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ハワイ神話に出てくる神々の中でも「ペレ」についで有名な「マウイ」。 神といってもマウイの父親は人間、つまり半神半人のハーフというわけです。
マウイは心優しく、力持ち。人々が苦しんでいるのを見過ごせません。人々の暮らしが楽になるように様々な偉業を成し遂げたマウイは、ハワイアンにとっては英雄的存在。
ハワイ神話によると、そもそもハワイ諸島は、マウイが海から釣り上げたものだとか。 今回は、ハワイやポリネシアの島々で愛される「半神マウイ」についてお届けします。
では、ハワイの英雄「マウイ」とはどんな神様で、どのようにハワイに伝わったのでしょうか?
母親は月の女神ヒナ、父親は人間のアカラナ。マウイは神と人との間に生まれた4人兄弟の末っ子です。母親思いの優しい性格で、ヒナが困っていると一目散に駆け付け助けてくれます。
正義感が強く、怪力の持ち主。先祖にもらった「魔法の釣り針」や「魔法のカヌー」を使って人々が暮らしやすい世界を次々に実現していくマウイ。母親を守り、困っている人々を助け、怪物を退治する…まさにヒーローそのもの。
一方「トリックスター(いたずらっこ)」と称され、型破りで荒っぽい部分や、何度失敗してもゆるがない真っすぐな性格もマウイの魅力といえるでしょう。
ちなみに「マウイ島」の名前の由来は、半神マウイから付けられたといわれていますが、ハワイ諸島を発見したハワイロアの息子マウイの名前からとったという説もあります。
マウイの神話は、ハワイだけにとどまらずポリネシア全域に広く知られています。マウイ信仰の中心とされるのは、ハワイ、サモア、トンガ、タヒチ、ニュージーランドなど。
「マウイ、ハワイ諸島を釣り上げる」はニュージーランドやサモア、トンガにも同様の伝説があります。
このように、古代のポリネシア民族が島から島へと移動しながら暮らす海洋民族だったため、彼らが遠く離れたハワイにやってきた際、マウイ神話がハワイに伝わったと考えられます。
マウイが活躍する伝説は数多くありますが、中でも特に有名な5つのストーリーをご紹介。これらを読めばマウイが英雄と呼ばれる理由がわかるでしょう。
ある日マウイは兄弟たちと魚釣りに出かけますが、小魚1匹釣れません。そこでマウイは、どんな大きな獲物でも釣れる魔法の針「マナイアカラニ」を使うことにしました。
しばらくすると、魔法の針に大きな手応えがありました。あまりにも大きな手応えに驚きながらも、マウイは大喜びする兄たちに「もっと引いて!」「後ろを振り返ってはダメ!」と指示を出します。
実はこの時、彼らは大きな島を釣り上げようとしていたのです。兄の1人が、どんな獲物か見ようと振り返ったとたんカヌーが大きく揺れ、島が海に落ちてしまいます。落ちた拍子に8つに砕けた島の欠片が、ハワイ主要8島になったのだとか。
かつてハワイでは太陽の動きがあまりに速く、夜に比べ昼の時間がとても短かったそう。人々は1日の仕事を満足にこなすことができず、困っていました。
マウイの母親のヒナもいつも嘆いていました。というのもヒナはカパ※作りの名人。完成したカパを干して乾かすのですが、あっという間に日が暮れてしまうため、いつまでたってもカパが乾かなかったからです。
ある日マウイは太陽に直談判に行くことを決心し、ヒナに報告しました。するとヒナは、マウイ島のハレアカラ山に住む祖母を訪ねるよう言いました。祖母の元を訪れたマウイは、祖母の助言に従いハレアカラの火口付近のウィリウィリの木のそばに隠れ、太陽を待ち伏せすることに。
何も知らずに昇ってきた太陽を縛り上げ、マウイは太陽に「今後、ゆっくりと空を移動すること」を約束させました。以来ハワイの日照時間は長くなり、人々は大喜び。ヒナはカパ作りに専念できるようになったそうです。
昔、空があまりにも低かったため、人々は直立できずに腰をかがめて生活していました。困っている人々を見て、マウイは「空を高く持ち上げよう」と思いつきました。
マウイは両足でしっかりと大地を踏みしめ、空を肩に担ぐと、グッと一押し。空は少し上がり人々は立って歩けるようになりました。
さらに両手でエイッ!と押し上げると、空はもっと高くなり、木々の梢が顔を出しました。 最後に渾身の力を込めて空を放り上げると、壮大な山々が出現。今のように天高く鳥たちが飛びまわる美しい世界になったそうです。
マウイの妻(母)ヒナが川で水浴びをしていると「トゥナ」と呼ばれる巨大ウナギに襲われてしまいます。
