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新緑や青空に囲まれた素敵な季節。 初夏を感じるこの時期からは気温も上昇、蒸し暑い日が増えていきます。
“暑さ”の中にほんの少し“涼しさ”を取り入れると、“さわやかさ”を感じます。 この何とも言えない“心地良さ”を体感させてくれるモノ。
それは日本の伝統工芸品、“扇子”です。
今回は、日本人の知恵から生まれた、機能性と実用性、そしておしゃれ性あふれる “粋”な扇子の世界を覗いてみましょう。
扇子(せんす)という言葉。 「扇」は訓読みで、「おうぎ」、手に持って風を起こすという意味です。
「子」をこの場合は「す」と読ませていますが、これは接尾語として前にある言葉の響きを調える役目。 例えば、様子、帽子など。様は“状態”、帽は“被り物”を指すことから、「子」自体の意味は特に無いようです。
手軽に涼をとれるものと言えば「うちわ」 実は、扇子の起源はここにあると言われています。 中国から伝わったうちわに、“折りたたむ”という日本人の考案で作られたのが、扇子です。
かさばらない、持ち運び便利、コンパクト! 日本らしい発想は、この時既に生まれていたのかもしれませんね。
さらに、そこに現代風にアレンジされた透明団扇が登場。 持ち運びにくさを改良した、手のひら大のコンパクトな団扇は、扇子とまた違った風情を生み出します。
本や手帳にはさんでしおりとして持ち運んでも風流ですね。
扇の誕生は平安初期という説が多い中、藤原京や平城京の軌跡から扇子が見つかったため、奈良時代には既に存在していたと推測されています。
・檜扇(ひおうぎ):日本初の扇子 檜(桧)の薄板約30枚の片方を絹糸で綴じ、もう一方を糸で束ねて開閉する仕組み。 貴族の装飾品として使われる一方で、儀式録を記す等の備忘道具としても使用されていました。 男性用は無地が定番で、宮中の女性用には華やかな色彩や絵図の扇子が広まりました。
・蝙蝠扇(かわほりおうぎ):木や竹を骨組みとして片面に紙を貼ったもの。 (開いた扇がコウモリの翼に似ていることから、コウモリの古名“かわほり”と命名)
・透扇(すかしおうぎ):扇骨(せんこつ)に様々な透かし彫りを施したもの。 当時の扇子は、金・銀箔、色彩の他、詩歌を載せたものなど、高級感あふれるものが多かったようです。
禅僧侶により扇子が中国へ広まっていったのがこの時代です。
・唐扇(とうせん):それまで紙は片面のみに貼られていたのですが、 両面に施すアイディアが中国で生まれ、進化した扇子は欧州へ発信されました。 そして今度は、“羽根”を装飾した扇子も誕生したということです。 16世紀にはアジアからシルクロードを経てヨーロッパへ、扇子の旅は続きました。
旅のゴール?は驚くことなかれ!日本。 海を渡った扇子が、唐扇というハイカラな姿で里帰り。
また、扇子の3つの形状が確立したのもこの時代です。
扇子は「冠」や「烏帽子」と共に“京の三職”として重要産業となり、行商人も続出したようです。 この頃になると、一般庶民の間でも日常生活品として扇子が普及。 江戸後期に本格的な輸出が始まったものの、大正中期以降は国内中心となりました。
扇子は貴族や宮中の女性など、身分の高い人が使っていたため、 “紳士・淑女”など、高貴なイメージが根付いているのではないでしょうか。
しかし現在では、“扇子のおしゃれさや実用性”が話題となり、若い世代の方からも大変注目を浴びています。
“暑い→扇子を広げる→扇ぐ” たった3秒?ステップで手軽に涼を感じられます。 充電不要な扇子は、まさに“エコ”。熱中症対策にも役立ちますね。
バッグにポン。 折りたたみ傘の持参に迷うような躊躇さとは無縁。 軽量かつ、普段はスリムで謙虚な扇子。 必要な時には翼を広げて風を運んでくれる、機能性と実用性が凝縮された優れものです。
扇子は着物や浴衣といった“和服”のお供という概念。 これはもはや払拭されたと言っても過言ではありません。
和洋折衷が日常化している今、伝統工芸品である扇子と現代ファッションの融合は新鮮かつ斬新です。 アクセサリーとして扇子を身につけるといった新感覚。 “インスタ映え”を狙った扇子人気が益々高まりそうですね。
素敵な柄であっても、普段は閉じられたままの扇子。 実にもったいないです!
