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トリコロール、フランス料理、シャンゼリゼ通り、凱旋門、パリ、ファッションなど、「フランス」には華やかで素敵なイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。フランスといえば、もうひとつ忘れてはならないのがフランスのお菓子。フランスはお菓子作りの本場と言っても過言ではないはず。日本で活躍するショコラティエやパティシエも、多くの人がフランスで修行をしたりしていますよね。
そこで、今回のコラムではフランスの伝統的なお菓子である「ガレット・デ・ロワ」をご紹介していきたいと思います。また、「ガレット・デ・ロワ」の特徴であり最大の魅力でもある「フェーブ」という小さな陶器のことや、フランス国内で云い伝わるガレット・デ・ロワのルールについてもじっくり解説します。
そもそも「ガレット・デ・ロワ」ってなに?と疑問に思っている方も多いかもしれません。そこで、まずはガレット・デ・ロワがいったいどのようなお菓子で、どのように生まれたのか、そしてどんなところが特徴なのか、基本的なことを知っていきましょう♪
ガレット・デ・ロワは、フランスの伝統的なお菓子です。フイユタージュ(パイ生地)とアーモンドクリームを組み合わせたシンプルな焼き菓子です。キリスト教にまつわるお菓子のひとつで、1月6日の「公現祭」を祝うお菓子です。
ガレット・デ・ロワがどのように生まれたかという起源については諸説あります。有名なものは、古代ローマの農神祭(サートゥルナーリア)では、豆の入ったケーキが供され、あたりを引いた人が宴の主となる習慣があり、これが時を経て東方の三博士がイエス・キリストの誕生を祝うためにベツレヘムを訪れたことを記念する公現祭に結びついた、という説です。ガレット・デ・ロワは14世紀ごろからフランスで食べられるようになり、17世紀ごろには現在のスタイル(パイ生地とアーモンドクリームの組み合わせ)に近くなりました。
ガレット(Galette)が「平たい円形のお菓子」、ロワ(Rois)が「王様」という意味があります。そのため、ガレット・デ・ロワは「王様のケーキ」「王様のお菓子」と訳されます。ここでの「王様」とは、先ほどご紹介した「東方の三博士」を指しますよ。
ガレット・デ・ロワは、もともと1月6日(または1月2日から8日の間の日曜日)の公現祭をお祝いして食べるお菓子ですが、今ではキリスト教的な意味合いは薄れ、1月の1ヶ月を通して食べられています。1月に食べると、幸運な一年に恵まれると言われており、フランスの人々は、家族や友人たちが集まる際などにガレット・デ・ロワを食べています。ガレット・デ・ロワはパン屋さんやケーキ屋さんで手軽に手に入ります。
ガレット・デ・ロワは、おいしいだけではなく、ちょっとした「お楽しみ」があります。それは、お菓子に「フェーブ」(Fève:フランス語で「そら豆」という意味)という小さい陶器の人形が隠されていること。このフェーブが誰に当たるかをみんな楽しみにしています。
フェーブがあたった人は、その日の「王様」または「王妃様」になり、その一年間は幸福でいられるといいます。紙で作られた王冠をかぶり、シャンパンと一緒に皆からお祝いされるのです。なんとも心くすぐられるかわいらしい仕掛けですよね♪ちなみに、ホールサイズのガレットは、紙の王冠つきで売られています。そして、「王様」または「王妃様」になった人は、自分の相手となる「王妃様」または「王様」を選ぶという風習があります。
ちなみに、陶器の人形を入れる習慣は、19世紀にパリのお菓子屋さんがドイツの「マイセン」の陶製の人形を入れたことがはじまりです。それ以前、ガレット・デ・ロワのなかにはそら豆が入っていました。そら豆が使われていたのは、豆が胎児の形に似ていることが理由でした。ヨーロッパでは、古くからそら豆が命のシンボルと考えられており、結婚や農耕にまつわる祭りの際にそら豆が食べられていたそうですよ。陶器のフェーブを入れるようになった当初は、キリスト教にまつわる宗教的なモチーフが多くありました。しかし今では、動物や食べ物、乗り物、キャラクター、日用品、美術品、観光名所など、さまざまな種類があり、フェーブを集めるコレクターさんもいるほど。色も昔は白が多かったですが、今ではカラフルなフェーブが見られます。なお、フランス国内でも地域やお店、家庭によってはフェ―ヴの代わりにコインが入れられることもあるそうです。
ガレット・デ・ロワの魅力はフェーブだけではありません。レイエとよばれる模様にもいくつか種類があり、単なる装飾ではないのです♪レイエは大きく4つの種類があります。それぞれ意味が込められており、月桂樹(葉っぱ模様)は「勝利」、太陽(渦巻模様)は「生命力」、麦の穂(矢羽模様)は「五穀豊穣」、ひまわり(格子模様)は「栄光」です。
