世界三大がっかり名所とは?人気の観光スポットがなぜがっかり?がっかり名所の旅を楽しむ方法を解説!

世界には様々な名所がありますが、「世界三大がっかり名所」と呼ばれてしまっているスポットが存在していることをご存知でしたか?
「世界三大がっかり名所とはどこ?」「なぜ?どんな理由でがっかりなのか?」「がっかりしないためにはどう楽しめばいい?」
この記事ではそんな疑問に答え、がっかり名所になってしまった経緯や理由、その魅力を通して120%楽しむコツも紹介します。

また最後には三大がっかり以外にも、がっかりと呼ばれてしまった観光名所5選もご紹介。
ぜひ最後まで読んで、がっかり名所と呼ばれてしまった観光名所の汚名返上(?)のためにも魅力を知って、一味違う見方を楽しんでください!

世界三大がっかり名所とは?

「世界三大がっかり名所」とは、名所とされながら、訪れてみると期待外れでがっかりしてしまう世界の観光スポットです。実は公式に定められたものではありません。旅行者の口コミやガイドブック、観光サイトやSNSなどで広まった概念なのです。
なんとも不名誉なこの称号(?)を与えられた観光スポットとは…

  • マーライオン(アジア/シンガポール)
  • 人魚姫像(ヨーロッパ/デンマーク、コペンハーゲン)
  • 小便小僧(ヨーロッパ/ベルギー、ブリュッセル)

以上の3つ…えっ?どれも、その国どころか、世界を代表する観光名所ですよね…!
日本からも世界でも人気の観光名所のいったいどこががっかり要素なのでしょうか?
さっそくみていきましょう!

世界三大がっかり名所①シンガポール「マーライオン」

世界三大がっかり名所のなかでも筆頭との呼び声高い、マーライオン。
シンガポールのマーライオン公園にある、頭がライオンで体が魚という不思議な姿の像です。
シンガポールといえば真っ先にその姿を連想する、まさに国のシンボルといえるでしょう。

世界三大がっかり名所①シンガポール「マーライオン」

世界三大がっかり名所①「マーライオン」のがっかり理由

マーライオンのがっかり要素については諸説あり、よく聞く声としては以下があげられます。

立地のせいで見栄えが悪い

故障のせいで口からの放水が見られなかった

名所の割には小さい

シンガポール中でマーライオンを見るのでありがたみがない

こんなにがっかり要素があるとは…。詳しくみてみましょう。
マーライオンは当初、現在よりも少し内陸にありました。ところが1997年にエスプラネート橋ができ、マーライオンの顔がよく見えなくなってしまったのです。マーライオンは口からの放水も見どころなので、顔がよく見えないのは致命的ですね!これに加え、マーライオンは本来シンガポール川の河口にあるシンボルだったはずなのに、埋め立てによって河口ではなくなってしまいました。また当時は、送水ポンプの故障で放水中止が相次いだり、長期間見られない状況が続いたりしたのです。
大きさについては、マーライオンの全長は8.6m。それなりに大きな像といえるでしょう。しかし、世界の観光スポットとなっている像と比べると…。

  • 自由の女神(像本体46m)
  • コルコバードのキリスト像(像本体30m)
  • 大スフィンクス(高さ20m)

これらの巨像の見ごたえに比べると、8.6mという大きさはちょっと中途半端なような…?
マーライオン公園にあるのはシンガポールでも本家本元のマーライオン像ですが、国を代表するシンボルとして定着したため、のちには各地にマーライオン像が造られました。現在、シンガポールには6体のマーライオン像があります。ちなみにセントーサ島には、2019年まで7体目のマーライオン像がありました(現在は再開発で解体)。この像は37mあり、中に入れたり、目からレーザーを放射したりしていました。このインパクトに比べても、本家のマーライオンは物足りない印象になっていたかもしれません。

