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皆さんは“媽祖(まそ)”という神様をご存知でしょうか?
今回ご紹介する"媽祖“は、中国そして台湾の神様として昔から敬愛される女神。 世界各地に移住した"華僑“による媽祖廟建築とともに媽祖信仰が広まり、現在ではその信仰が47ヵ国にも及び、世界から注目を浴びています。
また、横浜中華街の媽祖廟にはアミナコレクションとの深い関わりもあるんです!
媽祖信仰とはどんなものなのか、女神様と称される”媽祖“の全貌をご紹介しましょう。 きっと媽祖様の虜になる⁈こと間違いなしです。
媽祖神は、実在したモデルがいたと言われています。
西暦960年(北宋時代)3月23日、福建省沿岸の小さな漁村に林家の七女として誕生。 しかし生後1ヶ月を過ぎても泣き声をあげなかったことから、「黙」の字を入れて“林黙娘(りんもうにゃん)”と命名されたと言います。
幼少期より才智に優れ、信仰心が強かった彼女。 16歳の頃には、“神通力”を用いて人々の病を癒し、地域の悪や災難を避けたり、天気を予知するなど“通賢霊女”と崇拝される存在となりました。
また、海に溺れた漁師や船員のために荒海に飛び込み、救出したとも言われています。
人々の苦しみを救い、幸せを与えることに尽力してきた林黙娘。 しかし、父親が海難事故で行方不明となったことのショックと悲しみにより黙娘は旅立ち、峨眉山の山頂で仙人に導かれて神様になったという言い伝えがあります。
実際には、数々の修行を終えた媽祖が昇天したのは987年9月9日。 中国の数え年で29歳という若さでした。 神になった媽祖が赤い衣装に身をまとい、海上を舞いながら難民救助する。 そんな姿が何度も見られたと言います。
ちなみに福建省にある媽祖島(現:南竿島)の名は、この媽祖伝承が由来です。
天上聖母(てんじょうせいぼ)という尊号が与えられた神様は、“媽祖”と呼ばれ、海の女神として敬愛されています。 “歴史上実在した人物が亡くなった後は、天に昇って神になる” という道教の教えから、媽祖は道教の女神とも言われ、数ある神々の中でもトップの地位を誇る崇拝神として人気が高いのだとか。
ちなみに道教とは、儒教、仏教にならぶ中国三大宗教の一つで、漢民族固有の宗教。
神社仏閣へ参拝に行く際、必ずと言って意識するのが“ご利益”ではないでしょうか。 願いを叶えたい時には、そのご利益に期待できる神様や仏様に祈願する方が多いかと思います。
さて、媽祖には航海や漁業を守ることはもちろん、疾病や自然災害、また盗賊など悪から守ってくれるご利益があると言われるようになりました。 それは“林黙娘=媽祖”の一生を見ても一目瞭然!これだけでも充分と言えるご利益なのですが、媽祖には15以上⁈ものご利益があると期待されています。
・開運成就・心願成就・商売繁盛・社運隆昌・家内安全・身体健全・息災延命・無病息災・厄難削除・除災招福・恋愛成就・安産祈願・交通安全・旅行安全・合格祈願
どんな人にもどんな願いにも寄り添い、悩みを解消してくれると言われる神様。 地位が高くて人気も高いとされる道教の女神、"媽祖“のすごさを感じますね。
中国そして台湾で敬愛されていた道教の神様として崇拝されていることは先にもお伝えした通りです。
この神様、日本ではあまり馴染みがないように思いますがいかがでしょうか。 ここでは媽祖様が中国にとって、また台湾にとってどんな存在なのか、また日本に伝えられた媽祖の歴史をお伝えします。
中国沿海部の福建省や潮州周辺を中心に信仰される道教。そして林黙娘の生い立ちにご紹介した通り、道教の神“媽祖”は人々を見守って下さる存在。 航海はもとより、災害や疾病からをも救う。まさに“護国救民”の女神として中国全土で信仰されています。
福建省泉州市は、国際貿易港として宋の時代より栄えた町。 海のシルクロードとして、媽祖信仰が世界各地へ広がる起点になったとも言われています。
