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「どうして多くの人が山に魅了されるのか」 「そもそも山はどうしてできるのか」 「登山家に人気の山はどこか」
ーーこんな疑問を感じたことはありませんか?
この記事では、世界一の山のでき方や測量の歴史、高い山ランキング、山の雑学までをたっぷりご紹介します。地球上でもっとも高く険しく、そして美しい山々を知れば、きっと「なぜ人は山にロマンを感じるのか」が、もっと深く理解できるはずです。
読み終えたあとは、きっと山に行きたくなりますよ!
「世界で一番高い山はどこ?」
そう聞かれて、ほとんどの人が真っ先に思い浮かべるのが「エベレスト」ではないでしょうか。 その標高は、なんと8,848.86m!世界中でもっとも高い場所です。
エベレストは「ヒマラヤ山脈」の一部で、ネパールと中国の国境にまたがっています。ヒマラヤ山脈とは中国南西部のチベット自治区とブータン、インド、ネパール、パキスタンの境界に横たわる巨大山脈です。世界でもトップランクの8,000mを超える山がいくつもあり、「世界の屋根」とも呼ばれます。
そのヒマラヤのなかでももっとも高い山が、エベレストなのです。
ちなみに。。「世界一低い山」が気になる方はコチラの記事もどうぞ!
8,848.86mという数値をみても、それがどれほどの高さなのか実感しにくいですね。その高さは、よく富士山の約2.5倍と表現されます。標高3,776mの富士山を2つ積み重ねても、エベレストには届かないのです。自然環境の視点でみると、標高8,848.86mという高さは、「対流圏」と「成層圏」の境界に迫る高さです。
対流圏とは、私たちがいる地表を含む、地球の大気の最下層です。成層圏とは、対流圏の上にある大気の層で、雲も天気も存在しません。そして対流圏とは逆に、高度が高くなるほど気温が上がっていく不思議な性質があります。まるで、地上の理が通用しない異界ですね!
対流圏と成層圏の境目は、通常高度1万m前後とされます。そのすぐ手前にあるエベレストは、まさに地球のてっぺんであり、私たちの住む世界の果てなのです。8,000mを超える高さは「デスゾーン」と呼ばれ、酸素濃度が低く、気温も下がり、強い紫外線や急変する天気が登山者を襲います。こうした極限環境にあるエベレストへの登頂は、登山家や冒険家にとって究極のチャレンジなのです。
エベレストは「世界一高い山」として広く知られていますが、ずっと昔からそうだったわけではなく、高さも時代とともに更新されています。ではどうやってその高さを測ってきたのか、なぜその高さが変わるのか、そもそもヒマラヤ山脈はどのようにして生まれたのか、みていきましょう。
現在では人工衛星を使って山の標高を測定できますが、それが可能になったのはごく最近です。では、それ以前の人々は、どのようにして山の高さを測っていたのでしょうか?
