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毎年春と秋にやってくる『お彼岸』は、ご先祖様に感謝の気持ちをお伝えし、お墓参りをする習慣として日本に根づいています。
でも、どうして「春分の日」と「秋分の日」、ふたつの時期に行われるのか?お供えにはマナーがあるのか?など、知っているようで知らないことも多いはず。
このコラムでは『お彼岸』の気になるあれこれを解説しています。ぜひ最後まで読んで、理解を深めていただければ幸いです。
現代日本においてのお彼岸は春と秋の年2回。それぞれ春分の日、秋分の日を挟んだ1週間のことをさします。ちょうど真ん中の4日目を中日(ちゅうにち)と呼び、この日をお彼岸という場合もありますので注意しましょう。 一般的にお彼岸とはある1日をさす言葉ではなく、1週間という期間をさします。
ただ、そういった習慣が定着したのは江戸時代の中期頃からで、それ以前は『六波羅蜜(ろくはらみつ)』と呼ばれる簡略化された仏教修行の期間だったそうです。
『彼岸(ひがん)』とは、厳しい修行を行い涅槃(ねはん)と呼ばれる仏の境地にたどり着いた者のみが住むことを許される『向こう岸』の世界のこと。仏教用語で、あの世にあるという極楽や浄土のことを意味しています。
語源は、インドのサンスクリット語で『パーラミター(波羅蜜多)』という言葉を、仏教伝来の経由地となった中国で漢語に意訳した『到彼岸(とうひがん)』の略からきています。 『パーラミター』は『悟りの世界』ともいわれ、修業という激流の大河で隔てられた『向こう岸』にある、煩悩のない世界だといわれています。 対して、私たちが住んでいる迷いや煩悩に穢されたこの世は『此岸(しがん)』といいます。
実はお彼岸は、単にお墓参りをする時期ではなく善行を積む修行の時期とされています。 ではなぜ日本のお彼岸は、今のような形になったのでしょうか。
お彼岸の中日である春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。
仏教において『西』は特別な存在。そのため、仏教徒は真西に太陽が沈むお彼岸の時期に修行を積み、向こう岸に至ることを目指すのです。
またこの時期は、一年で最も極楽浄土が近づくときだと考えられています。 この考えと、古来より日本にあったご先祖様を敬い供養するという習慣が合わさり、次第にお彼岸の時期にご先祖様の供養やお墓参りが行われるようになっていったのです。
阿弥陀経を始めとして、複数の経典の中に『極楽は西にある』と書かれています。 また、いくつもの異名を持つお釈迦様ですが、その一つに『西路を指授された方(さいろをしじゅされたかた)』という呼び方があります。 極楽浄土がある西にむかって進み、幸せになりなさいという教えで、仏教を象徴する言葉だということです。
年2回、それぞれ「春分の日」・「秋分の日」を真ん中の日として、前後を合わせた計7日間がお彼岸と呼ばれます。
■春のお彼岸
■秋のお彼岸
お彼岸の基準日となる春分の日と秋分の日ですが、実は毎年同じ日になるとは限らないということをご存知ですか?
一年は365日といわれていますが、実際は地球の公転に365日と6時間かかっていて、そのズレを正すために閏年が発生します。 それと同じ原理で、春分の日と秋分の日も変動する場合があるのです。
毎年太陽の動きに合わせて国立天文台が定めており、前年の2月1日に「暦要項」が官報に掲載され、正式にその年の春分の日と秋分の日が決定されます。
お彼岸にお供えはつき物です。 自宅や実家の場合、他家にお供えする場合で多少の違いは出てきますが、最も大切なのはなんといっても気持ちです。 ご先祖様や故人への思いはもちろんのこと、訪問先への気遣いも含まれると思います。
それらを踏まえて、自宅でのお供え、他家へのお供えについて解説していきます。
仏教には『香・花・灯明・浄水・飲食』の5つのお供えを大切にする、五供(ごく)という考え方があります。
これに基づき、ご自宅のお仏壇へは『お線香・お花・ローソク・お水・お茶・食べ物』をお供えするのが一般的。
代表的な食べ物のお供えは、春なら『ぼたもち』秋なら『おはぎ』が有名ですが、お彼岸団子・季節の果物・精進料理・故人の好物・故人が好きだったお花なども、気持ちがこもった素敵なお供え物です。
季節の果物は『高杯(たかつき)』や『盛器(もりき)』とよばれるお供え用の器があればそれに盛るのが良いとされます。 お彼岸期間にお供えしても問題ないよう、日持ちするものがおすすめです。
逆にお供えができないものは、殺生を連想させる肉や魚類や、仏教的に禁忌(きんき)とされているアルコール類やニオイのキツイ食べ物(ニンニク・ニラなど)など。
また、トゲがあったりニオイのキツイお花も避けるべきだといわれています。 こちらについては、後半で詳しく解説していきます。
お彼岸のお供えとして定番の『ほたもち』と『おはぎ』ですが、どうしてお供えに良いとされているかご存知でしょうか?
