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中国には時速300kmで走るリニアがあります。日本では未だ開通の目途が立たないリニアって一体どんな感じなのでしょう?そんな興味から、中国・上海のリニアに乗ってみました。
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中国には、時速300kmで走行するリニアがあります。機会があれば、いつか乗ってみたいと思っていました。そんなとき、中国・上海の浦東国際空港で飛行機を乗り継ぐことになりました。浦東国際空港はリニアの発着駅です。
「せっかくだから、リニアに乗ろう」
空港のコンシェルジュに聞くと、切符さえ買えば誰でも乗車可能。特別な予約も不要だと答えてくれました。〝なんてお手軽!〟リニアへの案内表示はとても分かりやすく、外国人の私でも迷いません。そのまま表示に従って歩いていくと、リニア専用の窓口がありました。
リニア専用窓口というので、もっと特別なものを想像していたのですが、見た目は普通の電車の切符売り場と変わりません。窓口に大きく料金が書かれています。片道50元。往復80元。当日の航空券を持っている場合は、片道40元に割引されます。中国語が分からなくても簡単に理解できる分かりやすい表示でした。
また空港へ戻らなければいけないので往復チケットでもよかったのですが、お試しで片道だけ購入しました。「帰りも乗りたくなったら、また航空券を見せて40元で買えばいい」と思うと、すごく気持ちが楽です。
切符は券売機でも買えましたが、操作方法がイマイチ分からなかったので有人窓口へ。機械で買える切符をわざわざ窓口で買ったら、嫌な顔をされるかなと思ったのですが、窓口の女性はとても親切でした。こちらが恐縮するくらい丁寧に接してくれます。彼女の笑顔は、私の中にあった〝中国=共産党=なんとなく冷たいイメージ〟を崩すのに十分でした。
また、事前に友人・知人が教えてくれていた情報「中国ではVISAが使えない」もここでは誤りでした。リニア有人窓口ではVISAカードの支払いが可能で、そちらもイヤな顔一つされませんでした。〝旅の情報は日々アップデートされる〟を痛感した出来事です。
切符を受け取り改札の中へ。改札を入ると、そこは普通の駅とは少し様子が違っていました。中は思っていたよりずっと広く明るい空間。白い照明がこうこうと光っています。眩しさを覚える照明の数でした。
美しく整えられた空間と言えばいいのか、きれいすぎる空間と言えばいいのか、チリ一つ落ちていないガランとした空間は〝外国人に見せたい中国の姿〟のようにも感じられます。決められた時間がくるまでホームへは降りられません。
いつもならカメラ片手に動き回る私でしたが、不思議とそういった気分になりませんでした。大人しく他の外国人と共にホーム行きの階段の前で時間がくるのを待ちます。
やがて係の人がやってきて、ホームへと降りる扉が開きました。エスカレーターで下に降りると、リニアはすでに停まっています。
リニアは想像していたよりずっと近代的な形をしていました。新幹線というよりモノレールに近い形状で、ドーム型の駅と合せて見ると〝近未来〟そのものの姿として目に映りました。
リニアに圧倒されていると、制服姿の人たちが4人ほどホームをチェックしているのに気付きました。ベージュ色の制服を着て特徴的な帽子を被った彼らは、遠くにいても威圧されるほど鋭い目つきをしています。
リニアの職員にしては妙に圧がありました。でも、警察がリニアで働くのだろうか?警戒活動中?やましい事などなにもないのに何となく監視されている気がして、車内へ入りました。
自由席だったので、先頭から最後尾まで歩いて一番空いている車両を選びました。乗客の数は少なく、一車両貸し切りも夢ではない!?と思ったほどです。
景色を堪能できそうな左の窓側に座りました。徐々に乗客の数は増えてくるものの、どの乗客も人を避けて座るため視界の範囲には誰もいません。後ろを振り返ると一人で3席シートを独占している男性客もいました。「見渡す限りは貸し切りかな。ラッキー」そう思っていたら、出発直前に私の右前に西洋人の親子が入ってきました。それでも車内は空いています。
いよいよ出発です。目の前に、速度を表示する電光掲示板がありました。新幹線と同じように少しずつ速度が上がっていきます。だんだん速度が速くなるのですが、意外なことになかなか270kmを越えません。
