日本人は昔から「推し活」好き⁉江戸時代から伝わる推し活が健康にも効果的な理由を解説

アイドルやアニメのファンを中心に広まっていた「推し活」が、最近メディアでも頻繁に取り上げられるようになりました。いまや「推し」はコアなファンだけが追い求めるものでなく、幅広い世代が推し活ライフを楽しんでいます。

そこで今回は、「推し活とは?」「日本における推し活の歴史」「推しの見つけ方」「推しと健康について」など、今話題の推し活について詳しく紹介します。

いまさら聞けない「推し活」とは?

いまさら聞けない「推し活」とは?

最近よく耳にする「推し活」、アイドルやアニメキャラクターを「推し」ていることだと思っていませんか?
今日は、いまさら人に聞けない「推し活」について学んでいきましょう。

そもそも「推し活」って何?

日本では昔から「推し」の文化があり、以前は「オタク」と呼ばれることもありました。オタクはコアなファンを指しますが、推しはライトに活動しているファン層を意味しており、自分が好きな人(もの)を応援する活動のことを「推し活」と呼んでいます。

なかには「推し活」のことを「推し事(おしごと)」と言っている人もいて、生活の一部分になっている人も多いのです。

アイドルの追っかけやアニメオタクなど、日本人は昔から「推し」を愛する文化が盛んです。近年は「推し活」ということばが定着し、「推し」の対象はとても幅広くなっています。

アイドルやアーティスト、スポーツ選手や歴史上の人物、アニメやゲームのキャラクター、鉄道や動物などに加え、刀剣や仏像など少しマニアックなものまで「推し」の対象です。

つまり「推し活」とは、「自分の好きなものをいろいろな形で応援すること」を指します。

いつ頃からブームになったのか。

アイドルの追っかけやアニメオタクなど、日本人は昔から「推し」を愛する文化が盛んです。では「推し活」のブームはいつ頃から始まったのでしょうか。

もともと「推し」ということばは、熱狂的なアイドルファンが自分のお気に入りであるアイドルのことを「推し」と呼んでいたことに由来しています。「推し活」はいわゆる「オタ活(オタク活動)」と同じような意味を持ちますが、イメージ的にはオタクよりも軽く、幅広いジャンルと世代に受け入れられているのです。

2021年には「推し活」が新語・流行語大賞にノミネートされており、その前年度あたりから「推し」ということばへの注目度が高まったとみられています。またSNSの広まりは推し活ブームを後押ししており、多くの人が自作の推し活グッズをInstagramに投稿し話題となりました。

意外に広い!推し活の対象とは

推し活の対象は人物にとどまりません。最近の「推し」はとても幅広いジャンルが対象です。

  • アイドル
  • アーティスト、歌手
  • 俳優
  • 声優
  • スポーツ選手
  • 仏像
  • コスプレイヤー
  • アニメ・ゲーム・漫画のキャラクター
  • ボーカロイド
  • YouTuber、VTuber
  • 鉄道
  • 動物
  • 刀剣

このように自分が好きで応援しているものすべてが「推し活」の対象であり、誰でも推し活をスタートできる手軽さは魅力のひとつでしょう。

推し活って具体的になにをするの?

一昔前の「推し活」というと、好きなアイドルに会いに行ったりグッズを買い集めたりするのが一般的でした。しかしながらライトな「推し活」ブームが到来し、活動自体も変化しています。

  • 「推しに逢う」:ライブや舞台・DVDの鑑賞、撮影スポットやゆかりの地へ聖地巡礼
  • 「推しに触れる」:グッズ購入、コラボカフェやイベントに行く
  • 「推しに染まる」:推しのイメージカラーを身に着ける、推しと同じものを持つ
  • 「推しを広める」:SNSなどで魅力を発信する

このように推し活の具体的な活動はさまざまであり、若い世代だけでなく幅広い世代で社会現象化しています。企業もこうした「推し活」ブームに注目していて、実際に多くの経済効果がもたらされているのです。

そんな昔から!?日本人の「推し活」の歴史

最近よく聞くようになった「推し活」ですが、じつは日本ではかなり昔から推し活文化があったとみられています。

江戸時代からある推し活文化

江戸時代からある推し活文化

天下泰平であった江戸時代、町人たちの娯楽と言えば歌舞伎や遊郭が有名で、人気役者や遊女を描いた浮世絵は現代のブロマイドのように大人気でした。芝居のワンシーンを描いたものだけでなく、役者のオフショットを描いたカラフルな錦絵も飛ぶように売れていたと言います。

