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私たちがよく知る「赤い服に白いひげ」のサンタクロース。その姿や呼び名は、世界共通と思われがちですが、実は国によってさまざまです。このコラムでは、世界のサンタクロースをもっと知っていただけるよう各国のサンタクロースをご紹介します!
世界中の子どもたちにプレゼントを届ける赤い服の贈り主・サンタクロース。その正体は、昔むかし、貧しい人々を助けた心やさしい司教さまだったと言われています。
今から1700年以上も前、小アジア(現在のトルコ)の港町ミラ(ミュラ)に心やさしい司教さまがいました。その名は聖ニコラウス。彼は貧しい人々に自分の財産を惜しみなく分け与え、その思いやりは数々の奇跡として今もなお語り継がれています。
なかでも有名なのが、娘たちを売らなければならないほど生活が苦しかった家族を救ったお話。ニコラウスは娘たちの状況を聞き、真夜中にそっとその家を訪れて煙突から金貨を投げ入れました。金貨は暖炉のそばに干してあった靴下の中に入り、そのおかげで娘たちは救われ、幸せな結婚ができたと伝えられています。
こうした聖ニコラウスのやさしい贈り物が、やがてサンタクロースの伝説へと姿を変えていきました。そして今でもクリスマスの夜には靴下を用意し、煙突からサンタがやってくると信じられているのです。
サンタクロースは、いったいどこからやってくるのでしょうか。実は、サンタクロースが住んでいるとされる場所は世界中でいくつかの説があります。
サンタクロースが住んでいる場所として最も知られているのが、フィンランドのロヴァニエミにある「サンタクロース村」です。ここではサンタさんに会える施設や郵便局があり、世界中の子どもたちからたくさんの手紙が届きます。
フィンランドのラップランド東部にあるコルヴァトゥントゥリ山は、サンタクロースの本当の家だと伝えられています。この山では、サンタクロースが妖精トントゥたちと一緒に暮らしているといわれています。
北緯90度、地球の最北端に位置するこの場所は雪と氷に包まれた神秘的な世界。
アメリカやイギリスなどでは、サンタクロースが北極に住んでいると信じられてきました。実際にアメリカのアラスカ州には「ノースポール(North Pole)」という町があり、「サンタクロース・ハウス」と呼ばれる施設もあります。
カナダではサンタ宛の手紙を、「North Pole, Canada(郵便上の住所)」という住所で受け付けています。郵便番号はサンタクロースの笑い声にちなんだ「H0H 0H0」。毎年、世界中の子どもたちからたくさんの手紙が届くそうです。
スウェーデンでは、ダーラ県のモーラ市近郊にある「サンタワールド」や、北部の雪深い村々にサンタクロースが住んでいるとされています。
フィヨルド沿いの小さな町、「Drøbak(ドロバク)」にサンタクロースの家があり、家族と一緒にくらしていると語られています。
グリーンランドでは、サンタクロースは北極圏の静かな町「ユーマナック」に住んでいると語られています。この町は、雪と氷に包まれた岩山とフィヨルドに囲まれた場所で静かに暮らすにはぴったりな環境とされています。
ここからは、世界各地で語り継がれているサンタクロースたちをご紹介します。「えっ、これがサンタクロース?」と思わず驚いてしまう、ユニークな姿やちょっぴり怖いサンタクロースも登場します。どうぞ楽しみながらご覧ください!
