2023.06.20

北欧の夏至祭「ミッドサマー」ってどんなお祭り?

夏至とは、一年で最も昼の時間が長くなる日のことですが、北欧では夏至を夏至祭「ミッドサマー」として盛大に祝います。

そんな北欧の夏至祭が舞台の映画「ミッドサマー」は、牧歌的な風景とグロテスクな儀式のギャップが怖い映画だったことから、実際の夏至祭についても怖いイメージを持った人は多いのではないでしょうか?

ですが「ミッドサマー」は映画で描かれたような怖いものではなく、友好的で楽しいお祭りなのです。

日本人にはあまり馴染みのないお祭りですが、今回は北欧の伝統的な夏至祭「ミッドサマー」の魅力をご紹介します!

北欧の夏至祭「ミッドサマー」とは

スウェーデン語で「ミィドソンマル」、フィンランド語で「ヨハンヌス」と呼ばれる北欧の夏至祭ですが、映画を観た人は実際のお祭りの様子が気になったのではないでしょうか?

まずはミッドサマーとはどのようなお祭りなのか見ていきましょう!

北欧における夏至祭の歴史

ミッドサマーは、夏至祭と書かれることからも分かるように、夏の到来を祝うお祭りです。

元々はキリスト教の洗礼者ヨハネの誕生日を祝うためのお祭りで、イエスキリストよりも半年早く生まれたという言い伝えから、6月24日が聖ヨハネの日と設定されました。

また、北欧の夏至祭は、イギリスやドイツで行われる五月祭とよく似ていますが、この時期の北欧では咲いている花が乏しいことから夏至の時期に祭りを行うようになったのです。
そのため、北欧をはじめとするヨーロッパでは、夏至祭はクリスマスやイースターと同じくらい重要なお祭りといえます!

ミッドサマー01

北欧の人々にとっての夏至とは?

暗くて長い冬を過ごす北欧の人々にとって、一瞬で過ぎてしまう夏はとても貴重な季節で、正月よりも大切な時期と考える人もいます。
そのため、短い夏を少しでも楽しもうと、北欧では夏の到来を祝うために各地で様々な催しが行われるのです。

夏至祭に合わせて長期休暇を取る人も多く、帰省して家族と一緒に楽しんだり、仲の良い友達と一緒になって夏至を祝ったりする光景を北欧の各地で見ることができます!

夏至祭では何をして過ごす?

ミッドサマーでは実際にどのようなことが行われるのか気になるところですね。
ここでは北欧の人々がどのように夏至を過ごしていくのかをご紹介します!

夏至祭の象徴「メイポール」

映画「ミッドサマー」では、村に設置された三角形の巨大な柱が不気味でしたが、この巨大な柱が夏至祭の象徴ともいえるメイポールです。

スウェーデンではマイストングとも呼ばれるメイポールは、もともと中世のドイツから伝わったものとされていますが、スウェーデンでは白樺の葉と季節の野花でメイポールを飾りつけます。

手作りで用意する家族も見られますが、北欧では人々がお祝いをするためにメイポールのある場所が設けられているのです。

メイポールが何を表しているのかについては諸説あり、生命と春の象徴とも、男性と女性の象徴ともいわれています。

ミッドサマー03

お祭りを盛り上げるダンス

映画内でメイポールの周りを女性が輪になって踊る牧歌的な場面がありましたが、実際の夏至祭でも多くの人々がメイポールを囲むようにして踊ります。

夏至祭で定番のダンスは、スウェーデン語で「スモーグロードナ」と呼ばれるカエルのダンスです。
踊っている全員がカエルの真似をして飛び跳ねている姿は、見ているだけでもお祭りならではの熱気とインパクトを感じることでしょう。

楽器を演奏できる人は、バイオリンやアコーディオン、スウェーデンの伝統的な楽器「ニッケルハルパ」などを演奏し、子供から大人まで一緒になってフォークダンスを踊るのです。