現代のようにスマートフォンも写真の技術もない時代ですから、1枚1枚手で描かれる浮世絵や錦絵に殺到する人々のパワーは相当なものだったと言えるでしょう。

また歌舞伎役者や遊女だけでなく、お茶屋の看板娘がかわいいと評判になることもありました。その看板娘目当てにお茶屋に足を運ぶ男性も多く、お茶屋の主人が手ぬぐいやすごろくなどの推し活グッズを作って販売したという記録も残っているほどです。

このように、日本人の推し活文化はすでに江戸時代には広まっていたわけで、日本の推し活文化は筋金入りというわけです。

推し活が健康にいいってホント?

推し活が健康にいいってホント?

好きな「推し」のグッズを購入したり、聖地巡礼で全国各地を訪れたり、「推し活」の経済効果は大きいとみられています。さらに最近は、推し活がもたらす健康的な効果も注目されています。

推し活で得られる効果

推し活が健康にいいといわれるのには、理由があります。健康とは体が元気なことですが、同時に心も元気でなければなりません。推し活は「好き」というプラスの気持ちが前面に押し出されています。この「好き」パワーは心を元気にするのです。

たとえば日常でちょっとした嫌なことがあっても、推し活をして忘れることができればストレス解消になります。また推し活をしているときは自然にリラックスした状態でいられることが多く、メンタル面の安定にもつながっているのです。

こうした推し活の効果は、脳内の神経伝達物質分泌に深くかかわっています。推し活で幸福感を感じると、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが分泌されますが、このセロトニンが不足すると集中力の低下や気分の落ち込みを招きやすく、うつ状態のリスクも高まります。推し活と健康は密接に関係しているのです。

好きなのに「推し疲れ」

好きなのに「推し疲れ」

推し活と健康が結びついていることは事実ですが、反面「推し疲れ」には気を付けなければいけません。「推し疲れ」とは、その名のとおり推しを応援することに疲労感を覚えてしまうことです。なぜ大好きな推しを応援しているのに疲れてしまうのでしょうか。

その理由はいくつかありますが、大きく分けて「情報過多による反応疲れ」「私生活とのバランス」「好きすぎてしんどい」の3つのケースが考えられます。

  • 情報過多による反応疲れ
  • 私生活とのバランス
  • 好きすぎてしんどい

情報過多による反応疲れ

SNSが普及している現在、推しの情報はSNSを通じて次々と入ってきます。
すべてに反応しなければと思ってしまうと、正直辛く感じてしまうことでしょう。反応を返さなければファンとして失格なのではないかと思うのは「推し疲れ」の表れです。
本来楽しむべき「推し活」ですから、余計な感情に惑わされないようにしましょう。

私生活とのバランス

「推し活」も度が過ぎると、生活そのものに影響を及ぼします。グッズを買ったり推しに逢いに行くためお金を使ったりして、生活費が足りなくなってしまうことだって考えられます。ほかにも睡眠不足に陥ったり、食事をないがしろにしたりする可能性もあるのです。

好きすぎてしんどい

最後に「推し」そのものがしんどくなる人もいます。リアルな推し相手に推し活をしている人の場合、大好きな推しが結婚したり、熱愛が発覚したりすることもあるでしょう。

ときにはグループから脱退したり解散してしまったりすることがあるかもしれません。大好きな推しだからこそ、心が傷つき推し活そのものもしんどくなってしまうのです。

推し活は夢中になっていると楽しいものですが、長く続ければ続けるほど推し疲れが起こりやすくなります。もし推し疲れに気づいたときは、一旦立ち止まって推し活スタイルを見直してみましょう。

初めてでも大丈夫!「推し」の見つけ方

初めてでも大丈夫!「推し」の見つけ方

充実した「推し活」ライフを楽しんでいる友人を見て、自分も推し活をしてみようと思う人もいるでしょう。そんなとき気になるのが「推しってどうやってみつけるの?」という疑問ではないでしょうか。ここからは「推し」の見つけ方について紹介していきます。

推しと出会うためには?

