和柄の麻の葉模様は縁起が良い!魔除けとしても使われる麻の葉模様の意味を詳しく解説

日本の伝統的な和柄模様と聞いて、頭に思い浮かべるものにはどんなものがあるでしょうか。
青海波、七宝、市松、唐草などさまざまな模様がある中で、麻の葉模様をイメージされた方も多くいらっしゃったことでしょう。それだけ、我々の身近にあり、日本の伝統にも根差した模様について詳しく知りたくはありませんか。

今回は、日本の伝統的な吉祥模様の中でも特に「麻の葉模様」に焦点を当て、麻の葉にはどんな意味があるのか、どういった歴史を持っているのかなど詳しく解説していきます。

麻の葉模様とは?

そもそも麻の葉模様とはどんな模様のことを指すのか、ここで今一度確認しておきましょう。

麻の葉模様(麻柄)について知る

麻の葉模様(麻柄)について知る

麻の葉模様は6個の三角形を組み合わせてできる正六角形を基本とした伝統的な模様です。
単体で用いられることもあれば、同じ形を繰り返し繋げた割付模様として用いられることもあります。
麻の葉模様と聞くと、植物の麻の葉がモチーフとなってできた模様と思われることが多いのですが、麻の葉模様に関して言うと、麻の葉がモチーフになって図案化された模様ではありません。

その証拠に、実際に麻の葉を見てみると、葉の数はすべて奇数枚で構成されていることが分かります。三角形を6つ組み合わせてできる正六角形の模様が、どことなく大麻(おおあさ)の葉に似ているということから、「麻の葉模様」という名が後々付けられたそうです。

ちなみに、「麻の葉模様」にはいくつか種類があるのですが、一般的に「麻の葉模様」という時には、もっともシンプルな正六角形で構成されたものを指すことがほとんどです。

麻の葉模様はいつからある?

麻の葉模様の使用は、もっとも古いもので平安時代の仏像装飾に確認できるとされています。もともと中国由来の幾何学模様であった麻の葉模様は、奈良時代に隋や唐の文化が日本に流入してきたタイミングで日本にもたらされました。おそらく中国の仏教美術とも関連が深かった模様だったことから、日本でも初めのうちは仏像関連の一装飾表現として使われていたと考えられます。

麻の葉模様は、シンプルでありながら品があり、かつ活用しやすいデザインだったということもあって、仏教世界でのみならず人々の生活の中でも利用されるようになったのです。
江戸時代になると5世岩井半四郎が麻の葉模様が描かれた着物を身に着けて歌舞伎を披露したことから瞬く間に女性たちの間で麻の葉模様が流行しました。半衿、袖、裾回しに麻の葉模様が多用されたのです。

歌川国貞「杉酒屋娘おみわ」 歌川国貞「杉酒屋娘おみわ」

麻の葉模様の縁起が良い理由と由来

吉兆模様としてもよく用いられる麻の葉模様ですが、麻ないしは麻の葉が持つどんな意味が由来となって縁起の良さに繋がっているのかみていきましょう。

「健やかな成長」の意味や由来

麻という植物は、丈夫に直立して成長します。しかも、その成長速度はかなり速く、1日に3cmほども伸びてしまうのです。この成長力と生命力にあやかって、子供の健やかな成長を祈願するようになったことから、特に子供のお守りとして麻の葉模様が使用されることが増えていきました。

麻の葉模様の縁起が良い理由と由来

現在でも麻は、「成長」や「健やかさ」の象徴と捉えられており、大変縁起が良い植物として広く知られているのです。

「魔除け」の意味や由来

麻という植物は大変丈夫で、虫食いにも強いというのを皆さまはご存知でしょうか。天然の抗菌作用を多く含む麻は、虫を寄り付かせることなく元気に成長することができるのです。この様子から、昔の人々は麻の葉には魔除けの効果があると信じていました。

また、麻の葉模様にも魔除け効果があると信じられてきました。これは、麻の葉模様につなぎ目がないことに因んでおり、つなぎ目がないということは魔(悪いもの)が入る余地がないことに他ならず、大変縁起が良いとされたのです。

