカードに太いスラブ糸で手刺しゅうが施されている。
軽い素材感で肌触りもよいチェックのストール。
この記事ではウールの特徴と失敗しない洗い方について解説しました。
クリーニングは油性の汚れしか落ちませんが、家で水洗いをすれば油性・水性の両方の汚れを落とせます。型崩れが心配なコートやスーツなどはクリーニングに出し、ニット類は家で洗うなど分けてもよいでしょう。 最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れればかんたんです。
以前は筆者も、汚れをよく落とそうと衣類を強めに洗ったり、乾きを早くしようと脱水を長めにかけてしまい縮んだことがあります。
手順が頭に入るまではこの記事を見ながらチャレンジして、あなたもウール洗いの達人になりましょう。
「ウールをクリーニングに出さずに家で洗いたい」という方もいるのではないでしょうか?
さまざまな衣類に使われているウールは、ニットやスーツの洋服だけでなく、帽子や靴下、肌着などにも使用されています。ウールは水洗いすると縮むといわれますが、繊維の特徴を知ってポイントさえ抑えれば家でも洗えます。
この記事ではウールの洗濯で失敗しないためのポイントや洗い方、ウールの特徴などを紹介します。
最後まで読んでウール洗いを得意にしましょう。
目次
知っておきたいウール素材の特徴6つ
ウールはよく目にする素材ですが、どんな特徴があるのでしょうか。特徴を知れば洗濯のコツや、手入れが必要な理由も分かります。
1.吸湿性と速乾性がある
ウールは吸湿性と速乾性の両方をあわせもつ素材です。
ウールの吸湿性はコットンの2倍、ポリエステルの40倍にもなります。化学繊維の糸と違って、ウールは繊維の糸そのものが水分を吸ってくれるのです。吸った水分を外に放出する効果も高いため、速乾性にも優れています。
汗をかいても繊維が湿気を吸い取り外へ逃がすので、衣類の中が蒸れずに保てます。快適に過ごせる素材といえますね。
2.保温性が高い
ウールは化学繊維よりも保温性が高いです。繊維が縮れて表面がうろこ状の構造をしているため、空気の層ができて暖かい空気をため込んでくれるのです。
外の気温にも左右されにくく、衣類の中の温度を一定に保ってくれます。冬の冷たい外気も夏の暑い外気も遮断するので、気温差が激しく過酷な環境で過ごす登山では、オールシーズン使われています。
3.はっ水性があって汚れにくい
吸湿性があるのにはっ水性もあるという、不思議な2面性をもつ素材です。繊維の中に細かい蒸気の湿気は吸い込みますが、大きな水滴は弾いてくれます。実際にウール製品に水滴を垂らしてみると、吸い込まずに転がっていくのが分かります。
動物の毛が雨を弾いて体を守るようにできているためです。このはっ水性のおかげで汚れが付きにくいというメリットもあります。
4.シワと毛玉が付きにくい
ウールはシワと毛玉ができにくいのも特徴です。
ウールは弾力があるので畳んだままでもシワはほとんどできず、多少あったとしてもすぐに消えます。毛玉はほかの素材に比べてできにくく、化学繊維と違って生地に残らず自然に脱落します。
5.伸縮性があり燃えにくい
ウールは繊維の縮れのおかげで伸縮性があり、動いても快適に過ごせます。
さらに燃えにくいという特徴もあり、火が付いても表面が少し黒くなるだけですぐに鎮火します。発火温度が約600度と高温で、繊維の中に窒素や水分を含んでいるためです。
火を扱うような場所では燃え広がる危険を減らせますね.
6.水洗いで縮んで固くなる
ウールは水に弱く、水洗いをすると縮んでしまうことがあります。水に濡れるとうろこ状の繊維の表面が開いて、絡みやすい状態になります。この状態で摩擦を起こすと繊維が絡み合い、縮んで固くなってしまうのです。こするほどに目の詰まったフェルト状になっていきます。
ただし、洗い方さえ気をつければ縮まずに水洗いできますよ。
ウールは何の素材?
