2024.04.05

日本人も知らない?!日本各地の不思議な風習

4月。長い冬の終わりと共に、新年度がやってきました。新しい生活を始めた方も、多くいらっしゃるのではないでしょうか。進学に伴って親元を離れる方、移動を伴う転勤や転職がある方、結婚や育児など家庭の都合で引っ越しをする方、心機一転、見知らぬ土地に旅立つ方など、理由はさまざまだと思います。慣れ親しんだ土地を離れて新しい土地へ向かうのは、ワクワク半分、ドキドキ半分、といったところでしょうか。

今回は、日本各地に伝わる珍しい文化を追っていきます。新生活準備にお役に立てれば幸いです。

風習って?慣習やしきたりとは違うの?

風習、慣習、しきたりは似ている概念ですが、微妙な違いがあります。

風習は、「風俗習慣」の略。
長い年月を経て、地域に根ざした習慣のことです。その地域の地理的、歴史的条件によって形成され、地域住民の行動様式の基となるものです。距離的に近くても全く異なる風習を持つ土地もあります。主に、歴史や風俗、伝統行事において使われます。

慣習は、地域社会で受け入れられ、受け継がれてきた習慣のことです。
主に、生活や社会に密着したならわしについて言及する時に使われます。しきたりは、土地の風習を色濃く反映した、地域独自のルールのことです。古くからその土地に伝えられてきたもので、主に、儀式や祭礼などの作法や決まりごとの意味で使われます。

風習って?慣習やしきたりとは違うの?

日本狭しといえど、ここは1億2000万人超の国。
独特の風習やしきたりが残っているところも、意外とたくさんあるものです。逆に、全国共通の風習だと思っていたら、地元だけだった!という話もよく聞きますよね。いっそのこと北海道から沖縄まで、各地方の風習をかんたんに見てみましょう!

北海道の風習

北海道は、日本最北に位置した寒冷地。
全国各地からの移住者がいるためさまざまな文化が混在していたり、大和民族とは異なるアイヌ民族の文化が根付いていて、食文化が豊かなことも特徴です。北海道の風習の中には、世に知られていることとは少し違ったり。

北海道の風習

•節分

北海道では、節分の豆は大豆ではなく「落花生」をまく習慣があります。雪の中でも見つけやすく、また食べ物を粗末にしないために、昭和30年代から始まったといわれています。

•七夕

旧暦で祝うため、北海道では8月7日が七夕の日です。日本版ハロウィンと言える「ローソクもらい」という行事も行われ、子どもたちが近隣の家を訪ね歩いて、お菓子をもらいます。

•結婚式

結婚式は、来てほしい人に招待状を送って招待することが主流と考えている人が多いと思いますが、北海道では「会費制」が主流となっているんだとか。
ゲストは主催者が決めた金額(相場は2万円弱程度)を受付で支払います。ご祝儀袋に入れる必要もありません。

•お祭り

雪国・北海道では、冬祭りが特に有名です。世界的に有名な「さっぽろ雪まつり」だけでなく、多くの都市で趣向を凝らしたお祭りが開催され、長く厳しい冬を楽しく越すことができます。

•お赤飯

お祝い事の定番食であるお赤飯に、甘納豆を入れることが多いです。これは、働くお母さんも子どもが喜ぶものを手軽に作れるようにとの思いから、昭和20年代に製菓学校の学長先生が考案し、急速に広まったものです。

東北の風習

ご存知の通り、東北地方は北海道と同じく寒冷地です。伝統的狩猟を行うマタギ文化と山岳信仰があったり、稲作や果樹栽培が盛ん、などの特徴があります。

東北の風習

•羽田のお山がけ(宮城県気仙沼市)

地域に住む数え年7歳の男児が、成長と健康を祈願して羽田山を駆け上がる行事です。男児の通過儀礼として現在も盛んに行われています。女人禁制のため、女児の祈願は本殿で行われます。

•月浜のえんずのわり(宮城県東松島市)

200年続く小正月の鳥追い行事です。小中学生の男児が岩屋にこもって共同生活を行い、家々を回って外鳥を追い払って、無病息災や大漁豊作を祈願します。東北・関東甲信越地方の他の地域でも同種の行事が行われています。

•キリスト伝説(青森県)

真偽のほどは不明ですが、キリストが生き延びて青森県に渡り、106歳まで生き延びたという伝説に基づき、キリストの墓や2024年に60回目を迎えるキリスト祭りがあり、村を挙げて鎮魂を祈っています。
都市伝説のようなお話ですが、実際に鎮魂を祈る風習が続いているのです。