サンタクロースが暮らすフィンランドでは、サンタクロースのことを「ヨウルプッキ」と呼びます。「ヨウルプッキ」とは、フィンランド語で「クリスマスの雄ヤギ」のこと。
かつてフィンランドでは、冬至祭やクリスマスの時期になると、ヤギの角や仮面をつけた人が家々を訪ね歩くという伝統行事がありました。その訪問者は、歌をうたったり、いたずらをしたりしてごちそうや贈り物を受けとっていたといわれています。このヤギの姿をした訪問者が、現在のヨウルプッキの原型です。
現代のヨウルプッキも歩いて家々を訪れ玄関をノックして現れる、ちょっとリアルなサンタクロースとして親しまれています。
イギリスでサンタクロースといえば、「ファーザー・クリスマス」が定番です。彼はもともと冬至祭やクリスマスの祝祭を象徴する存在で、緑のローブやヒイラギの冠をまとった陽気な老人として描かれてきました。プレゼントを配る役割はなく、季節の喜びを届ける精霊のような存在として人々に親しまれてきたのです。やがて聖ニコラスの伝承とアメリカの“赤い服のサンタクロース”像が重なり、ファーザー・クリスマスは現代のサンタクロースの姿へと変わっていったのです。
デンマークや、サンタクロースの町があるノルウェーでは、「ユーレニッセ」と呼ばれる小さな妖精がサンタクロースに近い存在とされています。彼らは家々の納屋や屋根裏にひっそりと住んでいると言われ、クリスマスが近づくと子どもたちにプレゼントを届けてくれるのです。こうした伝承にちなみデンマークやノルウェーでは、ユーレニッセへの感謝の気持ちとして甘いお粥(リースグロート)やミルクを納屋や屋根裏に備える風習が根付いています。
ロシアのサンタクロースとされるのが、民間伝承に登場する霜の精霊・「ジェド・マロ―ス」です。青いロングローブには刺繍や雪の結晶模様があしらわれ、冬の精霊らしい華やかさが漂います。ジェド・マロースは、孫娘スネグーロチカとともに、大晦日の夜に子どもたちへプレゼントを届けにやってきます。「クリスマスじゃなくて大晦日なの?」と不思議に思われるかもしれませんね。実は1930年代末、ソ連政府が宗教的な行事であるクリスマスを廃止したことから、ジェド・マロースは「新年の精霊」として大晦日にやってくるようになったのです。
ドイツには、サンタクロースのような存在が4人います。この4人は、ドイツのクリスマス文化において、それぞれ異なる役割があり、プレゼントを届ける時期にも違いがあるのです。それでは、一人ひとりご紹介しましょう。
最初にご紹介するのは、12月5日の夜に訪れる伝統的な聖人「聖ニコラウス」と、その従者「クネヒト・ループレヒト」です。聖ニコラウスはその優しさと奇跡の伝説から、後にサンタクロースのモデルとなった人物です。それに対して、「クネヒト・ループレヒト」は別名ブラックサンタと呼ばれ、悪い子にはお仕置きをあたえる聖ニコラウスの影のような存在です。
クネヒト・ループレヒト(ブラックサンタ)の由来や伝承については、こちらのコラムで詳しく説明しています。ブラックサンタの正体が明らかに・・・ぜひ読んで見てください。
悪い子のところにやってくる…!?ブラックサンタっていったい何者?
続いて、12月24日の夜にやってくる現代的な贈り物の使者「ヴァイナハツマン」をご紹介します。その姿は世界的に知られるサンタクロースとよく似ています。しかし彼は民間伝承や現代文化の中で生まれた、より世俗的で親しみやすい存在です。北ドイツを中心に広く知られ、クリスマスイブの夜には子どもたちにプレゼントを届けてくれます。
最後にご紹介するのは、幼いキリストを意味する「クリストキント」です。クリストキントは、主にドイツ南部やオーストリアなどで親しまれているサンタクロースに似た贈り物の使者です。この伝承は、スイスやハンガリー、チェコ、スロバキアなど他の中欧諸国にも広がっています。宗教革命期に聖ニコラウスの代わりとして登場し、クリスマスイブに子どもたちへプレゼントを届けてくれます。
鈴の音が聞こえたら、それはクリストキントが近くにいる合図。ドイツの一部の地域では、願いごとを書いた手紙をクリストキントに送る習慣があるそうです。
アイスランドではクリスマスが近づくと、「ユールラッズ」と呼ばれる13人兄弟のサンタクロースがやってきます。彼らはそれぞれ異なる性格で、ちょっぴりいたずら好きな妖精たちです。12月12日から毎晩ひとりずつ山から町へ降りてきて、13人全員がそろったクリスマスイブの夜には、子どもたちが窓辺に置いた靴の中へプレゼントを届けてくれるのです。
