鮮度が命!日本に春を告げる旬の食材「タケノコ」のあれこれ

そろそろ、土の中からあの食材がニョキニョキっと顔を出す季節!
春の訪れを告げるタケノコ、毎年、心待ちにしているファンも大勢いると思います。
タケノコはハウス栽培ができないため、現代では、春を感じることができる数少ない旬の食材の一つでしょう。
今回は、そんなタケノコのあれこれについて、ご紹介させていただきます。

タケノコ? 竹の子? 筍?

タケノコを文字で表記するとき、通常「竹の子」と「筍」が使われます。
どちらが正しいとか、間違っているとか、そういうことはありません。
まだ、地表に顔を出していない収穫前の状態を「竹の子」といい、収穫して食用になった状態を「筍」と表現しています。
そのほかに「笋」という漢字もありますね。

タケノコ? 竹の子? 筍?

竹の子とは

「竹の子」という表記の由来には諸説がありますが、竹の地下茎から生えてくる若芽を意味し「竹の子供」ということから表現されるようになったと思われます。

筍とは

「筍」の字は「竹」と「旬」から成り立っていますね。
これは、タケノコの旬は10日ほどしかなく、すぐに竹になってしまうということに由来していると思われます。
旬とは10日を意味していて、1カ月を上旬・中旬・下旬と10日ごとに分けたりしますが、漢字とは奥深いものです。

笋とは

「笋」は「たかんな」・「じゅん」と読み、「たけのこ」と読むのは当て字になります。
「たかんな」とはタケノコの古名にあたる言葉です。
常用漢字にも含まれていませんし、一般的には、あまり使われない漢字でしょうか。

筍の種類や産地

それでは、筍を収穫する竹には、どのような種類があり、筍の有名な産地はどこなのでしょうか。
竹なんて、どこにでも生えているし、どれも一緒でしょ。
それこそ、地産地消で近所の筍が、店頭に並んでいるのではと思いますよね。
近所の地主さんから、お裾分けを受けている人も多いと思いますし…
しかし、一般的にはどうなのでしょうか?

筍の種類や産地

竹の種類

日本に自生している竹は、約50種類あるそうですが、筍として食べることができる竹は僅かで、孟宗竹(モウソウチク)・淡竹(ハチク)・真竹(マチク)・寒竹(カンチク)になります。
そのほかに、笹類で根曲がり竹(ネマガリダケ)・寒山竹(カンザンチク)の筍が、食べられます。

筍の産地

農林水産省が発表した令和3年の筍生産量ランキングによると、生産量1位は福岡県で全国シェアは22.0%です。
2位は鹿児島県の20.1%、3位は京都府の15.9%でした。
トップ3で半分を超えてしまうのですね。
そこらじゅうで収穫している訳ではなかったようです。

高級品の産地としては、京都府乙訓(おとくに/向日市・長岡京市・大山崎町と京都市の一部)と大阪府貝塚市が有名で、柔らかくて、えぐみが抑えられ、香りがよいと評判です。
京都産を例にとると、2月中旬ぐらいから孟宗竹の収穫が始まり、4月中旬からは淡竹、5月から6月半ばには真竹が旬で、そのあとは、根曲がり竹・寒山竹と続きます。

竹の子はどうやって竹になる?

毎年、地下茎の節にある芽から竹の子が生え、半年もすると立派な竹になります。
それはそれは、驚異的なスピードです。

竹の子はどうやって竹になる?

竹の子でいられるのはわずかな時間!

だいたい、地面の温度が10度前後になると、竹の子がニョキっと地表に顔を出すようになります。
竹の子は、成長のスピートが早いため、あっという間に竹になってしまいます。

どのくらいで竹になるの?