怒ったマウイは、翌日トゥナを見つけ出し退治しました。後に死んだトゥナを埋めたところから、ココナッツの木が生えてきたといわれています。
※別説では、トゥナは人間の娘ヒナに恋をして人間の男の姿で近づき、ヒナを取り合ってマウイと戦った末に殺されたという説もあります。
かつて人々は島から島へ移動するのに、カヌーを使っていました。カヌーでの移動は危険が多く、途中で嵐に巻き込まれ命を落とすことも。
そこで「島と島がくっついていれば、人々は楽になるのでは?」と考えたマウイ。ハワイの島々を引き寄せ1つの大陸にしようと思いつきました。
手始めにお隣のマウイ島を引き寄せることに。マウイは、どんな大きな獲物でも釣れる魔法の針「マナイアカラニ」をマウイ島の端にひっかけ、島中の力自慢の男たちを集めカヌーで引っ張らせました。
その際「決して後ろを振り向いてはいけない。釣り針の魔力が解けてしまう!」と忠告します。しかしマウイ島がもう少しでハワイ島にくっつきそうなところで、1人の男が振り向いてしまいます。するとマナイアカラニの魔法が解け、マウイ島は元の場所へとスルスルと戻ってしまったのです。
計画は失敗に終わりますが、釣り針を引っかけていたマウイ島の先端がヒロ湾にポツンと残され、ココナッツアイランドになったといわれています。
人々が安心して暮らせるように日々奮闘していたマウイ。ハワイには、そんなマウイ伝説の舞台となった場所がたくさんあります。
「ハレアカラ山」は標高約3,055mを誇る世界最大級の休火山。「ハレアカラ国立公園」は、マウイ島観光では外せないスポットです。
山頂から見るサンライズやサンセットは言葉では語りつくせないほど幻想的。また頂上付近にある大小11個の火口丘を持つ巨大クレーターも必見です。
ハワイ語で「ハレアカラ=太陽の家」を意味し、古代ハワイ人にとっては大変神聖な山。半神マウイが太陽を捕まえて、ゆっくり進むように説得した伝説の舞台でもあります。
ハレアカラ一帯は、銀剣草(シルバーソード)やネネ(ハワイアン・ガン)など、多くの絶滅危惧種が生息していることでも有名。山頂は大変寒いので、訪れる際はダウンジャケットなど防寒対策をお忘れなく。
ハワイ島ヒロにほど近いワイルク・リバー州立公園内にある「レインボーフォールズ」。その名通り「滝にかかる虹」が見られることで知られています。
レインボーフォールズの洞窟には、マウイの母「月の女神ヒナ」が住んでいました。ある日上流に住むクナ(巨大トカゲのモオ)が、ヒナの住む洞窟を水没させようとした際、マウイが駆けつけ間一髪でヒナを救出したとされる場所です。
怒ったマウイはクナが逃げ込んだ穴に、溶岩を流し込んで退治したのだとか。この周辺は「ボイリング・スポット」と呼ばれ、今もブクブクと泡立って沸騰しているように見えます。
ハワイ島ヒロ湾に浮かぶ小さな島「ココナッツアイランド」は、地元の人々の憩いの場。リリウオカラニ庭園から橋で渡ることができます。
ハワイ語では「モクオラ=命の島」と呼ばれ、プウホヌアの1つでした。プウホヌアとは罪を犯した人の「駆け込み寺」ともいわれ、カプ(タブー)を破った多くの人の命を救ってきた聖地です。
また、古くから「癒しの島」と呼ばれ、カフナ(神官)が人々の病気を回復させるための儀式を行っていた場所でもあります。周囲の海で泳ぐと病気が癒されたとされる古代のパワースポットです。
この島は、「ココナッツアイランドの伝説」の中で半神マウイが、マウイ島をハワイ島にくっつけようとした際、ヒロ湾に取り残されたマウイ島の先端部分だそうです。
ハワイの英雄として人々に愛されている半神マウイ。 マウイの伝説はハワイだけではなく、ポリネシアの島々に広く伝えられています。
心優しく力持ちで、母親思いのマウイは、困っている人々をなんとか助けたいという一心で、時には大胆で荒っぽい方法で様々な問題を解決していきます。
神話の中で描かれている情熱的で破天荒なマウイのキャラクターは、現在の人々が求める理想のヒーロー像なのかもしれませんね。
ハワイ神話に出てくる神々の中でも「ペレ」についで有名な「マウイ」。
神といってもマウイの父親は人間、つまり半神半人のハーフというわけです。
マウイは心優しく、力持ち。人々が苦しんでいるのを見過ごせません。人々の暮らしが楽になるように様々な偉業を成し遂げたマウイは、ハワイアンにとっては英雄的存在。
ハワイ神話によると、そもそもハワイ諸島は、マウイが海から釣り上げたものだとか。
今回は、ハワイやポリネシアの島々で愛される「半神マウイ」についてお届けします。
目次
半神マウイとは
では、ハワイの英雄「マウイ」とはどんな神様で、どのようにハワイに伝わったのでしょうか?