世界三大がっかり名所①「マーライオン」の歴史

マーライオンは、ライオンの頭と魚の体を持っていてとてもユニークですよね。
実はその姿にシンガポールの歴史と伝説が込められています。魚の体は、昔この地が「テマセク」と呼ばれる小さな漁村だったことを表していて、海との深い関わりを象徴しています。そしてライオンの頭は、14世紀にやってきたスリ・ヴィジャヤ王国の王子サン・ニラ・ウタマが、この地でライオンのような動物を見たという伝説に由来しています。彼はそれを吉兆ととらえ、「シンガプーラ(ライオンの町)」と名付けたとか。マーライオンは、そんな海のルーツと伝説をミックスした、シンガポールらしさを表す存在なのです。

1964年、シンガポール観光局はこの伝説をモチーフとしたマーライオンをシンボルに採用しました。そして、1972年にシンガポール川の河口に建造されたのがマーライオン像です。
その後、前述のように周辺の開発が進んだりポンプの故障があったりしましたが、2002年に現在の場所に移設されました。この時の判断には風水の占いが大きく影響したといいます。
2010年にマリーナベイサンズがオープンし、2つの名所を一望に収められる世界から人気の観光スポットになりました。

世界三大がっかり名所①「マーライオン」を楽しむコツ

世界三大がっかり名所①「マーライオン」を楽しむコツ

現在の場所に移転したことで、最大のがっかり要素であった立地・見栄えの悪さは解消済みです。
むしろ背後にマリーナベイサンズができて、見栄えは大幅にパワーアップしたといえるでしょう。ポンプの故障でがっかりポイントになってしまっていた口からの放水も、毎日決まった時間に行われています。
こうしたこともあり、がっかり名所の汚名は返上されつつありますね!

現在のマーライオンの楽しみ方は、なんといっても映え写真の撮影。マリーナベイサンズと向かい合って立つ姿は、それだけで絵になります。マーライオン単体でも、真っ白い姿と青空のコントラストや、伝説の生き物と未来的な都市の対比など、さまざまな味わい方ができるでしょう。
夜にはライトアップされ、神秘性がさらにアップ。
トリック写真も撮りやすいので、渾身のSNS映え写真を撮影してはいかがでしょうか!

マーライオン周辺の観光スポットやグルメなど

マーライオンのすぐ背後に、もう一体のマーライオンがいるのをご存じでしょうか?
この全長2mのミニ・マーライオンもきちんと口から水が出ます。本家のマーライオンより愛嬌のある表情も要チェック。
マーライオンから見えるマリーナベイサンズにはスカイパーク展望台があり、ここからの絶景は見逃せません。植物園のガーデンズバイザベイもすぐ近くです。
もっとも、シンガポール自体がコンパクトで交通機関も充実しているので、マーライオンとあわせて観光する場所には困らないでしょう。治安も良く清潔なので、日本人にとっては安心です。
シンガポールではグルメも楽しみたいところ。中華系とマレー系の食文化が融合した数々の絶品料理が味わえます。中華街やリトル・インディア街もあるので、様々な料理が楽しめます。南国らしいトロピカルフルーツもおすすめです!

世界三大がっかり名所②デンマーク「人魚姫像」

次に紹介する三大がっかり名所は、デンマークにある「人魚姫像」。
首都コペンハーゲンのランゲリニエ埠頭にあるブロンズ像です。
アンデルセン童話「人魚姫」がモチーフで、岩に腰かけて海を見つめる儚げな姿をしています。