竹の子は、地表に顔を出した当初は一日に数センチ程度の成長です。
しかし、10日目頃からは一日に、数十センチから1メートル近く成長するようになり、2~3カ月で大人の大きさになって成長は止まります。

竹の子の皮は、柔らかい本体(稈/かん)を保護していますが、成長が止まると皮を落とし、そのあとは、硬化が進んで高さや太さは変わらなくなります。
寿命は10年程度です。

一日に1メートルも!?驚きの成長力

「破竹の勢い」という言葉がありますが、タケノコは一日にどれぐらい成長するものなのでしょうか。
京都大学の農学部に竹の研究で有名な上田弘一郎教授という方がいました。
その上田教授による計測が、ギネス記録に認定されています。
認定されている記録は、1963年に計測されていて、一日あたり、真竹で121センチ、孟宗竹で119センチ伸びた日があったそうです。
驚愕の成長力ですね!

タケノコの雑学

タケノコは、昔から人々の暮らしに身近な存在であったため、ことわざにも登場しています。
例えば「雨後のタケノコ」は、雨が降ったあとはタケノコが生えやすいため、何かをきっかけに特定の事象が続々と発生すること。

「タケノコ生活」は、タケノコの皮を一枚ずつ剝いでいくように、身の回りの家財道具などを少しずつ売って、食いつなぐ生活のこと。

「タケノコの親まさり」は、親よりも子供の方が優れている例えに使われています。

「えぐみ」の正体

筍を食べたとき、苦みや喉のイガイガを感じたことがあるのではないでしょうか。
これは「えぐみ」と呼ばれ、アクが十分に抜け切っていなかったことが原因なのです。
「えぐみ」の原因物質は二つあり、シュウ酸とホモゲンチジン酸です。
シュウ酸は、ほうれん草に含まれていることで知られていて、ホモゲンチジン酸は、筍の節の間にある白い粒々が酸化したものです。

「えぐみ」がある筍を食べても、常識の範囲であれば健康被害が起こることはありません。
ただ、食べ過ぎると尿路結石の原因になったりする可能性もありますので、好物な方は注意が必要です…!

美味しく食べるには、丁寧にアク抜きをして、とにかく、鮮度がよいうちに食べるしかありません。

「メンマ」は筍なのです!

ラーメンの具や酒のつまみでお馴染みの「メンマ」。
もちろん、ご存知ですよね。この「メンマ」実は筍なのです。

「メンマ」は元々、中国南部や台湾で麻竹(真竹とは別種)を乳酸発酵させた食品でした。
収穫した麻竹の筍を蒸して塩漬けにし、発酵後に細長く切って天日干しして食べられています。
日本では、塩抜き・味付けをして食べています。
99%が、中国・台湾からの輸入品です。

なお、「メンマ」の語源は、「ラーメンのうえのマチク」を略して「メンマ」と呼ばれるようになりました。

「メンマ」は筍なのです!

簡単にできる筍のアク抜き

筍のアク抜きをしたくても、家には大きな鍋がないし、米ぬかもない。
そんな方も多いのではないかと思います。
しかし、筍のアク抜きをする簡単テクニックがありますので、ご安心ください。

簡単にできる筍のアク抜き

大きな鍋がないときは、手持ちの鍋に入る大きさに筍を切ってしまいましょう。
切ってしまうことで、茹で時間も短縮できます。
米ぬかはなくても、お米のとぎ汁や重曹はあるのではないでしょうか。
とぎ汁や重曹でも、アク抜きは十分に可能です。

重曹の場合、水1リットルに対して小さじ1杯が目安になります。
お米のとぎ汁なら濃い目にして、少量のお米そのものを入れてしまう方法もあります。
水は、筍が被ってしまう量にし、必ず、筍が浮かないように落し蓋をしてください。
筍の大きさにもよりますが、茹でる時間は、弱火で30分程度です。
茹で終わったら、湯止めといって、アクを出し切るため、鍋のまま冷めるのを待ちます。
冷めたあとは、筍をよく水洗いしてください。

筍を食用サイズに切ったあと保存するときは、蓋つきの深めの容器に入れて、筍が完全にひたるように水を入れておいてください。
一週間ぐらいは保存可能です。

世界の筍料理をご紹介!