ただし、それはいい子にしていたらの話。わるい子の靴には、腐ったジャガイモを忍ばせることもあるそうですよ。
オーストラリアのサンタクロースは、真夏のビーチに現れる陽気なおじいさん。「真夏にサンタクロース?真冬の間違いじゃないの?」と思うかもしれませんが、オーストラリアのクリスマスは夏に祝われます。アロハシャツにボードショーツを着た、なんともユニークなサンタクロースですね。
そんなオーストラリアならではのクリスマスの過ごし方は、こちらのコラムで詳しく説明しています。南半球ならではのクリスマスの世界をのぞいてみてください。
真夏のクリスマス!オーストラリアのクリスマスの過ごし方をご紹介
100年前の日本にもサンタクロースが存在していたことをご存知でしょうか?その名は「三太九郎(さんたくろう)」。義理人情に厚い日本ならではのサンタクロースです。
三太九郎は頭にベールのような布をかぶり、郵便配達人のようなバッグを肩にかけ、ロバを連れて登場する北国の老爺。その手には小さなツリー、ロバの背にはオモチャがぎっしり詰まったカゴが乗っています。思わずツッコミを入れたくなるような、どこか微笑ましいその姿はまさに明治の和製サンタと呼ぶにふさわしい存在です。
和製サンタクロースが登場したのは1900年(明治33年)。当時、日本で初めての児童向けクリスマス小説が教文館から出版されました。
物語の主人公は雪深い北国に暮らす8歳の少年・小林峰一。ある雪の夜、峰一が飼っていた犬がくわえてきた帽子をきっかけに峰一と父親は雪の中で倒れている旅人を助けました。旅人はクリスチャンである峰一家の姿に心を打たれ、自分もクリスチャンになることを決意するのです。
翌年の春、峰一の父親は病に倒れてしまいました。峰一と母親は懸命に祈り続け、やがて父親は元気を取り戻します。しかし、長く働けなかったためクリスマスのお祝いも贈り物も用意できませんでした。
そして迎えたクリスマスの朝。峰一の枕元には「三太九郎」という名の老爺からの贈り物と一通の手紙が置かれていました。それは、善行への感謝としてかつて助けた旅人から届けられたものでした。
100年前の物語に、こんな愛嬌たっぷりの和製サンタが活躍していたなんて…当時の子供たちもきっと三太九郎のお話をわくわくしながら聞いていたのでしょうね。
サンタクロースの姿や呼び名は国や地域によって本当にさまざまです。
そのかたちは土地の文化や歴史の中で、少しずつ形を変えてきました。けれど、どのサンタにも共通しているのは「人々に幸せを届けたい」という思い。その優しさは国境や言葉を超えて、私たちの心に届きます。
今年のクリスマスも誰かの幸せを願いながら、あたたかな時間が過ごせますように。
クリスマスオーナメントに込められた意味とは?▼
クリスマスってそもそもなぁに?▼
私たちがよく知る「赤い服に白いひげ」のサンタクロース。
その姿や呼び名は、世界共通と思われがちですが、実は国によってさまざまです。
このコラムでは、世界のサンタクロースをもっと知っていただけるよう各国のサンタクロースをご紹介します!
目次
サンタクロースってどんな存在?
世界中の子どもたちにプレゼントを届ける赤い服の贈り主・サンタクロース。
その正体は、昔むかし、貧しい人々を助けた心やさしい司教さまだったと言われています。
聖ニコラウスの伝説/贈り物のはじまり
今から1700年以上も前、小アジア(現在のトルコ)の港町ミラ(ミュラ)に心やさしい司教さまがいました。
その名は聖ニコラウス。
彼は貧しい人々に自分の財産を惜しみなく分け与え、その思いやりは数々の奇跡として今もなお語り継がれています。
なかでも有名なのが、娘たちを売らなければならないほど生活が苦しかった家族を救ったお話。
ニコラウスは娘たちの状況を聞き、真夜中にそっとその家を訪れて煙突から金貨を投げ入れました。
金貨は暖炉のそばに干してあった靴下の中に入り、そのおかげで娘たちは救われ、幸せな結婚ができたと伝えられています。
こうした聖ニコラウスのやさしい贈り物が、やがてサンタクロースの伝説へと姿を変えていきました。
そして今でもクリスマスの夜には靴下を用意し、煙突からサンタがやってくると信じられているのです。
サンタクロースはどこにいるの?
