歴史については後ほど詳しくご紹介しますが、ハワイ州の旗は、もともとハワイ王国の国旗として1845年に制定されたものです。 ハワイ語でKa Hae Hawaiʻi(カ・ハエ・ハワイイ)といい、1990年に7月31日を「Ka Hae Hawaiʻi Day(カ・ハエ・ハワイイ・デイ)」または「Hawaiian Flag Day(ハワイアン・フラッグ・デー)」と制定しました。
ハワイには、これまでご紹介してきた州旗「Ka Hae Hawaiʻi(カ・ハエ・ハワイイ)」とは別に、もう一つ別の旗「Kanaka Maoli(カナカ・マオリ)」があるんです。 デザインにどのような意味があるのか、ハワイの人々が持つ複雑な思いなどをチェックしてきましょう。
ネイティブハワイアンの旗
「Kanaka Maoli(カナカ・マオリ)」は、ネイティブハワイアンの旗であり、名前には「真の人」という意味があります。 この旗は、現在の州旗「Ka Hae Hawaiʻi(カ・ハエ・ハワイイ)」が国旗として制定される前の1843年にイギリス人によって使用禁止になっていますが、今もハワイアンの間ではこの旗こそハワイの旗だと考えている人もいます。
みなさんは、ハワイに「州旗」があるのを知っていますか?
アメリカ合衆国には、ハワイを含め全部で50の州がありますが、それぞれが独自の旗を持っています。
そこで、今回はそんなハワイの州旗について詳しくご紹介していきたいと思います。
どのような特徴を持った旗で、デザインや色にはどのような意味が込められているのか、また、ハワイの旗が歩んできた歴史についてもわかりやすく解説します。
ハワイがお好きな方はもちろん、ハワイの旗について知りたい方なども、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。
目次
ハワイの州旗とは?
まずは、ハワイの旗の概要から一緒にチェックしていきましょう!
アメリカの州旗で唯一ユニオンジャックを使用
ハワイの旗の大きな特徴が、アメリカの州旗のなかで唯一「ユニオンジャック」をデザインに使用していることです。
歴史については後ほど詳しくご紹介しますが、ハワイ州の旗は、もともとハワイ王国の国旗として1845年に制定されたものです。
ハワイ語でKa Hae Hawaiʻi(カ・ハエ・ハワイイ)といい、1990年に7月31日を「Ka Hae Hawaiʻi Day(カ・ハエ・ハワイイ・デイ)」または「Hawaiian Flag Day(ハワイアン・フラッグ・デー)」と制定しました。
デザインに込められた意味
ハワイの州旗は、左上にユニオンジャックがあり、そのほかの部分は8本のストライプがデザインされています。
ストライプの数(8本)はハワイの主要な島の数を示しており、上から順に、ハワイ島、オアフ島、カウアイ島、カホオラウェ島、ラナイ島、マウイ島、モロカイ島、ニイハウ島となっています。
色に込められた意味
ハワイの州旗のストライプは、赤・白・青で構成されています。
実は、この3色にもそれぞれ大切な意味が込められているのです。
赤
赤は、ハワイの人々や神々の勇気・力を象徴する色です。
ハワイ王国を守るために戦った勇敢な戦士たちや王族の強さを称えています。また、ハワイの土地そのものと結びつける解釈もあります。
白
白は純粋さや誠実さ、真実を表す色です。
ハワイの人々の純粋さや誠実さ、さらに雲や砂といったハワイの美しい自然も象徴しています。
ハワイの島々が豊かな自然を持っていること、そしてハワイの文化は自然と深く結びついているため、白は誠実さと調和の精神を表すのにふさわしい色なのです。
青
青は海と空の澄んだ美しさを表す色です。
海は古くからハワイアンの生活と文化において中心的な役割を担っており、人々から大切にされてきました。
ハワイの自然・生活・文化と切っても切り離せない海を表現しています。
歴史
ハワイはイギリス連邦に属したことも、植民地だったこともありませんが、旗にはユニオンジャックが含まれています。これにはハワイの歴史が大きく関係しています。
ここからは、ハワイの州旗ができるまでの歴史について詳しく見ていきましょう!
キャプテン・クックによるハワイ諸島の「発見」
ハワイの人々の先祖は、およそ1500年前にポリネシア人が星の明かりを頼りにカヌーで航海してハワイ諸島にやってきたのがはじまりと考えられています。
そこから長いときが経ち、ハワイの歴史を大きく変えることになったのが、イギリスの海軍士官であるキャプテン・クックがハワイを「発見」したことでした。
クック一行がカウアイ島に上陸したことをきっかけに、ハワイと西洋との交流が始まりました。
クックの船に乗っていたジョン・バンクーバーという人物がいたのですが、彼は何度もハワイを訪れ、そのうちにハワイ王国の祖、カメハメハと友好関係を築いていきます。
カメハメハはバンクーバーを通じてイギリス国王ジョージ3世に書簡を送り、同盟を締結。
1794年には、ハワイとイギリスの友好の印として、バンクーバーからイギリス国旗が贈られました。
なお、キャプテン・クックとハワイの関係については、以下の記事で詳しくご紹介していますので、興味がある方は読んでみてくださいね。
▶ジェームズ・クック(キャプテンクック)はどんな人物?ハワイとの深いつながりについて知ろう!
