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みなさんは、「猫」が好きですか? ペットとして飼う動物といえば昔から犬が人気がありましたが、現在の日本では猫の飼育頭数が犬を上回っていることをご存じですか?
愛らしい姿と仕草で私たちを癒し、元気を与えてくれる猫。おうちに愛猫がいるという飼い主さんも多いのではないでしょうか。 そんな猫は、どのような歴史をたどって私たち人間と暮らすようになったのでしょうか。
このコラムでは、そんな世界の猫の歴史を深掘りしてみたいと思います。 猫が好きな人や猫を飼っている人、猫と人間の歴史について知りたい人にとって、この記事が、さらに猫への愛が深まるきっかけになれば幸いです。
ネコ科の祖先は、中型の肉食獣(ミアキス)にまでさかのぼるといわれています。ミアキスは約6000万年前に存在したと考えられている、ヒョウのような動物です。
そして、現在家で飼われているようなイエネコの起源は、約13万年前に中東の砂漠などに生息していたリビアヤマネコだといわれています。 砂漠やサバンナといった暑く乾燥した地域で暮らしていたリビアヤマネコ。そのことからも、イエネコが寒さや水が苦手な理由がわかりますね。
ちなみにリビアヤマネコは、現在もアフリカや中近東の砂漠地帯に生息しています。 日本で飼育している動物園は残念ながらないのですが、ペットとして飼うことは可能だそうですよ。
続いてここからは、世界の猫と人がどのように関わってきたのか、その歴史をたどっていきたいと思います。 途中には暗黒期も迎えますが、猫と人が密接に関わってきたことは昔からずっと変わらないのです♪
世界の猫と人の歴史を語るうえで、欠かせないのが「エジプト」という国。紀元前4000年ごろ、エジプトの人々は猫を愛し、大切に扱ってきました。
当時、エジプトでは農耕文化が発展しはじめていましたが、ネズミに悩まされていました。そんなネズミ駆除のために、猫が次第に家畜化されていったのです。
そして、紀元前3000年ごろには、雄猫は太陽神ラーの象徴、雌猫は女神バストの象徴とされ、神聖化されるほどになりました。絵画や壁画、彫像などにも猫が表現されています。 また、お金持ちや王様が亡くなった際、猫も何枚もの布で覆ってミイラにしたあと、一緒に棺に入れて大切に埋葬されました。
15世紀~17世紀半ばごろの大航海時代は、猫が世界に広まるきっかけにもなりました。 通商や貿易のときに一緒に船に乗る「船乗り猫」の光景は頻繁に見られたといいます。船に猫が乗っていた大きな理由は、船のロープや食糧にダメージを与えるネズミ駆除のため。
猫は船乗りたちからも愛され、大切にされていました。 ちなみに、今でも残る英語の航海用語には、「cat」を使ったものがあるんですよ。 たとえば、「Catboat(一本マストの帆船)」や「Cat head(いかりを支えるために船体から伸びる横木)」などです。
世界中でネズミの対策として重宝された猫。なぜネズミを捕まえるのでしょうか? その理由は、イエネコの先祖であるリビアヤマネコの習性の名残りと言われています。
小鳥やネズミなど、小動物を獲物にしていたリビアヤマネコ。 その頃の名残りで現在もイエネコはすばしっこくて小さなものを追いかけ、捕まえる習性を持っています。
古くから様々な国で愛されてきた猫。 しかし残念ながら、中世ヨーロッパでは猫は迫害されるようになってしまい、暗黒の時代を迎えます。
世界の猫の歴史のなかで、暗黒期とも言えるのが中世ヨーロッパです。 キリスト教が大きな力を持ち始めた当時のヨーロッパでは、ほかの宗教を排除する動きが活発化しました。 16世紀になると「魔女狩り」や「魔女裁判」が行われるようになります。 猫が夜行性であることや、暗闇であやしく光る目などが理由で、魔女と猫が結びつけられてしまい、猫は魔女の手先だと吹聴されてしまったのです。
このことから、多くの猫がひどい方法で殺されてしまいました。特に黒猫はよりひどい迫害を受けたといいます。
猫が迫害を受け、数が減ってしまうと、ネズミによる被害が大きくなっていきました。 ネズミの大量発生により、ペストなどの伝染病が蔓延。これを受けて17世紀ごろには、改めて猫の重要性が認識されるようになりました。 17世紀の終わりには、フランス文学界の代表作『長靴をはいた猫』が登場し人気になります。 それをきっかけに18世紀になると、猫が登場する民話や文学作品が多く誕生。次第に人々の猫に対するイメージも良いものに変わっていきました。
ちなみに、私(筆者)はイギリスに住んでいますが、イギリスでは現在でもネズミが出ることがあります(私は幸い見たことがありませんが)。そのため、「ネズミ対策には猫を飼うことが一番良い方法」と今でも広くいわれていますよ。
世界の猫の歴史がわかったところで、ここからは日本に視点を移してみましょう♪ 先ほどもご紹介したとおり、猫の起源は中東の砂漠。それではいったい、猫は日本にいつどのように伝わったのでしょうか?