最近のデザインは、動植物や景色はもちろん、水玉や幾何学模様、詩歌や言葉が描かれたものなど無限大です。 お気に入りは、扇子立てに乗せるなどして部屋のインテリアにする。 眺めるだけでほっこり、リラックスできること間違いなしです。
マスク生活が当たり前になった今、会食中のマナーとして “扇子”を使うアイディアに注目が集まり、抗菌加工されたものも出回っています。 扇子を広げれば素敵な柄が目に入り、飛沫防止にも効果的、まさに一石二鳥です。
“口元を隠すのが会話のマナー”と言われた平安時代。 扇子を使ったエチケットの復活、何とも感慨深いですね。
今は100円ショップでも手に入ってしまう扇子ですが、作りや素材、デザイン等で値段も使い心地も変わります。 お気に入りの扇子を選ぶ際に、意識しておくと良い点をいくつかご紹介します。
・真正面から見て、親骨(2本の太骨)の先端(天)が閉まっているもの ・真横から見て、扇面に貼られた紙(布)がはみ出ていないもの
紙製: ・紙がしなりやすく、多風量を生み出す ・両面から中骨が見えないため、見映えも良い
布製: ・耐久性抜群で、長く使用できる ・綿やシルク製は、高級感がある
表皮:耐久性と重量感がある 中皮:軽量で持ち運びに良い
*「中骨」の本数が多い程、“やわらかな風”が作られます。
アロマの香りは脳の疲労を回復させ、リラックス効果があると言われています。 最近では香りづけされている扇子も人気があるようです。
例えば仕事や勉強など、作業の合間のリフレッシュにはローズマリーやセージ等、ハーブ系の爽快な香りがおススメです。 また、好みのアロマを垂らして扇ぐのも癒しの時間となるでしょう。
今や扇子は身近なもの。 “気楽・おしゃれ・粋”を合言葉に、服や靴、アクセサリーと同様、ビビッとくる 素敵な扇子を探してみましょう。
“かわいい”が大好きな女子だけでなく、今や扇子は若い男性の間でもブーム到来! お店やネット販売でも、紳士用の素敵な扇子がラインナップされています。
例えばスーツでビシッと決めた男性が、何気なく扇子を取り出し、涼をとる。 そんな“粋な姿”に遭遇したら、目を惹きそうですね!
暑さしのぎに扇子をバサッと広げ、せわしなく扇ぐ。 これでは涼しさ半減どころか、見苦しく残念な振る舞いになってしまいます。
涼しくなる扇ぎ方 ・下から上に向かって扇ぐ(冷たい空気は下に溜まっているため) ・ゆっくり扇ぐと多くの風が作られる。(小刻み扇ぎは体力消費、余計な汗も出る)
周囲に気遣う 他人にぶつけてしまったり、風で汗等の臭いを放ってしまう可能性が無きにしもあらず。 例えば、隣人に会釈をしてからゆっくり扇子を開き、静かに扇ぐといったマナーを意識してみてもいいかも知れません。
扇子の「たしなみ」や「マナー」を心掛け、涼しく優雅な扇子タイムを味わいたいですね。
優美、奥ゆかしさ、そして粋。 扇子は和文化の素晴らしさが凝縮された伝統工芸品です。
祝いの席や古典芸能などを通して受け継がれてきた扇子は、今でもその活躍とともに 現代の新しい生活スタイルにも取り入れられています。
扇子は“縁起の良い末広がり” 持っているだけで幸せにもなれそうな素敵なアイテム。
これを機に、自身のセンスで“扇子生活”を彩ってみてはいかがでしょうか。
はじめに
新緑や青空に囲まれた素敵な季節。
初夏を感じるこの時期からは気温も上昇、蒸し暑い日が増えていきます。
“暑さ”の中にほんの少し“涼しさ”を取り入れると、“さわやかさ”を感じます。
この何とも言えない“心地良さ”を体感させてくれるモノ。
それは日本の伝統工芸品、“扇子”です。
今回は、日本人の知恵から生まれた、機能性と実用性、そしておしゃれ性あふれる
“粋”な扇子の世界を覗いてみましょう。
目次
扇子文化の誕生~歴史と姿を知る~
①言葉の由来
扇子(せんす)という言葉。
「扇」は訓読みで、「おうぎ」、手に持って風を起こすという意味です。
「子」をこの場合は「す」と読ませていますが、これは接尾語として前にある言葉の響きを調える役目。
例えば、様子、帽子など。様は“状態”、帽は“被り物”を指すことから、「子」自体の意味は特に無いようです。
②扇子の起源はどこ?