•お祭り

東北三大祭り「仙台七夕まつり」「青森ねぶたまつり」「秋田竿燈まつり」は、いずれもお盆と旧暦の七夕、稲の開花の時期に重なります。先祖の霊を迎え、秋の収穫を祈り、暑気と疫病を払うことに起源があります。

•芋煮会

寒さの厳しい東北地方では、温かく塩分濃度の高いお料理が多くの人々に親しまれています。里芋の収穫時期に河原に集まり、大鍋で作って食べる芋煮会は、秋の風物詩です。地域ごとに味付けが異なります。

関東と関西の風習

何かと比較対象となる「関東」と「関西」。両者の際立つ違いを概観してみましょう。
一概に関東だからこう!関西だからこう!といえませんが、傾向からみてまとめています。

<関東編>

首都圏の大部分を含む関東地方は、日本全国の文化や風習が集結する地域。海外文化の入口にもなっている、などの特徴があります。

•考え方や好み

距離感を保つ人付き合い、値引き交渉は控え目、高い自慢、珍しくて高級な手土産、シンプルなファッション

•生活

エスカレーターは左側に立つ、バスは前乗り・先払い、女性専用車両は先頭・最後尾、1畳の大きさは約9㎡

•食文化

武士の好む濃口の味付け、硬水に合う鰹だし、色・香り共に強い野菜、食べるのに手間のかからない寿司、お雑煮は醤油+焼いた切り餅、餅には磯部、いなり寿司は俵型、すき焼きは味付けが先、甘い玉子焼き、ところてんは酢醤油、小麦粉生地で包む桜餅「長命寺」、パンは6枚切り

関東の風習

<関西編>

一方関西地方は、寺社仏閣などをはじめ歴史的文化遺産が豊富、お伊勢参りと熊野詣、伝統芸能や伝統行事、古い歴史のあるお祭りが盛ん、などの特徴があります。

•考え方や好み

気さくな人付き合い、値引き交渉は大胆、安い自慢、名物の手土産、カラフルなファッション

•生活

エスカレーターは右側に立つ、バスは後乗り・後払い、女性専用車両は中央、1畳の大きさは約11㎡

•食文化

公家の好む薄口の味付け、軟水に合う昆布だし、甘みがあり香り控えめな野菜、粉物文化、お雑煮は味噌+焼かない丸餅、餅には砂糖醤油、いなり寿司は三角、すき焼きは味付けが後、出汁と塩のきいた卵焼き、ところてんは黒蜜、もち米で包む桜餅「道明寺」、パンは5枚切り

関西の風習

中部の風習

中部地方は、蔵元・窯元が多い、温泉地・スキー場が多い、富士山信仰と道祖神信仰、稲作や茶・果樹・高原野菜の栽培が盛ん、などの特徴があります。

中部の風習

•富士山信仰

日本最高峰の富士山は、噴火への恐れとその美しさから、畏怖と崇拝の対象となってきました。厳しい修行を行う修験道、庶民を対象とした民衆信仰である富士講、遠くから拝む遙拝、登って拝む登拝など、さまざまな形で信仰されています。
富士講を背景に、かの有名な葛飾北斎の「富嶽三十六景」が描かれたと言われています。

•道祖伸信仰

長野県伊那谷に伝わる「コトヨウカ(事八日)」という行事があります。2月8日、子どもたちを中心に家々を巡り念仏を唱え、ワラで作った馬や草履を村から送り出すなどして、村の疫病払いや無病息災を祈願します。

•節分

長野県では、鬼退治や魔除けの意味で、イワシの頭をヒイラギなどに刺したものを神棚や軒先に飾る、イワシやとろろ汁や節分そばを食べるなどの慣習があります。
また、下伊那郡天龍村には「追儺祭」という厄払いの神事があり、本厄を迎える人々が儀式の後に豆まきを行います。

•お祭り

日本三大盆踊りのひとつ「郡上踊り(岐阜県)」、水神様に感謝を捧げる「水神祭(新潟県)」、先祖供養と豊作祈願の「おわら風の盆(富山県)」、豪快な「宇出津あばれ(キリコ)祭(石川県)」、男女が桜の枝を交換して思いを伝え合うロマンチックなお祭り「花換まつり(福井県)」、大蛇に見立てた藤づるを奪い合う「藤切り祭り(山梨県)」、豪華絢爛な車山が練り歩く「犬山祭(愛知県)」、海賊征伐の故事を再現する「堂ヶ島火祭り(静岡県)」など、各地でさまざまなお祭りが開催されています。