また、メイポールの周りで夜通しお酒を飲みながら踊りを楽しむという光景は、フィンランドの夏至祭でも見ることができます。

ミッドサマー04

参加するときの服装

映画では白いコスチュームに花冠という服装が印象的でしたが、実際も花冠と地元の民族衣装で参加する人が多いようです。

中でもスウェーデンの民族衣装は地域によってデザインも様々なため、800以上もの種類があるといわれています。メイポールと同じように白樺の葉と野花で飾った花冠を被り、白いワンピースの民族衣装で着飾る女性も多いようです。

夏至祭での食事

北欧の夏至祭における食事はシンプルですが、欠かせないものが新じゃがです。

スウェーデンでは夏至祭に合わせて新じゃがを栽培している人も多く、採れた新じゃがはディルという香草と一緒に茹でて、ほくほくの状態でサワークリームやニシンの酢漬けなどと一緒に食べます。

食後のデザートはイチゴと決まっていることから、自家製のイチゴのショートケーキを作って食べることが多いようです。

飲み物は、ビールやスナップスと呼ばれるアルコール度数が30度を超える蒸留酒を飲みながらスウェーデンの明るい夜を楽しみます。

ミッドサマー06

ミッドサマーに宿る不思議な力

古くから夏至の夜は神秘的なものや超自然的なものと結びつけて考えられ、ミッドサマーにも不思議な力が宿っていると言われてきました。

少しダークなおまじないもあれば、ロマンチックな言い伝えもあるようです!

焚火は悪魔払いのおまじない

映画「ミッドサマー」では、生贄として人間が生きたまま神殿に閉じ込められ、その神殿に火が付けられるという衝撃的なシーンがありましたが、実際の夏至祭でも火には不思議な力があると考えられてきました。

夏至を過ぎるに従って昼が短くなり夜が長くなることから、人々は悪い精霊が辺りをうろつき家の中に入って悪いことをすると信じました。
そのため夏至祭では焚火の火を欠かさないことによって、悪い精霊を追い払おうとしたそうです。

こうした悪魔祓いのおまじないである焚火は、デンマークやフィンランドの夏至祭で見ることができます。

夏至が終わると悪い精霊がやってくるという考えは、北欧で古くから伝わる神話や古代ゲルマンの思想が反映されていると言われています。

ミッドサマー07

枕元に花を置いて寝ると夢の中で未来のパートナーに会える!?

夏至は作物の豊穣を表すとともに、男女の出会いが活発になるというイメージがあることから、ロマンチックな言い伝えもあるようです。

スウェーデンやフィンランドでは、夏至祭の夜に7種類の草花を摘んで自分の枕の下にそれを敷いて眠ると、未来のパートナーに会えると言われています。
花冠を被った人々が7種類の草花を摘んでそれを敷いて眠るなんて、おとぎ話のような光景ですよね!

実際にミッドサマーに参加するには?

北欧の夏至祭に参加するには、6月の移動祝祭日辺りにスウェーデンを訪れるといいでしょう。

スウェーデンの中でも特に有名な夏至祭は、ストックホルムから列車で3時間ほどかかるダーラナ地方のレックサンドで行われるものです。

毎年2万人ほどの観光客が訪れるダーラナ地方の夏至祭では、地元の人が民族衣装を身に付けたり、花冠を被って踊りを楽しんだり、伝統的なお祭りの光景を目にすることができます。

日本からスウェーデンの主要都市までは直行便が無いため、飛行機を乗り継いで約12〜15時間ほどかかります。フィンランドのヘルシンキもしくはデンマークのコペンハーゲン経由でストックホルムへ向かうのが一般的な行き方のようです。

ミッドサマー09

まとめ

ここまで北欧の夏至祭「ミッドサマー」について紹介しましたがいかがでしたでしょうか?

映画で描かれたミッドサマーは、実際のお祭りと共通するモチーフも多く登場するため、北欧の夏至祭に対して怖い印象を持った人も少なくないでしょう。
しかし実際の夏至祭は夏の到来を祝うお祭りであり、ダンスや食事を楽しみながら明るい夜を過ごす明るく楽しいものです。

この記事を読んでミッドサマーへの興味が刺激された方は、思い切って実際に参加されてみてはいかがでしょう?
地元の人々がメイポールの周りで踊っている姿を見ているだけでも、きっと忘れられない旅になるはずです!

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