竹は中国原産といわれています。
また、筍には独特のえぐみがあり、欧米人の味覚にはイマイチだったようです。

筍の部位は、穂先・中央部・根元の三つに分けられます。
穂先に近づくほど筍の食感は柔らかくなり、部位により味も微妙に異なるようです。

穂先は、ややアクが強いながも最も美味しい部分で、お刺身・酢の物・炊き込みご飯やお吸い物に向いています。
中央部は、適度に柔らかく食感もよいので、天ぷら・焼物・和え物・炊き込みご飯やお吸い物に、根元は、硬いながらも味がよいので、煮物・炒め物・揚げ物に向いています。

日本以外にも筍を食べる国はあるの?

日本以外で筍を食べる国は、中国・台湾・ベトナムなどの東アジアの国々と、インドを中心とするカレーを食べる国々です。
筍は、カレーとの相性が極めて良好なようで、インドでの評価は抜群です。

ここでは、海外の筍を使った料理3品を紹介します!

チンジャオチャオスンスー(ピーマンと筍のシンプル炒め)

チンジャオチャオスンスーは、中国の家庭料理です。

材料(2人前)

  • 筍(下茹でしたもの) 300グラム
  • ピーマン 4個
  • サラダ油 大さじ2杯
  • 塩小さじ 1/2杯
  • 醤油 小さじ1杯

筍とピーマンは非常に相性がよく、フライパンを使って強火で短時間炒め、味付けは塩と醤油のみです。
素材の美味しさを楽しむことができます。

シェンスンタン(鶏だしの筍スープ)

シェンスンタンは、台湾料理です。

材料(4人前)

  • 筍(下茹でしたもの) 500グラム
  • 鶏手羽元 500グラム
  • 水 2リットル
  • 塩 小さじ1/2杯

筍は3ミリの薄切りにし、鍋に入れます。
鶏手羽元と水と塩を入れ、強火にかけますが、蓋はしません。
沸騰したら中火にして、水の量が半分になるまで煮込みます。アクや油はすくいます。
最後に塩加減を整えて完成です。

鶏手羽元は、あくまでダシを取るためのものですが、捨てるのはもったいないので、ほかの料理に再利用されているようです。

筍入りマサラカレー

筍入りマサラカレーは、インド風料理です。

材料(3人前)

  • 筍(下茹でしたもの) 150グラム
  • 鶏肉(塩コショウのうえで焼目をいれたもの) 300グラム
  • たまねぎ 1個
  • トマト(湯むきのうえ粗みじん切り) 3個
  • ニンニクと生姜(みじん切り)を 各大さじ1杯
  • ガラムマサラ 大さじ2杯
  • クミン・ターメリック・砂糖・塩 各小さじ1杯
  • レッドパッパー 小さじ1/4杯
  • ヨーグルト 大さじ6杯
  • 油 大さじ3杯
  • 塩コショウ 適量

フライパンに油を入れ、ニンニクと生姜を弱火で加熱します。
香りが出てきたら、玉ねぎを入れてキツネ色になるまで炒め、ガラムマサラ・クミン・ターメリック・レッドパッパー・砂糖を振り入れ、トマトを投入して弱火で5分ほど炒めます。
そのあと、筍と鶏肉を加えて火がとおるまで煮込み、ヨーグルトを加えて水分を飛ばすように煮込みます。
最後に塩で味を調えて完成です。
スパイスが手に入らなければ、普段のチキンカレーに筍をジャガイモや人参感覚で入れてしまう形でも美味しく作れます!

春の訪れを告げる筍

春の訪れを告げる筍

筍は、私達に春の到来を告げてくれる旬の食材です。
土の中にあって、地上に春が訪れたことを敏感に感じとり、ひょっこり顔を出してくれます。
調理法も、お刺身に始まり、酢の物・天ぷら・煮物など、これぞ和食というものばかり。

毎年、タケノコは八百屋さんの店頭で、投げ売り特価なんてことも珍しくありません。
物価高騰の昨今、これまでアク抜きが面倒で、自宅での調理を控えていた方も、今年はひと手間かけて、筍デビューされてみてはいかがでしょうか。

いくつ知ってる?日本の不思議な風習▼
日本人も知らない?!日本各地の不思議な風習
この春から【和風コーデ】始めてみませんか?▼
和洋服ってどう着るの?春から和風コーデをはじめよう。

  • Twitter
  • Facebook
  • LINE