古代から使われていた代表的な測量方法が「三角測量」です。三角測量とは、数学の三角比を用いて距離や高さを計算する手法です。この方法を使えば、離れた場所にある山でも、標高を求められます。
近代に入ると、「セオドライト」という測量機器が登場しました。これは、望遠鏡のような構造を持ち、角度を高精度で測定できる装置です。1950年前後には、セオドライトを使った測量が世界中で行われ、多くの山の標高が更新されました。
そして1980年代になると、人工衛星の時代が始まります。衛星を利用した「衛星測位システム」(GNSS)によって、さらに正確な測量が可能になりました。エベレストをはじめ、世界のトップを競う山の高さのランキングもより正確になったのです。
19世紀、イギリスは当時植民地だったインドの正確な地図を作るため、各地で測量を行いました。1852年、インド測量局は、三角測量によってある山の高さを測定します。その山は「ピーク15」と呼ばれ、ネパールにある謎の山でした。測量の結果、ピーク15の高さは8840mとされ、世界でもっとも高い山と判明したのです。
もうお分かりですね!このピーク15こそが、現在エベレストと呼ばれている山です。
1954年には、インドがセオドライトを用いて再び測量を行い、標高8848mの数字が出されました。1999年以降、衛星測位システムによる測量が実施されます。ところが、ここから奇妙なことが起き始めます。正確無比なはずの衛星測位システムを利用しているのに、なぜか測量するたびに標高が変化するのです。
現在は、2019年から2020年にかけてネパールと中国が行った測量結果の標高8848.86mが、最新のエベレストの標高とされています。
測量のたびに数値が変化する理由は、「山の高さ」の定義の違いにあります。山頂に積もる雪や氷を含めるかどうかで、数値が変わってしまうのです。また、海抜0mの基準となる海面の高さを、どの海に設定するかの違いもあります。これに加え、次に紹介するように、事実としてエベレストの高さが少しずつ変化しているのです。
地球上の陸地は、プレートテクトニクスによって、地球の表面を覆う岩盤といっしょに移動しています。インド亜大陸はかつて独立した大地でしたが、アジア大陸に衝突しました。この衝突の結果、地層が押し上げられてできたのがヒマラヤ山脈です。この押し上げは現在も続いており、山脈は現在も成長しています。エベレストも例外ではなく、毎年約4mmずつ高くなっているのです。さらに、山頂の位置も少しずつ北東方向へと移動しています。標高が増す一方で、別の力も働いています。山頂付近では風が非常に強く、山が少しずつ削られているのです。
世界の高い山々は、その壮大な美しさと厳しい自然環境で知られています。世界の高い山ランキングTOP10について、それぞれの特徴を簡単に紹介します。
アンナプルナとは「豊穣の女神」の意味です。1950年に、8,000m峰としてはじめて登頂されました。しかしその後の登山成功率は低く、世界一過酷な山といっても過言ではありません。
ナンガパルバットとは「裸の山」という意味を持っており、周囲に高い山がないことが由来です。カラコルム山脈の一部で、標高差がなんと約4,800mもある「ルパール壁」で知られます。1953年に初登頂が達成されました。
マナスルとは「精霊の山」の意味です。1956年に、日本チームにより初登頂が達成されました。
ダウラギリとは「白い山」の意味です。1960年に初登頂が達成されました。
チョ・オユーとは「トルコ石の女神」の意味です。ネパールと中国チベット自治区の国境にまたがっています。8,000m級の山のなかでは、比較的穏やかな登山ルートで知られています。近隣のエベレスト、ローツェ、マカルーとともに世界遺産「サガルマータ国立公園」に含まれます。
マカルーは、ネパールと中国チベット自治区にまたがっています。1955年、登山隊10人全員が登頂成功する快挙を成し遂げました。当時はチームの一部だけが登頂に成功するのが一般的だったのです。
ローツェとは「南の峰」の意味です。その名のとおり、エベレストの南側に隣接し、登頂ルートが一部エベレストと重なります。1956年に初登頂が達成されました。
カンチェンジュンガとは「偉大な雪の5つの宝庫」を意味します。ネパールとインドの国境に位置する山です。一帯には豊かな自然と信仰文化が残され、「カンチェンジュンガ国立公園」として世界遺産に登録されています。
K2とは「カラコルム山脈測量番号2号」の略称。パキスタンと中国のウイグル自治区の境にある山です。登山の難しさではエベレストを超えるとされ、「サベージ・マウンテン」とも呼ばれています。
言うまでもなく、世界一高い山です。その圧倒的な高さと存在感から、世界の登山家・冒険家の夢とされてきました。2024年1月時点で、6,664人が登頂に成功したとされます。一方で、登山者の増加により環境問題も深刻化。エベレストは、地球と人間の関係を象徴する存在でもあるのです。周囲のエリアはレッサーパンダなど貴重な動物が生息し、「サガルマータ国立公園」として世界遺産に登録されています。
世界遺産が一番多い国が気になる方はコチラの記事もどうぞ!