手軽に涼をとれるものと言えば「うちわ」
実は、扇子の起源はここにあると言われています。
中国から伝わったうちわに、“折りたたむ”という日本人の考案で作られたのが、扇子です。
かさばらない、持ち運び便利、コンパクト!
日本らしい発想は、この時既に生まれていたのかもしれませんね。
さらに、そこに現代風にアレンジされた透明団扇が登場。
持ち運びにくさを改良した、手のひら大のコンパクトな団扇は、扇子とまた違った風情を生み出します。
本や手帳にはさんでしおりとして持ち運んでも風流ですね。
③はじまりは奈良時代?
扇の誕生は平安初期という説が多い中、藤原京や平城京の軌跡から扇子が見つかったため、奈良時代には既に存在していたと推測されています。
・檜扇(ひおうぎ):日本初の扇子
檜(桧)の薄板約30枚の片方を絹糸で綴じ、もう一方を糸で束ねて開閉する仕組み。
貴族の装飾品として使われる一方で、儀式録を記す等の備忘道具としても使用されていました。
男性用は無地が定番で、宮中の女性用には華やかな色彩や絵図の扇子が広まりました。
・蝙蝠扇(かわほりおうぎ):木や竹を骨組みとして片面に紙を貼ったもの。
(開いた扇がコウモリの翼に似ていることから、コウモリの古名“かわほり”と命名)
・透扇(すかしおうぎ):扇骨(せんこつ)に様々な透かし彫りを施したもの。
当時の扇子は、金・銀箔、色彩の他、詩歌を載せたものなど、高級感あふれるものが多かったようです。
④鎌倉の頃
禅僧侶により扇子が中国へ広まっていったのがこの時代です。
・唐扇(とうせん):それまで紙は片面のみに貼られていたのですが、
両面に施すアイディアが中国で生まれ、進化した扇子は欧州へ発信されました。
そして今度は、“羽根”を装飾した扇子も誕生したということです。
16世紀にはアジアからシルクロードを経てヨーロッパへ、扇子の旅は続きました。
⑤室町(南北朝)の頃
旅のゴール?は驚くことなかれ!日本。
海を渡った扇子が、唐扇というハイカラな姿で里帰り。
また、扇子の3つの形状が確立したのもこの時代です。
⑥江戸の頃~
扇子は「冠」や「烏帽子」と共に“京の三職”として重要産業となり、行商人も続出したようです。
この頃になると、一般庶民の間でも日常生活品として扇子が普及。
江戸後期に本格的な輸出が始まったものの、大正中期以降は国内中心となりました。
扇子が人気の理由とは?~5つの魅力~
扇子は貴族や宮中の女性など、身分の高い人が使っていたため、
“紳士・淑女”など、高貴なイメージが根付いているのではないでしょうか。
しかし現在では、“扇子のおしゃれさや実用性”が話題となり、若い世代の方からも大変注目を浴びています。
①エコな涼しさと熱中症対策
“暑い→扇子を広げる→扇ぐ”
たった3秒?ステップで手軽に涼を感じられます。
充電不要な扇子は、まさに“エコ”。熱中症対策にも役立ちますね。
②軽量・持ち運び便利
バッグにポン。
折りたたみ傘の持参に迷うような躊躇さとは無縁。
軽量かつ、普段はスリムで謙虚な扇子。
必要な時には翼を広げて風を運んでくれる、機能性と実用性が凝縮された優れものです。
③お洒落アイテム
扇子は着物や浴衣といった“和服”のお供という概念。
これはもはや払拭されたと言っても過言ではありません。
和洋折衷が日常化している今、伝統工芸品である扇子と現代ファッションの融合は新鮮かつ斬新です。
アクセサリーとして扇子を身につけるといった新感覚。
“インスタ映え”を狙った扇子人気が益々高まりそうですね。
④インテリア~飾る~
素敵な柄であっても、普段は閉じられたままの扇子。
実にもったいないです!