いつ日本に猫が伝わったのか、はっきりとした記録は残っていませんが、6世紀ごろ、仏教の伝来とともに中国からやってきたと考えられています。仏教寺院の建物や経典、書物などをネズミから守るために、猫は欠かせない存在だったのです。
一方、2100年前ごろ、弥生時代からすでに日本には猫が存在していたという説もあります。ただし、こちらはヤマネコに近い種類だったと考えられています。
飼い猫について、日本でもっとも古い記述は、平安時代初期までさかのぼります。 第59代天皇・宇多天皇は、日記「寛平御記」のなかで、父である光考天皇から譲り受けた黒猫について記しています。猫がおかゆを与えられたり、宮中のなかを静かに歩く姿などが細かく丁寧に、愛情をもって書かれています。
また、第66代天皇である一条天皇も無類の猫好きとして有名です。 なんと一条天皇のもとにいたこの猫は、「命婦の御許(みょうぶのおとど、みょうぶのおもと)」という名前が付けられ、位まで与えられていました。 ちなみに命婦は従五位下以上の女性のこと、御許は高貴な女性の敬称です。
現在のように愛玩動物として飼われていた猫ですが、誰でも飼えたわけではありません。 当時、猫はまだまだ数が少なく貴重な存在でした。そのため、猫の飼育は身分の高い人々にだけ許されたものでした。
鎌倉時代以降になると、貴族だけでなく一般の人々も猫を飼うようになります。 ネズミ駆除が主な目的で、慶長7年(1602年)にはネズミによる害を減らすために、猫をつながずに放し飼いにするようにという命令が出されました。
しかし江戸時代のはじめごろまでは、やはり猫の数は多くありませんでした。 そこで、ネズミを駆除する力があるとして猫の絵が重宝されました。商人たちは猫の絵が描かれたものをお守りとして売り、それが大流行したそうです。
ちなみに、縁起物である招き猫も江戸時代に誕生したといわれていますよ。
「猫」という言葉の語源については、諸説あります。
たとえば、いつも寝ているから「寝る子」、それが変化して「ねこ」になったという説があります。 また、「ね(ネズミ)」に神または熊を意味する「こま」という言葉がつき「ねこま」となり、やがて語尾の「ま」が欠落し「ねこ」となった説もあります。
さらに、平安時代に猫の鳴き声を「ねうねう」と表現しており、親しみを込めた接尾語「こ」をつけて「ねうこ」と呼び、それが変化して「ねこ」になったという説も。
どんな理由で「猫」という言葉になったのか、あれこれ想像するのも楽しいですね。
世界の猫の歴史は、みなさんが思っていたよりもずっと古かったのではないでしょうか? 中世ヨーロッパなど迫害された暗黒期もありますが、それを乗り越えて、人々から愛され大切にされてきました。
猫の歴史を知ることでより猫への理解が深まり、さらに好きになるのではないでしょうか? これからも、猫と人間がお互い幸せに一緒に暮らしていけると良いですね♪
みなさんは、「猫」が好きですか?
ペットとして飼う動物といえば昔から犬が人気がありましたが、現在の日本では猫の飼育頭数が犬を上回っていることをご存じですか?
