エジプトのぼったくり体験記!ピラミッド観光でラクダの高額請求に遭った話

念願の三大ピラミッド観光。スフィンクスと写真を撮り、ドライバーの自宅でエジプトの家庭料理をごちそうになり、夕暮れの砂漠ではラクダに乗りました。
しかし夢のような時間の最後には、思いもよらない高額請求が待っていました。

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ぼったくり大国エジプトでの洗礼|空港で申し込んだ現地ツアーの実態

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カオスなチケット売り場

ピラミッドとスフィンクスのチケット売り場は、大勢の人でごった返していました。
チケットを買い求める外国人観光客と、その倍以上いるエジプト人。
コーラや水を売る人、紙の束を持つ人、制服姿の人、座り込む人など、何をしているのか分からない人も多く、混沌としています。

ドライバーは手慣れた様子で私に待つように告げると、あっという間に列の中に割り込んでいきました。2分もしないうちに、首からIDカードをぶら下げた若い男性と共に戻ってきます。
「有料エリアに入るには、公式のガイドが必要なんだ。彼にお願いするよ」

追加料金はかからず、チップのみということだったので承諾します。
青年は「チケットを買ってくる!」と告げると、並んでいる観光客を一切無視して警備員に話しかけ、あっという間にチケットを手に入れて戻ってきました。

ピラミッドには偽のチケット売り場や偽チケットがあり、購入するだけでも一苦労だと聞いていた私は、一連の出来事を見てツアーのメリットを噛みしめました。

悠久の時を生きるピラミッド

足を踏み入れると、そこは別世界でした。

完璧な四角錐姿で砂漠の上にそびえたつピラミッドの姿は、この上なく美しいものでした。
青い空を突くようにそびえ立つ姿は、悠久の時を生きる絶対的な存在のように逞しく、でも同時に風化して一部が崩れ落ちている様は儚さを感じさせました。
永遠に眺めていられるような、胸を打つ何かがそこにはありました。

ゲートを入ってすぐのところにスフィンクスがいました。想像より小さいサイズのスフィンクスの周辺は写真スポットになっていて、あちこちで撮影会が行われていました。
ドライバーが指定した位置に立つと、スフィンクスとキスしている写真が撮影できました。セルフでは難しいアングルに、私は再びツアーのメリットを実感します。

改めて見ると、スフィンクスの顔はかなり削れていました。「いつかスフィンクスの顔はなくなってしまうのかも」と思うと、時折吹き付ける砂嵐も恨めしくなりました。

その後は、クフ王のピラミッドへ。ガイドの青年が道案内となり導いてくれます。
ピラミッドが大きすぎて距離感を見誤るのでしょうか、歩いても歩いてもなかなか辿り着けません。体力には自信がありましたが、あまりの暑さと砂の歩きにくさに、着く頃にはクタクタになっていました。

悠久の時を生きるピラミッド

ラクダに乗る夢

エジプトに行くと決まった時から、夕暮れ時のピラミッドをラクダに乗って眺めたいと思っていました。ピラミッドの周辺にはラクダ使いが複数いて簡単に夢は叶いますが、ぼったくりで有名です。

事前にツアー会社にリクエストし、道中もドライバーにアピールし続けていたのですが、「まだ早い」と引き延ばされ、結局乗れないまま観光が終わってしまいました。

「私の夢は叶わないのか」とガッカリしながら車に戻ると、ドライバーが「夕方に乗りたいんだろ?」とニヤリとし、どこかへ電話をかけ始めました。
アラビア語は分かりませんが、日本人を示す「Yamani」という言葉が何度も出てきて、さっきまでの浮ついた気持ちが消え、心に黄色信号が点滅しだしました。喧嘩のような荒々しい口調に、嫌な予感が膨らんでいきました。

電話を切ると彼は言いました。
「ラクダの手配ができた。まだ時間があるから、僕の家で夕暮れを待とう」
見知らぬ現地人の家に行くのは危険だと分かりつつも、流れで彼の自宅へ向かうことになりました。

怪しいドライバーの自宅に招かれる

ピラミッドから車で5分。迷路のような住宅街の空き地に車が止まります。
「危なくなったら逃げよう」と警戒心いっぱいの私を出迎えてくれたのは、彼のお母さんでした。ヒジャブを纏った50代くらいの女性が「どうぞどうぞ」と温かく招き入れてくれます。

家に入るとリビングにシーシャ(水タバコ)が置いてありました。お母さんは絨毯に座ると、水タバコをくゆらせます。
女性がシーシャを吸う場面に遭遇したことがなかった私は、驚きをもってお母さんを見つめました。

