人気のキーワード
★隙間時間にコラムを読むならアプリがオススメ★
“羽織”と聞くと、着物の上に羽織るものというイメージがあり、かしこまった服装と感じられる方が多いのではないでしょうか。しかし最近では、洋服に羽織を合わせたカジュアルな着こなしで、おしゃれを楽しむ方を見かけるようになってきました。
今回のテーマは、種類豊富な羽織の中でも、粋な遊び心を感じられる“裏勝り羽織”。裏勝りの歴史や魅力とともに、おすすめの“おしゃれな羽織コーデ”も併せてご紹介します。
“裏勝り”をご存知ですか?
着物の世界で使われる、裏勝りという言葉。特に、男性の着物に見られることが多いです。裏勝りの"裏”とは、着物や羽織の“裏地”を意味します。誰からも見える“表地”は、無地なシンプルスタイル。その一方で、裏地には様々な景色や模様が施されているのが特徴です。
普段は見えない裏地の柄ですが、脱いだ時にチラリと見える。表を地味にすることで、裏のおしゃれを引き立たせる。
これが裏勝りの醍醐味です。
裏勝りの発祥は、今から遡ること江戸時代中期。その当時、“奢侈禁止令(しゃしきんしれい)”が出され、様々な制約を課されました。
奢侈禁止令とは、簡単に言えば“ぜいたく禁止令”のこと。世の体制がひっ迫していることから、派手な暮らしを慎みなさいという御触れでした。着物に関しては、絹のような高級品は避け、綿や麻などの質素な素材を身に付けることが奨励されました。しかし人々(武士や町人ら)は、このまま純粋に従っていた訳ではなく、秘めた「おしゃれ心」がここで開花したのでしょう。
人の目につく表地は地味に質素に。その代わりに、裏地の見えない部分には思う存分?派手に自由に。
奢侈禁止令に対する人々の反骨心とともに、外側ではなく、隠れた内側の部分におしゃれを楽しむ発想が芽生えたという訳です。
"粋(いき)“という表現、一度は耳にしたことがあるかと思います。しかし、実際に一言で説明するのは意外と難しいですよね。
粋は“意気”が転じた語。用語辞典などで調べてみると、
・振る舞いや身なりが垢抜けして洗練されている。色気も漂いつつ、格好が良い。
・人情に通じたさっぱりとした気立て。遊び心を持っている。
などが挙げられます。
“粋”は江戸時代、特に中期以降、庶民生活の中から自然と生まれてきた美意識や美的概念と言われています。 質素倹約を推進されたその時代、制限ある生活の中でも“自分らしさを解き放つ”とでも言いましょうか、人々は知恵を絞り、工夫を凝らし、そして遊び心をもっておしゃれセンスを磨くことに励んだのでしょう。このような背景から培われたものを、現代では“江戸の粋”と表現しているといえます。
"粋“は、江戸時代から受け継がれてきた奥深い考え方の一つです。
日本人の隠れた部分や見えない部分への、こだわりやお洒落を楽しむ精神。これは、“粋な遊び心”を感じさせるとともに、現代にも受け継がれている日本人の“奥ゆかしさ”のような価値観にも繋がっているように思えます。
例えばスーツの裏地や靴下、ベルトなどへのこだわり。これって表からは見えませんし、よく見ないと柄も分かりません。仕事用の制服であれば、内側のポケットにお気に入りの文房具を忍ばせて置くことで、仕事のモチベーションも上がります。洋服の内側のブランド名のタグであれば、人に見せびらかすためではないけれど、お気に入りを着用している満足感があるものです。
最近流行りの“インナーカラー”は、外側と内側のコントラストなカラーが目を惹きます。
人に意見を合わせる、感情を表に出さない、目立つことを避ける…等々。日本人はどちらかと言うと“見せない”気質があるとも言われます。だからこそ、この“裏勝り”の文化や考え方、“隠れた部分におしゃれを楽しむ”感覚が、生きてくるのではないでしょうか。
羽織=和装
この概念は、変わることなく今でも受け継がれています。しかし、服装に対する考え方は時代とともに変わってきましたよね。“裏勝りの羽織“も、個性を生かした自由な着方ができます。
遊び心を加えれば、“江戸っ子風で粋“な羽織コーデに仕上がります。ここでは特にメンズにおすすめの、和洋折衷の羽織コーデをご紹介しましょう。
カヤの袴パンツや中着と合せる羽織コーデ
中着とは、肌着と表着の間に着用するものです。 中着の首元は着物の衿のような作りになっているため、“和”を醸し出すスタイル。ボトムスは、程よい広がりのあるカヤの袴状パンツ。そこに"裏勝りの和羽織“を羽織ることで、"粋”なおしゃれを演出。ハットに黒い足袋風のスニーカースタイルは、大正ロマンをも思わせます。