愛らしい姿と仕草で私たちを癒し、元気を与えてくれる猫。おうちに愛猫がいるという飼い主さんも多いのではないでしょうか。
そんな猫は、どのような歴史をたどって私たち人間と暮らすようになったのでしょうか。
このコラムでは、そんな世界の猫の歴史を深掘りしてみたいと思います。
猫が好きな人や猫を飼っている人、猫と人間の歴史について知りたい人にとって、この記事が、さらに猫への愛が深まるきっかけになれば幸いです。
目次
猫の起源
ネコ科の祖先は、中型の肉食獣(ミアキス)にまでさかのぼるといわれています。ミアキスは約6000万年前に存在したと考えられている、ヒョウのような動物です。
そして、現在家で飼われているようなイエネコの起源は、約13万年前に中東の砂漠などに生息していたリビアヤマネコだといわれています。
砂漠やサバンナといった暑く乾燥した地域で暮らしていたリビアヤマネコ。そのことからも、イエネコが寒さや水が苦手な理由がわかりますね。
ちなみにリビアヤマネコは、現在もアフリカや中近東の砂漠地帯に生息しています。
日本で飼育している動物園は残念ながらないのですが、ペットとして飼うことは可能だそうですよ。
世界の猫と人の歴史
続いてここからは、世界の猫と人がどのように関わってきたのか、その歴史をたどっていきたいと思います。
途中には暗黒期も迎えますが、猫と人が密接に関わってきたことは昔からずっと変わらないのです♪
【古代エジプト】愛され、崇拝される
世界の猫と人の歴史を語るうえで、欠かせないのが「エジプト」という国。紀元前4000年ごろ、エジプトの人々は猫を愛し、大切に扱ってきました。
当時、エジプトでは農耕文化が発展しはじめていましたが、ネズミに悩まされていました。そんなネズミ駆除のために、猫が次第に家畜化されていったのです。
そして、紀元前3000年ごろには、雄猫は太陽神ラーの象徴、雌猫は女神バストの象徴とされ、神聖化されるほどになりました。絵画や壁画、彫像などにも猫が表現されています。
また、お金持ちや王様が亡くなった際、猫も何枚もの布で覆ってミイラにしたあと、一緒に棺に入れて大切に埋葬されました。
【大航海時代】船乗り猫
15世紀~17世紀半ばごろの大航海時代は、猫が世界に広まるきっかけにもなりました。
通商や貿易のときに一緒に船に乗る「船乗り猫」の光景は頻繁に見られたといいます。船に猫が乗っていた大きな理由は、船のロープや食糧にダメージを与えるネズミ駆除のため。
猫は船乗りたちからも愛され、大切にされていました。
ちなみに、今でも残る英語の航海用語には、「cat」を使ったものがあるんですよ。
たとえば、「Catboat(一本マストの帆船)」や「Cat head(いかりを支えるために船体から伸びる横木)」などです。
なぜ猫はネズミを捕まえるの?
【豆知識】
世界中でネズミの対策として重宝された猫。なぜネズミを捕まえるのでしょうか?
その理由は、イエネコの先祖であるリビアヤマネコの習性の名残りと言われています。
小鳥やネズミなど、小動物を獲物にしていたリビアヤマネコ。
その頃の名残りで現在もイエネコはすばしっこくて小さなものを追いかけ、捕まえる習性を持っています。
【中世ヨーロッパ】
古くから様々な国で愛されてきた猫。
しかし残念ながら、中世ヨーロッパでは猫は迫害されるようになってしまい、暗黒の時代を迎えます。
•魔女の手先?迫害の暗黒期
世界の猫の歴史のなかで、暗黒期とも言えるのが中世ヨーロッパです。
キリスト教が大きな力を持ち始めた当時のヨーロッパでは、ほかの宗教を排除する動きが活発化しました。
16世紀になると「魔女狩り」や「魔女裁判」が行われるようになります。
猫が夜行性であることや、暗闇であやしく光る目などが理由で、魔女と猫が結びつけられてしまい、猫は魔女の手先だと吹聴されてしまったのです。
このことから、多くの猫がひどい方法で殺されてしまいました。特に黒猫はよりひどい迫害を受けたといいます。
•ネズミ大量発生により名誉挽回!