サンタクロースは、いったいどこからやってくるのでしょうか。
実は、サンタクロースが住んでいるとされる場所は世界中でいくつかの説があります。
フィンランド
サンタクロースが住んでいる場所として最も知られているのが、フィンランドのロヴァニエミにある「サンタクロース村」です。
ここではサンタさんに会える施設や郵便局があり、世界中の子どもたちからたくさんの手紙が届きます。
ラップランド東部/コルヴァトゥントゥリ山
フィンランドのラップランド東部にあるコルヴァトゥントゥリ山は、サンタクロースの本当の家だと伝えられています。
この山では、サンタクロースが妖精トントゥたちと一緒に暮らしているといわれています。
アメリカ(アラスカ州)
北緯90度、地球の最北端に位置するこの場所は雪と氷に包まれた神秘的な世界。
アメリカやイギリスなどでは、サンタクロースが北極に住んでいると信じられてきました。
実際にアメリカのアラスカ州には「ノースポール(North Pole)」という町があり、「サンタクロース・ハウス」と呼ばれる施設もあります。
カナダ
カナダではサンタ宛の手紙を、「North Pole, Canada(郵便上の住所)」という住所で受け付けています。
郵便番号はサンタクロースの笑い声にちなんだ「H0H 0H0」。
毎年、世界中の子どもたちからたくさんの手紙が届くそうです。
スウェーデン
スウェーデンでは、ダーラ県のモーラ市近郊にある「サンタワールド」や、北部の雪深い村々にサンタクロースが住んでいるとされています。
ノルウェー
フィヨルド沿いの小さな町、「Drøbak(ドロバク)」にサンタクロースの家があり、家族と一緒にくらしていると語られています。
グリーンランド
グリーンランドでは、サンタクロースは北極圏の静かな町「ユーマナック」に住んでいると語られています。
この町は、雪と氷に包まれた岩山とフィヨルドに囲まれた場所で静かに暮らすにはぴったりな環境とされています。
世界のサンタクロース
ここからは、世界各地で語り継がれているサンタクロースたちをご紹介します。
「えっ、これがサンタクロース?」と思わず驚いてしまう、ユニークな姿やちょっぴり怖いサンタクロースも登場します。
どうぞ楽しみながらご覧ください!
フィンランド/ヨウルプッキ
・黒いブーツと皮ベルト
・丸眼鏡をかけている
・ふくよかで優しそうな表情
サンタクロースが暮らすフィンランドでは、サンタクロースのことを「ヨウルプッキ」と呼びます。
「ヨウルプッキ」とは、フィンランド語で「クリスマスの雄ヤギ」のこと。
かつてフィンランドでは、冬至祭やクリスマスの時期になると、ヤギの角や仮面をつけた人が家々を訪ね歩くという伝統行事がありました。
その訪問者は、歌をうたったり、いたずらをしたりしてごちそうや贈り物を受けとっていたといわれています。
このヤギの姿をした訪問者が、現在のヨウルプッキの原型です。
現代のヨウルプッキも歩いて家々を訪れ玄関をノックして現れる、ちょっとリアルなサンタクロースとして親しまれています。
イギリス/ファーザー・クリスマス
・花輪やヒイラギの冠をまとっている
・ふくよかで陽気なおじさん
イギリスでサンタクロースといえば、「ファーザー・クリスマス」が定番です。
彼はもともと冬至祭やクリスマスの祝祭を象徴する存在で、緑のローブやヒイラギの冠をまとった陽気な老人として描かれてきました。
プレゼントを配る役割はなく、季節の喜びを届ける精霊のような存在として人々に親しまれてきたのです。
やがて聖ニコラスの伝承とアメリカの“赤い服のサンタクロース”像が重なり、ファーザー・クリスマスは現代のサンタクロースの姿へと変わっていったのです。
デンマーク・ノルウェー/ユーレニッセ
・赤や灰色の服を着ている
・小さな妖精
・年老いた男性のような顔
