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夜空に浮かぶ満月が、少しずつ欠け、やがて赤い月へと姿を変えていく。皆既月食の最中に現れるこの赤い月は、「ブラッドムーン」とも呼ばれます。その幻想的な光景は、不吉な前触れなのか、それとも特別なサインなのか。古くから人々の心をざわつかせ、さまざまな意味づけがされてきました。
本記事では、皆既月食とブラッドムーンが起こる仕組みと、人々がそこに意味を見出してきた背景を解説します。
皆既月食とは、地球が太陽と月の間に入り、月全体が地球の影に入る現象です。皆既状態になると、月は完全に見えなくなるわけではなく、赤銅色(しゃくどういろ)に染まって見えます。この状態の月を、一般に「ブラッドムーン」と呼びます。
つまり、ブラッドムーンとは皆既月食の最中に見られる月の色の変化を指す言葉です。
皆既月食は、太陽・地球・月が一直線に並ぶことで起こります。月の光は太陽光を反射していますが、3つの星が一直線に並ぶと地球の影が月を覆うのです。
地球の影には、濃い影である「本影」と、その周囲の「半影」があります。月が完全に本影の中へ入ると、皆既月食となるのです。この状態では、太陽の光が地球によって遮られるため、月は本来の白い輝きを失います。それでも月が見え続けるのは、地球の大気を通過した光が月に届いているためです。
皆既月食で月が赤く見えるのは、地球の大気を通過した太陽光の影響です。太陽光は大気中のチリや微粒子によって散乱され、青い光は外へ逃げやすくなります。一方で、散乱しにくい赤い光だけが残り、月に届きます。その結果、月全体が赤銅色に見えるのです。
皆既月食中の月は、鈍い赤色や赤黒い色に見えることがあります。この姿が血の色を思わせることから、「ブラッドムーン」という呼び名が広まりました。この名称は学術用語ではなく、見た目の印象から生まれた表現です。
赤い色は不安や神秘と結びつけられやすく、地域や時代によっては災いや変化の象徴として語られてきました。そのため、スピリチュアルな意味づけが数多く生まれたと考えられます。
ただし、ブラッドムーンは地球の大気によって生じる自然現象であり、吉凶を示すものではありません。
皆既月食は、世界各地で特別な意味を持つ現象として受け止められてきました。
月が赤く染まり、普段とは異なる姿を見せることから、不安や災いの前触れと考えられることもありましたが、いずれも当時の世界観や信仰に基づく解釈です。
ここでは、地域ごとにどのように皆既月食が捉えられてきたのかを簡単に紹介します。
日本では、皆既月食は「月に異変が起きた状態」として畏れられることがありました。
日本書紀などの古い記録には、月が欠けたり赤く見えたりする現象が記されています。これらを政変や天変地異の前兆と結びつける記述も見られます。農耕と深く結びついた社会では、月の変化は生活に直結する重要なサインでした。そのため、不安や戒めの象徴として語られた側面がありますが、これも当時の価値観による解釈です。
さらに、日本には『竹取物語』のかぐや姫や、『古事記』に登場する月の神ツクヨミノミコトなど、月を神秘的な存在として描く物語が数多く残されています。月を「人の世界とは異なる領域」と捉える感覚が、月の異変を特別視する土壌になっているのでしょう。
古代インドでは、皆既月食は神話と結びついて説明されてきました。月食は、悪神が月を飲み込むことで起こると考えられ、不吉だとして警戒されることが多かったようです。そのため、月食の間は外出を避けたり、祈りを捧げたりする習慣が生まれました。ただし、これらは宗教的・神話的な世界観に基づくものであり、自然現象としての理解とは異なります。
インカ文明では、月は神聖な存在とされていました。皆既月食は、その月が傷つけられている状態だと考えられ、人々は大きな不安を抱いたとされています。月を守るために祈りや儀式が行われ、音を立てて悪い存在を追い払おうとしたとも伝えられています。こうした行動は、自然現象を神意として受け止めていた時代の文化を反映したものです。
天文学に優れていたマヤ文明では、特に皆既月食は特別な意味を持っていました。月食は周期的に予測されていた一方で、神々からの警告や社会の変化を示す象徴として解釈されることもありました。科学的な観測と宗教的解釈が共存していた点が特徴で、現象そのものを理解しながらも、意味づけは信仰に委ねられていたことが分かります。
中国では、皆既月食は「天の異変」として王朝や政治と結びつけて考えられることがありました。月が赤くなる現象は、秩序の乱れや為政者への警告と解釈される場合もあったようです。そのため、月食は記録され、占いや儀式の対象となりましたが、これも社会秩序を重視する思想の中で生まれた見方でした。