中国福建省南部から船に乗り、新天地“台湾”に渡ってきた開拓移民者。彼らが安全な航海とともに無事に到着できたのは、守り女神“媽祖”のお陰と感謝の念を持ち続けていました。 その証として、媽祖を祀る廟(媽祖廟)を至るところに建立していったのです。(媽祖廟については次の項目でご紹介します。)
台湾人にとって中国人と同様、媽祖様は漁業や航海の守り神と敬愛すべき存在なのです。
唐の心越禅師がもたらしたとされる媽祖。徳川光圀が1690年、水戸の弟橘媛神社に神を合祀したと言われています。 1696年には伊藤五郎左衛門(青森県大間村の名手)が大間稲荷神社に遷座。300周年を迎えた1996年以降、“天妃(媽祖)祭”が毎年行われています。
また、日本の媽祖崇拝は1400年代半ばには沖縄の琉球列島から既に始まっていたという記録も残っています。
旧暦3月23日の媽祖の誕生日には、毎年盛大なお祭り“媽祖生誕祭”が台湾全土で開催されます。 どんな催しなのでしょうか? その前に、媽祖を祀った“媽祖廟”について簡単にご紹介します。
媽祖様を祀った宮を媽祖廟と称します。廟とは、寺院、神殿など先祖の霊を祀る建物のこと。中国や台湾では宗教建築物を“廟”と呼びます。
台湾では“媽祖廟”が至る所に見られます。その中でも有名なのは、新北市にある“慈恵宮”。ここはかつて日本の家電メーカー“シャープ”を2016年に買収したこと等で知られる“郭台銘氏”が参拝に訪れた場所。また彼が実際近所に住んでいたことから、商売繁盛にご利益ありとも言われる媽祖廟としても人気があります。
また媽祖廟を祀った宮は、海に面して建てられるのが基本とされるのですが、“昭應宮”は海に背を向けて建立されました。 芸術や学問の気運を上げるのに良いと、風水師の助言があったからだとか。 もちろんその成果も発揮しているとのことです。
全島各地で媽祖生誕祭が行われる中、台中にある有名な媽祖廟、“大甲鎮瀾宮”から行われる媽祖巡礼は最も規模が大きいと言われています。
媽祖生誕日の旧暦3月23日前後からスタートし、巡礼は9日間続きます。 この”大甲鎮瀾宮”は総本山の一つで、ここに祀られている媽祖像が台湾南部、嘉義県新港の“奉天宮”まで練り歩いて戻るというコース。その間、御神像は様々な廟に立ち寄るのだそうです。
往復300km以上の長い道のり。参拝客は毎年30万人以上で100万人を超えた年もあったとか。 台湾最大のイベント、また世界三大宗教イベントと言われるのも頷けますね。 これだけフォーカスされた媽祖生誕の巡礼、これを目当てに台湾を訪れる観光客も少なくないそうです。
横浜と言えば港町。 港は交通や商業などには欠かせない場所です。 なぜ横浜と媽祖がリンクするのか?答えは簡単! なぜなら、媽祖は航海や漁業の守護神として、横浜の海上からも人々を守ってくれる女神様だからですね。
横浜中華街には媽祖を祀った“横浜媽祖廟”があります。 開廟の歴史と毎年行われる媽祖祭についてご紹介しましょう。
元々、風水を意識して作られたのが“横浜中華街”。 10基の門があるなど、街自体の構成と素材や色合いを含め、風水を重んじる中国人によって生まれたパワースポットと言っても過言ではありません。 横浜港開港から150年を迎えた2006年、中華街の朱雀門方面に横浜媽祖廟が開廟されました。
この媽祖廟の正式名称は、“横浜大天后宮”。 “天后宮”と書かれた装飾の門の奥には、八角形の“廟堂”が見えます。
門から廟堂をつないだ赤い提灯は、中国の雰囲気を醸し出し、まるで媽祖が空から私たちを照らしてくれているようにも感じます。 また、横浜媽祖廟には航海安全を見守る媽祖様はもちろん、縁結びや学問、安産・子宝、金運の神々が祀られていることから、様々なご利益が期待できる!と話題の人気スポットになっています。
“お線香を焚いて神様に願いを伝える”これが横浜媽祖廟の参拝方法。 祭壇前には5つの大きな香炉があるので、以下の順番にお線香を供えて参拝していきましょう。
天の神様の香炉“玉皇上帝”→媽祖の香炉"天上聖母“→註生娘娘の香炉"臨水夫人“→月下老人の香炉”文昌帝君“→土地神様の香炉”福徳正神” (参拝の順番は各香炉に番号が記載されているので、初めての方も安心です!)