諸説ありますが、あんこの原料である小豆の赤には、邪気を払う効果があるといわれています。 さらに、昔の砂糖は価値の高いものでしたので、そういったものでご先祖様に感謝の気持ちを伝えていたということです。
初彼岸を迎えるご家庭など、他家にお供えを持参することもあると思います。
基本的には、お彼岸の期間中であればいつ訪問しても問題ないのですが、先方にも用意がありますので、訪問する日時は事前に伝えておきましょう。 また、お彼岸の期間に訪問することが難しい場合は、お彼岸前に訪問するのが一般的です。
持参するお供えは、日持ちする物・小分けしやすい物が好まれます。
例えば、五供の考え方にも添う進物線香やローソク。 お菓子も小分けにできて日持する物の中から、相手の家庭に応じて和菓子・洋菓子を選択されるといいと思います。 ジュースや缶詰、そうめんも人気のようですよ。
お花も他家へのお供えとして定番です。 季節のお花や、故人が好きだったお花の入ったお供え用のアレンジメントが喜ばれるでしょう。
お供物料として現金をお包みするときは、地域や家庭によって様々な考え方があるため、周囲の人に確認してからにすることをおすすめします。
親しき中にも礼儀あり。 お彼岸の期間中に実家にお参りにいく場合、家族であっても手ぶらという訳にはいかないですよね。
ルールなどは他家へのお供えと特に違いはありません。状況に応じ、故人の好みに合った喜んでもらえる物をお供えして、お仏壇やお墓に手を合わせてください。
お供えに、相場というものはあるのでしょうか? 一般的には3,000~5,000円が相場とされています。
お供え品と香典(現金)を持参するときは、総額で5,000円に収まる程度が良いとされ、生前とくにお世話になった方への相場は、5,000~10,000円と、少し高めの金額が一般的です。
しかし、あまりも高額過ぎると相手も負担に感じてしまうため、相場を踏まえた金額に収めるのが仏事のマナーともいえます。
自宅や他家、お墓参りのとき、お供えとして避けた方がいい物があります。
です。 それぞれに理由がありますので、確認しておきましょう。
『四つ足生臭』とは、四足歩行をする動物の肉や、生魚のことをさします。
肉や魚が大好きだった、という人は非常に多いとは思うのですが、これらは避けて選びましょう。 また、生ものは痛むのも早く、お供えには向きません。
最近ではお寿司の形をしたローソクなどが売られていたりしますので、本物の代わりにそういったものをお供えする方も増えているようです。
『五辛』とは、『五葷(ごくん)』とも呼ばれ、五種類の辛味や臭気の強い野菜をさします。 ニンニク・ネギ・ニラ・らっきょう・はじかみ(生姜・山椒)のことで、宗派によってはタマネギも含まれるということです。
仏教の考え方として、強いニオイのするもの、辛味のあるものは修業の妨げになるとされています。
また、仏様は香りを召し上がるとされていて、強いニオイは、それを妨げてしまうため避けた方が良いといわれます。
お花にもお供えにむかない種類が存在します。
これらの花は避けた方が良いとされています。
トゲは殺生をイメージさせるため、仏教では避けられる傾向にあります。 仏様に毒を盛る訳にはいきませんので、彼岸花やトリカブトなど毒性のある花はやめておきましょう。
また、すぐに傷んで散ってしまう花も避けるようにしましょう。 縁起が悪いうえ、散った花びらで仏壇や部屋を汚してしまう原因になります。
仏教では、基本的にアルコール類は禁止です。 よく、戒律(かいりつ)という言葉を耳にしますよね。守った方がよい『戒』・破ると罰のある『律』のうち、こちらは『戒』の方。悟りを得るための努力目標として、アルコール類が禁じられているのです。