デンマークや、サンタクロースの町があるノルウェーでは、「ユーレニッセ」と呼ばれる小さな妖精がサンタクロースに近い存在とされています。
彼らは家々の納屋や屋根裏にひっそりと住んでいると言われ、クリスマスが近づくと子どもたちにプレゼントを届けてくれるのです。
こうした伝承にちなみデンマークやノルウェーでは、ユーレニッセへの感謝の気持ちとして甘いお粥(リースグロート)やミルクを納屋や屋根裏に備える風習が根付いています。
ロシア/ジェド・マロ―ス
・伝統的な帽子
・ヴァーレンキ(フェルトブーツ)
・魔法の杖を持っている
・長身で魔法使いのような外見
ロシアのサンタクロースとされるのが、民間伝承に登場する霜の精霊・「ジェド・マロ―ス」です。
青いロングローブには刺繍や雪の結晶模様があしらわれ、冬の精霊らしい華やかさが漂います。
ジェド・マロースは、孫娘スネグーロチカとともに、大晦日の夜に子どもたちへプレゼントを届けにやってきます。
「クリスマスじゃなくて大晦日なの?」と不思議に思われるかもしれませんね。
実は1930年代末、ソ連政府が宗教的な行事であるクリスマスを廃止したことから、ジェド・マロースは「新年の精霊」として大晦日にやってくるようになったのです。
ドイツ/聖ニコラウス・クネヒト・ループレヒト・ヴァイナハツマン・クリストキント
ドイツには、サンタクロースのような存在が4人います。
この4人は、ドイツのクリスマス文化において、それぞれ異なる役割があり、プレゼントを届ける時期にも違いがあるのです。
それでは、一人ひとりご紹介しましょう。
聖ニコラウス/クネヒト・ループレヒト
・司教帽子(尖った形の帽子)
・司教杖(金色の杖)
・金色の本
・穏やかな年配の男性
・鈴のついた服を着ていることもある
・灰の入った袋
・お仕置き用の長い棒
・顔を黒く塗っていることもある
・暗くて重厚な雰囲気
最初にご紹介するのは、12月5日の夜に訪れる伝統的な聖人「聖ニコラウス」と、その従者「クネヒト・ループレヒト」です。
聖ニコラウスはその優しさと奇跡の伝説から、後にサンタクロースのモデルとなった人物です。
それに対して、「クネヒト・ループレヒト」は別名ブラックサンタと呼ばれ、悪い子にはお仕置きをあたえる聖ニコラウスの影のような存在です。
クネヒト・ループレヒト(ブラックサンタ)の由来や伝承については、こちらのコラムで詳しく説明しています。
ブラックサンタの正体が明らかに・・・ぜひ読んで見てください。
悪い子のところにやってくる…!?ブラックサンタっていったい何者?
ヴァイナハツマン
・白いふちとポンポンがついた赤いとんがり帽子
・黒いブーツと手袋
・袋とベル
続いて、12月24日の夜にやってくる現代的な贈り物の使者「ヴァイナハツマン」をご紹介します。
その姿は世界的に知られるサンタクロースとよく似ています。
しかし彼は民間伝承や現代文化の中で生まれた、より世俗的で親しみやすい存在です。
北ドイツを中心に広く知られ、クリスマスイブの夜には子どもたちにプレゼントを届けてくれます。
クリストキント
・ニュルンベルクでは、金色の羽根がついた衣装
・銀の鈴とお菓子の入ったバスケット
・天使のような姿
・少女のような柔らかい顔立ち
最後にご紹介するのは、幼いキリストを意味する「クリストキント」です。
クリストキントは、主にドイツ南部やオーストリアなどで親しまれているサンタクロースに似た贈り物の使者です。
この伝承は、スイスやハンガリー、チェコ、スロバキアなど他の中欧諸国にも広がっています。
宗教革命期に聖ニコラウスの代わりとして登場し、クリスマスイブに子どもたちへプレゼントを届けてくれます。
鈴の音が聞こえたら、それはクリストキントが近くにいる合図。
ドイツの一部の地域では、願いごとを書いた手紙をクリストキントに送る習慣があるそうです。
アイスランド/ユールラッズ
・毛皮のマント