お線香を焚いてお参りする意味は、“煙”が願いを神に届けてくれるから。つまり神様との縁繋ぎをしてくれるのが、お線香の煙です。 参拝で最も大切なのは、心を静めて純粋な気持ちで手を合わせること。そして感謝を忘れないことですね。
お線香でお参りした後は、金運上昇が期待される参拝方法がおすすめ。 廟内の階段脇に”金亭“という黒い塔があります。ここで金紙を燃やし、天燭台でロウソクをお供えします。
実際に宝くじが当たった等、ご利益ありと口コミも広まっているようです。願いが叶った際にも、金紙を燃やしてお礼参りをしましょう。 (※参拝の際にはお線香やロウソク、金紙を予め売店で購入して下さい。)
横浜媽祖廟の開廟を記念し、毎年開催されるのが“媽祖祭”。
廟内にセットされた大きなテーブルには、お供え物としての北京ダックや魚の丸焼き、炒め物、月餅などの御菓子も豪勢に並び、写真撮影する人々がごった返すほど。 爆竹の爆音とともに神輿がスタート。活気あふれる横浜中華街を練り歩く神輿巡行は、とても華やかで盛大です!
媽祖祭だけではなく、横浜媽祖廟では“媽祖誕”というお祭りもあります。
媽祖の誕生日である旧暦3月23日に毎年行われます。 2023年は5月12日(金)に開催予定です。 航海安全をはじめ商売や健康など、様々な良縁を結んでくださる媽祖様。 感謝とともに誕生日を祝うのが媽祖誕なのです。
仕事や商売、恋愛や人間関係などの良縁成就。 縁結びの神と言われる“月下老人”に祈願するお祭りです。 開催日は毎年、7月7日。 七夕の日とも重なるので願い事はバッチリ叶いそうですね。 (このイベントは事前申し込みが必要ですので、公式HPをチェックして下さい。)
横浜中華街にある媽祖廟とアミナコレクション、一見関係のなさそうな両者の関わりとは?
アミナコレクション創設者の進藤幸彦による文章を抜粋します。
『そして同じ年(2003年)の10月、 突然、地元の中華街の南門シルクロードに立てられようとした巨大マンションの阻止運動が起こった。 当時、南門シルクロード会の会長だった私も反対に立ち上がった。 だがただ反対だけでは弱い、旧清国大使館跡地の公園に続くその土地に、華僑の航海の女神を祭る媽祖廟を立てようという運動を始めた。 わが社は基本的に海外からの輸入を基礎にしている。常時チームに分かれて世界に出張している会社である。海外渡航の安全は大前提だ。 そしていろんないきさつはあったが、中華街の執念が実り大京は原価で中華街に土地を譲り、同時に媽祖廟の建設が始った。 2006年3月17日廟は完成した。
~中略~
そして2005年本社の移転した先は媽祖廟の隣のビルで、上から媽祖廟の境内が見える位置にある。 社員の出張中には最低一週間に一回は参拝に行く事が出来る。』
(チャイハネマーケット花組 より抜粋)
媽祖廟の入り口には進藤幸彦のペンネームである『彦興』の名で書いた文章が飾られています。
いかがでしたか? 単なる民族信仰だけではなく、文化や政治経済などの分野において、国際シンポジウムで注目される媽祖信仰。 海を司る媽祖は、海を渡って世界中の人々との縁繋ぎをして下さる女神と言ってもよいかもしれませんね。
これを機に、媽祖を祀っている媽祖廟に参拝してみてはいかがでしょうか?
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皆さんは“媽祖(まそ)”という神様をご存知でしょうか?
今回ご紹介する"媽祖“は、中国そして台湾の神様として昔から敬愛される女神。
世界各地に移住した"華僑“による媽祖廟建築とともに媽祖信仰が広まり、現在ではその信仰が47ヵ国にも及び、世界から注目を浴びています。
また、横浜中華街の媽祖廟にはアミナコレクションとの深い関わりもあるんです!