古代から中世のヨーロッパでは、皆既月食は不吉な出来事の前触れとして捉えられることが少なくありませんでした。ローマ時代の博物学者の記述や、中世の修道士による年代記には、月食が起きた年に戦争や疫病、王の死が重ねて記録される例が見られます。これらは科学的因果関係を示すものではなく、象徴的な意味づけとして語られてきたものです。
皆既月食をどう受け止めるかは、人それぞれです。
気になる人は、この日をひとつの「区切り」として、身の回りを整えたり、静かに過ごしたりしてもよいでしょう。一方で、不安を感じる場合は、あえて距離を取り、意識しない選択も自然な向き合い方です。
科学的な効果があるわけではありませんが、気持ちを切り替えるきっかけになることもあります。
2026年の皆既月食は、3月3日の夜に起こります。
この月食は、月が欠け始めてから皆既月食が終わるまでの全ての行程を、日本全国で観測することが可能です。今回の皆既月食は比較的早い時間帯に進行するため、観察しやすい点も特徴です。ひな祭りの夜に起こる天体ショーとして、注目されています。
国立天文台によると、2026年3月3日、月は18時50分に東の空で欠け始めます。月食の始まりです。その後、20時04分に皆既月食となり、月全体が地球の影に入ります。このとき月は、「赤銅色」と呼ばれる、赤黒い色に見える状態になります。
皆既月食は21時03分に終わり、部分食は22時18分に南東の空で終了です。全行程が夜の早い時間帯に収まるため、あまり夜ふかしをせずに観察できる月食といえるでしょう。
参考:国立天文台
また、3月の満月は「ワームムーン」とも呼ばれています。ワームムーンは、春の訪れとともに土から虫が現れる様子に由来する呼び名で、生命の動き始める時期を象徴します。ワームムーンにまつわる願い事や過ごし方については、別の記事で詳しく紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。
2026年3月の満月「ワームムーン」はいつ?名前の由来やおすすめの願い事も紹介
2026年3月3日の皆既月食を逃すと、日本で次に皆既月食が見られるのは2029年01月01日とされています。
日本でも、2028年に部分月食が起こりますが、月全体が赤く染まるブラッドムーンを見ることはできません。春の始まりに赤い満月が見られる2026年3月の月食は、時期と条件がそろった貴重な天体ショーといえるでしょう。
月が赤く見える現象は、皆既月食のときだけに限られません。月が地平線近くにある場合や、大気の状態によっては、満月でなくても赤みを帯びて見えることがあります。
ブラッドムーンは、その赤い色合いから、不吉なもの、災いの前兆として語られることがありました。
しかし、ブラッドムーンを見てはいけないとする科学的な根拠は全くありません。こうした言い伝えの背景には、月食と日食が混合された側面もあります。
太陽が欠ける日食は、直接見ると目を傷めて危険であることが多くの人に知られています。この考え方が月食にも混合し、月食も見てはいけないと思われがちになりました。
現在では、ブラッドムーンは安全に観察できる天体現象として知られています。むしろ、珍しい天体ショーですので、体験する絶好の機会です。
2026年3月3日の皆既月食は、日本全国で観測できる条件のよい天体現象です。
赤銅色に染まる月は不安や神秘と結びつけられてきましたが、その正体は自然が生み出す現象にすぎません。
旧暦では、この日は新年最初の満月でもあります。春の始まりに現れる赤い月を、前向きな節目として楽しんでみてもよいかもしれません。
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夜空に浮かぶ満月が、少しずつ欠け、やがて赤い月へと姿を変えていく。皆既月食の最中に現れるこの赤い月は、「ブラッドムーン」とも呼ばれます。
その幻想的な光景は、不吉な前触れなのか、それとも特別なサインなのか。古くから人々の心をざわつかせ、さまざまな意味づけがされてきました。
本記事では、皆既月食とブラッドムーンが起こる仕組みと、人々がそこに意味を見出してきた背景を解説します。
目次
皆既月食(ブラッドムーン)とは?赤い月が現れる特別な現象
皆既月食とは、地球が太陽と月の間に入り、月全体が地球の影に入る現象です。
皆既状態になると、月は完全に見えなくなるわけではなく、赤銅色(しゃくどういろ)に染まって見えます。この状態の月を、一般に「ブラッドムーン」と呼びます。
つまり、ブラッドムーンとは皆既月食の最中に見られる月の色の変化を指す言葉です。
皆既月食の簡単な仕組み
皆既月食は、太陽・地球・月が一直線に並ぶことで起こります。月の光は太陽光を反射していますが、3つの星が一直線に並ぶと地球の影が月を覆うのです。
