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「哲学」というと小難しい理論や学問を思い浮かべがちですが、ヨーガ哲学で語られる八支則は、日常の「生き方のヒント」です。日々の小さな問題の解決につながる考え方なので、知って得する内容と言えるでしょう。
その中でも特に「ヤマ(守るべき5つの戒め)」と「ニヤマ(心を整える5つの教え)」は、誰もが日々の暮らしで幸せや充実感を取り入れられる実践的な指針と言えるでしょう。本コラムでは、この二つを中心に、現代に活かす知恵を紐解いていきます。
これは、古代インドの聖典『ヨーガ・スートラ』に記された心と体を調えるための実践法です。哲学というと難解に思えますが、いわば「生き方のヒント」が書かれています。
古代インドの聖典「ヴェーダ」に端を発するさまざまな思想や修行の一つとしてヨーガが広がり、その中でまとめられた八支則は、現代のストレス社会にも通じる智慧として注目を集めています。
紀元前後に編纂されたとされるパタンジャリの『ヨーガ・スートラ』は、ヨーガを単なる身体運動ではなく、心の在り方を探求する哲学体系として位置づけています。
その核心は、「ヨーガとは心の作用を止めること(ヨーガ・スートラ第1章第2節)」という一節に凝縮されます。つまり、外界の刺激や感情に翻弄されず、静かな心(チッタ)に戻るための道筋を八支則として示しているのです。
八支則は、一見むずかしそうに聞こえますが、実は毎日の暮らしに置き換えるととてもシンプルです。それぞれのステップを知っておくと、自分の心や体をどう整えていけばいいのかが分かりやすくなります。
Yama(ヤマ):5つの戒め
Niyama(ニヤマ):5つの教え
Asana(アーサナ):座法、ヨーガのポーズ
Pranayama(プラナヤマ):呼吸法
Pratyahara(プラティヤハラ):感覚の抑制
Dharana(ダラナ):集中
Dhyana(ディヤナ):瞑想
Samadhi(サマーディ):悟り
この八支則は、段階的に心身を整え、最終的に深い悟りへと至る道筋を描いています。
八支則の最初に登場するヤマ(戒め)とニヤマ(教え)は、日常生活に直結する「生きるための基本」とも言えます。呼吸法や瞑想の前に、自分と他者との関わり方や心の持ち方を整えることが土台となります。これが整わなければ、いくら瞑想をしても心は安らぎません。
だからこそヤマとニヤマが最初に位置づけられているのです。
ヤマは「しないこと」、つまり自分の行動を抑制するための倫理的ルールです。
1、アヒンサー(非暴力)
2、サティヤ(正直)
3、アスティヤ(不盗)
4、ブラフマチャリヤ(禁欲)
5、アパリグラハ(不貪)
ニヤマは「積極的に行うこと」。自分の心を整えるための習慣です。
1、シャウチャ(清浄)
2、サントーシャ(知足・満足)
3、タパス(鍛錬)
4、スヴァディヤーヤ(自己探求)
5、イーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰・手放し)
ヨーガ哲学は、特別な場所や時間がなくても、私たちの日常の中でそっと役立てられる智慧です。毎日の暮らしの中で「ちょっと意識するだけ」で、気持ちを整えたり心を軽くしたりする工夫として活かしてみましょう。
毎日忙しく疲れているとき:
サントーシャ(知足・満足)を実践し、「できていること」に目を向けてみると視野が広くなり、前向きな感情が芽生えます。また、10分の瞑想で心をリセットできるでしょう。例えば、夕食後に洗い物が山積みでも「今日は子どもと笑えた」「無事に一日を終えられた」と思い返すと、肩の力が抜けていきます。
通勤ラッシュでイライラしたとき:
呼吸に意識を向け「私はただここにいる」と観察者の立場に立ち、電車の中にいる自分を鳥のように俯瞰して見ましょう。気持ちが不思議と落ち着いてきます。できれば、車両から電車全体、都市全体へとイメージを広げると、意識が大きくなり、思考も拡大していく感覚が得られるかもしれません。周囲のざわめきや人の流れを「大きな街のリズム」と捉え直すと、自分の小さな苛立ちは自然と薄れていきます。
上司にきつい言い方をされたとき:
