掲載日:2023.08.06

意外と手軽?1泊2日の優雅な船旅

大海原を優雅に進む客船旅行。憧れはあるものの私には縁遠い存在で、船旅=数週間のクルーズ旅行だと思っていました。
そんな時に誘われたのが船で行く北海道旅行。今回は〝旅の1泊を船で過ごす〟気軽な船旅を紹介します。

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船旅の醍醐味は目的地までの行程

「とにかく遠くの国へ行きたい!異国で様々なものを観たい!」と思っていた私にとって、旅先への移動手段は飛行機以外、考えられないものでした。1分でも早く現地に着きたい、帰りも1分でも長く現地にいたい、そのため移動手段は飛行機一択。
しかしコロナ禍による移動の制限、5類に引き下げられやっと!と思った矢先の円安&燃油高騰…。気が付けば、旅に出たくてもなかなか行けない世界になってしまいました。

そんな時に誘われたのが船旅。
「飛行機に乗ってサクッと現地へ行く旅もいいけれど、船でのんびり過ごしながら目的地につくまでの行程を楽しむのもいいものだよ」「そうかな?でも移動時間を楽しむコトはしたことなかったな。試してみよう!」

船旅01苫小牧発のフェリーの航路。他にも関東⇔九州や沖縄など、さまざまなルートがあります。慣れてくると「こんな航路が!」と見てるだけで楽しくなります

飛行機なら90分。船なら18時間

今回、船で向かうのは北海道。関東から北海道まで飛行機で行けば90分程度で済む移動時間ですが船だと丸一日(18時間)かかります。
あえて選んだ船旅ですが、頭の中では18時間も何するの??と疑問でいっぱいでした。

かつて東京のセレブ雑誌で働いていたときのことを思い出します。
一週間のクルーズ取材を終えた同僚は私にこう言いました。「海の上って何もすることがないんだよ。何にもできないの。取材以外はぼーっと海を見てるしかなくて、あんな贅沢な時間は二度と味わえない。でも干からびそうだった…」
この当時、私たちはとんでもない働き方をしていて、始発・終電は当たり前、休日出勤も繰り返し(もちろん代休なし)、家にはシャワーを浴びに帰るだけの状態でした。なので同僚は自身への揶揄もこめて「干からびそうだった」と口にしたのでしょうが、18時間も私何しよう?

船旅02優雅な船旅。360度どこを見渡しても海・海・海! 天気に恵まれると絶景です

欠航を頭にいれて計画を

例えば千葉⇔神奈川を結ぶ東京湾フェリーなどは、予約をしなくてもその場で乗船できます。でも今回私が乗船する宿泊を伴うフェリーの場合は予約がマスト。
時期や曜日によって船が出航しない日もありますし、出航時刻も夕方便と深夜便の2タイプがあります。そして荒天時には欠航も…。

「欠航なんて早々しないでしょ?台風なら事前に分かることだし」と高を括っていたら、「いやいや、風が強いと波が高くなるから船は出航しないよ。飛行機とは条件が違う」と船旅経験者に諭されたりもしました。
船旅の場合は乗りたい日時だけでなく、欠航の可能性を考えてその前後の船の出航の有無も調べておくのがベターのようです。

また〝船が出航しない日〟も鬼門。私の場合も、乗りたい日の前後3日間が船の出航なしとなっていて、旅を計画する段階からつまずいてしまいました。さらに欠航となった場合、次の船を利用することになりますが〝船が出航しない日〟が間にくると、次の船は4日後!?なんてことも。
船旅初心者の私は「飛行機なら毎日何本もでるのに?船ってちょっと面倒かも…」と思いながら計画を練り直した記憶があります。

船旅03

気になる船旅の値段は?

日本全国、様々な旅のルートが用意されている船旅ですが、今回私が乗船したのは、関東(茨城県の大洗)⇔北海道(苫小牧)間を運航するさんふらわあです。
お部屋タイプは、船の上とは思えない豪華なスイート、専用展望デッキ付き個室、窓付きの個室、カプセル寝台タイプ、大広間で雑魚寝するタイプと全部で5タイプあり、値段も1万円以下~6万9千円まで多岐に富みます。

私は窓付きの個室を予約、値段は一人2万いかない位でした。LCCなどの格安航空会社を利用すれば1万円以下(キャンペンーン中なら5千円前後)で飛べてしまうことを考えると高いのか安いのか、飛行機旅しかしたことがない人間にとって正直ちょっと悩む値段でした。でも、一晩船で過ごすのだから妥当な額なのかな?