起源
母親は月の女神ヒナ、父親は人間のアカラナ。マウイは神と人との間に生まれた4人兄弟の末っ子です。母親思いの優しい性格で、ヒナが困っていると一目散に駆け付け助けてくれます。
正義感が強く、怪力の持ち主。先祖にもらった「魔法の釣り針」や「魔法のカヌー」を使って人々が暮らしやすい世界を次々に実現していくマウイ。母親を守り、困っている人々を助け、怪物を退治する…まさにヒーローそのもの。
一方「トリックスター(いたずらっこ)」と称され、型破りで荒っぽい部分や、何度失敗してもゆるがない真っすぐな性格もマウイの魅力といえるでしょう。
ちなみに「マウイ島」の名前の由来は、半神マウイから付けられたといわれていますが、ハワイ諸島を発見したハワイロアの息子マウイの名前からとったという説もあります。
マウイのルーツ
マウイの神話は、ハワイだけにとどまらずポリネシア全域に広く知られています。マウイ信仰の中心とされるのは、ハワイ、サモア、トンガ、タヒチ、ニュージーランドなど。
「マウイ、ハワイ諸島を釣り上げる」はニュージーランドやサモア、トンガにも同様の伝説があります。
このように、古代のポリネシア民族が島から島へと移動しながら暮らす海洋民族だったため、彼らが遠く離れたハワイにやってきた際、マウイ神話がハワイに伝わったと考えられます。
半神マウイの英雄伝説
マウイが活躍する伝説は数多くありますが、中でも特に有名な5つのストーリーをご紹介。これらを読めばマウイが英雄と呼ばれる理由がわかるでしょう。
マウイ、ハワイ諸島を釣り上げる
ある日マウイは兄弟たちと魚釣りに出かけますが、小魚1匹釣れません。そこでマウイは、どんな大きな獲物でも釣れる魔法の針「マナイアカラニ」を使うことにしました。
しばらくすると、魔法の針に大きな手応えがありました。あまりにも大きな手応えに驚きながらも、マウイは大喜びする兄たちに「もっと引いて!」「後ろを振り返ってはダメ!」と指示を出します。
実はこの時、彼らは大きな島を釣り上げようとしていたのです。兄の1人が、どんな獲物か見ようと振り返ったとたんカヌーが大きく揺れ、島が海に落ちてしまいます。落ちた拍子に8つに砕けた島の欠片が、ハワイ主要8島になったのだとか。
マウイ、太陽を捕まえる
かつてハワイでは太陽の動きがあまりに速く、夜に比べ昼の時間がとても短かったそう。人々は1日の仕事を満足にこなすことができず、困っていました。
マウイの母親のヒナもいつも嘆いていました。というのもヒナはカパ※作りの名人。完成したカパを干して乾かすのですが、あっという間に日が暮れてしまうため、いつまでたってもカパが乾かなかったからです。
ある日マウイは太陽に直談判に行くことを決心し、ヒナに報告しました。するとヒナは、マウイ島のハレアカラ山に住む祖母を訪ねるよう言いました。祖母の元を訪れたマウイは、祖母の助言に従いハレアカラの火口付近のウィリウィリの木のそばに隠れ、太陽を待ち伏せすることに。
何も知らずに昇ってきた太陽を縛り上げ、マウイは太陽に「今後、ゆっくりと空を移動すること」を約束させました。以来ハワイの日照時間は長くなり、人々は大喜び。ヒナはカパ作りに専念できるようになったそうです。
※カパとはワウケの木の皮を水に浸して叩き、薄く伸ばして作る布のこと。マウイ、空を持ち上げる
昔、空があまりにも低かったため、人々は直立できずに腰をかがめて生活していました。困っている人々を見て、マウイは「空を高く持ち上げよう」と思いつきました。
マウイは両足でしっかりと大地を踏みしめ、空を肩に担ぐと、グッと一押し。空は少し上がり人々は立って歩けるようになりました。
さらに両手でエイッ!と押し上げると、空はもっと高くなり、木々の梢が顔を出しました。
最後に渾身の力を込めて空を放り上げると、壮大な山々が出現。今のように天高く鳥たちが飛びまわる美しい世界になったそうです。
マウイ、巨大ウナギを退治する
マウイの妻(母)ヒナが川で水浴びをしていると「トゥナ」と呼ばれる巨大ウナギに襲われてしまいます。
