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ロシアには、世界でも有名な伝統工芸品、「マトリョーシカ」があります。
マトリョーシカは、女の子の姿をしていて、体の中に何層も入れ子になっており多数のマトリョーシカが入っています。 この女の子の名前は、「マトリョーナ」というロシアの女性の愛称が起源となり、後に「マトリョーシカ」と呼ばれるようになりました。 この名前は19世紀にロシアの農村で人気があった名前で、意味は「母」を示します。 「マトリョーナ」はロシアの農民の娘をモチーフにしているとされ、女の子の顔も素朴で田舎の娘風にデザインされてるものが一般的です。
また、マトリョーシカ誕生の由来は諸説あります。 最も有力なのは、19世紀末に箱根にやって来たロシアの使節団が、箱根の伝統工芸品である「入れ子人形」をロシアに持ち帰り、それがマトリョーシカになった、という説です。 しかし、元々ロシアに存在した工芸品がルーツである、などこれに反論するような説も存在し、未だ真相は不明なままです。
マトリョーシカが世界的に有名になり始めたのは、1900年。 この年、マトリョーシカはパリ万博に出品され、銅メダルを受賞するという快挙を成し遂げました。 それ以降、マトリョーシカは工場で大量に生産されるようになり、ロシアを代表するお土産として世界的な知名度を誇っています。
そんなロシアの代表的工芸品であるマトリョーシカについて、ロシアとその周辺諸国の輸入雑貨メーカーを営むVOLGAさま監修ご協力のもと、連載を通じてその魅力を掘り下げていきます。
今回は、ロシア国内にある、マトリョーシカの産地の一つ、セミョーノフ市でつくられるモノについて、紹介しましょう。
~マトリョーシカの形づくり~ 木を乾燥して、削る
モスクワから北東に487kmに位置するニジニ・ノヴゴロド州 セミョーノフ市。 自然豊かな地の森林地帯でとれる、白樺や菩提樹の柔らかい木材を乾燥させることからマトリョーシカづくりは始まります。 実は、乾燥期間は約3年。最初の工程で長い年月を要します!
素材は丸太のような姿から、ろくろを使って人の手で削られます。
もしかすると、同じ材木をくり抜いて、すべての入れ子の人形が生まれているように見えるかもしれませんが、実はそれぞれ異なる材木を使用しているのです。
つまり、6つの入れ子のマトリョーシカを作るには、それぞれ別の6つの材木が必要になるということ。
マトリョーシカの上部は湿った木材、下は乾燥した木材を使用しています。 上部の木材が乾かないうちに下の部分を削り、両方を合わせるのです。
そして、ろくろで上下を合わせて回転させながら、摩擦を生じさせて上部の湿気を飛ばします。そのとき、摩擦が発生して内部が焦げます。 マトリョーシカを開けてみてみると、焦げ目を見ることができます。
~マトリョーシカの絵付けの前に~
下地を丁寧に塗る
削られて、形が綺麗になったマトリョーシカは、そのまま色を塗ると、染料である絵の具や炭がにじんでしまいます。 そうならないように、下地を塗り、絵付けの前準備を行います。
下地の成分はジャガイモから作られるデンプンからできていて、全て職人の手で丁寧に塗られます。
下地を塗った後は1週間かけて乾燥させ、ようやく絵付け師の元へ運ばれます。
~マトリョーシカを彩る~ 伝統的な絵付け技法
ここで絵付師が集う作業場へと運ばれ、絵付けが施されます。
~マトリョーシカの輝きを作る~ ニス塗り
絵付けが完成したされた後、ニスを塗ります。この時の作業は素手で行います。 筆では異物を検地できないこと、筆の毛が異物になってしまうこと、絵に傷が付かないようにするため、人の手によって丁寧に優しくニスが塗られていくのです。
ニス壺に手を入れて、マトリョーシカを撫でるように塗って乾かす工程を3〜5度繰り返します。
~マトリョーシカを仕上げる~
長い長いマトリョーシカの製作工程もこれでおしまい。 マトリョーシカの底面についた塗料やニスを巨大なヤスリが回転する機械にかけて落とします。 これは削ったままの状態の木地を平らにする効果もあります。
そして、綺麗になった底面に工場印を押し検品を経て、世界中に輸出されるのです。
マトリョーシカは、入れ子の中から次々と小さな人形が出てくることから、ロシアでは家族の象徴とされ、家族円満や子孫繁栄の意味合いがあります。 他にも、古くからの言い伝えで、1番小さい入れ子に願いを吹き込み、それをより大きい入れ子の中に閉じ込めると願いが叶うともいわれています。
また、マトリョーシカは、おばあちゃんが孫へのプレゼントとして購入するのをよく見かけるなど、ロシア国内では完全に子供向けの玩具として売られています。 そのためセミョーノフ市の工場ではロシア政府の衛生許可を取得していて、塗料、ニス全てにおいて子供が遊ぶことも考えて気を配っています。 ロシアでは小さい子が自らの手で上下の絵を合わせたり、順番に閉まったりすることが子供の知育を育てると考えられているそうです。 ※日本では「知育玩具」としての認可はないため、お子様が遊ばれる際は、必ず大人と一緒に遊ぶようにお願いします。
▼欧州航路ショップリストはこちらから▼ https://www.amina-co.jp/shop-list/oushuukouro
次回の連載をお楽しみに!