世界三大がっかり名所②デンマーク「人魚姫像」

世界三大がっかり名所②「人魚姫像」のがっかり理由

人魚姫像のがっかり要素はどこでしょうか?
像を見た観光客の声を聞いてみましょう。

像が小さくてびっくり…観光船からだとよく見えない…

下半身はほとんど人間の足で、全然人魚らしくない

背後は工場で、景観が美しくない

辺りは観光客でごった返している

コペンハーゲン市内から1時間もかかる

と、こちらも散々な言われようです。

像の小ささは、がっかり要素として特に多くの声があがっています。
高さ125cm。
マーライオンの全長8.6mですらがっかりされているので、たしかに物足りないかも…。
125cmは日本の小学生2~3年生くらいの平均身長なのですから…。
人魚らしくないという点は、像の足先はヒレですが、足首までは人間の足の形をしています。人魚姫のファンタジーを求めてきた人にしてみれば、がっかりするのも無理ないでしょう。像のモデルとなった女性の脚が美しかったため、制作者がそのようにした逸話があります。
ちなみに、モデルの女性エリーネ・エリクセンは製作者の妻であり、なんと日本の俳優の岡田眞澄さんの伯母です。日本に縁のある方がモデルとは驚きですよね。
工場の背景も、人魚姫のファンタジー感とは決定的に相性が悪いですね。写真映えが重要となっている現代の観光スタイルにとっては致命的といえます。
市内から1時間かけて期待感を膨らませながらやってきた観光客に、これらのがっかり要素がとてつもない落差となって襲いかかるわけです。

世界三大がっかり名所②「人魚姫像」の歴史

1837年、デンマークの作家アンデルセンが童話『人魚姫』を発表します。『人魚姫』は世界的な名作になり、デンマーク王立劇場のバレエの演目になりました。
1909年、このバレエに魅了された資産家が、彫刻家エドヴァルド・エリクセンに像の制作を依頼。頭は人魚姫を演じたプリマのエレン・プリース、体はエドヴァルドの妻のエリーネ・エリクセンを妻として像が制作され、1913年、現在の場所に完成した像が設置されます。それ以来、「人魚姫の像」はデンマーク文化と童話の象徴として、観光名所となりました。
人魚姫像は幾度も落書きや破壊の憂き目に遭いますが、その度に修繕され、2013年には100周年を迎え、多くの人に親しまれています。

世界三大がっかり名所②「人魚姫像」を楽しむコツ

世界三大がっかり名所②「人魚姫像」を楽しむコツ

人魚姫像は小さいうえに海上にあるので、たしかに遠くて見づらいかもしれません。ただし、岸に近い場所にあるので、潮がひけばすぐそばで鑑賞できます。
また、像の小ささも人魚姫の可憐さをよく表しているのではないでしょうか。もし像が巨大だったらインパクトはあるかもしれませんが、悲壮感は損なわれるでしょう。
足首の辺りまで人間の足という造形は、人魚らしさはイマイチかもしれません。しかし人間になろうとしてなれなかった『人魚姫』のストーリーを思えば、ここはむしろ泣きのポイントといえるでしょう。
像の背後に見える工場群とは別の方向には、北欧らしい風情のある家並みもあります。これなら童話の雰囲気にもマッチしますね!

混雑は人気観光スポットの宿命で、人魚姫像のがっかり要素にあげるのはフェアではない気もします。しかしどうしても混雑が嫌なら、朝早く訪れれば空いているとの情報も。市内から1時間かかる点については、次に紹介する周辺の観光スポットとあわせて観光すれば、大きなマイナスには感じないでしょう。

人魚姫像周辺の観光スポットやグルメなど

人魚姫像の周辺は、17世紀の歴史建造物、カステレット要塞の跡地公園になっています。博物館もあり、要塞見学や公園散策とあわせて楽しめるでしょう。
さらに近隣には、

  • デザイン博物館:北欧デザインの芸術世界が圧巻
  • アマリエンボー宮殿:デンマーク王室の居城で、衛兵交代式は名物
  • ニューハウン:港にカラフルな建物が並び、運河クルーズが人気

といった観光スポットもあります。

また、人魚姫像周辺には、デンマークらしいグルメが楽しめるスポットが点在しています。街角では名物のホットドッグスタンドが人気で、甘辛ソースやピクルスをのせたボリューム満点の味が魅力です。また、伝統料理のスモーブロー(オープンサンド)は、ライ麦パンにローストビーフや魚介をのせたバリエーション豊かな一品。カフェ文化も根付いており、コーヒーと焼き菓子でほっと一息つけます。さらに、シーフードレストランや手作りアイスの店もあり、観光の合間に楽しむのにぴったりです。
せっかく1時間もかけて人魚像を見に行くのだから、周辺もしっかり楽しみましょう!