「最高速度であって、ずっと出している速度ではない」頭では分かっていても、少し不思議な気分でした。それでも、身体に圧を感じましたし、窓の外の景色も飛ぶように早くなっていました。やがて窓が小刻みに揺れだします。相変わらず座席は大きな揺れもなく快適でしたが、窓の揺れは怖い想像をしてしまうほど激しいものになっていました。
ついに時速300km。思わず写真を撮りました。「これが300kmの世界」嬉しくて周囲を見渡します。でも、誰も興奮していません。隣の西洋人の親子は脱力したまま電光掲示板を見もせず、普通の顔。後ろの乗客たちも、スマホを見たり、音楽を聞いていたり、どこからもシャッター音は響きません。時速300kmで走っているのに、誰も気にしていない。私にはとてもショックな現実でした。
やがてリニアは減速を始めました。それまでも速度が落ちることがあったため、一時的な減速だと思っていましたが、あきらかに減速のレベルが違います。そして、停車。「あれ?」
リニアの所要時間は約8分。約8分の旅ということは知っていましたが、もう8分?やがて扉が開きました。ところが、誰も降りません。隣りの親子も降りる気配がありません。周囲を見回しても、乗客はみんなそのままです。
「ここで終わり? それとも、もう一駅あるの?」よく分からずモタモタしていると、職員がやってきて降車を促されました。そこで、ようやく気がつきました。ここが旅の終わりだったのです。
〝時速300kmのリニアに乗ってみたい〟そんな勢いだけで乗り込んだ私の旅は、呆気ないほどあっという間に終わってしまいました。
※上海リニアの最高時速は、コロナ以前は431kmでした。(現在は300km)
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。マイナーな国をメインに、世界中を旅する。旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。公式HP:Lucia Travel
中国には時速300kmで走るリニアがあります。
日本では未だ開通の目途が立たないリニアって一体どんな感じなのでしょう?
そんな興味から、中国・上海のリニアに乗ってみました。
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目次
中国のリニアに乗ってみたい!
中国には、時速300kmで走行するリニアがあります。
機会があれば、いつか乗ってみたいと思っていました。そんなとき、中国・上海の浦東国際空港で飛行機を乗り継ぐことになりました。浦東国際空港はリニアの発着駅です。
「せっかくだから、リニアに乗ろう」
空港のコンシェルジュに聞くと、切符さえ買えば誰でも乗車可能。特別な予約も不要だと答えてくれました。〝なんてお手軽!〟
リニアへの案内表示はとても分かりやすく、外国人の私でも迷いません。そのまま表示に従って歩いていくと、リニア専用の窓口がありました。
リニア専用窓口というので、もっと特別なものを想像していたのですが、見た目は普通の電車の切符売り場と変わりません。
窓口に大きく料金が書かれています。片道50元。往復80元。
当日の航空券を持っている場合は、片道40元に割引されます。中国語が分からなくても簡単に理解できる分かりやすい表示でした。
また空港へ戻らなければいけないので往復チケットでもよかったのですが、お試しで片道だけ購入しました。「帰りも乗りたくなったら、また航空券を見せて40元で買えばいい」と思うと、すごく気持ちが楽です。
切符は券売機でも買えましたが、操作方法がイマイチ分からなかったので有人窓口へ。
機械で買える切符をわざわざ窓口で買ったら、嫌な顔をされるかなと思ったのですが、窓口の女性はとても親切でした。
こちらが恐縮するくらい丁寧に接してくれます。彼女の笑顔は、私の中にあった〝中国=共産党=なんとなく冷たいイメージ〟を崩すのに十分でした。
また、事前に友人・知人が教えてくれていた情報「中国ではVISAが使えない」もここでは誤りでした。リニア有人窓口ではVISAカードの支払いが可能で、そちらもイヤな顔一つされませんでした。
〝旅の情報は日々アップデートされる〟を痛感した出来事です。
リニアの改札の入口