ここからは、さらにガレット・デ・ロワの魅力を知ってもらうために、本場フランスで言い伝えられるガレット・デ・ロワにまつわるルールをいくつかご紹介します。
フェーブが誰に当たるか、公平性を保つために、ガレット・デ・ロワは食べ方にも決まりがあります。まず、集まった人のなかで最も若い人(子ども)がテーブルの下に隠れたり、目隠しをしたりしている間に他の人がガレットを切り分けます。子どもは、ガレットを見ないまま、切り分けたピースを誰に配るか指名します。そうすることで、たとえ切り分けているときに周りの人にフェーブが見えてしまっても、誰に当たるかはわからないという仕組みになっています。
ガレット・デ・ロワはみんなで切り分けて食べるお菓子ですが、必ずひと切れ残す、というルールがあります。昔よく行われていた習慣で、今ではそれを律儀に守っている人もいれば、あまり気にしない人もいるなど、さまざまです。
ガレット・デ・ロワを必ずひと切れ残す理由は、そこに集まった人数分より1つ多めに切り分けて、余ったひと切れを貧しい人に施したり、あるいは、その日その場に来ることができなかった人のために捧げたり、というもの。
ガレット・デ・ロワは、見た目の華やかさはもちろん、味もとてもおいしく素朴で、長いあいだフランスの人々に愛され続けているお菓子です。
レイエに込められたそれぞれの模様の意味、フェーブが誰にあたるかドキドキする楽しみなど、ガレット・デ・ロワにはたくさんの魅力があります。このコラムが、みなさんがガレット・デ・ロワやフェーブに興味を持つきっかけになればうれしいです。ガレット・デ・ロワは日本でも買うことができます。みなさんも、ぜひ機会があれば、幸せを願ってガレット・デ・ロワを味わってみませんか。
トリコロール、フランス料理、シャンゼリゼ通り、凱旋門、パリ、ファッションなど、「フランス」には華やかで素敵なイメージを持っている方も多いのではないでしょうか。フランスといえば、もうひとつ忘れてはならないのがフランスのお菓子。フランスはお菓子作りの本場と言っても過言ではないはず。日本で活躍するショコラティエやパティシエも、多くの人がフランスで修行をしたりしていますよね。
そこで、今回のコラムではフランスの伝統的なお菓子である「ガレット・デ・ロワ」をご紹介していきたいと思います。また、「ガレット・デ・ロワ」の特徴であり最大の魅力でもある「フェーブ」という小さな陶器のことや、フランス国内で云い伝わるガレット・デ・ロワのルールについてもじっくり解説します。
目次
「ガレット・デ・ロワ」ってなに?
そもそも「ガレット・デ・ロワ」ってなに?と疑問に思っている方も多いかもしれません。そこで、まずはガレット・デ・ロワがいったいどのようなお菓子で、どのように生まれたのか、そしてどんなところが特徴なのか、基本的なことを知っていきましょう♪
ガレット・デ・ロワの歴史
ガレット・デ・ロワは、フランスの伝統的なお菓子です。フイユタージュ(パイ生地)とアーモンドクリームを組み合わせたシンプルな焼き菓子です。キリスト教にまつわるお菓子のひとつで、1月6日の「公現祭」を祝うお菓子です。
ガレット・デ・ロワがどのように生まれたかという起源については諸説あります。有名なものは、古代ローマの農神祭(サートゥルナーリア)では、豆の入ったケーキが供され、あたりを引いた人が宴の主となる習慣があり、これが時を経て東方の三博士がイエス・キリストの誕生を祝うためにベツレヘムを訪れたことを記念する公現祭に結びついた、という説です。ガレット・デ・ロワは14世紀ごろからフランスで食べられるようになり、17世紀ごろには現在のスタイル(パイ生地とアーモンドクリームの組み合わせ)に近くなりました。
フランスの伝統菓子「王様のケーキ」
ガレット(Galette)が「平たい円形のお菓子」、ロワ(Rois)が「王様」という意味があります。そのため、ガレット・デ・ロワは「王様のケーキ」「王様のお菓子」と訳されます。ここでの「王様」とは、先ほどご紹介した「東方の三博士」を指しますよ。
ガレット・デ・ロワは、もともと1月6日(または1月2日から8日の間の日曜日)の公現祭をお祝いして食べるお菓子ですが、今ではキリスト教的な意味合いは薄れ、1月の1ヶ月を通して食べられています。1月に食べると、幸運な一年に恵まれると言われており、フランスの人々は、家族や友人たちが集まる際などにガレット・デ・ロワを食べています。ガレット・デ・ロワはパン屋さんやケーキ屋さんで手軽に手に入ります。
フェーブを引くと、一日「王様」になれる?!