麻の歴史|日本人の暮らしを支えた植物

実のところ「麻」は、南アジアや中央アジアが原産とされる麻は縄文時代以前に日本に渡来したとも言われており、古くから我々日本人と共に生きてきた植物です。

古来日本で広く使われた素材

縄文時代の遺跡から麻素材の布や縄が見つかっていることからも分かるように、麻は古くから日本人の生活になくてはならない材料として活躍してきたのです。
麻は縄以外にも布や袋、蚊帳、衣服などに用いられ、重宝されました。

古来日本で広く使われた素材

時代の変化と共に、また技術の進化と共に、麻の活用のされ方にも変化しましたが、麻は今なお我々の生活面においてとてもよく使用される素材の一つですね。麻素材の素朴な感じが好きという方も多いのではないでしょうか。

清浄の象徴として神事で広く用いられた素材

植物の麻も、古来より邪気や穢れを払う神聖な植物として用いられてきました。日本最古の書物とされる『古事記』にも麻の繊維で作られた白い麻布が天照大神と共に描写されているのですが、これは麻という植物がただの材料ではなく、神聖な素材と既にみなされていたことを示しているとも言えるのではないでしょうか。歴史が感じられます。

麻の持つ、虫を寄せ付けない優れた抗菌性は特に重宝されたようで、神聖な儀式や神社の装飾品の一部に相応しいと考えられました。現在でも神社の注連縄(しめなわ)や鈴縄の材料に、お祓い道具の大麻(おおぬさ)の原料に麻が用いられています。

清浄の象徴として神事で広く用いられた素材

また、麻の白っぽさに清浄さを求めたことも、麻と神事を繋げるきっかけになったと言われています。古くから日本では白色が清純さや清浄さの象徴と考えられてきたため、神事の際には白色の布や衣服は必須だったのです。その白さを生み出せる植物として麻が求められ、その結果、麻が清浄の象徴であると言われるようになったそうです。
ちなみに、麻で作った布は初めから白色なわけではなく、植物繊維独特の黄ばみが見られます。これを雪や日光などに晒して漂白することで白色の麻布を作り出すことができるのです。

麻を忍者も活用していた!?麻を使った修行

忍者修行の有名な逸話に、「植えた麻を毎日飛び越え、驚異的な跳躍力を手に入れる」というものがあります。出た芽の上を毎日飛び越え、成長し葉をつけたその上も飛び続ける…。毎日飛び越えるうちに、大きくなった麻の背丈ほどの跳躍ができるようになるという逸話です。1日で3cmほど伸びる麻ならではの修行方法ですよね。

子供の着物の魔除けモチーフとして用いられていた

江戸時代、子供の着物の背中には「背縫い守り(背守り)」と呼ばれる刺繍を施して、子供のお守りとしていました。

子供の着物の魔除けモチーフとして用いられていた

大人の着物は裁断の都合上必ず背中に背縫いができるのですが、一つ身の子供の着物には背縫いがありません。背中に縫い目(縫い目は監視の目と捉えられた)がないとそこから魔物が入ってきてしまうと信じられていたことから、背中にあえて刺繍を入れることで縫い目とし、子供を邪気から守ったそうです。現在でもお宮参りで用いる祝着には背守りを入れ、子供の健やかな成長を祈願します。
さて、この背守りにはいくつかバリエーションがありましたが、中でも魔除け効果のある麻の葉の柄は人気が高かったそうです。「麻の葉紋」とも呼ばれ、子供の着物、肌着などの背中部分には麻の葉の模様が刺繍されました。

現代の暮らしに取り入れる麻の葉模様

麻の葉模様は何も古い時代のものというわけではありません。現代でも麻の葉模様はさまざまなところで目にする模様で、日本の伝統的な模様として日本人のみならず海外の人々からも注目を集めています。

思いを込めた贈り物として

麻の葉模様は、魔除けやお守りとして古くから用いられ、子供の健やかな成長を願う想いが託された縁起の良い模様。
小さいお子様がいるご家庭に、健やかな成長祈願としての贈り物にぴったりのモチーフです。