ウールといっても何からできているのか、正しく知らない方もいるかもしれませんね。
ウールの原料について解説します。
ウール=羊毛
ウールとは、羊毛を原料にしてつくられる素材です。羊の種類に関係なく、羊の毛を使っているものをすべてウールといいます。
羊のなかでもメリノ種という種類からとれたものをメリノウールといい、衣類に多く使われる品種です。ほかのウールと比べると繊維が細いのでチクチク感が少なく、保温性が高いというメリットがあります。
洗濯表示の「ウール」と「毛」の違い
「ウール」と「毛」の2種類の洗濯表示には違いがあります。
表示法では羊毛を「ウール」と表記し、羊毛も含めた動物繊維すべてを「毛」と表記します。「毛」と表記してあるものに化学繊維は含まれませんが、何の動物繊維を使っているかまでは分かりません。
羊毛以外の代表的な動物繊維
羊毛以外にもさまざまな動物繊維があります。
アンゴラ
アンゴラウサギの毛で、細く柔らかいのでなめらかな肌触りです。重さはウールの3分の1で暖かさは3倍といわれています。
モヘヤ
アンゴラヤギの毛が原料で、毛足が長く絹のような光沢があります。耐久性に優れています。
カシミヤ
毛足が長く細いカシミヤヤギの毛です。柔らかく繊細で光沢があります。一頭から取れる量が少ないので高級な素材とされています。
アルパカ
アルパカの毛はモコモコ感があるものと、柔らかく光沢があるものの2種類に分かれます。ウールよりも暖かく、丈夫で縮みにくい特徴があります。
失敗しないウールの洗い方 【手洗い編】と【洗濯機編】
ウールは洗い方さえ間違えなければ水洗いができます。手洗いと洗濯機で洗う方法を紹介します。
【手洗い編】 ウールは手洗いがおすすめ
ウールの衣類を失敗せずに洗いたいなら手洗いがおすすめです。洗濯機より摩擦が少なく縮むリスクを防げます。
<畳み>
衣類を網の目が細かいネットに畳んで入れます。汚れやすい袖口や襟が外側になるように畳み、ネットの大きさが余らないようぴったりに入れるのがポイントです。ネットより小さく畳むと中で動いて生地が傷みやすくなります。
<洗い>
洗面台や洗面器に30度程度のぬるま湯を入れて、中性洗剤を溶かしてから衣類を浸します。こすったりゆらしたりしてはいけません。畳んだ衣類の形が崩れないようそっと手で持ち上げて、また浸すという行動を繰り返します。衣類の厚さにもよりますが、5~10回程度繰り返し、繊維に十分に洗剤液が染みわたればOKです。
<1回目のすすぎ>
優しく手で押して脱水するか、洗濯機のドライコースで30~60秒程脱水をして、綺麗な水ですすぎをします。洗いのときと同じで、衣類を持ち上げてまた浸し水にくぐらせる行動を繰り返します。
<2回目のすすぎ>
1回目のすすぎのあとに、また脱水にかけてから2回目のすすぎに入ります。柔軟剤かウールの仕上げ材を入れてすすぎます。
<脱水>
洗濯機で2~3分程の脱水をします。ドライコースで30~60秒回したら一度止め、形を整えてまた30~60秒回します。3分脱水をする場合も一度に3分回さず、数十秒ごとに止めて形を整えながら回すのが傷まないコツです.