アジア大陸以外でもっとも高い山は、南アメリカ大陸のアルゼンチンにあるアコンカグアです。その標高は6,960.8mで、高い山ではありますが、世界ランキングでは第189位。つまり、世界のトップ188の高い山は、すべてアジアに集中しているのです。しかも、多くはインドからネパール、チベットにかけての地域にあります。
なぜでしょうか?
プレートの衝突は世界各地で起きていますが、インド亜大陸とアジア大陸の衝突はとくに巨大な力を持っています。このぶつかり合いによって、地表が強く押し上げられ、ヒマラヤ山脈やカラコルム山脈、天山山脈といった山脈が形成されました。こうした地理的条件が、アジアを世界でもとくに高い山が多い地域にしているのです。
海抜以外の指標でみると、エベレストよりも高い山が存在します。その1つが、ハワイにあるマウナケア。
海面からの標高は4,205mで、エベレストにはおよびません。ですが、エベレストが地表から隆起したのに対し、マウナケアは海底から隆起した山です。海底からの標高は10,203mに達し、隆起した高さではエベレストを上回ります。
エクアドルにあるチンボラソは、19世紀初頭まで世界一高い山と考えられていた山です。標高は6,267mで、現在では世界の山のなかでは特別高いとは言えません。ところが見方によっては、チンボラソは今でも世界一高い山かもしれないのです。地球は赤道付近が膨らんだ形をしており、赤道に近い山ほど地球の中心からの距離が遠くなります。この基準で高さを測ると、チンボラソの山頂はエベレストよりも2,168m地球の中心から離れており、世界一高い山になるのです。
日本人によるエベレスト初登頂は、1970年。登山家・松浦輝夫さんと冒険家・植村直己さんが、見事山頂に到達しました。さらに1975年には、田部井淳子さんが女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功し、大きな話題を呼びました。
そして2013年、スキーヤーとしても有名な三浦雄一郎さんが、なんと80歳で登頂に成功!これは世界最高齢のエベレスト登頂記録として注目されました。
女性の最高齢記録は、2012年に73歳で登頂を果たした渡辺玉枝さん。これらの偉業は、日本人が登山史に残した輝かしい功績として、今も語り継がれています。
ブータンと中国の国境にある標高7,570mのガンカー・プンスムは、世界でもっとも高い未踏峰として知られています。ブータンでは、高い山は神々が住む聖域とされてきました。2003年以降はブータン国内での登山自体が禁止されています。こうした背景により、ガンカー・プンスムは誰も登頂していないのです。
インドにある7,817mのナンダデヴィと、ネパールにある6,993mのマチャプチャレは、現在は立ち入り禁止の山です。ナンダデヴィもマチャプチュレも、立ち入り禁止になる前には頂上付近まで登山隊が登っています。しかし現地の信仰に配慮して、山頂そのものには人が立ち入ったことがありません。世界第3位のカンチェンジュンガは立ち入り禁止ではありませんが、やはり現地への配慮から、山頂そのものには足を踏み入れないのが登山者の慣例になっています。ちなみに、エベレストの前に世界一高い山と考えられていたのがカンチェンジュンガで、その前はナンダデヴィ、さらにその前がチンボラソでした。
エベレストの初登頂は、1953年。20世紀の初めに登頂の試みが始まってから約半世紀にわたる苦闘の歴史の末に、イギリス人のエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイがついに快挙を成し遂げたのです。しかし、この初登頂にはあるミステリーがつきまといます。実はその前に、別の人物がエベレストの山頂に到達していた可能性があるのです。その人物とは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーとアンドリュー・アーヴィン。マロリーは、当時から英雄的な人気を誇る登山家でした。彼の言葉「なぜエベレストに登るのか?そこにそれがあるから」は伝説になっています。日本でも「なぜ山に登るのか?そこに山があるから」の形で有名ですね!