日本以外の仏教国では、お坊さんが飲酒することは認められていませんが、日本にはお酒に寛容な文化があり、微妙なところです。
ご家庭のきまりなどがないか、確認しておくのが良いでしょう。
お彼岸のとき、訪問にしても郵送にしても、失礼にならないように知っておくべきマナーがあります。
香典袋・表書き・服装などの細かい点が気になりますね。 ここでは、基本的なことについて補足して解説します。
香典(現金)は『香典袋』か『不祝儀袋』を使うのがマナーです。 香典袋は、白無地か蓮の花が描かれた袋で、黒白か双銀結び切りの水引がついている物を選んでください。 西日本では地域によって、水引が黄白の場合もあります。
一般的な香典袋は、中袋と外包みに分かれており、中袋には金額や連絡先を、外包みには表書きをし、用途と贈り主を記入します。
香典袋を持ち歩くときは、袱紗(ふくさ)に包みます。 紫色の袱紗は、冠婚葬祭すべてに使用できるのでおすすめです。
表書きは、香典袋の外包みの上部中央に記載しましょう。 『御供物料』や『御仏前・御霊前』など、状況に応じて記し、その真下に贈り主の氏名をフルネームで記入しましょう。
中袋の表面には金額、裏面の左下には住所や氏名を記入します。 中袋がない場合は外包みの裏面でも問題ありません。
記入するときは、濃い墨の筆ペンを使用しましょう。
お彼岸に、お供えを持参してお参りする場合、当たり前ではありますが、必ず事前に連絡を取っておきましょう。 これは訪問する側・される側が気持ちよく過ごすために必要なことで、また、先方の都合が優先されることはいうまでもありません。
訪問する際の服装は、落ち着いた色のスーツやワンピースが望ましいでしょう。 お彼岸はお悔やみごとではないので、喪服を着る必要はありません。 派手な服装や露出の多い格好、殺生を連想させる皮製品も避けるようにしてください。
お彼岸の期間中、お供えを持参することがむずかしいときは郵送しても問題ありません。
郵送するときは、彼岸の入り、または中日までに届くように手配しましょう。 郵送した旨を先方にお知らせしておけば、受け取りもスムーズになります。
お供えに、お手紙を添えるときは『信書便』になります。郵便局や宅配業者には、「信書便で」と伝えてください。
また、現金を送るときは『現金書留』を利用しましょう。
お葬式のとき、よく香典返しという言葉を聞きます。 お彼岸や初彼岸(四十九日が過ぎて最初のお彼岸)のとき、お供えをいただいたら、お返しは絶対に必要なのでしょうか?
お彼岸でお供えをいただいたとき、お返しは基本的に必要ありません。
ただ、感謝の気持ちをお伝えするためや、地域によっては、いただいたお供えの3分の1~2分の1程度のお返しをしているところもあるようです。
日用消耗品のお茶・海苔・洗剤・カタログギフトなど、あとに残らない消えものが好まれています。
もしお返しをするときは、どのようなタイミングがいいのでしょうか。 基本的には以下がおすすめです。
お返しには『御礼』や『粗品・感謝』などの掛け紙を使用し、感謝の気持ちを伝えるメッセージを同封すれば、マナー的には完璧です。
日本人は、外国の文化や習慣に寛容です。日本に伝来した様々なものが、日本で独自の進化を遂げました。 仏教の『西方浄土』という考え方も、日本人のご先祖様を大切にする心と融合し、インドにも中国にもない『お彼岸』という習慣が誕生しています。
そんな『お彼岸』のあれこれについて解説してきましたが、マナーの再確認はできたでしょうか。 細かい部分もありますが、基本的に相手への気遣いから生まれたルールが主ですので、敬意と感謝の気持ちがあればむずかしいことはありません。
秋の『お彼岸』が、皆さんにとって、これまでより意義深いものになりますように!