猫が迫害を受け、数が減ってしまうと、ネズミによる被害が大きくなっていきました。
ネズミの大量発生により、ペストなどの伝染病が蔓延。これを受けて17世紀ごろには、改めて猫の重要性が認識されるようになりました。
17世紀の終わりには、フランス文学界の代表作『長靴をはいた猫』が登場し人気になります。
それをきっかけに18世紀になると、猫が登場する民話や文学作品が多く誕生。次第に人々の猫に対するイメージも良いものに変わっていきました。
ちなみに、私(筆者)はイギリスに住んでいますが、イギリスでは現在でもネズミが出ることがあります(私は幸い見たことがありませんが)。そのため、「ネズミ対策には猫を飼うことが一番良い方法」と今でも広くいわれていますよ。
日本の猫と人の歴史
世界の猫の歴史がわかったところで、ここからは日本に視点を移してみましょう♪
先ほどもご紹介したとおり、猫の起源は中東の砂漠。それではいったい、猫は日本にいつどのように伝わったのでしょうか?
日本に猫が来たのはいつごろ?
いつ日本に猫が伝わったのか、はっきりとした記録は残っていませんが、6世紀ごろ、仏教の伝来とともに中国からやってきたと考えられています。仏教寺院の建物や経典、書物などをネズミから守るために、猫は欠かせない存在だったのです。
一方、2100年前ごろ、弥生時代からすでに日本には猫が存在していたという説もあります。ただし、こちらはヤマネコに近い種類だったと考えられています。
高貴な身分にだけ許された猫の飼育
飼い猫について、日本でもっとも古い記述は、平安時代初期までさかのぼります。
第59代天皇・宇多天皇は、日記「寛平御記」のなかで、父である光考天皇から譲り受けた黒猫について記しています。猫がおかゆを与えられたり、宮中のなかを静かに歩く姿などが細かく丁寧に、愛情をもって書かれています。
また、第66代天皇である一条天皇も無類の猫好きとして有名です。
なんと一条天皇のもとにいたこの猫は、「命婦の御許(みょうぶのおとど、みょうぶのおもと)」という名前が付けられ、位まで与えられていました。
ちなみに命婦は従五位下以上の女性のこと、御許は高貴な女性の敬称です。
現在のように愛玩動物として飼われていた猫ですが、誰でも飼えたわけではありません。
当時、猫はまだまだ数が少なく貴重な存在でした。そのため、猫の飼育は身分の高い人々にだけ許されたものでした。
ネズミ除けに猫の絵が大流行!?
鎌倉時代以降になると、貴族だけでなく一般の人々も猫を飼うようになります。
ネズミ駆除が主な目的で、慶長7年(1602年)にはネズミによる害を減らすために、猫をつながずに放し飼いにするようにという命令が出されました。
しかし江戸時代のはじめごろまでは、やはり猫の数は多くありませんでした。
そこで、ネズミを駆除する力があるとして猫の絵が重宝されました。商人たちは猫の絵が描かれたものをお守りとして売り、それが大流行したそうです。
ちなみに、縁起物である招き猫も江戸時代に誕生したといわれていますよ。
ネコの語源は?
【豆知識】
「猫」という言葉の語源については、諸説あります。
たとえば、いつも寝ているから「寝る子」、それが変化して「ねこ」になったという説があります。
また、「ね(ネズミ)」に神または熊を意味する「こま」という言葉がつき「ねこま」となり、やがて語尾の「ま」が欠落し「ねこ」となった説もあります。
さらに、平安時代に猫の鳴き声を「ねうねう」と表現しており、親しみを込めた接尾語「こ」をつけて「ねうこ」と呼び、それが変化して「ねこ」になったという説も。
どんな理由で「猫」という言葉になったのか、あれこれ想像するのも楽しいですね。
猫の歴史を知ると、もっと猫が好きになる♪
世界の猫の歴史は、みなさんが思っていたよりもずっと古かったのではないでしょうか?
中世ヨーロッパなど迫害された暗黒期もありますが、それを乗り越えて、人々から愛され大切にされてきました。
猫の歴史を知ることでより猫への理解が深まり、さらに好きになるのではないでしょうか?
これからも、猫と人間がお互い幸せに一緒に暮らしていけると良いですね♪