1924年、マロリーとアーヴィンはエベレストで遭難してしまいます。しかし、遭難する前に山頂に到達していたかもしれないのです。その真相は今も解明されておらず、数多くの小説や映画の題材になっています。
エベレストは、登頂自体が登山家・冒険家にとって最高の栄誉ですが、さらにいくつかの特別な称号が存在します。
なお、七大陸最高峰とは、エベレスト(アジア大陸)、アコンカグア(南アメリカ大陸)、デナリ(北アメリカ大陸)、 キリマンジャロ(アフリカ大陸)、エルブルス(ヨーロッパ大陸)、ヴィンソンマシフ(南極大陸)、コジオスコ(オーストラリア大陸)をさします。
エイトサウザンダーズとは、ランキングTOP10に加え、ガッシャーブルムI(8,068m)、ブロードピーク(8,051m)、ガッシャーブルムII(8,034m)、シシャパンマ(8,027m)の4つで、合計14座です。
エイトサウザンダーズはすべてヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に集中しています。
世界の高い山々は、自然の驚異であり、人類の挑戦の舞台でもあります。山を知ることは自然を知ること、山に登ることは自然との関わりを強めることといえるでしょう。
この記事が、あなたが山に関心を持ったり、山に登ったりするきっかけになればうれしいです!
世界一低い山、日本一低い山とは?▼
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「どうして多くの人が山に魅了されるのか」
「そもそも山はどうしてできるのか」
「登山家に人気の山はどこか」
ーーこんな疑問を感じたことはありませんか?
この記事では、世界一の山のでき方や測量の歴史、高い山ランキング、山の雑学までをたっぷりご紹介します。
地球上でもっとも高く険しく、そして美しい山々を知れば、きっと「なぜ人は山にロマンを感じるのか」が、もっと深く理解できるはずです。
読み終えたあとは、きっと山に行きたくなりますよ!
目次
世界一高い山ってどこ?
「世界で一番高い山はどこ?」
そう聞かれて、ほとんどの人が真っ先に思い浮かべるのが「エベレスト」ではないでしょうか。
その標高は、なんと8,848.86m!世界中でもっとも高い場所です。
エベレストは「ヒマラヤ山脈」の一部で、ネパールと中国の国境にまたがっています。
ヒマラヤ山脈とは中国南西部のチベット自治区とブータン、インド、ネパール、パキスタンの境界に横たわる巨大山脈です。世界でもトップランクの8,000mを超える山がいくつもあり、「世界の屋根」とも呼ばれます。
そのヒマラヤのなかでももっとも高い山が、エベレストなのです。
ちなみに。。
「世界一低い山」が気になる方はコチラの記事もどうぞ!
標高8,848.86mの高さとはどれくらい?
8,848.86mという数値をみても、それがどれほどの高さなのか実感しにくいですね。
その高さは、よく富士山の約2.5倍と表現されます。標高3,776mの富士山を2つ積み重ねても、エベレストには届かないのです。
自然環境の視点でみると、標高8,848.86mという高さは、「対流圏」と「成層圏」の境界に迫る高さです。
対流圏とは、私たちがいる地表を含む、地球の大気の最下層です。
成層圏とは、対流圏の上にある大気の層で、雲も天気も存在しません。そして対流圏とは逆に、高度が高くなるほど気温が上がっていく不思議な性質があります。まるで、地上の理が通用しない異界ですね!
対流圏と成層圏の境目は、通常高度1万m前後とされます。そのすぐ手前にあるエベレストは、まさに地球のてっぺんであり、私たちの住む世界の果てなのです。
8,000mを超える高さは「デスゾーン」と呼ばれ、酸素濃度が低く、気温も下がり、強い紫外線や急変する天気が登山者を襲います。
こうした極限環境にあるエベレストへの登頂は、登山家や冒険家にとって究極のチャレンジなのです。
エベレストの標高は変わる!? 測量の歴史とヒマラヤ山脈の驚きの秘密
エベレストは「世界一高い山」として広く知られていますが、ずっと昔からそうだったわけではなく、高さも時代とともに更新されています。
ではどうやってその高さを測ってきたのか、なぜその高さが変わるのか、そもそもヒマラヤ山脈はどのようにして生まれたのか、みていきましょう。
どうやって山の高さを測るの?