毎年春と秋にやってくる『お彼岸』は、ご先祖様に感謝の気持ちをお伝えし、お墓参りをする習慣として日本に根づいています。
でも、どうして「春分の日」と「秋分の日」、ふたつの時期に行われるのか?お供えにはマナーがあるのか?など、知っているようで知らないことも多いはず。
このコラムでは『お彼岸』の気になるあれこれを解説しています。ぜひ最後まで読んで、理解を深めていただければ幸いです。
目次
『お彼岸』とは
現代日本においてのお彼岸は春と秋の年2回。それぞれ春分の日、秋分の日を挟んだ1週間のことをさします。ちょうど真ん中の4日目を中日(ちゅうにち)と呼び、この日をお彼岸という場合もありますので注意しましょう。
一般的にお彼岸とはある1日をさす言葉ではなく、1週間という期間をさします。
ただ、そういった習慣が定着したのは江戸時代の中期頃からで、それ以前は『六波羅蜜(ろくはらみつ)』と呼ばれる簡略化された仏教修行の期間だったそうです。
お彼岸の意味と語源
『彼岸(ひがん)』とは、厳しい修行を行い涅槃(ねはん)と呼ばれる仏の境地にたどり着いた者のみが住むことを許される『向こう岸』の世界のこと。仏教用語で、あの世にあるという極楽や浄土のことを意味しています。
語源は、インドのサンスクリット語で『パーラミター(波羅蜜多)』という言葉を、仏教伝来の経由地となった中国で漢語に意訳した『到彼岸(とうひがん)』の略からきています。
『パーラミター』は『悟りの世界』ともいわれ、修業という激流の大河で隔てられた『向こう岸』にある、煩悩のない世界だといわれています。
対して、私たちが住んでいる迷いや煩悩に穢されたこの世は『此岸(しがん)』といいます。
元は修行の期間?お彼岸が日本独自の習慣として定着した理由
実はお彼岸は、単にお墓参りをする時期ではなく善行を積む修行の時期とされています。
ではなぜ日本のお彼岸は、今のような形になったのでしょうか。
お彼岸の中日である春分の日と秋分の日は、太陽が真東から昇り、真西に沈みます。
仏教において『西』は特別な存在。そのため、仏教徒は真西に太陽が沈むお彼岸の時期に修行を積み、向こう岸に至ることを目指すのです。
またこの時期は、一年で最も極楽浄土が近づくときだと考えられています。
この考えと、古来より日本にあったご先祖様を敬い供養するという習慣が合わさり、次第にお彼岸の時期にご先祖様の供養やお墓参りが行われるようになっていったのです。
仏教における『西』の意味
阿弥陀経を始めとして、複数の経典の中に『極楽は西にある』と書かれています。
また、いくつもの異名を持つお釈迦様ですが、その一つに『西路を指授された方(さいろをしじゅされたかた)』という呼び方があります。
極楽浄土がある西にむかって進み、幸せになりなさいという教えで、仏教を象徴する言葉だということです。
2024年と2025年のお彼岸の日程は?
年2回、それぞれ「春分の日」・「秋分の日」を真ん中の日として、前後を合わせた計7日間がお彼岸と呼ばれます。
<2024年(令和6年)のお彼岸の期間>
■春のお彼岸
■秋のお彼岸
<2025年(令和7年)のお彼岸の期間>
■春のお彼岸
■秋のお彼岸
お彼岸の基準日となる春分の日と秋分の日ですが、実は毎年同じ日になるとは限らないということをご存知ですか?
一年は365日といわれていますが、実際は地球の公転に365日と6時間かかっていて、そのズレを正すために閏年が発生します。
それと同じ原理で、春分の日と秋分の日も変動する場合があるのです。
毎年太陽の動きに合わせて国立天文台が定めており、前年の2月1日に「暦要項」が官報に掲載され、正式にその年の春分の日と秋分の日が決定されます。
お彼岸に定番のお供えとその意味
お彼岸にお供えはつき物です。
自宅や実家の場合、他家にお供えする場合で多少の違いは出てきますが、最も大切なのはなんといっても気持ちです。
ご先祖様や故人への思いはもちろんのこと、訪問先への気遣いも含まれると思います。
それらを踏まえて、自宅でのお供え、他家へのお供えについて解説していきます。
自宅でのお供え
仏教には『香・花・灯明・浄水・飲食』の5つのお供えを大切にする、五供(ごく)という考え方があります。
これに基づき、ご自宅のお仏壇へは『お線香・お花・ローソク・お水・お茶・食べ物』をお供えするのが一般的。
代表的な食べ物のお供えは、春なら『ぼたもち』秋なら『おはぎ』が有名ですが、お彼岸団子・季節の果物・精進料理・故人の好物・故人が好きだったお花なども、気持ちがこもった素敵なお供え物です。
季節の果物は『高杯(たかつき)』や『盛器(もりき)』とよばれるお供え用の器があればそれに盛るのが良いとされます。
お彼岸期間にお供えしても問題ないよう、日持ちするものがおすすめです。
逆にお供えができないものは、殺生を連想させる肉や魚類や、仏教的に禁忌(きんき)とされているアルコール類やニオイのキツイ食べ物(ニンニク・ニラなど)など。
また、トゲがあったりニオイのキツイお花も避けるべきだといわれています。
こちらについては、後半で詳しく解説していきます。
『ぼたもち』と『おはぎ』について
お彼岸のお供えとして定番の『ほたもち』と『おはぎ』ですが、どうしてお供えに良いとされているかご存知でしょうか?
