掲載日:2022.12.29

なぜお正月に凧揚げをするの?楽しむコツや凧揚げ祭りもご紹介

お正月といえば、昔ながらの遊び「凧揚げ」を楽しまれる方も多いかと思います。
日本人であれば誰もが知る有名な遊びですが、なぜお正月に凧揚げがされるようになったのかは意外と知られていません。

この記事では、凧揚げの由来や歴史、揚げる時のコツなど、筆者の実体験も踏まえながら詳しく解説していきます!

「凧揚げ」の歴史と由来

そもそも凧揚げはどこが発祥なのでしょうか。

「凧揚げ」の歴史と由来

凧揚げの発祥は中国だった

凧揚げというと日本の正月遊びというイメージが強いですが、実は発祥は中国だと言われています。当時飛ばされていた凧は軍事目的として使われていて、鳳凰、龍、鳥、野獣などが描かれていました。

凧揚げの発祥は中国だった

日本においての凧の歴史とは

凧が初めて日本に伝わって来たのは、平安時代とされています。当時は貴族の遊びとされており、鷹の形をした凧が揚げられていました。

江戸時代に入ると、身分に関係なく一般人の間でも凧が流行し始め、様々な形の凧が登場していきました。

凧揚げの発祥は中国だった
東京名所四十八景 筋違御門うち凧あそび

その人気の高さは、凧揚げに熱中した大人たちが事故や事件を巻き起こすほど。
それを問題視した幕府は、凧揚げ禁止条例を出すほどの事態にまで発展しました。

それでも現在お正月遊びとして親しまれている理由は…後ほどご紹介します!

関東は「タコ」、関西は「イカ」と呼ばれていた?

凧揚げの歴史を語る上で欠かせないのが、凧揚げの呼び方問題。
凧揚げの名前からして、「凧揚げ=タコ」という認識を持っている方は多いかもしれませんが、その昔は「イカ」の形が一般的でした。

凧揚げが大人気となった江戸時代はイカの形をした凧が一般的で、当時は「イカ」や「イカのぼり」と呼ばれていました。そう言われると、今の凧も尾がヒラヒラと宙に舞う様子が、なんとなくイカの形に見えますよね!

イカの形をした凧

それがなぜタコに変化していったのかというと、先ほどご紹介した「凧揚げ禁止条例」別名「イカのぼり禁止令」が発令されたことがきっかけでした。

この条例が発令された時、人々はこう言い放ったのです。
『イカのぼりではなくタコ揚げなんだ!』と。

そうです。これは凧揚げができなくなるのを恐れてのウソです!
今となっては笑える様な言い訳ですね。

こういった出来事から、関東では「タコ」と呼ばれるようになったと言われています。

一方関西では、明治時代までは凧のことを「イカ」や「イカのぼり」と呼んでいました。

筆者が思うには、関西では関東の様な笑える言い訳はなく、そのまま「イカ」という言葉で凧が楽しまれていたのだと思います。現代に近づくにつれ、商品の流通の速さや人々の流動性により、関西の「イカ」は「タコ(凧)」とも認識できるようになったと感じています!

お正月に凧揚げをするのはどうして?

現在ではお正月遊びの定番として親しまれている凧揚げですが、なぜお正月に揚げるようになったのでしょうか。

赤い凧

①参勤交代のないお正月なら安全と考えられた

凧揚げ禁止令が発令された当時、参勤交代のないお正月の時期なら安全に凧揚げができるだろうと対策が行われました。そこからお正月にあげる風習が今でも続いています。

②男の子が生まれた家庭では出生祝いとして

江戸時代に男の子が生まれた家庭では、その子の健康を祈ったり厄除けの意味を込めて、お正月に凧を揚げる風習があったといいます。いわば出産祝いです。
現代ではそういった意味合いはあまり持たれていませんが、お正月の凧揚げという風習のみが残りました。

凧揚げをする人

③健康に良いとされていた

立春に空を見上げると健康にも良いとされている事から、お正月に凧揚げがされてきたと言われています。

筆者も幼い頃は、家族とお正月に近くの野原で凧揚げをしていました。
不思議とお正月の空は凄く澄みきっていて、すがすがしく爽快感を感じたことを覚えています。健康に良いというのは、きっと本当ですね!

凧揚げを楽しむ4つのコツ

揚げやすいサイズ

一般的にはサイズが大きい方が飛ばしやすいとされています。なぜなら、凧は翼面に風を受ける事によって空に揚がるからです。

翼面が大きい方がよく揚がるという事ですね!

揚げやすい種類

皆さんが1度は目にした事のある日本の伝統的な凧「角凧」は、揚げる事がやや難しい凧です。初めてなら、「バイオカイト」や「ゲイラカイト」が簡単なのでおすすめです!