現在では人工衛星を使って山の標高を測定できますが、それが可能になったのはごく最近です。では、それ以前の人々は、どのようにして山の高さを測っていたのでしょうか?
古代から使われていた代表的な測量方法が「三角測量」です。
三角測量とは、数学の三角比を用いて距離や高さを計算する手法です。この方法を使えば、離れた場所にある山でも、標高を求められます。
近代に入ると、「セオドライト」という測量機器が登場しました。これは、望遠鏡のような構造を持ち、角度を高精度で測定できる装置です。
1950年前後には、セオドライトを使った測量が世界中で行われ、多くの山の標高が更新されました。
そして1980年代になると、人工衛星の時代が始まります。衛星を利用した「衛星測位システム」(GNSS)によって、さらに正確な測量が可能になりました。
エベレストをはじめ、世界のトップを競う山の高さのランキングもより正確になったのです。
エベレストの標高の変化と測定の歴史
19世紀、イギリスは当時植民地だったインドの正確な地図を作るため、各地で測量を行いました。
1852年、インド測量局は、三角測量によってある山の高さを測定します。その山は「ピーク15」と呼ばれ、ネパールにある謎の山でした。
測量の結果、ピーク15の高さは8840mとされ、世界でもっとも高い山と判明したのです。
もうお分かりですね!このピーク15こそが、現在エベレストと呼ばれている山です。
1954年には、インドがセオドライトを用いて再び測量を行い、標高8848mの数字が出されました。
1999年以降、衛星測位システムによる測量が実施されます。
ところが、ここから奇妙なことが起き始めます。正確無比なはずの衛星測位システムを利用しているのに、なぜか測量するたびに標高が変化するのです。
現在は、2019年から2020年にかけてネパールと中国が行った測量結果の標高8848.86mが、最新のエベレストの標高とされています。
測量のたびに数値が変化する理由は、「山の高さ」の定義の違いにあります。
山頂に積もる雪や氷を含めるかどうかで、数値が変わってしまうのです。また、海抜0mの基準となる海面の高さを、どの海に設定するかの違いもあります。
これに加え、次に紹介するように、事実としてエベレストの高さが少しずつ変化しているのです。
プレートの動きとヒマラヤ山脈の成り立ち
地球上の陸地は、プレートテクトニクスによって、地球の表面を覆う岩盤といっしょに移動しています。
インド亜大陸はかつて独立した大地でしたが、アジア大陸に衝突しました。この衝突の結果、地層が押し上げられてできたのがヒマラヤ山脈です。
この押し上げは現在も続いており、山脈は現在も成長しています。エベレストも例外ではなく、毎年約4mmずつ高くなっているのです。さらに、山頂の位置も少しずつ北東方向へと移動しています。
標高が増す一方で、別の力も働いています。山頂付近では風が非常に強く、山が少しずつ削られているのです。
世界の高い山ランキングTOP10
世界の高い山々は、その壮大な美しさと厳しい自然環境で知られています。世界の高い山ランキングTOP10について、それぞれの特徴を簡単に紹介します。
第10位 アンナプルナ(ネパール、8,091m)
アンナプルナとは「豊穣の女神」の意味です。
1950年に、8,000m峰としてはじめて登頂されました。しかしその後の登山成功率は低く、世界一過酷な山といっても過言ではありません。
第9位 ナンガパルバット(パキスタン、8,126m)
ナンガパルバットとは「裸の山」という意味を持っており、周囲に高い山がないことが由来です。
カラコルム山脈の一部で、標高差がなんと約4,800mもある「ルパール壁」で知られます。
1953年に初登頂が達成されました。
第8位 マナスル(ネパール、8,163m)
マナスルとは「精霊の山」の意味です。
1956年に、日本チームにより初登頂が達成されました。
第7位 ダウラギリ(ネパール、8,167m)