諸説ありますが、あんこの原料である小豆の赤には、邪気を払う効果があるといわれています。
さらに、昔の砂糖は価値の高いものでしたので、そういったものでご先祖様に感謝の気持ちを伝えていたということです。
他家へのお供え
初彼岸を迎えるご家庭など、他家にお供えを持参することもあると思います。
基本的には、お彼岸の期間中であればいつ訪問しても問題ないのですが、先方にも用意がありますので、訪問する日時は事前に伝えておきましょう。
また、お彼岸の期間に訪問することが難しい場合は、お彼岸前に訪問するのが一般的です。
持参するお供えは、日持ちする物・小分けしやすい物が好まれます。
例えば、五供の考え方にも添う進物線香やローソク。
お菓子も小分けにできて日持する物の中から、相手の家庭に応じて和菓子・洋菓子を選択されるといいと思います。
ジュースや缶詰、そうめんも人気のようですよ。
お花も他家へのお供えとして定番です。
季節のお花や、故人が好きだったお花の入ったお供え用のアレンジメントが喜ばれるでしょう。
お供物料として現金をお包みするときは、地域や家庭によって様々な考え方があるため、周囲の人に確認してからにすることをおすすめします。
実家へのお供え
親しき中にも礼儀あり。
お彼岸の期間中に実家にお参りにいく場合、家族であっても手ぶらという訳にはいかないですよね。
ルールなどは他家へのお供えと特に違いはありません。状況に応じ、故人の好みに合った喜んでもらえる物をお供えして、お仏壇やお墓に手を合わせてください。
お彼岸における『お供え』の相場
お供えに、相場というものはあるのでしょうか?
一般的には3,000~5,000円が相場とされています。
お供え品と香典(現金)を持参するときは、総額で5,000円に収まる程度が良いとされ、生前とくにお世話になった方への相場は、5,000~10,000円と、少し高めの金額が一般的です。
しかし、あまりも高額過ぎると相手も負担に感じてしまうため、相場を踏まえた金額に収めるのが仏事のマナーともいえます。
お彼岸のお供えに避けるべき物とその理由
自宅や他家、お墓参りのとき、お供えとして避けた方がいい物があります。
です。
それぞれに理由がありますので、確認しておきましょう。
生もの
『四つ足生臭』とは、四足歩行をする動物の肉や、生魚のことをさします。
肉や魚が大好きだった、という人は非常に多いとは思うのですが、これらは避けて選びましょう。
また、生ものは痛むのも早く、お供えには向きません。
最近ではお寿司の形をしたローソクなどが売られていたりしますので、本物の代わりにそういったものをお供えする方も増えているようです。
五辛
『五辛』とは、『五葷(ごくん)』とも呼ばれ、五種類の辛味や臭気の強い野菜をさします。
ニンニク・ネギ・ニラ・らっきょう・はじかみ(生姜・山椒)のことで、宗派によってはタマネギも含まれるということです。
仏教の考え方として、強いニオイのするもの、辛味のあるものは修業の妨げになるとされています。
また、仏様は香りを召し上がるとされていて、強いニオイは、それを妨げてしまうため避けた方が良いといわれます。
お供えにふさわしくない花
お花にもお供えにむかない種類が存在します。
これらの花は避けた方が良いとされています。
トゲは殺生をイメージさせるため、仏教では避けられる傾向にあります。
仏様に毒を盛る訳にはいきませんので、彼岸花やトリカブトなど毒性のある花はやめておきましょう。
また、すぐに傷んで散ってしまう花も避けるようにしましょう。
縁起が悪いうえ、散った花びらで仏壇や部屋を汚してしまう原因になります。
アルコール類
仏教では、基本的にアルコール類は禁止です。
よく、戒律(かいりつ)という言葉を耳にしますよね。守った方がよい『戒』・破ると罰のある『律』のうち、こちらは『戒』の方。悟りを得るための努力目標として、アルコール類が禁じられているのです。