怒ったマウイは、翌日トゥナを見つけ出し退治しました。後に死んだトゥナを埋めたところから、ココナッツの木が生えてきたといわれています。
※別説では、トゥナは人間の娘ヒナに恋をして人間の男の姿で近づき、ヒナを取り合ってマウイと戦った末に殺されたという説もあります。
ココナッツアイランドの伝説
かつて人々は島から島へ移動するのに、カヌーを使っていました。カヌーでの移動は危険が多く、途中で嵐に巻き込まれ命を落とすことも。
そこで「島と島がくっついていれば、人々は楽になるのでは?」と考えたマウイ。ハワイの島々を引き寄せ1つの大陸にしようと思いつきました。
手始めにお隣のマウイ島を引き寄せることに。マウイは、どんな大きな獲物でも釣れる魔法の針「マナイアカラニ」をマウイ島の端にひっかけ、島中の力自慢の男たちを集めカヌーで引っ張らせました。
その際「決して後ろを振り向いてはいけない。釣り針の魔力が解けてしまう!」と忠告します。しかしマウイ島がもう少しでハワイ島にくっつきそうなところで、1人の男が振り向いてしまいます。するとマナイアカラニの魔法が解け、マウイ島は元の場所へとスルスルと戻ってしまったのです。
計画は失敗に終わりますが、釣り針を引っかけていたマウイ島の先端がヒロ湾にポツンと残され、ココナッツアイランドになったといわれています。
半神マウイのゆかりの地
人々が安心して暮らせるように日々奮闘していたマウイ。ハワイには、そんなマウイ伝説の舞台となった場所がたくさんあります。
ハレアカラ山
「ハレアカラ山」は標高約3,055mを誇る世界最大級の休火山。「ハレアカラ国立公園」は、マウイ島観光では外せないスポットです。
山頂から見るサンライズやサンセットは言葉では語りつくせないほど幻想的。また頂上付近にある大小11個の火口丘を持つ巨大クレーターも必見です。
ハワイ語で「ハレアカラ=太陽の家」を意味し、古代ハワイ人にとっては大変神聖な山。半神マウイが太陽を捕まえて、ゆっくり進むように説得した伝説の舞台でもあります。
ハレアカラ一帯は、銀剣草(シルバーソード)やネネ(ハワイアン・ガン)など、多くの絶滅危惧種が生息していることでも有名。山頂は大変寒いので、訪れる際はダウンジャケットなど防寒対策をお忘れなく。
レインボーフォールズ
ハワイ島ヒロにほど近いワイルク・リバー州立公園内にある「レインボーフォールズ」。その名通り「滝にかかる虹」が見られることで知られています。
レインボーフォールズの洞窟には、マウイの母「月の女神ヒナ」が住んでいました。ある日上流に住むクナ(巨大トカゲのモオ)が、ヒナの住む洞窟を水没させようとした際、マウイが駆けつけ間一髪でヒナを救出したとされる場所です。
怒ったマウイはクナが逃げ込んだ穴に、溶岩を流し込んで退治したのだとか。この周辺は「ボイリング・スポット」と呼ばれ、今もブクブクと泡立って沸騰しているように見えます。
ココナッツアイランド
ハワイ島ヒロ湾に浮かぶ小さな島「ココナッツアイランド」は、地元の人々の憩いの場。リリウオカラニ庭園から橋で渡ることができます。
ハワイ語では「モクオラ=命の島」と呼ばれ、プウホヌアの1つでした。プウホヌアとは罪を犯した人の「駆け込み寺」ともいわれ、カプ(タブー)を破った多くの人の命を救ってきた聖地です。
また、古くから「癒しの島」と呼ばれ、カフナ(神官)が人々の病気を回復させるための儀式を行っていた場所でもあります。周囲の海で泳ぐと病気が癒されたとされる古代のパワースポットです。
この島は、「ココナッツアイランドの伝説」の中で半神マウイが、マウイ島をハワイ島にくっつけようとした際、ヒロ湾に取り残されたマウイ島の先端部分だそうです。
まとめ
ハワイの英雄として人々に愛されている半神マウイ。
マウイの伝説はハワイだけではなく、ポリネシアの島々に広く伝えられています。
心優しく力持ちで、母親思いのマウイは、困っている人々をなんとか助けたいという一心で、時には大胆で荒っぽい方法で様々な問題を解決していきます。
神話の中で描かれている情熱的で破天荒なマウイのキャラクターは、現在の人々が求める理想のヒーロー像なのかもしれませんね。