アヒンサー(非暴力)の視点で「この感情は一時的なもの」と気づき、自分を守りましょう。決して上司も自分も裁かないようにしてみてください。
帰り道に「今日は強く言われたけれど、それは私の人間性を否定するものではない」と言葉にしてあげるだけで、心は軽くなります。
サティヤ(正直)を大切にしつつ、相手を傷つけない言葉選びもしてみると、気持ちも穏やかになり、冷静さをすぐに取り戻せる習慣にもつながります。例えば、同僚に指摘をするとき「あなたが悪い」ではなく「こうするともっと良くなる」と言い換えると、対話の雰囲気が柔らかく変わります。
プレゼンや試験で緊張したとき:
「自分のベストは尽くした。あとは委ねよう」とイーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰・手放し)を実践してみてください。心が静かになり力を発揮しやすくなるでしょう。本番前に深呼吸をして「最高の準備をしてきた」と心でつぶやき、成功している自分をイメージすると、不思議と堂々と振る舞えるようになります。
スマホやデバイス類を手放し、静寂を楽しむ時間を作ってみてください。プラティヤハラ(感覚の抑制)の実践につながり、集中力が高まっていきます。寝る前の30分だけスマホを別の部屋に置き、静かな読書や呼吸にあてると、翌日の集中度が驚くほど違ってきます。
自信がないと感じたとき:
スヴァディヤーヤ(自己探求)で「本当の自分」とつながることで、毎日の小さな成功に気づくことができるでしょう。
その結果、自分をポジティブに受け入れ、ストレスに対する反応が小さくなったり、レジリエンス(精神的な回復力)が高まったりする感覚が身に着きます。「昨日より早く起きられた」「資料を一つ仕上げられた」と気づくだけでも、自己肯定感は少しずつ育っていきます。
日々の実践はストレスホルモンを減少させ、幸福感を高めてくれるはずです。ほんの5分の呼吸瞑想を毎日続けるだけで、「最近イライラしにくくなった」と周囲に気づかれることもあります。
古代から受け継がれてきたヨーガの言葉には、肩の力を抜いて毎日を過ごすためのヒントがぎゅっと詰まっています。
――『ヨーガ・スートラ』第1章第2節
情報や感情に流されそうなとき、まずは立ち止まって呼吸に意識を向けてみましょう。霧が晴れるように自分のすべきこと、優先順位が見えてきます。
例として、仕事や家事のタスクが山積みで頭が混乱して「どうしよう」と慌てているとき、一呼吸おくだけで「まずはこれから」と冷静に順序を立てられるようになります。たくさん流れてくるSNSの情報の中で、自分に必要なモノがわからなくなってしまった時も、頭と心が静かになるまで深呼吸をしてみましょう。
――『ヨーガ・スートラ』第2章第16節
起きていないことを心配するより、今できることに集中しましょう。不安な未来を思い描くとそれを引き寄せてしまいます。今の自分を精一杯生きることが、望む現実を創る近道でしょう。
来週の試験やプレゼンを不安に思うときは、「今日は10分だけ復習する」「今できる準備を一つやる」と行動に意識を戻すと心が軽くなります。
→スヴァディヤーヤ(自己探求)の実践で、他者の評価から解放されます。
客観的な視点も時には大事ですが、必要以上に周囲からの見られ方や評価を意識しないようにしましょう。持っている魅力が発揮されなくなってしまう上に、楽しい気持ちを忘れてしまうことがもったいないです。SNSの「いいね」の数よりも、自分が心から楽しんで書けた記事や写真に価値を見いだすと、本来の自分らしさを取り戻せます。
→サントーシャ(知足・満足)を日常に取り入れることで幸福感が高まります。
足りないもの、かけているものに人は視点が行きがちですが、まず持っているもの、あるものに目を向け感謝をすることが穏やかな毎日と適切な成長につながるはずです。「今日はおいしいご飯を食べられた」「安全に帰宅できた」「〇〇さんの役に立てて嬉しかった」など小さな出来事に感謝する習慣を持つと、心の豊かさが自然に増していきます。
→転職活動や恋愛で「こうでなければ」と条件にこだわりすぎず、「もっと良い流れが来るかもしれない」と余裕を持つと、予想外のチャンスが訪れることがあります。
イーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰・手放し)の精神で執着を手放すと、新しい可能性が開けていくでしょう。体に力が入ってしまうと思うように動かないように、心も何かに依存したり固執していたりすると、思考も固まってしまいます。宇宙からのサプライズを受け取れるように、自分の中に余白を常に残しておくことが大事です。
ヨーガ哲学八支則は、単なる古代の修行法ではなく、現代を生きる私たちにとっても有効な「生き方のヒント」です。
ヤマとニヤマを日常に取り入れることで、ストレスの軽減、人間関係の改善、キャリアアップ、メンタルヘルスの向上につながります。大切なのは難解な理論ではなく、自分の体験と照らし合わせ、問い続ける姿勢です。ヨーガ哲学は、誰にとっても実践可能な「心を豊かにする道」なのです。
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「哲学」というと小難しい理論や学問を思い浮かべがちですが、ヨーガ哲学で語られる八支則は、日常の「生き方のヒント」です。
日々の小さな問題の解決につながる考え方なので、知って得する内容と言えるでしょう。
その中でも特に「ヤマ(守るべき5つの戒め)」と「ニヤマ(心を整える5つの教え)」は、誰もが日々の暮らしで幸せや充実感を取り入れられる実践的な指針と言えるでしょう。
本コラムでは、この二つを中心に、現代に活かす知恵を紐解いていきます。
目次
ヨーガ哲学八支則に学ぶ、現代を生きるための智慧
ヨーガ哲学八支則(はっしそく)とは?
これは、古代インドの聖典『ヨーガ・スートラ』に記された心と体を調えるための実践法です。
哲学というと難解に思えますが、いわば「生き方のヒント」が書かれています。
古代インドの聖典「ヴェーダ」に端を発するさまざまな思想や修行の一つとしてヨーガが広がり、その中でまとめられた八支則は、現代のストレス社会にも通じる智慧として注目を集めています。
ヨガの経典「ヨーガ・スートラ」には何が書いてある?
紀元前後に編纂されたとされるパタンジャリの『ヨーガ・スートラ』は、ヨーガを単なる身体運動ではなく、心の在り方を探求する哲学体系として位置づけています。
その核心は、「ヨーガとは心の作用を止めること(ヨーガ・スートラ第1章第2節)」という一節に凝縮されます。
つまり、外界の刺激や感情に翻弄されず、静かな心(チッタ)に戻るための道筋を八支則として示しているのです。
八支則の内容を簡単に整理すると
八支則は、一見むずかしそうに聞こえますが、実は毎日の暮らしに置き換えるととてもシンプルです。
それぞれのステップを知っておくと、自分の心や体をどう整えていけばいいのかが分かりやすくなります。
Yama(ヤマ):5つの戒め
他人や自分を傷つけない、嘘をつかないなど「してはいけないこと」。人との関わり方のルールと言えます。
Niyama(ニヤマ):5つの教え
清潔にする、感謝する、自分を深く学ぶなど「積極的にやるべきこと」。心を育てる習慣のことです。
Asana(アーサナ):座法、ヨーガのポーズ
体を健康に保ち、呼吸や心を安定させるための姿勢。現代ヨーガでよく行うポーズはこの部分に当たります。Pranayama(プラナヤマ):呼吸法
息をコントロールして心を落ち着ける練習。深呼吸で気分がすっきりする感覚がここに当たるでしょう。
Pratyahara(プラティヤハラ):感覚の抑制
外の刺激(スマホや音など)に振り回されず、自分の内側に意識を向けるイメージです。Dharana(ダラナ):集中
一つのことに意識を集める力を養う段階。勉強や仕事に集中している状態に近いかもしれません。
Dhyana(ディヤナ):瞑想
集中が深まり、心が静かに流れていく状態。思考にとらわれず、ただ「今ここ」にいる感覚を持つことです。
Samadhi(サマーディ):悟り
心が完全に澄み切り、自分と世界が一体になるような感覚。究極の安らぎの境地と表現されます。
この八支則は、段階的に心身を整え、最終的に深い悟りへと至る道筋を描いています。
八支則の中でもヤマとニヤマが大切な理由
八支則の最初に登場するヤマ(戒め)とニヤマ(教え)は、日常生活に直結する「生きるための基本」とも言えます。
呼吸法や瞑想の前に、自分と他者との関わり方や心の持ち方を整えることが土台となります。
これが整わなければ、いくら瞑想をしても心は安らぎません。