切符を受け取り改札の中へ。改札を入ると、そこは普通の駅とは少し様子が違っていました。
中は思っていたよりずっと広く明るい空間。白い照明がこうこうと光っています。眩しさを覚える照明の数でした。
美しく整えられた空間と言えばいいのか、きれいすぎる空間と言えばいいのか、チリ一つ落ちていないガランとした空間は〝外国人に見せたい中国の姿〟のようにも感じられます。
決められた時間がくるまでホームへは降りられません。
いつもならカメラ片手に動き回る私でしたが、不思議とそういった気分になりませんでした。大人しく他の外国人と共にホーム行きの階段の前で時間がくるのを待ちます。
近未来の乗り物
やがて係の人がやってきて、ホームへと降りる扉が開きました。エスカレーターで下に降りると、リニアはすでに停まっています。
リニアは想像していたよりずっと近代的な形をしていました。新幹線というよりモノレールに近い形状で、ドーム型の駅と合せて見ると〝近未来〟そのものの姿として目に映りました。
リニアに圧倒されていると、制服姿の人たちが4人ほどホームをチェックしているのに気付きました。ベージュ色の制服を着て特徴的な帽子を被った彼らは、遠くにいても威圧されるほど鋭い目つきをしています。
リニアの職員にしては妙に圧がありました。でも、警察がリニアで働くのだろうか?警戒活動中?やましい事などなにもないのに何となく監視されている気がして、車内へ入りました。
時速300kmの世界
自由席だったので、先頭から最後尾まで歩いて一番空いている車両を選びました。乗客の数は少なく、一車両貸し切りも夢ではない!?と思ったほどです。
景色を堪能できそうな左の窓側に座りました。
徐々に乗客の数は増えてくるものの、どの乗客も人を避けて座るため視界の範囲には誰もいません。後ろを振り返ると一人で3席シートを独占している男性客もいました。
「見渡す限りは貸し切りかな。ラッキー」
そう思っていたら、出発直前に私の右前に西洋人の親子が入ってきました。それでも車内は空いています。
いよいよ出発です。目の前に、速度を表示する電光掲示板がありました。
新幹線と同じように少しずつ速度が上がっていきます。だんだん速度が速くなるのですが、意外なことになかなか270kmを越えません。
「最高速度であって、ずっと出している速度ではない」頭では分かっていても、少し不思議な気分でした。それでも、身体に圧を感じましたし、窓の外の景色も飛ぶように早くなっていました。
やがて窓が小刻みに揺れだします。相変わらず座席は大きな揺れもなく快適でしたが、窓の揺れは怖い想像をしてしまうほど激しいものになっていました。
ついに時速300km。思わず写真を撮りました。「これが300kmの世界」嬉しくて周囲を見渡します。
でも、誰も興奮していません。隣の西洋人の親子は脱力したまま電光掲示板を見もせず、普通の顔。後ろの乗客たちも、スマホを見たり、音楽を聞いていたり、どこからもシャッター音は響きません。
時速300kmで走っているのに、誰も気にしていない。私にはとてもショックな現実でした。
あっけなく終わったリニア旅
やがてリニアは減速を始めました。それまでも速度が落ちることがあったため、一時的な減速だと思っていましたが、あきらかに減速のレベルが違います。
そして、停車。「あれ?」
リニアの所要時間は約8分。約8分の旅ということは知っていましたが、もう8分?
やがて扉が開きました。ところが、誰も降りません。隣りの親子も降りる気配がありません。周囲を見回しても、乗客はみんなそのままです。
「ここで終わり? それとも、もう一駅あるの?」
よく分からずモタモタしていると、職員がやってきて降車を促されました。そこで、ようやく気がつきました。
ここが旅の終わりだったのです。
〝時速300kmのリニアに乗ってみたい〟そんな勢いだけで乗り込んだ私の旅は、呆気ないほどあっという間に終わってしまいました。
※上海リニアの最高時速は、コロナ以前は431kmでした。(現在は300km)
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筆者プロフィール:R.香月(かつき)
大学卒業後、ライター&編集者として出版社や新聞社に勤務。
マイナーな国をメインに、世界中を旅する。
旅先で出会ったイスラム教徒と国際結婚。
出産&離婚&再婚を経て現在は2児の母。
公式HP:Lucia Travel