【洗濯機編】 洗濯機でのウール洗いは注意が必要
洗濯機でもウールは洗えますが、手洗いに比べて摩擦が多いため、縮みが起きやすく注意が必要です。
必ずドライコースやオシャレ着洗いコースといった優しく洗えるコースを使いましょう。ただし、それでも摩擦は完全には防げません。洗いの時間を短く設定して、衣類に対して水を多く入れるなど摩擦を減らす工夫をします。
乾燥機にかけるのは縮みの原因になるので禁止です。
手洗いに比べて手間がかからないのがメリットですが、失敗のリスクが高くなるのを理解して行いましょう。動物繊維のなかでも繊細なカシミヤやアンゴラなどにはおすすめしません。
ウール洗濯のポイントと注意点7つ
ウールを失敗なく洗うために、成功のポイントとやってはいけないNG行動を見ていきましょう。
1.縮みと型崩れを防ぐ干し方
干すまえに形を見て、縮んでいる箇所があれば手で優しく伸ばしながら形を整えます。縫い目は一番縮みやすい箇所なので、生地が傷まないようそっと伸ばしてから干しましょう。
型崩れを防ぐには平干しがおすすめですが、スペースがない場合はハンガーを2本使います.1本のハンガーに服をかけたら、もう1本のハンガーには両袖をかけます。両腕を前にいる人の肩に乗せているようなポーズですね。重力を分散させて型崩れ防止になります。
2.ウールに合った洗剤選びが大切
ウールの洗濯にはアクロンやエマールのような中性洗剤を使いましょう。ウール専用の洗剤もあり、ウールに特化しているのでこちらもおすすめです。柔軟剤もウール用の仕上げ材を使うと、繊維の絡まりを防いでなめらかに仕上がります。
ウール専用の仕上げ材がないときは、ヘアトリートメントでも代用できます。「ジメチコン」という成分が入っているトリートメントを選んでください。ジメチコンには種類があり、「ジメチコノール」や「アモジメチコン」など、商品によって名前はさまざまです。
ジメチコンは髪のキューティクルをコーティングして、絡まりやきしみから守ってくれます。ウールも動物の毛なのでキューティクルを保護することで、繊維同士の絡まりを防いで縮みが起こらなくなります。
3.数回着てから洗濯
ウールは着るたびに洗う必要はありません。はっ水効果があり汚れも寄せつけないので、ほかの素材のように毎回洗わなくてよいのです。
見た目の汚れや匂いが気になった頃を洗う目安として、シーズン終わりの片付けまえにも洗うようにしましょう。
着るたびに洗うと傷むので、大事な衣類を長く愛用できるよう洗濯の頻度は控えめにします。
4.洗うまえに洗濯表示を確認
まずは水洗いができるかを洗濯表示で確認しましょう。「水洗い不可」のものは水に弱い衣類なので水洗いはできません。
売られているウール衣類のほとんどに「水洗い不可」の表示が付いているのが現状です。しかし実際のところ、水洗いしても問題ないウールも多いです。繊維の絡まりに気をつければ洗えますが、成功の保証はないので自己責任となります。
5.色落ちに注意
まれに水洗いで色落ちが起こることがあります。洗濯のまえに色落ちの確認をすると安心ですね。
目立たない脇の下などを一部濡らして、5分以上おいてから不要な白い布を濡れた箇所に押しつけてみます。これで色が布に移るようなら色落ちする衣類なので、水洗いは控えたほうがよいです。
6.ゴシゴシこするのはNG
綺麗に洗おうとして、こすり洗いをするのは絶対にやめましょう。摩擦が起きれば繊維同士が絡み合って縮みの原因になります。ウールの洗濯のときに一番気をつけてほしいところです。
7.熱いお湯はウールの大敵
熱すぎるお湯で洗うとウールは縮みやすくなります。逆に冷たい水だと汚れは落ちにくいので、30度くらいが適温です。
30度というとかなりぬるめで、「水とお湯の中間」、「水に近いお湯」といった感覚でしょうか。温度計がない場合は手を入れてみてぬるいと感じる程度に調整しましょう。
縮んでしまったときの対処法