凧揚げをする子供

●バイオカイト

初心者でも簡単に200mも揚げられる、形状や揚がり方に特徴があるカイトです。

●ゲイラカイト

アメリカのゲイラインダストリーズが製造しているカイトです。
1970年代に日本での発売が開始され、扱い安く簡単に揚げられる「カイト」として大ヒットしました。

凧揚げをする場所

一言に「凧揚げをしたい」と思っても、なかなか今の時代どこで揚げれば良いのか分らない方も多いと思います。
凧揚げをする場所を選ぶときは、下記の4つのポイントに注意してみてください。

・電線や木が近くにない場所
・河川敷
・海辺
・広い公園

障害物に引っかかったりしたら大変なので、必ず電線や木のない場所で揚げることがポイントです!だだっ広く何もない場所と言うのが早いかも知れませんね。

凧揚げをする子供02

凧揚げに適した気候

凧揚げに適した気候とは、下記の3点が抑えられている時です。

・一定方向に風が吹いている
・風の強さが適度(風速5m前後)
・晴れている(上昇気流が起きやすいため)

ただ風があるだけではなく、適した風があることが凧を上手く揚げられるポイントとなっています!

筆者も確かに凧揚げをしていて、上手く出来る時とそうでない時がありました。
どうしてなのか当時は分らなかったのですが、風の方向にも関係があったのですね!

お正月以外でも!凧が主役のお祭り&スポーツ

大凧祭り

凧が主役のお祭りといえば、大凧祭りは代表格です!
ただ単に大きさを競う訳ではなく、大きな凧をみんなで見て、揚がるところを楽しもうというイベントとなっています。様々な地域で行われますが、特に有名な3つの大凧祭りをご紹介します。

大凧
新潟市 白根大凧

●春日部市「大凧あげ祭り」

春日部市江戸川河川敷で5月ゴールデンウイークに行われます。
大凧は縦15メートル、横11メートル、重さ800キロとビッグサイズです!

●相模原「相模の大凧まつり」

神奈川県の相模原市新磯地区、相模川河川敷でこちらも5月ゴールデンウイークに行われます。大凧は縦横14.5メートル、重さ950キロと日本一の大きさです!

●座間市「大凧祭り」

神奈川県の座間市新田宿、相模川グラウンド、「相模の大凧まつり」が見える場所で、同じゴールデンウイークに行われます。
大凧は縦横13メートル、重さ1000キロ(1トン!)、重さが一番ある大凧となっています!

筆者は相模原市の「相模の大凧まつり」と座間市の「大凧祭り」には、何度も足を運んだ事があります。
真近で見ると本当に巨大です!綱は何人もの人で引っ張っていて、それだけの大きさがあるので危険も伴い、ある意味命がけの大凧揚げです。

時には揚がらない日もありますが、その分空高く凧が揚がった時は、その場にいる大勢の歓声が沸きあがります。みんなで協力して作った大凧が空を大きく泳ぐのを見ると、とても感動するのです!

近くでは個人で凧を近くで揚げている人も沢山いるので、個人で凧揚げを楽しむのにもおすすめです!

スポーツカイト

スポーツカイトとは、2〜4本のラインを操作してカイトを大空に揚げるスカイスポーツです。風向きを考えて凧を操作し、コツをつかめば初心者でも簡単に揚げることができます。

スポーツカイト

大空に優雅に凧を揚げると、爽快な気分を味わえます。
スポーツカイトは初めての凧揚げにもおすすめなので、気楽に挑戦できそうですね!

喧嘩凧

喧嘩凧とは、糸にガラス粉などを塗りつけ、揚げた凧の糸を相手の凧の糸に絡ませ切り合う遊びです。勝負は切られた方が負けとなります。
日本や世界の喧嘩凧を調べてみました。

●長崎

日本のなかでは、長崎に「けんか凧」というものがあります。
一般的な凧とは違い、相手の糸を切り落とすけんか凧は、長崎で「ハタ」と呼ばれているのだそう。

3月〜5月の春風に乗せて揚げられて、互いに糸を切り合います。オランダ船によって伝わってきた事もあり、デザインなどはオランダ系の物が多くなっています。

長崎の喧嘩凧

●インド

軍事パレードでも有名なインド独立記念日(8月15日)の前後、夏が凧のシーズンです。
大人も子供も凧揚げで大変盛り上がりますが、喧嘩凧によって、事件や事故、死亡事故まで起きてしまったこともありました。

危険性のある凧糸の使用を控えたり、場所を考えようなどの呼びかけを行う企業などもでてきているのも事実です。凧揚げは楽しいですが、時によって危険な事に繋がりかねないため、糸や揚げる場所には要注意ですね。

インドの喧嘩凧

●チベット

チベットにおいて、喧嘩凧は数百年の歴史を持ちます。

8月〜10月にかけては、サラの河原で喧嘩凧のイベントが開催されます。糸が切れた方が負けのルールは同じですが、落ちた凧を拾った人はその凧を所有することができます。
これは日本にもインドにもない、チベットならではの特徴ですね。

凧を高く優雅に泳がせて

日本や世界には様々な凧があり、各地で凧揚げは楽しまれています。

お正月に揚げたい凧揚げ。
場所や風の事を考えて、お正月の澄みきった綺麗な空気の元、大きな青空に凧を高く優雅に泳がせてみてくださいね!

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