世界三大がっかり名所③ベルギー「小便小僧」

最後に紹介する三大がっかり名所は、ベルギーの首都ブリュッセルにある「小便小僧」です。
小便小僧は日本をはじめ世界中にありますが、ここにある小便小僧こそ、それらすべての元祖。石畳の街角にある噴水の上で、居並ぶ観光客を見下ろしながら、気持ちよさそうにあのおなじみのポーズを取っています。

世界三大がっかり名所③ベルギー「小便小僧」

世界三大がっかり名所③「小便小僧」のがっかり理由

ブリュッセルの小便小僧ががっかりだという声には以下のようなものがあります。

像が小さすぎて存在感がない

小さいのに間近で見られない

各地で小便小僧を見るのでありがたみがない

像はオリジナルではなくレプリカなのが残念

小便小僧像の身長は56cmで、たしかに小さいです。人魚姫像の半分ほどですね…。柵で囲まれた噴水の上にあり、少し離れて見るしかないので、余計に存在感が薄いのでしょう。人だかりがなければ素通ししてしまうかも…?さらに、噴水自体も狭い街角にあって観光名所感はあまりないかもしれません。
また、小便小僧は世界中にあり、日本でも各地の公園などでよく見かけます。特に有名なのは浜松町駅にある小便小僧でしょう。そう考えると、新鮮味がない、というのはその通りかもしれませんね。
オリジナルではなくレプリカとはどういうことでしょう?
実は、小便小僧は過去に落書きや盗難が繰り返されました。そのため現在、本物はブリュッセル市立博物館に保管され、街角で見られるのはレプリカなのです。

世界三大がっかり名所③「小便小僧」の歴史

小便小僧像の由来としては複数の逸話が伝わっています。
特に有名な説は…12世紀、十字軍の時代。ブリュッセルに近いルーヴェンでは、幼いゴドフロワ3世が領主となりました。そしてなんと2歳の時に軍を率いて戦場に出たのです!ゴドフロワ3世はゆりかごから敵軍に向かって放尿し、戦いに勝利したとか。別の説では、かつてブリュッセルを包囲した敵軍が町に爆弾をしかけたといいます。その時、ジュリアンという少年が小便で導火線の火を消し、町を救ったとか。
これらの由来の真偽は不明ですが、15世紀には小便小僧のモチーフはすでにあったとされます。1619年、ジェローム・デュケノワという彫刻家が小便小僧像を制作。その後、ブリュッセルを訪れた貴族や使節団の間で人気が高まり、像に衣服を贈る習慣が生まれました。こうして小便小僧の名声が高まり、世界各地にレプリカが作られていくのです。
一方、オリジナルの像は何度も盗難などの被害に遭い、なんとバラバラにされてしまったことも…!こうしてオリジナルは1965年に博物館に収蔵され、街にはレプリカが設置されました。こうした紆余曲折はあれ、小便小僧像は約400年にわたりブリュッセルのシンボルとして人々から愛され続けているのです。

世界三大がっかり名所③「小便小僧」を楽しむコツ

小便小僧像の魅力は、まずはなんといってもその愛らしさ。
人々は「ジュリアン君」と呼び、子どものように身近な存在と感じています。となると、像の小ささは必要な要素であり、重要な鑑賞ポイントではないでしょうか。
レプリカである点も、度重なる受難の結果そうなった経緯を知れば、像の健気さを引き立てるポイントとして感じられるでしょう。なお、オリジナルの像はすぐ近くのブリュッセル市立博物館で見られます。