現代だからこそマッチする、“自然な和の趣”が感じられるコーデです。
シャツや革靴、帽子と合せた"きちんと感“のある羽織コーデ
衿付きの白いシャツに、すっきりストレートなボトムス。このシンプルで清潔感たっぷりなスタイルに、アクセントに革靴や帽子を合せれば、きちんと感を漂わせます。そこに柔らかさや優雅さを放つ“和羽織”を合わせれば、改まった“お出掛け着”に。
颯爽と歩く羽織姿に思わず釘付けですね。
ジーンズやTシャツ、パーカーに合せた羽織コーデ
毎日履いても飽きのこないジーンズや、たっぷりしたシルエットが特徴のサルエルパンツ。また、動きやすく丈夫で大きなポケットがついたカーゴパンツなどなど。お気に入りのボトムスに合せ、Tシャツやパーカーといったカジュアルなトップスとの組み合わせに、ぜひ加えて欲しいのが”和羽織“。
“ジーンズ素材の和羽織”は、いつものカジュアルコーデにスパイスを加え、“粋”なカッコよさを演出してくれます。
ジャージに和羽織を合わせる上級コーデ
スポーティーななジャージに長めの羽織をコートのように纏った、斬新なスタイルがとても新鮮。個性×個性の上級スタイルを可愛らしいニット帽で柔らかくいなすのもポイントです。ここまで振り切るのも、おしゃれでカッコイイですね。
裏勝りの魅力をフルに取り入れた、お洒落で粋な着物風羽織。性別問わず着用頂けます。裏地には魔除けの意味が込められた"鱗”のデザインを起用。表地より更に豪華な裏地を忍ばせ、職人による和装ならではの直線裁ちで、カヤらしい和装カジュアルに仕上げました。
いかがでしたか?
江戸中期の様々な規制によって、倹約と質素を推進された人々の生活。“裏勝り”の文化は、こうした背景の中で誕生しました。隠れた部分に趣味嗜好を遊び心として取り入れ、そこに楽しみを見出す。このような感性や美意識が、"粋“の真髄かもしれません。
ぜひこの機会に、日常のお洒落に裏勝りの羽織を取り入れて、江戸っ子の粋を味わってみてはいかがでしょうか。
“羽織”と聞くと、着物の上に羽織るものというイメージがあり、かしこまった服装と感じられる方が多いのではないでしょうか。
しかし最近では、洋服に羽織を合わせたカジュアルな着こなしで、おしゃれを楽しむ方を見かけるようになってきました。
今回のテーマは、種類豊富な羽織の中でも、粋な遊び心を感じられる“裏勝り羽織”。
裏勝りの歴史や魅力とともに、おすすめの“おしゃれな羽織コーデ”も併せてご紹介します。
裏勝り(うらまさり)とは?~裏勝りの生まれた背景~
“裏勝り”をご存知ですか?
着物の世界で使われる、裏勝りという言葉。特に、男性の着物に見られることが多いです。
裏勝りの"裏”とは、着物や羽織の“裏地”を意味します。誰からも見える“表地”は、無地なシンプルスタイル。その一方で、裏地には様々な景色や模様が施されているのが特徴です。
普段は見えない裏地の柄ですが、脱いだ時にチラリと見える。
表を地味にすることで、裏のおしゃれを引き立たせる。
これが裏勝りの醍醐味です。
裏勝りの発祥は、今から遡ること江戸時代中期。
その当時、“奢侈禁止令(しゃしきんしれい)”が出され、様々な制約を課されました。
奢侈禁止令とは、簡単に言えば“ぜいたく禁止令”のこと。
世の体制がひっ迫していることから、派手な暮らしを慎みなさいという御触れでした。
着物に関しては、絹のような高級品は避け、綿や麻などの質素な素材を身に付けることが奨励されました。
しかし人々(武士や町人ら)は、このまま純粋に従っていた訳ではなく、秘めた「おしゃれ心」がここで開花したのでしょう。
人の目につく表地は地味に質素に。
その代わりに、裏地の見えない部分には思う存分?派手に自由に。
奢侈禁止令に対する人々の反骨心とともに、外側ではなく、隠れた内側の部分におしゃれを楽しむ発想が芽生えたという訳です。
江戸の「粋」とは?その遊び心を現代に!~隠れた部分におしゃれを楽しむ~
"粋(いき)“という表現、一度は耳にしたことがあるかと思います。
しかし、実際に一言で説明するのは意外と難しいですよね。
粋は“意気”が転じた語。用語辞典などで調べてみると、
・振る舞いや身なりが垢抜けして洗練されている。色気も漂いつつ、格好が良い。
・人情に通じたさっぱりとした気立て。遊び心を持っている。
などが挙げられます。
❊遊び心:ゆとりや洒落っ気のある心のこと“粋”は江戸時代、特に中期以降、庶民生活の中から自然と生まれてきた美意識や美的概念と言われています。
