掲載日:2022.06.23

バカンス ヨーロッパの素敵な休日

梅雨を迎え、雨の降る日が多くなっている今日この頃。雨の季節を越えれば、ついに夏が訪れます。
お待ちかねの夏の長期休暇がすぐ近くまできていますね!私は、待ち遠しくてワクワクが止まりません!
みなさんは今年の夏をどのように過ごしますか? 夏の休暇といえば、ヨーロッパでは「バカンス」といわれていますが、日本でいう休暇とは少しばかりか大きく違うんです。

ヨーロッパに根付くバカンス、その過ごし方とはどのようなものなのでしょうか。

地中海沿岸の国々を巡ってバカンスを過ごした、ブランシェ枝里子がご紹介します。




バカンスを「からっぽ」に過ごす

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「バカンス」と「旅行」、同じ意味ではありません。
日本ではそこまで違うように思われていませんが、ヨーロピアンにとっては全くの別物なのです。
「旅行」といえば、いろんな場所を巡ってあちらこちらを見てまわり楽しむことをいいます。 いっぽう「バカンス」は、海辺や田舎に滞在してゆっくり休養して過ごすことをいいます。 まったく違うものですよね。

そもそも「バカンス」は、ラテン語の「vacance(からっぽ)」という言葉が語源です。

ヨーロッパの人々にとって「バカンス」は、仕事の何もかもを忘れて、とにかく何もしない、からっぽな時間を過ごすということが大事なのです。
「バカンス」には、そういったヨーロッパ的考え方が根底にあるんですね。

さて、そんなバカンス、実はヨーロッパの中でも国によって、過ごし方にちょっと違いがみえてきます。



1.太陽を浴びるのが大好きなフランス人

フランス人のバカンスは、ビーチで読書をするなどしてのんびり過ごすことが好まれています。 海沿いのリゾートホテルに滞在したり、南フランスの民家を借りて「田舎暮らし」を楽しんだり、はたまた「gîtes(ジット)」と呼ばれる家具やキッチン付きのコテージで過ごしたりします。

日頃は古いものを大切にしながら質素に暮らし、バカンスにはお金をかけるというのがフランス人なのです。

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そして、とにかくフランスの人々は、明るい太陽を浴びることが大好き。
毎年バカンスの時期には、北フランスの人々が、さんさんと照りつける太陽の光を求めて、ニースやマルセイユなどの地中海沿岸部へと移動をはじめます。これを冗談めかして「la grande migration(民族大移動)」と呼ぶことも。そのため、フランスでは夏になると、交通情報についてのニュースが盛んに扱われます。日本のお盆休みのようですね。
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夏の日本でもおなじみのセミですが、フランスでは南フランスのプロヴァンス地方にしか生息していません。バカンスで訪れた人々は、ジジジー!というセミの声を聞いて「あぁ、バカンスに来たんだなぁ」と実感します。いわば、セミの声はバカンスのBGMなのです。
そのためか、フランスにおいてセミは幸福のシンボルとされています。



2.マイペースに休み楽しむスペイン人

長時間の昼休みである、シエスタで知られるスペイン。
スペイン人は、基本的に「休暇はゆっくり休むもの」という意識が、他の国よりも強く感じられます。

そんなスペイン人のバカンスは、家族で数週間、ホテルやアパートを借りて過ごすことが多いそう。そして「chiringuito(チリンギート)」と呼ばれる海辺にある飲食店へ行くことを好みます。チリンギートとは、おしゃれな海の家みたいなもので、バル(食堂とバーが一緒になった飲食店)さながらにお酒やタパス(軽食)を味わえます。

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海辺の遊歩道を散歩したり、ビーチ近くの露店でお買い物をしたり、自分のペースで気の向くままに楽しみます。

はっきりと物を言い、自己主張が強いスペイン人は、あまり遠慮をしません。
なにか興味を持てば、見知らぬ人にも気軽に話しかけます。相手が外国人でスペイン語を話せなくても、構わずスペイン語で話し続ける人もいるほどです。知人のスペイン人が言うことには「さびしがりやだから」とのことですが、マイペースで自由なところは、スペイン人の憎めないところですね。
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ゆっくりと気の向くままに海辺を散歩し、お酒を飲み、道行く人々と会話を交わし、ぶらぶらお買い物。これがスペイン人の愛するバカンスの過ごし方なのです。



3.家族とのんびり過ごすイタリア人

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スペイン・イタリア・ギリシャの小学校の夏休みは3ヶ月もあるのだとか。
フランスは先の3カ国に比べれば短いですが、それでも2ヶ月。こどもたちは、長い夏休みを心待ちにしています。
イタリア人は、小学校が夏休みに入るのにあわせて家族も休暇を取り、家族でのんびりとバカンスを過ごします。毎年バカンスは、代々所有している別荘で家族と過ごすというひとも多いのだとか。
都会派でちょっぴり神経質な人が多い北イタリアとは対照的に、笑うことと、ふざけることが大好きな南イタリアの人々。北イタリアに比べて、南イタリアの人々は特に家族や友人と強いつながりを持っています。
家族愛に溢れるイタリア人は、家族で過ごすバカンスをとても大切にしているのです。

バカンスに人気の土地は、やはり南イタリアの中でも地中海沿岸のエリアです。
伝統陶器やレモンチェロ(レモンのリキュール)が有名な南イタリアですが、ナポリのカプリ島にある「青の洞窟」などは特に人気の観光地です。夏にはイタリア内のみならず、世界中からバカンス客が訪れます。

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ビーチに寝そべり、のんびりとくつろぎながら肌をこんがり焼くのが、ヨーロピアンのバカンスの定番。バカンスの日焼けはステイタスであり、休暇後にテラコッタ色の肌を見せつけることが、バカンスを楽しんだ何よりの証拠となるのです。

ことさらイタリアでは、健康的な肌はなによりも魅力的とされ、日焼けを気にする日本人のことを、よく不思議がっています。
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4.自然を愛するギリシャ人は日常がバカンス?

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ギリシャの島々は、世界屈指のリゾート地。バカンスの聖地といっても過言ではありません。世界中のバカンス客が、青い空と白亜の建物の美しいコントラストにあこがれ、ミコノス島、サントリーニ島などを訪れます。

ギリシャは観光地として有名ですが、当のギリシャ人はバカンスをどのように過ごしているのでしょうか。

おおむねは他のヨーロピアンたちと同じようなバカンスを過ごしているようです。しかし、「ギリシャ人のバカンス」については、取り立てて話題にのぼることは少ない印象です。
その理由は、ギリシャ人の日常の生活スタイルにあるのだと思います。
ギリシャ人は、普段から自然に親しみ、ぼーっとする時間を大事にしています。何を考えるわけでもなく、時には海辺で、時には庭で、時にはカフェで、ひたすらぼんやりとする時間を過ごすそうです。これはまさに、ヨーロピアンの理想とする「バカンス」なのかもしれませんね。

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「なにもしない」は究極の贅沢

「日本人は休みの過ごし方は知っていても、バカンスの過ごし方は知らない」とは、よく言ったもの。 休みの日に何もしないなんて、日本人の私達からすると、なんだかもったいなく感じてしまいますが、ヨーロッパにおいては「なにもしないこと」こそが、究極の贅沢なのです。

ヨーロッパに比べ休みも短い日本人には、なかなかハードルが高く感じるバカンスですが、「日常のしがらみを忘れて、なにもしないこと」なら、取り入れることができそうです。
まずは1日、からっぽの時間を過ごすことからはじめてみましょう。

バカンスのような時間が、日常を豊かに過ごすためのきっかけになるかもしれませんよ。




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