媽祖信仰とはどんなものなのか、女神様と称される”媽祖“の全貌をご紹介しましょう。
きっと媽祖様の虜になる⁈こと間違いなしです。
目次
媽祖とは?~生い立ちから神へ~
媽祖神は、実在したモデルがいたと言われています。
■生い立ちと活躍ぶり
西暦960年(北宋時代)3月23日、福建省沿岸の小さな漁村に林家の七女として誕生。
しかし生後1ヶ月を過ぎても泣き声をあげなかったことから、「黙」の字を入れて“林黙娘(りんもうにゃん)”と命名されたと言います。
幼少期より才智に優れ、信仰心が強かった彼女。
16歳の頃には、“神通力”を用いて人々の病を癒し、地域の悪や災難を避けたり、天気を予知するなど“通賢霊女”と崇拝される存在となりました。
また、海に溺れた漁師や船員のために荒海に飛び込み、救出したとも言われています。
■なぜ神になったのか?
人々の苦しみを救い、幸せを与えることに尽力してきた林黙娘。
しかし、父親が海難事故で行方不明となったことのショックと悲しみにより黙娘は旅立ち、峨眉山の山頂で仙人に導かれて神様になったという言い伝えがあります。
実際には、数々の修行を終えた媽祖が昇天したのは987年9月9日。
中国の数え年で29歳という若さでした。
神になった媽祖が赤い衣装に身をまとい、海上を舞いながら難民救助する。
そんな姿が何度も見られたと言います。
ちなみに福建省にある媽祖島(現:南竿島)の名は、この媽祖伝承が由来です。
■媽祖ってどんな神様?
天上聖母(てんじょうせいぼ)という尊号が与えられた神様は、“媽祖”と呼ばれ、海の女神として敬愛されています。
“歴史上実在した人物が亡くなった後は、天に昇って神になる” という道教の教えから、媽祖は道教の女神とも言われ、数ある神々の中でもトップの地位を誇る崇拝神として人気が高いのだとか。
ちなみに道教とは、儒教、仏教にならぶ中国三大宗教の一つで、漢民族固有の宗教。
媽祖のご利益~どんな願いも叶えてくれる⁈神様~
神社仏閣へ参拝に行く際、必ずと言って意識するのが“ご利益”ではないでしょうか。
願いを叶えたい時には、そのご利益に期待できる神様や仏様に祈願する方が多いかと思います。
さて、媽祖には航海や漁業を守ることはもちろん、疾病や自然災害、また盗賊など悪から守ってくれるご利益があると言われるようになりました。
それは“林黙娘=媽祖”の一生を見ても一目瞭然!これだけでも充分と言えるご利益なのですが、媽祖には15以上⁈ものご利益があると期待されています。
・開運成就・心願成就・商売繁盛・社運隆昌・家内安全・身体健全・息災延命・無病息災・厄難削除・除災招福・恋愛成就・安産祈願・交通安全・旅行安全・合格祈願
どんな人にもどんな願いにも寄り添い、悩みを解消してくれると言われる神様。
地位が高くて人気も高いとされる道教の女神、"媽祖“のすごさを感じますね。
中国や台湾における媽祖様
中国そして台湾で敬愛されていた道教の神様として崇拝されていることは先にもお伝えした通りです。
この神様、日本ではあまり馴染みがないように思いますがいかがでしょうか。
ここでは媽祖様が中国にとって、また台湾にとってどんな存在なのか、また日本に伝えられた媽祖の歴史をお伝えします。
中国では?
中国沿海部の福建省や潮州周辺を中心に信仰される道教。そして林黙娘の生い立ちにご紹介した通り、道教の神“媽祖”は人々を見守って下さる存在。
航海はもとより、災害や疾病からをも救う。まさに“護国救民”の女神として中国全土で信仰されています。
福建省泉州市は、国際貿易港として宋の時代より栄えた町。
海のシルクロードとして、媽祖信仰が世界各地へ広がる起点になったとも言われています。
台湾では?
中国福建省南部から船に乗り、新天地“台湾”に渡ってきた開拓移民者。彼らが安全な航海とともに無事に到着できたのは、守り女神“媽祖”のお陰と感謝の念を持ち続けていました。
その証として、媽祖を祀る廟(媽祖廟)を至るところに建立していったのです。(媽祖廟については次の項目でご紹介します。)
台湾人にとって中国人と同様、媽祖様は漁業や航海の守り神と敬愛すべき存在なのです。
日本では??