小便小僧は見飽きた!という方に、おすすめの鑑賞方法があります。
小便小僧には世界から衣装が贈られており、「世界一の衣装持ち」との呼び名も。小便小僧像は祝日やイベント、季節ごとに衣装チェンジします。期間限定の姿を味わう、何度も訪れる方は像の変化ぶりを楽しむ、といった見方もできますね!また、像の衣装は世界中から寄贈され、約1,000着以上のコレクションが存在します。

世界三大がっかり名所③「小便小僧」を楽しむコツ

衣装を着た小便小僧のジュリアン君、愛らしくて一気に親しみがわきませんか?
さらに、ビール会社のイベントなどでは像が放尿する水がビールに変わり、通行人にふるまわれます。小便小僧から出てきたビールを飲んで「新鮮味がない」と感じる人は…まずいないでしょう(笑)

小便小僧周辺の観光スポットやグルメなど

小便小僧の近くには、「小便少女」「小便犬」という隠れスポットがあります。ぜひ探してみてください!
また、近くの「ガルドローブ・マンネケンピス」は、2017年にできた小便小僧の衣装コレクション専用博物館です。約1000着に及ぶ衣装を収蔵し、訪れる人々に楽しみを提供しています。訪れた際は、小便小僧像と併せて鑑賞するのがおすすめです♪

世界的に大人気の観光スポット「グラン・プラス」もすぐ近くです。ブリュッセルを代表する世界遺産の広場で、ゴシック様式の市庁舎やギルドハウスなど壮麗な建築美と歴史的価値から見どころ満載。ここにあるブリュッセル市立博物館ではオリジナルの小便小僧を見ることができます。

小便小僧周辺のエリアは、ワッフルやチョコレート、ビールといったベルギー名物のグルメを気軽に楽しめるエリアです。ぜひ観光の合間に立ち寄り地元の味を堪能してみてくださいね♪

その他まだある世界のがっかり名所5選

世界のがっかり名所は、実はまだまだあります。
惜しくも(?)三大に漏れた強豪(?)を厳選して紹介しましょう。

オーストラリア「シドニー・オペラハウス」

オーストラリア「シドニー・オペラハウス」

オーストラリアのシンボルであるオペラハウスは、実は人によっては三大にあげるほど、がっかり名所としても高い名声を得ています。

純白の建物を想像していたが、近くで見るとあまり白くない

そもそもオペラに興味がなければ用がない

有料ツアーに参加しないと中に入れない

といった声が多いようです。

とはいえ、シドニーの港に個性的な白い建物が映える姿は、やはり美しい光景です。
近寄るとがっかりするなら、遠くから楽しみましょう。フェリーから眺める、ライトアップされた姿を眺めるなど、オペラハウスの表情は1つではありません。
また、この独創的な貝殻のようなデザインは世界中から高い評価を受けており、建築に興味がある方にとっては見どころ満載です!デンマーク出身の当時は無名だったヨーン・ウツソンという建築家が、コンぺで審査員の心を掴んだあたりもドラマがあります。その後1973年に開館し、2007年には世界遺産に登録されました。音楽、演劇、バレエなど多彩な公演が行われる文化の中心地であり、内部ツアーでは舞台裏まで見学可能です。木材を基調とした芸術的な内装もお見逃しなく。中に入るためには事前にツアーの下調べをしておきましょう!
また、シドニー湾を背景にしたロケーションも魅力で、ハーバーブリッジとの景観は絶好の撮影スポット。昼も夜も異なる美しさを楽しめます。
オペラハウスでは、オペラのほかミュージカルやコンサートも開催されているので、観光とあわせて鑑賞すれば、オペラハウスを本当の意味で味わったと自慢できるでしょう。