▼本記事を監修いただいたVOLGA様とは▼ VOLGA & Co.はマトリョ-シカに魅せられ、ロシアの伝統工芸を日本に広める活動を主に、伝統を守りつつ日本発信のデザイン・企画をロシアで実現させる輸入雑貨メーカーです。 詳しくはVOLGA公式HPへ http://volga-co.com/
ロシアには、世界でも有名な伝統工芸品、「マトリョーシカ」があります。
マトリョーシカは、女の子の姿をしていて、体の中に何層も入れ子になっており多数のマトリョーシカが入っています。
この女の子の名前は、「マトリョーナ」というロシアの女性の愛称が起源となり、後に「マトリョーシカ」と呼ばれるようになりました。
この名前は19世紀にロシアの農村で人気があった名前で、意味は「母」を示します。
「マトリョーナ」はロシアの農民の娘をモチーフにしているとされ、女の子の顔も素朴で田舎の娘風にデザインされてるものが一般的です。
また、マトリョーシカ誕生の由来は諸説あります。
最も有力なのは、19世紀末に箱根にやって来たロシアの使節団が、箱根の伝統工芸品である「入れ子人形」をロシアに持ち帰り、それがマトリョーシカになった、という説です。
しかし、元々ロシアに存在した工芸品がルーツである、などこれに反論するような説も存在し、未だ真相は不明なままです。
マトリョーシカが世界的に有名になり始めたのは、1900年。
この年、マトリョーシカはパリ万博に出品され、銅メダルを受賞するという快挙を成し遂げました。
それ以降、マトリョーシカは工場で大量に生産されるようになり、ロシアを代表するお土産として世界的な知名度を誇っています。
そんなロシアの代表的工芸品であるマトリョーシカについて、ロシアとその周辺諸国の輸入雑貨メーカーを営むVOLGAさま監修ご協力のもと、連載を通じてその魅力を掘り下げていきます。
今回は、ロシア国内にある、マトリョーシカの産地の一つ、セミョーノフ市でつくられるモノについて、紹介しましょう。
~マトリョーシカの形づくり~
木を乾燥して、削る
モスクワから北東に487kmに位置するニジニ・ノヴゴロド州 セミョーノフ市。
自然豊かな地の森林地帯でとれる、白樺や菩提樹の柔らかい木材を乾燥させることからマトリョーシカづくりは始まります。
実は、乾燥期間は約3年。最初の工程で長い年月を要します!
素材は丸太のような姿から、ろくろを使って人の手で削られます。
もしかすると、同じ材木をくり抜いて、すべての入れ子の人形が生まれているように見えるかもしれませんが、実はそれぞれ異なる材木を使用しているのです。
つまり、6つの入れ子のマトリョーシカを作るには、それぞれ別の6つの材木が必要になるということ。
マトリョーシカの上部は湿った木材、下は乾燥した木材を使用しています。
上部の木材が乾かないうちに下の部分を削り、両方を合わせるのです。
そして、ろくろで上下を合わせて回転させながら、摩擦を生じさせて上部の湿気を飛ばします。そのとき、摩擦が発生して内部が焦げます。
マトリョーシカを開けてみてみると、焦げ目を見ることができます。
~マトリョーシカの絵付けの前に~
下地を丁寧に塗る
削られて、形が綺麗になったマトリョーシカは、そのまま色を塗ると、染料である絵の具や炭がにじんでしまいます。
そうならないように、下地を塗り、絵付けの前準備を行います。
下地の成分はジャガイモから作られるデンプンからできていて、全て職人の手で丁寧に塗られます。
下地を塗った後は1週間かけて乾燥させ、ようやく絵付け師の元へ運ばれます。
~マトリョーシカを彩る~
伝統的な絵付け技法
ここで絵付師が集う作業場へと運ばれ、絵付けが施されます。
~マトリョーシカの輝きを作る~
ニス塗り
絵付けが完成したされた後、ニスを塗ります。この時の作業は素手で行います。
筆では異物を検地できないこと、筆の毛が異物になってしまうこと、絵に傷が付かないようにするため、人の手によって丁寧に優しくニスが塗られていくのです。
ニス壺に手を入れて、マトリョーシカを撫でるように塗って乾かす工程を3〜5度繰り返します。
~マトリョーシカを仕上げる~
長い長いマトリョーシカの製作工程もこれでおしまい。
マトリョーシカの底面についた塗料やニスを巨大なヤスリが回転する機械にかけて落とします。
これは削ったままの状態の木地を平らにする効果もあります。
そして、綺麗になった底面に工場印を押し検品を経て、世界中に輸出されるのです。
マトリョーシカは、入れ子の中から次々と小さな人形が出てくることから、ロシアでは家族の象徴とされ、家族円満や子孫繁栄の意味合いがあります。
他にも、古くからの言い伝えで、1番小さい入れ子に願いを吹き込み、それをより大きい入れ子の中に閉じ込めると願いが叶うともいわれています。
また、マトリョーシカは、おばあちゃんが孫へのプレゼントとして購入するのをよく見かけるなど、ロシア国内では完全に子供向けの玩具として売られています。
そのためセミョーノフ市の工場ではロシア政府の衛生許可を取得していて、塗料、ニス全てにおいて子供が遊ぶことも考えて気を配っています。
ロシアでは小さい子が自らの手で上下の絵を合わせたり、順番に閉まったりすることが子供の知育を育てると考えられているそうです。
※日本では「知育玩具」としての認可はないため、お子様が遊ばれる際は、必ず大人と一緒に遊ぶようにお願いします。
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次回の連載をお楽しみに!
▼本記事を監修いただいたVOLGA様とは▼
VOLGA & Co.はマトリョ-シカに魅せられ、ロシアの伝統工芸を日本に広める活動を主に、伝統を守りつつ日本発信のデザイン・企画をロシアで実現させる輸入雑貨メーカーです。
詳しくはVOLGA公式HPへ
http://volga-co.com/