ドライバーは完全にリラックスモード。ソファに沈み込んでスマホを触っています。
自分の世界に入り込んでしまった彼をしり目に、私とお母さんは片言のアラビア語と視線で会話をしました。ミントティーをすすめられ、シーシャもシェアします。

お母さんが吸っていたシーシャは炭の味がしました。濃く甘いフレーバーのシーシャしか知らなかった私は、何の味もしない煙を吸ってどう反応すべきか困惑。でも同時に「庶民のシーシャはこういうものなのだろう」と納得している自分もいました。

しばらくして、ドライバーがお母さんに食事をねだりました。お母さんはキッチンに消えると、丸いトレイをテーブルに置きます。
トレイの上には、家庭料理(パン、スープ、豆料理、野菜の煮込み)が並んでいました。すすめられるまま私も食べ物を口にします。素朴で懐かしい味。「睡眠薬が入っていたら……」という不安もよぎりましたが、全員で大皿をシェアするスタイルだったので杞憂と思うことにしました。

食後、ドライバーが昼寝を始めたので、お母さんと屋上へ向かいます。
そこにはスフィンクスとピラミッドがそびえ立っていました。贅沢な光景に目が丸くなります。住宅街のすぐ向こうに世界遺産がある生活に、深く思いを馳せました。

怪しいドライバーの自宅に招かれる

ラクダの帰宅ラッシュ

太陽が傾きかけてきました。まもなく夕暮れです。
ピラミッドに見とれていると、下の空き地からクラクションが鳴り、ラクダ2頭と男が1人現れました。
「家の前まで迎えにきてくれるなんてサービス過剰じゃない?」と不安になり料金を確認すると、(当時の)相場より高い500エジプトポンドを請求されました。

「夕焼けの時間のラクダは争奪戦だよ。それにピラミッドの隣でちょっと乗るんじゃなくて、今ここからラクダに乗って移動するんだ」とドライバーに押し切られ、そのままラクダに乗ってクフ王のピラミッドへ向かいました。

沈みゆく夕日で赤く染まったピラミッドは、神々しいほどに輝いて見えました。ラクダの料金のモヤモヤが吹き飛ぶほどの絶景です。

夕日が沈み、周囲に闇が迫ってきます。帰り道はラクダ使いに誘導されて、ゲートのない裏道を進みました。いつの間にか観光客相手の仕事を終えた他の群れが合流し、20頭近いラクダの群れができていました。

舞い上がる砂ぼこり、アラビア語の叫び声、徐々にスピードをあげるラクダの群れは、車が行き交う道路も我が物顔で駆け抜けます。
一分一秒でも早く家に帰りたいラクダと男たち。あまりに野性的な「ラクダの帰宅ラッシュ」に揺られながら、なんとかドライバーの家の前まで戻ってきました。

ラクダの帰宅ラッシュ

衝撃の請求書

無事に着いてホッとしたのも束の間、最後に大事件が待っていました。
ラクダ使いはドライバーの友人らしく、料金を受け取ることなく帰宅してしまいました。私の頭は疑問でいっぱいになります。するとなぜかドライバーから「1000ポンドだ」と告げられたのです。

「えっ? さっき500ポンドって言ったよね!?」と抗議すると、相手は平然と言い放ちます。

「500ポンドはラクダ1頭の値段だ。君と俺で2頭使ったから1000ポンドだ」

頭が真っ白になりました。思い返せば、出発するときにドライバーが当たり前のように2頭目のラクダに跨っていたのです。
私は「乗ってほしい」なんて一言も頼んでいません。彼が勝手に観光気分で乗った代金まで、なぜ私が払わなければいけないのでしょうか。
理不尽すぎる要求に私の怒りは爆発。そこからドライバー相手に大喧嘩が始まりました。

さっきまで「家でお茶していきなよ」と親切にしてくれていた人が、手のひらを返したように強い口調で主張してきます。
温かい家庭料理も、屋上からの絶景も、すべてはこの高額請求のための仕込みだったのかと一気に冷めました。

そして心の中で何回か生まれた黄色信号を放置した自分に嫌気がさしました。
このドライバーは、ラクダ使いには500ポンドだって渡さないでしょう。7割か8割近くを自分のポケットにいれる予定なのだと感じました。

私はドライバーに違和感をもっていたのに、対処しなかった。その結果がコレです。
暗闇の住宅街で押し問答を繰り返し、結局エジプトの洗礼をしっかりと受ける形となってしまったこの旅。

ピラミッドの壮大な美しさと、現地の人々のしたたかさ。天国と地獄を一度に味わったような、忘れることのできない濃厚なエジプトの夜でした。

R.香月(かつき)プロフィール画像

筆者プロフィール:R.香月(かつき)

大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel


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