地球の影には、濃い影である「本影」と、その周囲の「半影」があります。月が完全に本影の中へ入ると、皆既月食となるのです。
この状態では、太陽の光が地球によって遮られるため、月は本来の白い輝きを失います。それでも月が見え続けるのは、地球の大気を通過した光が月に届いているためです。
なぜ「赤い月」になるのか
皆既月食で月が赤く見えるのは、地球の大気を通過した太陽光の影響です。
太陽光は大気中のチリや微粒子によって散乱され、青い光は外へ逃げやすくなります。一方で、散乱しにくい赤い光だけが残り、月に届きます。
その結果、月全体が赤銅色に見えるのです。
ブラッドムーンと呼ばれる理由
皆既月食中の月は、鈍い赤色や赤黒い色に見えることがあります。
この姿が血の色を思わせることから、「ブラッドムーン」という呼び名が広まりました。
この名称は学術用語ではなく、見た目の印象から生まれた表現です。
赤い色は不安や神秘と結びつけられやすく、地域や時代によっては災いや変化の象徴として語られてきました。そのため、スピリチュアルな意味づけが数多く生まれたと考えられます。
ただし、ブラッドムーンは地球の大気によって生じる自然現象であり、吉凶を示すものではありません。
皆既月食はどんな意味を持つ?
皆既月食は、世界各地で特別な意味を持つ現象として受け止められてきました。
月が赤く染まり、普段とは異なる姿を見せることから、不安や災いの前触れと考えられることもありましたが、いずれも当時の世界観や信仰に基づく解釈です。
ここでは、地域ごとにどのように皆既月食が捉えられてきたのかを簡単に紹介します。
日本
日本では、皆既月食は「月に異変が起きた状態」として畏れられることがありました。
日本書紀などの古い記録には、月が欠けたり赤く見えたりする現象が記されています。これらを政変や天変地異の前兆と結びつける記述も見られます。
農耕と深く結びついた社会では、月の変化は生活に直結する重要なサインでした。そのため、不安や戒めの象徴として語られた側面がありますが、これも当時の価値観による解釈です。
さらに、日本には『竹取物語』のかぐや姫や、『古事記』に登場する月の神ツクヨミノミコトなど、月を神秘的な存在として描く物語が数多く残されています。
月を「人の世界とは異なる領域」と捉える感覚が、月の異変を特別視する土壌になっているのでしょう。
古代インド
古代インドでは、皆既月食は神話と結びついて説明されてきました。
月食は、悪神が月を飲み込むことで起こると考えられ、不吉だとして警戒されることが多かったようです。
そのため、月食の間は外出を避けたり、祈りを捧げたりする習慣が生まれました。ただし、これらは宗教的・神話的な世界観に基づくものであり、自然現象としての理解とは異なります。
インカ文明
インカ文明では、月は神聖な存在とされていました。
皆既月食は、その月が傷つけられている状態だと考えられ、人々は大きな不安を抱いたとされています。
月を守るために祈りや儀式が行われ、音を立てて悪い存在を追い払おうとしたとも伝えられています。
こうした行動は、自然現象を神意として受け止めていた時代の文化を反映したものです。
マヤ文明
天文学に優れていたマヤ文明では、特に皆既月食は特別な意味を持っていました。
月食は周期的に予測されていた一方で、神々からの警告や社会の変化を示す象徴として解釈されることもありました。
科学的な観測と宗教的解釈が共存していた点が特徴で、現象そのものを理解しながらも、意味づけは信仰に委ねられていたことが分かります。
中国
中国では、皆既月食は「天の異変」として王朝や政治と結びつけて考えられることがありました。
月が赤くなる現象は、秩序の乱れや為政者への警告と解釈される場合もあったようです。
そのため、月食は記録され、占いや儀式の対象となりましたが、これも社会秩序を重視する思想の中で生まれた見方でした。
古代ヨーロッパ
古代から中世のヨーロッパでは、皆既月食は不吉な出来事の前触れとして捉えられることが少なくありませんでした。
ローマ時代の博物学者の記述や、中世の修道士による年代記には、月食が起きた年に戦争や疫病、王の死が重ねて記録される例が見られます。
これらは科学的因果関係を示すものではなく、象徴的な意味づけとして語られてきたものです。
皆既月食の日の過ごし方
皆既月食をどう受け止めるかは、人それぞれです。
気になる人は、この日をひとつの「区切り」として、身の回りを整えたり、静かに過ごしたりしてもよいでしょう。
一方で、不安を感じる場合は、あえて距離を取り、意識しない選択も自然な向き合い方です。
科学的な効果があるわけではありませんが、気持ちを切り替えるきっかけになることもあります。
2026年の皆既月食はいつ?2027年はあるの?