質素倹約を推進されたその時代、制限ある生活の中でも“自分らしさを解き放つ”とでも言いましょうか、人々は知恵を絞り、工夫を凝らし、そして遊び心をもっておしゃれセンスを磨くことに励んだのでしょう。
このような背景から培われたものを、現代では“江戸の粋”と表現しているといえます。
遊び心を取り入れながら、おしゃれを楽しむ工夫によって生まれた「裏勝り」
"粋“は、江戸時代から受け継がれてきた奥深い考え方の一つです。
日本人の隠れた部分や見えない部分への、こだわりやお洒落を楽しむ精神。
これは、“粋な遊び心”を感じさせるとともに、現代にも受け継がれている日本人の“奥ゆかしさ”のような価値観にも繋がっているように思えます。
例えばスーツの裏地や靴下、ベルトなどへのこだわり。
これって表からは見えませんし、よく見ないと柄も分かりません。
仕事用の制服であれば、内側のポケットにお気に入りの文房具を忍ばせて置くことで、仕事のモチベーションも上がります。洋服の内側のブランド名のタグであれば、人に見せびらかすためではないけれど、お気に入りを着用している満足感があるものです。
最近流行りの“インナーカラー”は、外側と内側のコントラストなカラーが目を惹きます。
人に意見を合わせる、感情を表に出さない、目立つことを避ける…等々。
日本人はどちらかと言うと“見せない”気質があるとも言われます。だからこそ、この“裏勝り”の文化や考え方、“隠れた部分におしゃれを楽しむ”感覚が、生きてくるのではないでしょうか。
和装にも洋装にも、自由で粋な羽織コーデでお洒落に
羽織=和装
この概念は、変わることなく今でも受け継がれています。
しかし、服装に対する考え方は時代とともに変わってきましたよね。
“裏勝りの羽織“も、個性を生かした自由な着方ができます。
遊び心を加えれば、“江戸っ子風で粋“な羽織コーデに仕上がります。
ここでは特にメンズにおすすめの、和洋折衷の羽織コーデをご紹介しましょう。
和洋服×和羽織コーデ
カヤの袴パンツや中着と合せる羽織コーデ
中着とは、肌着と表着の間に着用するものです。
中着の首元は着物の衿のような作りになっているため、“和”を醸し出すスタイル。
ボトムスは、程よい広がりのあるカヤの袴状パンツ。
そこに"裏勝りの和羽織“を羽織ることで、"粋”なおしゃれを演出。
ハットに黒い足袋風のスニーカースタイルは、大正ロマンをも思わせます。
現代だからこそマッチする、“自然な和の趣”が感じられるコーデです。
シンプルシャツ+すっきりボトムス×和羽織コーデ
シャツや革靴、帽子と合せた"きちんと感“のある羽織コーデ
衿付きの白いシャツに、すっきりストレートなボトムス。
このシンプルで清潔感たっぷりなスタイルに、アクセントに革靴や帽子を合せれば、きちんと感を漂わせます。
そこに柔らかさや優雅さを放つ“和羽織”を合わせれば、改まった“お出掛け着”に。
颯爽と歩く羽織姿に思わず釘付けですね。
カジュアル×和羽織コーデ
ジーンズやTシャツ、パーカーに合せた羽織コーデ
毎日履いても飽きのこないジーンズや、たっぷりしたシルエットが特徴のサルエルパンツ。
また、動きやすく丈夫で大きなポケットがついたカーゴパンツなどなど。
お気に入りのボトムスに合せ、Tシャツやパーカーといったカジュアルなトップスとの組み合わせに、ぜひ加えて欲しいのが”和羽織“。
“ジーンズ素材の和羽織”は、いつものカジュアルコーデにスパイスを加え、“粋”なカッコよさを演出してくれます。
スポーツ×和羽織コーデ
ジャージに和羽織を合わせる上級コーデ
スポーティーななジャージに長めの羽織をコートのように纏った、斬新なスタイルがとても新鮮。
個性×個性の上級スタイルを可愛らしいニット帽で柔らかくいなすのもポイントです。
ここまで振り切るのも、おしゃれでカッコイイですね。
鱗紋裏勝りメンズ羽織
裏勝りの魅力をフルに取り入れた、お洒落で粋な着物風羽織。性別問わず着用頂けます。
裏地には魔除けの意味が込められた"鱗”のデザインを起用。表地より更に豪華な裏地を忍ばせ、職人による和装ならではの直線裁ちで、カヤらしい和装カジュアルに仕上げました。
裏勝りで粋なお洒落を!
いかがでしたか?
江戸中期の様々な規制によって、倹約と質素を推進された人々の生活。“裏勝り”の文化は、こうした背景の中で誕生しました。
隠れた部分に趣味嗜好を遊び心として取り入れ、そこに楽しみを見出す。
このような感性や美意識が、"粋“の真髄かもしれません。
ぜひこの機会に、日常のお洒落に裏勝りの羽織を取り入れて、江戸っ子の粋を味わってみてはいかがでしょうか。