最近のデザインは、動植物や景色はもちろん、水玉や幾何学模様、詩歌や言葉が描かれたものなど無限大です。
お気に入りは、扇子立てに乗せるなどして部屋のインテリアにする。
眺めるだけでほっこり、リラックスできること間違いなしです。
⑤エチケットに大活躍~飛沫予防など~
マスク生活が当たり前になった今、会食中のマナーとして “扇子”を使うアイディアに注目が集まり、抗菌加工されたものも出回っています。
扇子を広げれば素敵な柄が目に入り、飛沫防止にも効果的、まさに一石二鳥です。
“口元を隠すのが会話のマナー”と言われた平安時代。
扇子を使ったエチケットの復活、何とも感慨深いですね。
扇子の選び方~素材や香りにもこだわる~
今は100円ショップでも手に入ってしまう扇子ですが、作りや素材、デザイン等で値段も使い心地も変わります。
お気に入りの扇子を選ぶ際に、意識しておくと良い点をいくつかご紹介します。
①形状(閉じた状態)
・真正面から見て、親骨(2本の太骨)の先端(天)が閉まっているもの
・真横から見て、扇面に貼られた紙(布)がはみ出ていないもの
②素材
紙製:
・紙がしなりやすく、多風量を生み出す
・両面から中骨が見えないため、見映えも良い
布製:
・耐久性抜群で、長く使用できる
・綿やシルク製は、高級感がある
③骨組み(竹の部位)
表皮:耐久性と重量感がある
中皮:軽量で持ち運びに良い
*「中骨」の本数が多い程、“やわらかな風”が作られます。
④香り
アロマの香りは脳の疲労を回復させ、リラックス効果があると言われています。
最近では香りづけされている扇子も人気があるようです。
例えば仕事や勉強など、作業の合間のリフレッシュにはローズマリーやセージ等、ハーブ系の爽快な香りがおススメです。
また、好みのアロマを垂らして扇ぐのも癒しの時間となるでしょう。
⑤気楽・おしゃれ・粋!~紳士ものにも注目~
今や扇子は身近なもの。
“気楽・おしゃれ・粋”を合言葉に、服や靴、アクセサリーと同様、ビビッとくる
素敵な扇子を探してみましょう。
“かわいい”が大好きな女子だけでなく、今や扇子は若い男性の間でもブーム到来!
お店やネット販売でも、紳士用の素敵な扇子がラインナップされています。
例えばスーツでビシッと決めた男性が、何気なく扇子を取り出し、涼をとる。
そんな“粋な姿”に遭遇したら、目を惹きそうですね!
扇子に避暑ありマナーあり
暑さしのぎに扇子をバサッと広げ、せわしなく扇ぐ。
これでは涼しさ半減どころか、見苦しく残念な振る舞いになってしまいます。
涼しくなる扇ぎ方
・下から上に向かって扇ぐ(冷たい空気は下に溜まっているため)
・ゆっくり扇ぐと多くの風が作られる。(小刻み扇ぎは体力消費、余計な汗も出る)
周囲に気遣う
他人にぶつけてしまったり、風で汗等の臭いを放ってしまう可能性が無きにしもあらず。
例えば、隣人に会釈をしてからゆっくり扇子を開き、静かに扇ぐといったマナーを意識してみてもいいかも知れません。
扇子の「たしなみ」や「マナー」を心掛け、涼しく優雅な扇子タイムを味わいたいですね。
さいごに
優美、奥ゆかしさ、そして粋。
扇子は和文化の素晴らしさが凝縮された伝統工芸品です。
祝いの席や古典芸能などを通して受け継がれてきた扇子は、今でもその活躍とともに
現代の新しい生活スタイルにも取り入れられています。
扇子は“縁起の良い末広がり”
持っているだけで幸せにもなれそうな素敵なアイテム。
これを機に、自身のセンスで“扇子生活”を彩ってみてはいかがでしょうか。