イタリア 「真実の口」「トレヴィの泉」

イタリア 「真実の口」「トレヴィの泉」

ローマを代表する2大観光名所にも、がっかりの声が寄せられています。

実物が意外と小さい・狭い

映画『ローマの休日』の印象が強くて地味に感じてしまう

真実の口に手を入れる行列がすごい…さんざん待った後、これだけ?と思ってしまう

とにかく観光客が多くて人混みしか見えない…

人が多すぎる問題は人魚姫像と共通で、こちらはさらに深刻そうです。
ここでも、見方を変えてみましょう。
真実の口もトレヴィの泉も昔から存在しますが、名所として人気が高まったのは1953年の映画『ローマの休日』の影響です。観光客であふれているのは、それだけ多くの人が同じ夢を共有して集まっている証。お祭りを楽しむように、世界の人たちとの一体感を味わってはいかがでしょうか。

豆知識ですが、真実の口がなぜ円盤型なのか不思議に思ったことはありませんか?
実はこの石板、古代ローマ時代には排水口やマンホールの蓋として使われていたと考えられており、神「オーケアヌス(海の神)」の顔が彫られた装飾的な排水カバーだったという説が有力なのだとか。当時のローマでは、建築物や公共設備にも神々の顔をあしらい、宗教的・象徴的な意味を持たせることが多く、円盤状の形状は実用性(蓋としての機能)と美術性の両方を兼ね備えていたのですね。「口に手を入れると嘘を見抜く」という伝説が加わったのは中世以降、その後映画をきっかけに現在のような観光名所となりました。

トレヴィの泉も、ただ混雑している狭くて小さい泉と思ってしまっては、その魅力を見落としてしまいます。トレヴィの泉は、ローマを代表するバロック様式の壮麗な噴水で、白い彫刻と水の流れが織りなす光景はまさに芸術そのものといわれています。中央には海の神ネプチューンが勇ましく立ち、見る者を圧倒します。背を向けてコインを投げ入れると「再びローマに戻ってこられる」という伝説があり、多くの人が願いを込めて訪れるロマンチックな名所です。

それぞれの魅力はわかったけど、どうしても人混みは耐えられない…、という方には早朝の訪問をおすすめします♪

アメリカ「エンパイア・ステート・ビルディング」「タイムズスクエア」

アメリカ「エンパイア・ステート・ビルディング」「タイムズスクエア」

ニューヨークを代表する2大観光スポットも、がっかり名所として高評価を受けています。

・エンパイア・ステート・ビルディング

チケットを購入するために長い列に並ぶ必要があり、満足度よりも苦しみが勝る

チケットが高い

安全柵が設置され、格子にさえぎられて鑑賞しなければならない

・タイムズスクエア

あるのは、目立つ看板とチェーン店…何に感心すればよいのか分からない

とにかく観光客が多い

どちらも、もともとは観光客を想定してできた場所ではないので、仕方ない面もあるかもしれません。
ですが、それらにも魅力がたくさんあります。

エンパイア・ステート・ビルディングは、ニューヨークを象徴する超高層ビルで、1931年完成の歴史ある建築物です。86階と102階の展望台からはマンハッタン全体を一望でき、特に夜景は絶景。映画やドラマにも多く登場し、観光名所として世界中の人々に親しまれています。建物自体のアール・デコ様式のデザインも魅力のひとつで建築好きには見ごたえがあります。

タイムズスクエアは、ニューヨークの中心にある、ネオン広告と活気あふれる観光名所です。年末のカウントダウンイベントが有名でテレビでも目にすることが多いですよね。ブロードウェイの劇場街には40以上の劇場があり世界的に有名なミュージカルや舞台が上演されています。ブロードウェイは演劇やミュージカルの最高峰とされる夢の舞台で、世界中から才能ある俳優やクリエイターが集まります。まさに「夢を叶える場所」として、多くの人々が憧れる特別な存在です。また、ショッピング、グルメ、ストリートパフォーマンスが集まり、昼夜問わず賑わいます。まさに「世界の交差点」と呼ばれるにふさわしいスポットです。