しばらくイギリス国旗が使われる
古代のハワイには布がなかったため、イギリス国旗は貴重なプレゼントとして喜ばれました。
カメハメハは港や島の要所に国旗を掲げ、イギリス船を見送るときにも旗をなびかせて敬意を表したといいます。
次第に、カメハメハはハワイ統一に動き出していきます。
1795年にはハワイ島からオアフ島までを1つの国として統一し、1810年にはカウアイ島とニイハウ島が国に加入し、ハワイ王国が成立。カメハメハは大王(1世)となりました。
イギリス国旗が贈られてから約20年のあいだは、そのままイギリス国旗が使われていました。イギリス国旗を掲げることは、当時大きな力を持っていたイギリスとのつながりがあることを他国の船に示すという意味合いもあったようです。
独立国家としての旗印が必要となり、新たな旗(国旗)が誕生
その後、外国との交流が盛んになると、独立国としての旗印が必要になっていき、新たな旗を作ろうという動きが出てきます。
1812年、米英戦争が起きると、ハワイに住んでいたアメリカ人たちは掲げられたイギリスの旗に怒り、それに配慮してアメリカの星条旗を掲げると今度はイギリス人たちが怒り出すという事態になってしまいます。
当時、アメリカも重要な貿易相手だったため、イギリスもアメリカもどちらも大切にしたいと考えたカメハメハは、2人のイギリス人顧問(アレキサンダー・アダムス船長&ジョージ・ベックリー船長)に旗のデザインを相談します。
その結果考えられたのが、アメリカ国旗の星の部分にイギリス国旗をあしらった国旗でした。これが、ハワイの州旗にユニオンジャックが含まれている理由です。
1845年に、ハワイ王国の国旗として正式に制定されました。
ハワイのもう一つの旗「Kanaka Maoli(カナカ・マオリ)」とは?
ハワイには、これまでご紹介してきた州旗「Ka Hae Hawaiʻi(カ・ハエ・ハワイイ)」とは別に、もう一つ別の旗「Kanaka Maoli(カナカ・マオリ)」があるんです。
デザインにどのような意味があるのか、ハワイの人々が持つ複雑な思いなどをチェックしてきましょう。
ネイティブハワイアンの旗
「Kanaka Maoli(カナカ・マオリ)」は、ネイティブハワイアンの旗であり、名前には「真の人」という意味があります。
この旗は、現在の州旗「Ka Hae Hawaiʻi(カ・ハエ・ハワイイ)」が国旗として制定される前の1843年にイギリス人によって使用禁止になっていますが、今もハワイアンの間ではこの旗こそハワイの旗だと考えている人もいます。
デザインに込められた意味
「Kanaka Maoli(カナカ・マオリ)」には、緑・赤・黄色が使われています。
緑は庶民・一般の人々の象徴、赤は酋長下の土地区分の頭、黄色は王を象徴しています。
旗の中央にあるモチーフは「パドル(櫂)」と「盾」がデザインされています。
パドルはハワイアンにとって重要な航海の象徴であり、盾はネイティブハワイアンを象徴するものとされています。
複雑な思い
旗をめぐって、複雑な思いを持つハワイの人々も少なくありません。
毎年1月17日のハワイ王国崩壊の日には、多くの人が旗を持ってイオラニ宮殿に集結します。
その際、「ハワイアンの悲しみ」の表現として、現在のハワイ州旗を逆さに掲げることも。これは、現在のハワイ州旗を白人勢力によって倒されたハワイ王国の忘れ形見、と捉える人も多いからなんです。
しかし一方で、旗を逆に掲げることはハワイ王族やハワイ州の尊厳を損なう行為だと考える人もいます。
さまざまな意見がありますが、少なくとも私たち観光客はそのようなことはしないよう注意しましょう。
州旗を知れば、ハワイの歴史が見えてくる
ハワイの州旗には、ハワイが歩んできた歴史が大きく関わっていることがわかりましたね。
ストライプの数や使われている色にも意味があること、さらにハワイにはもう一つの旗「Kanaka Maoli(カナカ・マオリ)」もあることなどは、新たな発見だったのではないでしょうか。
このコラムが、みなさんがハワイやハワイの州旗にさらに興味を持つきっかけになれば嬉しいです。
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