色々調べる中で楽しい発見もありました。船会社は、結構な頻度で様々な割引キャンペーンを行っています。「バイクで行く旅」とか「小学生以下は無料」とか「0泊で行く北海道」とか。
船旅は時間もお金もかかると思い込んでいたので、「こんな旅行の仕方があるんだ」と驚かされたりもしました。

船旅04宿泊した窓付き個室の窓。ガラスの向こうには海が広がります

はじめての大洗港に到着

よく晴れた風の穏やかな6月、出航場所である茨城県の大洗港へ向かいます。アクセスが悪いかな?と思われた大洗港ですが、東京駅から高速バスが出ていて意外とスムーズに行けました。
順調すぎて出航の3時間前に到着。早すぎたかな?と思われたものの、コロナが5類に引き下げられ世の中は外出ムード一色。フェリーターミナルは、はやる気持ちを抑えきれない人々で既にいっぱいでした。

フェリーラウンジはコンビニや売店などはなく、自販機が何台かおいてあるだけのシンプルな造りですが、スペースは広々。
乗船するフェリーを望むラウンジ、巨大なTVのあるラウンジとラウンジも2箇所あり、比較的ストレスなく時間をつぶすことができました。

船旅05フェリーの出航案内板。英語表記もあって、旅気分を盛り上げてくれます

船便と飛行機、搭乗手続きの違いは?

無人化が進む飛行機の搭乗手続き。今年の2月に飛行機で国内旅行をした際には、チェックインはスマホ、飛行機に預ける荷物は機械を操作して自身で行うシステムが導入されていて非常に驚きました。が、船旅はまだまだ有人使用。乗船手続きは長い列に並び、スタッフにチケットを見せて乗船券を受け取ります。

搭乗券を受け取った後も、すぐ船には乗れません。定刻の時間がくるまではラウンジで待つことになります。この待ちの時間は飛行機と一緒。
また一度乗船してしまうと、安全上の問題から陸へ引き返すことができなくなります。これもやはり飛行機と一緒。

手続きをして、待って、乗船する。「ちょっと違って、ちょっと一緒だな」と船旅初心者の私は、細かい部分に感心したりしました。
違うのは免税店が無いこと。飛行機の待ち時間に免税店でウィンドウショッピングをするのが好きな私にとって、自販機しかないラウンジはちょっと寂しいものがありました。

船旅06定刻になるまで立ち入り禁止の乗船口

高級スイートご利用のマダムに遭遇

乗船するフェリーを前にラウンジで休憩していた時です。一人の妙齢の女性が話しかけてきました。
旦那さんと横浜に観光で訪れたというその女性は、これから札幌に帰るのだといいます。ごく普通の身なりをした女性でしたが他愛もない会話から余裕のある暮らしぶりが伺えました。

乗船して知りましたが、その女性は船に一つしかないスイートに宿泊している方でした(スイート宿泊者は、レストランに専用席が用意されるのですぐ分かります)。
大理石でできた専用バスルームや2台あるTV、広々した専用デッキ…と動くホテルと表現して良いほど贅を尽くしたお部屋。一体どんな人が泊まるの?と思っていましたが、まさかお話する機会に恵まれるとは。

飛行機の場合、ファーストクラスのラウンジは別で用意されています。だから、ファーストクラスの人と知り合う機会は滅多にありません。
雑魚寝の人もファーストクラスの人も分け隔てなく一緒のラウンジを利用する。船旅の新しい一面を知る機会になりました。

船旅07ラウンジから見た景色。乗船する船を見ながらのんびり過ごします

次回はいよいよ乗船!灯台を望む大浴場、満天の星に包まれた展望デッキなどなど…お楽しみに。

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R.香月(かつき)プロフィール画像

筆者プロフィール:R.香月(かつき)

大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel

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