メキシコ「チチェン・イッツァ」

メキシコ「チチェン・イッツァ」

新世界七不思議にも数えられているユカタン半島にあるマヤ文明の遺跡で1988年に世界遺産に登録されました。がっかりなその理由は…

至る所売店だらけで客引きがひどい…売っているものもつまらない

特に夏はかなり暑く、長時間の観光は体力的につらい

ピラミッドなどの主要遺跡に登れず、内部も見られない

客引きはストレスを感じるかもしれませんが、売店で売られている商品にはマヤの伝統的な民芸品もあります。見方を変えて、生きたマヤ文明に触れられる機会と捉えてはいかがでしょうか。早朝ツアーに参加すれば、売店も少なく静謐な遺跡を楽しめるでしょう。早朝の、ピラミッドと日の出の共演は涙が出るほどの美しさです。
チチェン・イッツァの中でも有名なのが「ククルカンの神殿(エル・カスティーヨ)」で、春分・秋分の日には太陽の影が階段に蛇の姿を映し出す神秘的な現象が見られます。また、球技場や天文台、水の神への供物が投げ込まれた美しいセノーテ(聖なる泉)など、マヤ人の高度な知識や信仰を感じられる場所が点在。壮大な建築と天文学的な設計が融合し、高度な知識と技術、組織力を持った古代マヤ人の叡智の結晶の遺跡として、歴史好きや考古学ファンにとって一度は訪れたいスポットです。
夏は暑さ対策をしっかりして訪れましょう!

エジプト「ギザのピラミッド」

エジプト「ギザのピラミッド」

世界を代表する観光スポットのスーパースター、世界遺産の大ピラミッド。なぜがっかり名所とされてしまっているのでしょう?

町の景観が絶望的にマッチしていない

町が近すぎて背後にすぐファーストフード店が見えて残念

観光地化が進んでいるので、ラクダやお土産売りの客引きが強引でストレス…

背景が気になる場合は、鑑賞するアングルを変えてみましょう。巨大建造物を見上げる構図で撮影すれば、建物の迫力や特徴が強調された写真が撮れますよ!早朝や夕方に訪問すれば、背景の存在感は薄れ、刻々と変化する光がドラマチックな光景を見せてくれます。
ギザのピラミッドは、エジプト古王国時代に建てられた世界最大級の石造建築で、クフ王の墓として知られています。約4500年前に造られたとは思えない精巧な構造と巨大なスケールが魅力で、現代の技術でも再現が困難とされるほどの神秘に包まれています。前述したメキシコのチチェン・イッツァでは叶わない内部の見学も可能で、古代文明の知恵と宗教観を体感できる世界遺産です。ただし、内部は暗くて狭く、足元が不安定なので、気を付けてくださいね。また、蒸し暑いので、暑さ対策もお忘れなく。
歴史的価値はもちろん、目前に立ったときの迫力やスケール感が圧巻なギザのピラミッド。その神秘的で圧倒的な存在感は、多くの人を魅了してやみません。一生に一度は訪れたいランキングの常連なのも事実です。

視点を変えれば旅はもっと面白い

世界の名だたるがっかり名所の数々、いかがでしたか?
これらの名所に共通して、期待感の大きさと現実のギャップの大きさが主な残念ポイントといえます。
しかし、がっかりといわれながらも、これらの名所の人気が衰える様子はありません。がっかり名所を紹介するウェブ上の賑わいを見ると、むしろ、がっかりを楽しむのが旅行の新潮流である印象すら受けます。それに、がっかり名所になった経緯には、ドラマや魅力的な歴史も詰まっていましたね。それらを知ると見え方が少し変わる気がしませんか?

ぜひがっかり名所の背景を知って、海外旅行に行かれる際はガイドブックには載っていない自分なりの楽しみ方をみつけてくださいね♪


  • Twitter
  • Facebook
  • LINE