だからこそヤマとニヤマが最初に位置づけられているのです。
Yama(ヤマ) ― 5つの戒め
ヤマは「しないこと」、つまり自分の行動を抑制するための倫理的ルールです。
1、アヒンサー(非暴力)
暴力をふるわないだけでなく、言葉や心の中でも傷つけないこと。自分に対しても優しさを持つ大切さを伝えています。
2、サティヤ(正直)
嘘をつかず、誠実であること。他者だけでなく自分の心にも正直でいることが必要です。3、アスティヤ(不盗)
物を盗まないことはもちろん、他者の時間やエネルギーを奪わないということも含まれます。4、ブラフマチャリヤ(禁欲)
欲望に振り回されず、エネルギーを大切なことに注ぐ。現代では「節度を持った生活」と解釈できるでしょう。
5、アパリグラハ(不貪)
執着や貪欲を手放すこと。「もっと欲しい」という思考から解放されると心は軽やかになります。Niyama(ニヤマ) ― 5つの教え
ニヤマは「積極的に行うこと」。自分の心を整えるための習慣です。
1、シャウチャ(清浄)
身体や生活環境を清潔にし、心を静かに研ぎ澄ませましょう。2、サントーシャ(知足・満足)
「足るを知る」心を持つ。できていること、与えられているものにまず感謝をしていきます。3、タパス(鍛錬)
努力を惜しまず、自分を鍛えること。小さな継続が大きな成果を生むことを忘れないで下さい。4、スヴァディヤーヤ(自己探求)
自分を深く理解する学び。読書や内省、瞑想を通じて自己を知ることを続けましょう。5、イーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰・手放し)
結果に執着せず、流れに委ねる心。コントロールできないことを手放す勇気を持ってください。日常生活での応用:ヨーガ哲学のアプローチ
ヨーガ哲学は、特別な場所や時間がなくても、私たちの日常の中でそっと役立てられる智慧です。
毎日の暮らしの中で「ちょっと意識するだけ」で、気持ちを整えたり心を軽くしたりする工夫として活かしてみましょう。
ストレスマネジメントに活かす
毎日忙しく疲れているとき:
サントーシャ(知足・満足)を実践し、「できていること」に目を向けてみると視野が広くなり、前向きな感情が芽生えます。
また、10分の瞑想で心をリセットできるでしょう。
例えば、夕食後に洗い物が山積みでも「今日は子どもと笑えた」「無事に一日を終えられた」と思い返すと、肩の力が抜けていきます。
通勤ラッシュでイライラしたとき:
呼吸に意識を向け「私はただここにいる」と観察者の立場に立ち、電車の中にいる自分を鳥のように俯瞰して見ましょう。
気持ちが不思議と落ち着いてきます。
できれば、車両から電車全体、都市全体へとイメージを広げると、意識が大きくなり、思考も拡大していく感覚が得られるかもしれません。
周囲のざわめきや人の流れを「大きな街のリズム」と捉え直すと、自分の小さな苛立ちは自然と薄れていきます。
人間関係への良い影響
上司にきつい言い方をされたとき:
アヒンサー(非暴力)の視点で「この感情は一時的なもの」と気づき、自分を守りましょう。
決して上司も自分も裁かないようにしてみてください。
帰り道に「今日は強く言われたけれど、それは私の人間性を否定するものではない」と言葉にしてあげるだけで、心は軽くなります。
サティヤ(正直)を大切にしつつ、相手を傷つけない言葉選びもしてみると、気持ちも穏やかになり、冷静さをすぐに取り戻せる習慣にもつながります。
例えば、同僚に指摘をするとき「あなたが悪い」ではなく「こうするともっと良くなる」と言い換えると、対話の雰囲気が柔らかく変わります。
キャリア・自己成長への応用
プレゼンや試験で緊張したとき:
「自分のベストは尽くした。あとは委ねよう」とイーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰・手放し)を実践してみてください。
心が静かになり力を発揮しやすくなるでしょう。
本番前に深呼吸をして「最高の準備をしてきた」と心でつぶやき、成功している自分をイメージすると、不思議と堂々と振る舞えるようになります。
集中力を高める
スマホやデバイス類を手放し、静寂を楽しむ時間を作ってみてください。