結論からいうと、「推し」は待っているだけでは見つかりません。もちろん一目ぼれなど、運命的に出会う可能性はありますが、現実的には待っているだけではなかなか「推し」は現れないでしょう。大切なのは、自分で推しを見つけに行く行動力なのです。

推しの見つけ方①YouTubeをみる

推し活をしてみたいと願うのなら、少しでも興味があることを調べてみましょう。
なかでもYouTubeは幅広いジャンルのコンテンツがあるので、推しを探すきっかけに最適です。YouTubeでは今見ている動画とともに、関連動画が表示されます。関連動画から幅を広げて、推しを探してみるのもおすすめです。

推しの見つけ方②SNSで探す

最近はInstagramなどSNS上で推しをアピールする人が増えています。
推しの舞台やコンサート情報をアピールするだけでなく、担当カラーに染まった生活を紹介したりオリジナルグッズを作成したり、いろいろな推し活を参考にできることでしょう。

推しの見つけ方③友人に聞く

推し活は堂々とやっている人ばかりではありません。
身近な友人が密かに推し活をしている可能性だってあります。「今推してる人いる?」とさりげなく聞いてみましょう。推しがきっかけで友情を深められるかもしれません。

いろいろな推し活の楽しみ方

「推し活」の王道は、ライブや舞台などのイベントに足を運んで直接会いに行くことです。住んでいる地域に近いイベントに参加することから始め、慣れてきたら徐々に遠くのイベントへも足を運ぶようにするといいでしょう。

もちろん動画鑑賞やSNSの閲覧も立派な推し活です。最近はインターネットを使ったライブ配信を行っているアイドルやアーティストも多く、画面を通じて推しとつながるのも楽しみ方のひとつです。

推し活ブームの到来で、手軽に推し活グッズを作れるアイテムも登場しています。お気に入りのフィギュアを飾れるクリアケースやぬいぐるみスタンド、フォトフレームなど100円ショップで手に入るアイテムも多いので、まずは手作りグッズから推し活を始めてみるのもおすすめです。

日本と海外の推し活事情とは?

日本で大人気の「推し活」ですが、海外ではどのような推し活があるのでしょうか。海外で活躍するアーティストや人気アニメなどが増えているなか、海外の推し活事情について紹介します。

日本は「消費型」、海外は「参加型」

日本における推し活の特徴は、何といっても“消費型”であるということです。大好きな推しのグッズやCDを買いそろえたり、全国各地のライブに参加したり、とにかく推しのために大量に消費する推し活観が目立ちます。

かつて一世を風靡したアイドルグループの握手会は消費型の代表格です。推しに逢うために同じCDを大量購入して、中に入っている握手会券をゲットする姿はTVなどでも取り上げられました。日本人は「推しへの愛情表現=消費(お金)」が一種の推しへのバロメーターになっていると考えられます。

一方、海外の推し活はちょっと日本とは事情が異なるのです。例えば海外の人が大好きなキャラクターに扮して、日本のイベントに参加している姿を見たことはありませんか?海外の推し活は、「推しの世界に参加する」のが特徴で、コスプレでキャラクターになり切ったり推しについて熱くプレゼンしたり、とにかく推しの世界観に深く入り込む没入型が多くみられます。

もちろん日本の「消費型」、海外の「参加型・没入型」、どちらの推し活が優れているというわけではありません。推し活は楽しむのが一番ですから、自分にあった推し活を見つけてみんなで推し活文化を盛り上げてはどうでしょうか。

自分にあった推し活ライフを過ごそう!

最近よく耳にする「推し活」とは、自分が好きな人(もの)を応援する活動のことです。じつは日本では江戸時代から推し活が流行っており、かつては歌舞伎役者や遊女を描いた浮世絵や錦絵が飛ぶように売れたという話も残っています。

そんな推し活は健康にも大きな影響を与えています。推しへの“好き”という感情は、幸せホルモンであるセロトニンの分泌を促し、メンタルをリラックスした状態に導くものです。もちろん推し活も度が過ぎると疲れてしまいますので、楽しむことを前提に考えて推し活を進めていくといいでしょう。

「推し」の見つけ方がわからないという人は、周りの友人に聞いてみたり、SNSなどで興味のある人(もの)を検索してみるのがおすすめです。推し活に正解はありませんから、自分にあった推し活スタイルを見つけてみてくださいね。

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