ダウラギリとは「白い山」の意味です。
1960年に初登頂が達成されました。
第6位 チョ・オユー(ネパール・中国、8,201m)
チョ・オユーとは「トルコ石の女神」の意味です。
ネパールと中国チベット自治区の国境にまたがっています。
8,000m級の山のなかでは、比較的穏やかな登山ルートで知られています。
近隣のエベレスト、ローツェ、マカルーとともに世界遺産「サガルマータ国立公園」に含まれます。
第5位 マカルー(ネパール・中国、8,463m)
マカルーは、ネパールと中国チベット自治区にまたがっています。
1955年、登山隊10人全員が登頂成功する快挙を成し遂げました。当時はチームの一部だけが登頂に成功するのが一般的だったのです。
第4位 ローツェ(ネパール・中国、8,516m)
ローツェとは「南の峰」の意味です。その名のとおり、エベレストの南側に隣接し、登頂ルートが一部エベレストと重なります。
1956年に初登頂が達成されました。
第3位 カンチェンジュンガ(ネパール・インド、8,586m)
カンチェンジュンガとは「偉大な雪の5つの宝庫」を意味します。
ネパールとインドの国境に位置する山です。
一帯には豊かな自然と信仰文化が残され、「カンチェンジュンガ国立公園」として世界遺産に登録されています。
第2位 K2(パキスタン・中国、8,611m)
K2とは「カラコルム山脈測量番号2号」の略称。
パキスタンと中国のウイグル自治区の境にある山です。
登山の難しさではエベレストを超えるとされ、「サベージ・マウンテン」とも呼ばれています。
第1位 エベレスト(ネパール・中国、8,848m)
言うまでもなく、世界一高い山です。
その圧倒的な高さと存在感から、世界の登山家・冒険家の夢とされてきました。2024年1月時点で、6,664人が登頂に成功したとされます。
一方で、登山者の増加により環境問題も深刻化。エベレストは、地球と人間の関係を象徴する存在でもあるのです。
周囲のエリアはレッサーパンダなど貴重な動物が生息し、「サガルマータ国立公園」として世界遺産に登録されています。
世界遺産が一番多い国が気になる方はコチラの記事もどうぞ!
アジアに高い山が集中している理由
アジア大陸以外でもっとも高い山は、南アメリカ大陸のアルゼンチンにあるアコンカグアです。その標高は6,960.8mで、高い山ではありますが、世界ランキングでは第189位。
つまり、世界のトップ188の高い山は、すべてアジアに集中しているのです。しかも、多くはインドからネパール、チベットにかけての地域にあります。
なぜでしょうか?
プレートの衝突は世界各地で起きていますが、インド亜大陸とアジア大陸の衝突はとくに巨大な力を持っています。このぶつかり合いによって、地表が強く押し上げられ、ヒマラヤ山脈やカラコルム山脈、天山山脈といった山脈が形成されました。
こうした地理的条件が、アジアを世界でもとくに高い山が多い地域にしているのです。
実はエベレストより高い山がある!?
海抜以外の指標でみると、エベレストよりも高い山が存在します。
その1つが、ハワイにあるマウナケア。
海面からの標高は4,205mで、エベレストにはおよびません。
ですが、エベレストが地表から隆起したのに対し、マウナケアは海底から隆起した山です。海底からの標高は10,203mに達し、隆起した高さではエベレストを上回ります。
エクアドルにあるチンボラソは、19世紀初頭まで世界一高い山と考えられていた山です。
標高は6,267mで、現在では世界の山のなかでは特別高いとは言えません。ところが見方によっては、チンボラソは今でも世界一高い山かもしれないのです。
地球は赤道付近が膨らんだ形をしており、赤道に近い山ほど地球の中心からの距離が遠くなります。この基準で高さを測ると、チンボラソの山頂はエベレストよりも2,168m地球の中心から離れており、世界一高い山になるのです。
世界の高い山にまつわる雑学
最高齢登頂はなんと80歳!日本人の偉業とは?