唐の心越禅師がもたらしたとされる媽祖。徳川光圀が1690年、水戸の弟橘媛神社に神を合祀したと言われています。
1696年には伊藤五郎左衛門(青森県大間村の名手)が大間稲荷神社に遷座。300周年を迎えた1996年以降、“天妃(媽祖)祭”が毎年行われています。
また、日本の媽祖崇拝は1400年代半ばには沖縄の琉球列島から既に始まっていたという記録も残っています。
媽祖生誕祭ってどんなお祭り?~世界三大宗教イベント⁉~
旧暦3月23日の媽祖の誕生日には、毎年盛大なお祭り“媽祖生誕祭”が台湾全土で開催されます。
どんな催しなのでしょうか?
その前に、媽祖を祀った“媽祖廟”について簡単にご紹介します。
媽祖廟とは?
媽祖様を祀った宮を媽祖廟と称します。廟とは、寺院、神殿など先祖の霊を祀る建物のこと。中国や台湾では宗教建築物を“廟”と呼びます。
台湾では“媽祖廟”が至る所に見られます。その中でも有名なのは、新北市にある“慈恵宮”。ここはかつて日本の家電メーカー“シャープ”を2016年に買収したこと等で知られる“郭台銘氏”が参拝に訪れた場所。また彼が実際近所に住んでいたことから、商売繁盛にご利益ありとも言われる媽祖廟としても人気があります。
また媽祖廟を祀った宮は、海に面して建てられるのが基本とされるのですが、“昭應宮”は海に背を向けて建立されました。
芸術や学問の気運を上げるのに良いと、風水師の助言があったからだとか。
もちろんその成果も発揮しているとのことです。
媽祖生誕祭~媽祖巡礼~
全島各地で媽祖生誕祭が行われる中、台中にある有名な媽祖廟、“大甲鎮瀾宮”から行われる媽祖巡礼は最も規模が大きいと言われています。
媽祖生誕日の旧暦3月23日前後からスタートし、巡礼は9日間続きます。
この”大甲鎮瀾宮”は総本山の一つで、ここに祀られている媽祖像が台湾南部、嘉義県新港の“奉天宮”まで練り歩いて戻るというコース。その間、御神像は様々な廟に立ち寄るのだそうです。
往復300km以上の長い道のり。参拝客は毎年30万人以上で100万人を超えた年もあったとか。
台湾最大のイベント、また世界三大宗教イベントと言われるのも頷けますね。
これだけフォーカスされた媽祖生誕の巡礼、これを目当てに台湾を訪れる観光客も少なくないそうです。
横浜中華街~横浜媽祖廟とは?~
横浜と言えば港町。
港は交通や商業などには欠かせない場所です。
なぜ横浜と媽祖がリンクするのか?答えは簡単!
なぜなら、媽祖は航海や漁業の守護神として、横浜の海上からも人々を守ってくれる女神様だからですね。
横浜中華街には媽祖を祀った“横浜媽祖廟”があります。
開廟の歴史と毎年行われる媽祖祭についてご紹介しましょう。
横浜媽祖廟
元々、風水を意識して作られたのが“横浜中華街”。
10基の門があるなど、街自体の構成と素材や色合いを含め、風水を重んじる中国人によって生まれたパワースポットと言っても過言ではありません。
横浜港開港から150年を迎えた2006年、中華街の朱雀門方面に横浜媽祖廟が開廟されました。
この媽祖廟の正式名称は、“横浜大天后宮”。
“天后宮”と書かれた装飾の門の奥には、八角形の“廟堂”が見えます。
門から廟堂をつないだ赤い提灯は、中国の雰囲気を醸し出し、まるで媽祖が空から私たちを照らしてくれているようにも感じます。
また、横浜媽祖廟には航海安全を見守る媽祖様はもちろん、縁結びや学問、安産・子宝、金運の神々が祀られていることから、様々なご利益が期待できる!と話題の人気スポットになっています。
参拝方法
■お線香で参拝
“お線香を焚いて神様に願いを伝える”これが横浜媽祖廟の参拝方法。
祭壇前には5つの大きな香炉があるので、以下の順番にお線香を供えて参拝していきましょう。
天の神様の香炉“玉皇上帝”→媽祖の香炉"天上聖母“→註生娘娘の香炉"臨水夫人“→月下老人の香炉”文昌帝君“→土地神様の香炉”福徳正神”
(参拝の順番は各香炉に番号が記載されているので、初めての方も安心です!)