プラティヤハラ(感覚の抑制)の実践につながり、集中力が高まっていきます。
寝る前の30分だけスマホを別の部屋に置き、静かな読書や呼吸にあてると、翌日の集中度が驚くほど違ってきます。
メンタルヘルスを整える
自信がないと感じたとき:
スヴァディヤーヤ(自己探求)で「本当の自分」とつながることで、毎日の小さな成功に気づくことができるでしょう。
その結果、自分をポジティブに受け入れ、ストレスに対する反応が小さくなったり、レジリエンス(精神的な回復力)が高まったりする感覚が身に着きます。
「昨日より早く起きられた」「資料を一つ仕上げられた」と気づくだけでも、自己肯定感は少しずつ育っていきます。
日々の実践はストレスホルモンを減少させ、幸福感を高めてくれるはずです。
ほんの5分の呼吸瞑想を毎日続けるだけで、「最近イライラしにくくなった」と周囲に気づかれることもあります。
ヨーガ哲学の名言に学ぶ「生き方のヒント」
古代から受け継がれてきたヨーガの言葉には、肩の力を抜いて毎日を過ごすためのヒントがぎゅっと詰まっています。
ヨーガとは、心の作用を止めること
――『ヨーガ・スートラ』第1章第2節
情報や感情に流されそうなとき、まずは立ち止まって呼吸に意識を向けてみましょう。霧が晴れるように自分のすべきこと、優先順位が見えてきます。
例として、仕事や家事のタスクが山積みで頭が混乱して「どうしよう」と慌てているとき、一呼吸おくだけで「まずはこれから」と冷静に順序を立てられるようになります。
たくさん流れてくるSNSの情報の中で、自分に必要なモノがわからなくなってしまった時も、頭と心が静かになるまで深呼吸をしてみましょう。
苦しみは、未来に生じうるものを避けよ
――『ヨーガ・スートラ』第2章第16節
起きていないことを心配するより、今できることに集中しましょう。
不安な未来を思い描くとそれを引き寄せてしまいます。今の自分を精一杯生きることが、望む現実を創る近道でしょう。
来週の試験やプレゼンを不安に思うときは、「今日は10分だけ復習する」「今できる準備を一つやる」と行動に意識を戻すと心が軽くなります。
自己の本質を知ることで自由になる
→スヴァディヤーヤ(自己探求)の実践で、他者の評価から解放されます。
客観的な視点も時には大事ですが、必要以上に周囲からの見られ方や評価を意識しないようにしましょう。
持っている魅力が発揮されなくなってしまう上に、楽しい気持ちを忘れてしまうことがもったいないです。
SNSの「いいね」の数よりも、自分が心から楽しんで書けた記事や写真に価値を見いだすと、本来の自分らしさを取り戻せます。
足るを知る者は、いつも豊かである
→サントーシャ(知足・満足)を日常に取り入れることで幸福感が高まります。
足りないもの、かけているものに人は視点が行きがちですが、まず持っているもの、あるものに目を向け感謝をすることが穏やかな毎日と適切な成長につながるはずです。
「今日はおいしいご飯を食べられた」「安全に帰宅できた」「〇〇さんの役に立てて嬉しかった」など小さな出来事に感謝する習慣を持つと、心の豊かさが自然に増していきます。
手放す者は、すべてを得る
→転職活動や恋愛で「こうでなければ」と条件にこだわりすぎず、「もっと良い流れが来るかもしれない」と余裕を持つと、予想外のチャンスが訪れることがあります。
イーシュヴァラ・プラニダーナ(信仰・手放し)の精神で執着を手放すと、新しい可能性が開けていくでしょう。
体に力が入ってしまうと思うように動かないように、心も何かに依存したり固執していたりすると、思考も固まってしまいます。
宇宙からのサプライズを受け取れるように、自分の中に余白を常に残しておくことが大事です。
ヨーガ哲学は日常に息づく生き方の智慧
ヨーガ哲学八支則は、単なる古代の修行法ではなく、現代を生きる私たちにとっても有効な「生き方のヒント」です。
ヤマとニヤマを日常に取り入れることで、ストレスの軽減、人間関係の改善、キャリアアップ、メンタルヘルスの向上につながります。
大切なのは難解な理論ではなく、自分の体験と照らし合わせ、問い続ける姿勢です。
ヨーガ哲学は、誰にとっても実践可能な「心を豊かにする道」なのです。
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