・皮のズボンやブーツ
・素朴でちょっと不気味なトロールの姿
アイスランドではクリスマスが近づくと、「ユールラッズ」と呼ばれる13人兄弟のサンタクロースがやってきます。
彼らはそれぞれ異なる性格で、ちょっぴりいたずら好きな妖精たちです。
12月12日から毎晩ひとりずつ山から町へ降りてきて、13人全員がそろったクリスマスイブの夜には、子どもたちが窓辺に置いた靴の中へプレゼントを届けてくれるのです。
ただし、それはいい子にしていたらの話。
わるい子の靴には、腐ったジャガイモを忍ばせることもあるそうですよ。
オーストラリア/サーフィンサンタ(別名:ビーチサンタ)
・赤いサンタ帽(毛皮のない軽量タイプも)
・アロハシャツ、タンクトップ、裸のときも
・ボードショーツ(サーフ用の短パン)
・サングラス、日焼け止め、サーフボード
・陽気でカジュアル、夏の太陽の下で笑顔を振りまくおじいさん
オーストラリアのサンタクロースは、真夏のビーチに現れる陽気なおじいさん。
「真夏にサンタクロース?真冬の間違いじゃないの?」と思うかもしれませんが、オーストラリアのクリスマスは夏に祝われます。
アロハシャツにボードショーツを着た、なんともユニークなサンタクロースですね。
そんなオーストラリアならではのクリスマスの過ごし方は、こちらのコラムで詳しく説明しています。
南半球ならではのクリスマスの世界をのぞいてみてください。
真夏のクリスマス!オーストラリアのクリスマスの過ごし方をご紹介
【番外編】100年前の日本のサンタ「三太九郎」って知ってる?
100年前の日本にもサンタクロースが存在していたことをご存知でしょうか?
その名は「三太九郎(さんたくろう)」。
義理人情に厚い日本ならではのサンタクロースです。
三太九郎は頭にベールのような布をかぶり、郵便配達人のようなバッグを肩にかけ、ロバを連れて登場する北国の老爺。
その手には小さなツリー、ロバの背にはオモチャがぎっしり詰まったカゴが乗っています。
思わずツッコミを入れたくなるような、どこか微笑ましいその姿はまさに明治の和製サンタと呼ぶにふさわしい存在です。
明治に出版された日本初のクリスマス小説
和製サンタクロースが登場したのは1900年(明治33年)。
当時、日本で初めての児童向けクリスマス小説が教文館から出版されました。
『さんたくろう』のあらすじ
物語の主人公は雪深い北国に暮らす8歳の少年・小林峰一。
ある雪の夜、峰一が飼っていた犬がくわえてきた帽子をきっかけに峰一と父親は雪の中で倒れている旅人を助けました。
旅人はクリスチャンである峰一家の姿に心を打たれ、自分もクリスチャンになることを決意するのです。
翌年の春、峰一の父親は病に倒れてしまいました。
峰一と母親は懸命に祈り続け、やがて父親は元気を取り戻します。
しかし、長く働けなかったためクリスマスのお祝いも贈り物も用意できませんでした。
そして迎えたクリスマスの朝。
峰一の枕元には「三太九郎」という名の老爺からの贈り物と一通の手紙が置かれていました。
それは、善行への感謝としてかつて助けた旅人から届けられたものでした。
100年前の物語に、こんな愛嬌たっぷりの和製サンタが活躍していたなんて…
当時の子供たちもきっと三太九郎のお話をわくわくしながら聞いていたのでしょうね。
素敵なクリスマスを!
サンタクロースの姿や呼び名は国や地域によって本当にさまざまです。
そのかたちは土地の文化や歴史の中で、少しずつ形を変えてきました。
けれど、どのサンタにも共通しているのは「人々に幸せを届けたい」という思い。
その優しさは国境や言葉を超えて、私たちの心に届きます。
今年のクリスマスも誰かの幸せを願いながら、あたたかな時間が過ごせますように。
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