お線香を焚いてお参りする意味は、“煙”が願いを神に届けてくれるから。つまり神様との縁繋ぎをしてくれるのが、お線香の煙です。
参拝で最も大切なのは、心を静めて純粋な気持ちで手を合わせること。そして感謝を忘れないことですね。
■金紙のお供え
お線香でお参りした後は、金運上昇が期待される参拝方法がおすすめ。
廟内の階段脇に”金亭“という黒い塔があります。ここで金紙を燃やし、天燭台でロウソクをお供えします。
実際に宝くじが当たった等、ご利益ありと口コミも広まっているようです。願いが叶った際にも、金紙を燃やしてお礼参りをしましょう。
(※参拝の際にはお線香やロウソク、金紙を予め売店で購入して下さい。)
媽祖祭
横浜媽祖廟の開廟を記念し、毎年開催されるのが“媽祖祭”。
午後(神輿巡行)媽祖像を乗せた御神輿を中心に、獅子舞や龍舞、中国舞踊が横浜中華街全域を練り歩きます。
廟内にセットされた大きなテーブルには、お供え物としての北京ダックや魚の丸焼き、炒め物、月餅などの御菓子も豪勢に並び、写真撮影する人々がごった返すほど。
爆竹の爆音とともに神輿がスタート。活気あふれる横浜中華街を練り歩く神輿巡行は、とても華やかで盛大です!
媽祖誕
媽祖祭だけではなく、横浜媽祖廟では“媽祖誕”というお祭りもあります。
媽祖の誕生日である旧暦3月23日に毎年行われます。
2023年は5月12日(金)に開催予定です。
航海安全をはじめ商売や健康など、様々な良縁を結んでくださる媽祖様。
感謝とともに誕生日を祝うのが媽祖誕なのです。
良縁祭
仕事や商売、恋愛や人間関係などの良縁成就。
縁結びの神と言われる“月下老人”に祈願するお祭りです。
開催日は毎年、7月7日。
七夕の日とも重なるので願い事はバッチリ叶いそうですね。
(このイベントは事前申し込みが必要ですので、公式HPをチェックして下さい。)
横浜媽祖廟とアミナコレクション
横浜中華街にある媽祖廟とアミナコレクション、一見関係のなさそうな両者の関わりとは?
アミナコレクション創設者の進藤幸彦による文章を抜粋します。
『そして同じ年(2003年)の10月、 突然、地元の中華街の南門シルクロードに立てられようとした巨大マンションの阻止運動が起こった。
当時、南門シルクロード会の会長だった私も反対に立ち上がった。
だがただ反対だけでは弱い、旧清国大使館跡地の公園に続くその土地に、華僑の航海の女神を祭る媽祖廟を立てようという運動を始めた。
わが社は基本的に海外からの輸入を基礎にしている。常時チームに分かれて世界に出張している会社である。海外渡航の安全は大前提だ。
そしていろんないきさつはあったが、中華街の執念が実り大京は原価で中華街に土地を譲り、同時に媽祖廟の建設が始った。
2006年3月17日廟は完成した。
~中略~
そして2005年本社の移転した先は媽祖廟の隣のビルで、上から媽祖廟の境内が見える位置にある。
社員の出張中には最低一週間に一回は参拝に行く事が出来る。』
(チャイハネマーケット花組 より抜粋)
媽祖廟の入り口には進藤幸彦のペンネームである『彦興』の名で書いた文章が飾られています。
おわりに
いかがでしたか?
単なる民族信仰だけではなく、文化や政治経済などの分野において、国際シンポジウムで注目される媽祖信仰。
海を司る媽祖は、海を渡って世界中の人々との縁繋ぎをして下さる女神と言ってもよいかもしれませんね。
これを機に、媽祖を祀っている媽祖廟に参拝してみてはいかがでしょうか?
横浜中華街にシルクロードがあるってホント?▼
シルクロードって何?ロマンあふれるオアシスの道で伝えられたものたち
この記事が好きなあなたにおすすめ▼
台湾が知りたい!台湾料理・観光・カルチャーについて徹底解説!