子供の成長を祈念して、麻の葉模様のついたアイテムを出産祝いに贈ってみるのも素敵です。強調し過ぎない和柄というのがポイントで、夏物のベビー服であれば、オーガニックな麻素材に麻の葉模様をマッチさせたものも素敵ですよね。

お子様に持たせる御守りとしても「麻」を用いたものや、麻のモチーフはおすすめです。

  • 神麻御守り

    神麻御守り

    麻を使用した御守り袋。御守り石や、大切なものを入れて御守りに。

  • 麻の葉水琴鈴

    麻の葉水琴鈴

    水琴窟の音を模した鈴。お守り代わりに持ち歩くと癒しの音を奏でてくれますよ。

  • お守りラゲッジ

    お守りラゲッジ

    御守りの形をしたラゲッジ。旅行バッグや普段の鞄に付けて目印にできます。旅の御守りにも。

お部屋を浄める和モダン雑貨

最近よく、現代的なビルの壁の模様の一部が麻の葉模様だったり、モダンなホテルの客室の窓に麻の葉模様の透かしを入れているのを見かけますよね。現代的な構造物の中に、古来より伝わる日本人のエッセンスを見つけると、どこか温かさを感じます。

ご自身の過ごす空間の中に、伝統的な麻の葉模様を取り入れる事であたたかみも感じられますよ。
また、先述の通り麻は浄めのモチーフ。かならず通る場所や気になる部屋などに麻を模した雑貨を置けば、お浄めとして役立ってくれるはずです。

お部屋の雰囲気や空気感を変えるような小物をお探しの方はぜひ、麻の葉模様を暮らしの中で楽しんでみませんか。

  • 麻の葉模様 盛塩器

    麻の葉模様 盛塩器

    ヒノキ香る盛塩器は、あたたかみがありつつも上品な雰囲気。オブジェとして利用するのもおすすめです。

  • 麻の葉組子コースター

    麻の葉組子コースター

    透かしが美しい一品で、グラスなどをのせて用いることもできますが、天然石や小物を置くことで「清浄の象徴である麻の葉」らしさが際立ち、少し整然としたニュアンスが生まれます。

日常に「願い」を込めたアイテムを

お子様のお守りとして紹介する面が多かった「麻」ですが、大人のかたにもおすすめなアイテムをご紹介。日々の生活で楽しめる「麻」のアイテムをご紹介していきます。
縁起物、魔除けのお守りにどうぞ。

  • 神麻絹紐ブレスレット 加護

    神麻絹紐ブレスレット
    加護

    魔除けの意を持つ麻の葉模様が彫られた水晶、魔除け石として名高い天眼石(アゲート)を組み合わせた魔除けのパワーストーンブレスレットです。

  • 神麻ショルダー

    神麻ショルダー

    御朱印帳がちょうど入るショルダーバッグ。麻の中でも特に上質な近江麻を用い、ワンポイントモチーフは日本の神々をイメージしています。ネームタグの中には「精麻」が縫い込まれています。

  • 精麻

    精麻

    お供えの盛付けなど、神事に関する用途などにご活用いただける本物の精麻です。
    お部屋のワンポイントや、玄関に置いて魔除けのお守りにしたりなど、本物だからこそできる用途があります。

まとめ|縁起が良い麻の葉模様

麻の葉模様について解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
予想以上に奥深かったと思われた方もいらっしゃるかもしれません。

麻の葉模様はそもそも麻の葉がモチーフになって生まれた模様ではなく、模様が麻の葉に似ていたというところから「麻の葉模様」と呼ばれるようになったというユニークな由来を持つ模様でもあります。

麻の葉模様と呼ばれるようになってからは、麻という植物の神聖性や縁起の良さといった意味もまとい、魔除け効果もある日本の伝統的な吉兆模様の代表格として広く知られるようになったというわけなのです。

麻の葉模様は現代においても古くささを感じさせない和柄模様として人気を誇っていますが、麻の葉模様の意味を知った上で用いるとさらに生活に彩が増すのではないでしょうか。


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