日本以外の仏教国では、お坊さんが飲酒することは認められていませんが、日本にはお酒に寛容な文化があり、微妙なところです。
ご家庭のきまりなどがないか、確認しておくのが良いでしょう。
お彼岸にお供えをするときの細かいマナー
お彼岸のとき、訪問にしても郵送にしても、失礼にならないように知っておくべきマナーがあります。
香典袋・表書き・服装などの細かい点が気になりますね。
ここでは、基本的なことについて補足して解説します。
香典袋の選び方・表書き
香典(現金)は『香典袋』か『不祝儀袋』を使うのがマナーです。
香典袋は、白無地か蓮の花が描かれた袋で、黒白か双銀結び切りの水引がついている物を選んでください。
西日本では地域によって、水引が黄白の場合もあります。
一般的な香典袋は、中袋と外包みに分かれており、中袋には金額や連絡先を、外包みには表書きをし、用途と贈り主を記入します。
香典袋を持ち歩くときは、袱紗(ふくさ)に包みます。
紫色の袱紗は、冠婚葬祭すべてに使用できるのでおすすめです。
書き方
表書きは、香典袋の外包みの上部中央に記載しましょう。
『御供物料』や『御仏前・御霊前』など、状況に応じて記し、その真下に贈り主の氏名をフルネームで記入しましょう。
中袋の表面には金額、裏面の左下には住所や氏名を記入します。
中袋がない場合は外包みの裏面でも問題ありません。
記入するときは、濃い墨の筆ペンを使用しましょう。
お彼岸に他家を訪問するときの注意点
お彼岸に、お供えを持参してお参りする場合、当たり前ではありますが、必ず事前に連絡を取っておきましょう。
これは訪問する側・される側が気持ちよく過ごすために必要なことで、また、先方の都合が優先されることはいうまでもありません。
訪問する際の服装は、落ち着いた色のスーツやワンピースが望ましいでしょう。
お彼岸はお悔やみごとではないので、喪服を着る必要はありません。
派手な服装や露出の多い格好、殺生を連想させる皮製品も避けるようにしてください。
お供えを郵送するとき
お彼岸の期間中、お供えを持参することがむずかしいときは郵送しても問題ありません。
郵送するときは、彼岸の入り、または中日までに届くように手配しましょう。
郵送した旨を先方にお知らせしておけば、受け取りもスムーズになります。
お供えに、お手紙を添えるときは『信書便』になります。郵便局や宅配業者には、「信書便で」と伝えてください。
また、現金を送るときは『現金書留』を利用しましょう。
お彼岸・初彼岸のお返しは必要?
お葬式のとき、よく香典返しという言葉を聞きます。
お彼岸や初彼岸(四十九日が過ぎて最初のお彼岸)のとき、お供えをいただいたら、お返しは絶対に必要なのでしょうか?
基本的には不要
お彼岸でお供えをいただいたとき、お返しは基本的に必要ありません。
ただ、感謝の気持ちをお伝えするためや、地域によっては、いただいたお供えの3分の1~2分の1程度のお返しをしているところもあるようです。
日用消耗品のお茶・海苔・洗剤・カタログギフトなど、あとに残らない消えものが好まれています。
お彼岸のお返しをするタイミング
もしお返しをするときは、どのようなタイミングがいいのでしょうか。
基本的には以下がおすすめです。
お返しには『御礼』や『粗品・感謝』などの掛け紙を使用し、感謝の気持ちを伝えるメッセージを同封すれば、マナー的には完璧です。
まとめ
日本人は、外国の文化や習慣に寛容です。日本に伝来した様々なものが、日本で独自の進化を遂げました。
仏教の『西方浄土』という考え方も、日本人のご先祖様を大切にする心と融合し、インドにも中国にもない『お彼岸』という習慣が誕生しています。
そんな『お彼岸』のあれこれについて解説してきましたが、マナーの再確認はできたでしょうか。
細かい部分もありますが、基本的に相手への気遣いから生まれたルールが主ですので、敬意と感謝の気持ちがあればむずかしいことはありません。
秋の『お彼岸』が、皆さんにとって、これまでより意義深いものになりますように!