中国・四国の風習

中国・四国地方は、温暖で自然が豊か、神の国・出雲、四国八十八箇所霊場を巡るお遍路さん、などの特徴があります。

中国・四国の風習

•どんど焼き

古いお札やお守り、お正月の注連飾りや門松、書き初めなどを燃やして一年の無病息災を祈る行事で、中国・四国地方の多くの地域で行われています。

•節分(山口県萩市)

厄年の人が厄落としのため、自分の数え年の数の豆を紙に包んで、夜中にこっそりと四つ辻(十字の道路)に置くという風習があります。

•お祭り

日本三大盆踊りのひとつ「阿波踊り(徳島県)」、巨大な太鼓台を担ぐ「新居浜太鼓祭り(愛媛県)」、鳴子を打ち鳴らして踊る「よさこい祭り(高知県)」など、さまざまなお祭りが開催されています。

•食文化

香川県は、県を挙げて「うどん県」をアピールしています。県民1人当たりの年間うどん消費量は、全国平均の4倍にもなる230玉。災害時のうどん炊き出しを定めた協定もある程、うどんの普及に熱心です。広島県にはワニ料理(サメ・フカのこと)、山口県には鯨料理、鳥取県には小豆雑煮、高知県にはうつぼ料理といった珍しい食文化もあります。

九州の風習

九州地方は、南の温暖な気候、織物や陶芸など伝統工芸が盛ん、食文化が豊か、遣隋使・遣唐使の出航地の福岡・出島・キリスト教の布教地の長崎など古くから海外への窓口である、沖縄に大和民族とは異なる琉球民族の文化が根付いている、などの特徴があります。

九州の風習

•曲水の宴(福岡県)

3月第1日曜日に太宰府天満宮で行われる、平安時代の宮中行事を再現した神事です。梅の花が咲く庭園で、十二単など平安装束に身を包み、上流から流れてくる盃が通り過ぎるまでに歌を詠み、お酒を飲み干します。

•ユイ(鹿児島県屋久島・奄美大島)

地域住民が助け合い協力して生活する、昔ながらの互助の習慣「ユイ(結)」が今も残っています。農作業や町の美化、災害時、共同商店の運営など、高齢化・過疎化が進む地域でも、地域のつながりを取り戻して住民同士で助け合っています。

•パーントゥ・プナハ(沖縄県宮古島)

仮面をつけた3体の厄払いの神パーントゥが、井戸の底の泥を全身に塗りつけ、体につる草を巻き付け、奇声を発しながら家々を回り、逃げ惑う住民、子どもたち、見物客に容赦なくその泥をなすりつけます。無病息災や疫病退散、子どもたちの健康と成長を願って行われる伝統行事です。

•お祭り

シャモジを叩いて練り歩く「博多どんたく」、山笠という作り山を奉納し無病息災を願う「博多祇園山笠」、おひな祭りを祝う「柳川さげもん」「天領日田おひなまつり」「佐賀城下ひなまつり」「島原城下ひなめぐり」、日本各地から帆船が集まる「長崎帆船まつり」、五穀豊穣を願う勇壮な「阿蘇火祭り」など、各地でさまざまなお祭りが開催されています。

•食文化

福岡県の博多ラーメン・水炊き・もつ鍋・辛子明太子、佐賀県の呼子イカ・ムツゴロウ・黒毛和牛、長崎県の長崎ちゃんぽん・皿うどん、熊本県の馬刺し、大分県の関あじ・関さば・とり天・鶏めし、宮崎県のマンゴー・チキン南蛮、鹿児島県の黒毛和牛・白くまアイス、沖縄県のゴーヤ・豚足、九州4県のすっぽんなど、誰もがすぐに思い出せる程の美味しいものが豊富です。

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筆者プロフィール:gracen

ヨーロッパ在住ライター・翻訳家。
海外在住歴15年・海外旅行歴25ヶ国、国内旅行歴32都道府県の経験を活かして幅広い分野で執筆。
幼少期に「いろいろな国の本当の姿をこの目で確かめたい」と強烈に感じたことが原動力に。得意分野は、海外移住・旅行、語学、お花・農業、自然療法、IT、法律など。パリの老舗花店であるMouliéとLa Maison Vertumneで花修行の経験あり。


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