2026年の皆既月食は、3月3日の夜に起こります。
この月食は、月が欠け始めてから皆既月食が終わるまでの全ての行程を、日本全国で観測することが可能です。
今回の皆既月食は比較的早い時間帯に進行するため、観察しやすい点も特徴です。ひな祭りの夜に起こる天体ショーとして、注目されています。
2026年の日付・観測情報
国立天文台によると、2026年3月3日、月は18時50分に東の空で欠け始めます。月食の始まりです。
その後、20時04分に皆既月食となり、月全体が地球の影に入ります。このとき月は、「赤銅色」と呼ばれる、赤黒い色に見える状態になります。
皆既月食は21時03分に終わり、部分食は22時18分に南東の空で終了です。
全行程が夜の早い時間帯に収まるため、あまり夜ふかしをせずに観察できる月食といえるでしょう。
参考:国立天文台
また、3月の満月は「ワームムーン」とも呼ばれています。
ワームムーンは、春の訪れとともに土から虫が現れる様子に由来する呼び名で、生命の動き始める時期を象徴します。
ワームムーンにまつわる願い事や過ごし方については、別の記事で詳しく紹介していますので、そちらも参考にしてみてください。
2026年3月の満月「ワームムーン」はいつ?名前の由来やおすすめの願い事も紹介
これを逃したら次は2028年?
2026年3月3日の皆既月食を逃すと、日本で次に皆既月食が見られるのは2029年01月01日とされています。
日本でも、2028年に部分月食が起こりますが、月全体が赤く染まるブラッドムーンを見ることはできません。
春の始まりに赤い満月が見られる2026年3月の月食は、時期と条件がそろった貴重な天体ショーといえるでしょう。
赤い月自体は満月でなくても見られる
月が赤く見える現象は、皆既月食のときだけに限られません。
月が地平線近くにある場合や、大気の状態によっては、満月でなくても赤みを帯びて見えることがあります。
ブラッドムーンは見てはいけないの?
ブラッドムーンは、その赤い色合いから、不吉なもの、災いの前兆として語られることがありました。
しかし、ブラッドムーンを見てはいけないとする科学的な根拠は全くありません。
こうした言い伝えの背景には、月食と日食が混合された側面もあります。
太陽が欠ける日食は、直接見ると目を傷めて危険であることが多くの人に知られています。この考え方が月食にも混合し、月食も見てはいけないと思われがちになりました。
現在では、ブラッドムーンは安全に観察できる天体現象として知られています。むしろ、珍しい天体ショーですので、体験する絶好の機会です。
春の訪れを実感する夜の赤い月
2026年3月3日の皆既月食は、日本全国で観測できる条件のよい天体現象です。
赤銅色に染まる月は不安や神秘と結びつけられてきましたが、その正体は自然が生み出す現象にすぎません。
旧暦では、この日は新年最初の満月でもあります。
春の始まりに現れる赤い月を、前向きな節目として楽しんでみてもよいかもしれません。
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月光浴にはどんな効果が期待できる?▼
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