縮んでしまった部分を手で伸ばしながら、スチームアイロンの蒸気を当てます。熱い蒸気が、絡み合った繊維をほどきながら元に戻してくれます。
戻したいサイズに合わせた型紙を作り、型紙を入れて伸ばした状態で蒸気を当てると、火傷を防げて安全です。手で引き伸ばしながら蒸気を当てるときは、火傷に注意しましょう。
ウールを綺麗に保つ日常のお手入れ4つ
ウールは着用後のお手入れをするだけで清潔に保てて、長く愛用できます。そのためのお手入れ方法を4つ紹介します。
1.着用後はブラッシングをする
着たあとは専用ブラシで優しくブラッシングをしましょう。埃を払い落とし、着用によってこすれて絡まった繊維をほぐしてあげるためです。
埃を払い落しておくだけで汚れの付着が防げます。また、毛並みが整えられて毛玉予防にもなります。
柔らかい馬毛でできた衣類用の専用ブラシを1本持っておくのがおすすめです。
2.着用後は湿気を飛ばす
脱いだあとはすぐにしまわずに、ハンガーに吊るして湿気を飛ばすようにしましょう。着ている間は自覚がなくても多少の汗はかいているものです。
ウールはすぐに湿気が放出されるので、1~2時間程度吊るしておけば十分です。こうすることで洗わなくても清潔に保てます。
3.毛玉やシミを取り除く
毛玉はハサミで取り除きましょう。手で引っ張ると繊維が絡まり、新たな毛玉の原因になるのでハサミで切るようにします。
シミが付いてしまった場合にはすぐに対処しましょう。ウールは汚れをはじくので、液体などをこぼした直後なら、繊維に染み込むまえに布やティッシュを軽く押し当てれば綺麗に落ちます。
時間が経ってしまったあとなら、シミ取り剤をピンポイントで付けて、布で叩くようにして汚れを落とします。
4.シワはアイロンの蒸気で伸ばす
シワのできにくい素材ですが、パンツやスカートなどには付いてしまうこともあるでしょう。直接アイロンを当てずに、スチームアイロンの蒸気を当ててシワを伸ばします。蒸気を当てたあとしばらくはハンガーにかけ、湿気を飛ばしてからしまいましょう。
ウールの正しい長期保管のポイント
ウールを長期間使わずに保管するときは、虫食いに注意しましょう。人工でできた化学繊維とは違い、ウールは天然の繊維なので保管中に虫に食われやすいです。ウールの弱点ともいえますね。
虫食いを防いで綺麗な状態で保管するためには、一度しか着ていなくても必ず洗濯をします。乾いたら毛並みを整えるためにブラッシングをするのがおすすめです。
繊維が傷んだり湿気がこもったりしないよう、詰め込みすぎずに余裕をもたせて収納するとよいです。収納ケースはできればプラスチックは避け、不織布などの通気性のよいものを使います。最後に防カビ・防虫剤を忘れずに入れましょう。
冬の季節を楽しむウール素材
モンゴルの民族衣装「デール」から着想したユニセックスで使えるコート。この素材感と温かさはウール100%ならでは。
高品質なメリノ種の羊の毛(メリノウール)を使用しているためチクチクしないさらっとした素材感のストール。
伸縮性があり大判なサイズ感も嬉しいポイント。コーディネートしやすい色展開。
さりげなく遊牧民感が漂うデザインなストール。
ウールと綿のジャカードに太いスラブ糸で手刺しゅうが施されている。
軽い素材感で肌触りもよいチェックのストール。
洗濯のポイントを抑えてウール洗いの達人へ
この記事ではウールの特徴と失敗しない洗い方について解説しました。
クリーニングは油性の汚れしか落ちませんが、家で水洗いをすれば油性・水性の両方の汚れを落とせます。型崩れが心配なコートやスーツなどはクリーニングに出し、ニット類は家で洗うなど分けてもよいでしょう。
最初は難しく感じるかもしれませんが、慣れればかんたんです。
以前は筆者も、汚れをよく落とそうと衣類を強めに洗ったり、乾きを早くしようと脱水を長めにかけてしまい縮んだことがあります。
手順が頭に入るまではこの記事を見ながらチャレンジして、あなたもウール洗いの達人になりましょう。