ガレット・デ・ロワは、おいしいだけではなく、ちょっとした「お楽しみ」があります。それは、お菓子に「フェーブ」(Fève:フランス語で「そら豆」という意味)という小さい陶器の人形が隠されていること。このフェーブが誰に当たるかをみんな楽しみにしています。
フェーブがあたった人は、その日の「王様」または「王妃様」になり、その一年間は幸福でいられるといいます。紙で作られた王冠をかぶり、シャンパンと一緒に皆からお祝いされるのです。なんとも心くすぐられるかわいらしい仕掛けですよね♪ちなみに、ホールサイズのガレットは、紙の王冠つきで売られています。そして、「王様」または「王妃様」になった人は、自分の相手となる「王妃様」または「王様」を選ぶという風習があります。
ちなみに、陶器の人形を入れる習慣は、19世紀にパリのお菓子屋さんがドイツの「マイセン」の陶製の人形を入れたことがはじまりです。それ以前、ガレット・デ・ロワのなかにはそら豆が入っていました。そら豆が使われていたのは、豆が胎児の形に似ていることが理由でした。ヨーロッパでは、古くからそら豆が命のシンボルと考えられており、結婚や農耕にまつわる祭りの際にそら豆が食べられていたそうですよ。陶器のフェーブを入れるようになった当初は、キリスト教にまつわる宗教的なモチーフが多くありました。しかし今では、動物や食べ物、乗り物、キャラクター、日用品、美術品、観光名所など、さまざまな種類があり、フェーブを集めるコレクターさんもいるほど。色も昔は白が多かったですが、今ではカラフルなフェーブが見られます。なお、フランス国内でも地域やお店、家庭によってはフェ―ヴの代わりにコインが入れられることもあるそうです。
ガレット・デ・ロワのレイエ(模様)に込められた意味とは?
ガレット・デ・ロワの魅力はフェーブだけではありません。レイエとよばれる模様にもいくつか種類があり、単なる装飾ではないのです♪レイエは大きく4つの種類があります。それぞれ意味が込められており、月桂樹(葉っぱ模様)は「勝利」、太陽(渦巻模様)は「生命力」、麦の穂(矢羽模様)は「五穀豊穣」、ひまわり(格子模様)は「栄光」です。
フランス国内で云い伝わる、ガレット・デ・ロワのルール
ここからは、さらにガレット・デ・ロワの魅力を知ってもらうために、本場フランスで言い伝えられるガレット・デ・ロワにまつわるルールをいくつかご紹介します。
子どもが切り分ける!
フェーブが誰に当たるか、公平性を保つために、ガレット・デ・ロワは食べ方にも決まりがあります。まず、集まった人のなかで最も若い人(子ども)がテーブルの下に隠れたり、目隠しをしたりしている間に他の人がガレットを切り分けます。子どもは、ガレットを見ないまま、切り分けたピースを誰に配るか指名します。そうすることで、たとえ切り分けているときに周りの人にフェーブが見えてしまっても、誰に当たるかはわからないという仕組みになっています。
ガレット・デ・ロワは必ずひと切れ残す
ガレット・デ・ロワはみんなで切り分けて食べるお菓子ですが、必ずひと切れ残す、というルールがあります。昔よく行われていた習慣で、今ではそれを律儀に守っている人もいれば、あまり気にしない人もいるなど、さまざまです。
ガレット・デ・ロワを必ずひと切れ残す理由は、そこに集まった人数分より1つ多めに切り分けて、余ったひと切れを貧しい人に施したり、あるいは、その日その場に来ることができなかった人のために捧げたり、というもの。
幸せを願って、ガレット・デ・ロワを味わおう
ガレット・デ・ロワは、見た目の華やかさはもちろん、味もとてもおいしく素朴で、長いあいだフランスの人々に愛され続けているお菓子です。
レイエに込められたそれぞれの模様の意味、フェーブが誰にあたるかドキドキする楽しみなど、ガレット・デ・ロワにはたくさんの魅力があります。このコラムが、みなさんがガレット・デ・ロワやフェーブに興味を持つきっかけになればうれしいです。ガレット・デ・ロワは日本でも買うことができます。みなさんも、ぜひ機会があれば、幸せを願ってガレット・デ・ロワを味わってみませんか。