日本人によるエベレスト初登頂は、1970年。登山家・松浦輝夫さんと冒険家・植村直己さんが、見事山頂に到達しました。
さらに1975年には、田部井淳子さんが女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功し、大きな話題を呼びました。
そして2013年、スキーヤーとしても有名な三浦雄一郎さんが、なんと80歳で登頂に成功!これは世界最高齢のエベレスト登頂記録として注目されました。
女性の最高齢記録は、2012年に73歳で登頂を果たした渡辺玉枝さん。
これらの偉業は、日本人が登山史に残した輝かしい功績として、今も語り継がれています。
世界で「立ち入り禁止」の高い山がある!?
ブータンと中国の国境にある標高7,570mのガンカー・プンスムは、世界でもっとも高い未踏峰として知られています。
ブータンでは、高い山は神々が住む聖域とされてきました。2003年以降はブータン国内での登山自体が禁止されています。
こうした背景により、ガンカー・プンスムは誰も登頂していないのです。
インドにある7,817mのナンダデヴィと、ネパールにある6,993mのマチャプチャレは、現在は立ち入り禁止の山です。
ナンダデヴィもマチャプチュレも、立ち入り禁止になる前には頂上付近まで登山隊が登っています。しかし現地の信仰に配慮して、山頂そのものには人が立ち入ったことがありません。
世界第3位のカンチェンジュンガは立ち入り禁止ではありませんが、やはり現地への配慮から、山頂そのものには足を踏み入れないのが登山者の慣例になっています。
ちなみに、エベレストの前に世界一高い山と考えられていたのがカンチェンジュンガで、その前はナンダデヴィ、さらにその前がチンボラソでした。
エベレストの伝説
エベレストの初登頂は、1953年。
20世紀の初めに登頂の試みが始まってから約半世紀にわたる苦闘の歴史の末に、イギリス人のエドモンド・ヒラリーとシェルパのテンジン・ノルゲイがついに快挙を成し遂げたのです。
しかし、この初登頂にはあるミステリーがつきまといます。実はその前に、別の人物がエベレストの山頂に到達していた可能性があるのです。
その人物とは、イギリスの登山家ジョージ・マロリーとアンドリュー・アーヴィン。
マロリーは、当時から英雄的な人気を誇る登山家でした。彼の言葉「なぜエベレストに登るのか?そこにそれがあるから」は伝説になっています。日本でも「なぜ山に登るのか?そこに山があるから」の形で有名ですね!
1924年、マロリーとアーヴィンはエベレストで遭難してしまいます。しかし、遭難する前に山頂に到達していたかもしれないのです。
その真相は今も解明されておらず、数多くの小説や映画の題材になっています。
エベレストにまつわる称号
エベレストは、登頂自体が登山家・冒険家にとって最高の栄誉ですが、さらにいくつかの特別な称号が存在します。
なお、七大陸最高峰とは、
エベレスト(アジア大陸)、アコンカグア(南アメリカ大陸)、デナリ(北アメリカ大陸)、
キリマンジャロ(アフリカ大陸)、エルブルス(ヨーロッパ大陸)、
ヴィンソンマシフ(南極大陸)、コジオスコ(オーストラリア大陸)
をさします。
エイトサウザンダーズとは、ランキングTOP10に加え、ガッシャーブルムI(8,068m)、ブロードピーク(8,051m)、ガッシャーブルムII(8,034m)、シシャパンマ(8,027m)の4つで、合計14座です。
エイトサウザンダーズはすべてヒマラヤ山脈とカラコルム山脈に集中しています。
人々を惹きつけてやまない「世界の高い山」
世界の高い山々は、自然の驚異であり、人類の挑戦の舞台でもあります。
山を知ることは自然を知ること、山に登ることは自然との関わりを強めることといえるでしょう。
この記事が、あなたが山に関心を持ったり、山に登ったりするきっかけになればうれしいです!
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