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イタリア・ローマのシンボルでもある世界遺産コロッセオは、一度は見たことがあってもどのような建物か知らない人も多いのではないでしょうか?そこで今回はコロッセオの歴史や見どころを中心に解説していきます。
コロッセオに潜む残忍な歴史や、当時の技術の高さが伺える建築構造など注目すべきポイントで溢れていますよ!
建設から約2000年経った今でも私たちを魅了してやまない世界遺産コロッセオ。まずは基本情報から確認していきましょう。
一部が半壊してしまっている外観からして歴史の深そうなコロッセオですが、建設されたのは紀元後80年と今から2000年近くも前。円形格闘場として建設されました。当時の正式名称は「フラウィウス円形闘技場」でしたが、すぐ近くに皇帝ネロの巨像(コロッスス)があったことから、次第にコロッセオと呼ばれるようになりました。
建設を命じたのはローマ帝国の皇帝で、フラウィウス朝をおこしたウェスパシアヌス帝。コロッセオは規模が大きく建設に約10年の期間を要したので、彼の存命中に完成の日の目を浴びることはなく、次のティトウス帝の時にようやく完成しました。
それから6世紀になり使用されなくなるまで、ローマ市民たちの娯楽の場として親しまれ、今日では多くの観光客が訪れる人気スポットとなりました。
コロッセオが建設されたのは、イタリアのローマ。今でも芸術や文化の都として人気の都市ですが、キリスト教の中心地としても有名ですよね。ローマの起源は紀元前10世紀にまでさかのぼると言われています。
紀元前10世紀ごろから人々が定住していき、紀元前27年にローマ初代皇帝アウグストゥスの帝政がはじまると、凱旋門や劇場、大浴場などが次々に建設されていきました。そして紀元後の313年にキリスト教が認められると聖堂も建設されるように。今でも一部が残っており当時の雰囲気を味わえますよ。
コロッセオのような円形闘技場は、フランスの「ニーム古代円形闘技場」や、ドイツの「トリアー古代円形闘技場」、リビアの「レプティス・マグナの古代円形闘技場」など各地に点在しているので気になる人は行ってみてくださいね。
コロッセオは単体で世界遺産に登録されているのではなく、「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」という名で他の構成資産とともに1980年に世界遺産に登録されています。コロッセオという構成資産はイタリアのものですが、全体としてはイタリアとバチカン市国の2国による世界遺産です。
世界遺産には登録される際の10の基準があり、Ⅰ~Ⅵまでが文化遺産、Ⅶ~Ⅹまでが自然遺産としての登録基準となっています。1つでも認められれば世界遺産として認定されますが、「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」の登録基準はⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅵと文化遺産の基準の6分の5。
それだけ価値が認められているのは、約3000年にわたり様々な時代に建設された建物が保存状態の良い状態で残っていること、建築、絵画、彫刻分野における古代ローマの作品群たちが世界中に多大な影響を与えてきたこと、宗教や文明の中心地として現在も人々から尊敬されていることが理由と言えます。
世界遺産「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」には、今回詳しくご紹介するコロッセオのほかに以下の構成資産もあるので、イタリア旅行をする人はぜひ一緒に見学してみてくださいね。
そもそもなぜコロッセオは建設されたのでしょうか?そして、あの巨大な建物は何に利用されていたのでしょう?それらの謎には、ティトゥス帝の政治に対する思惑がありました。
闘技場というと皆さんはどんなものを想像しますか?とても現在の私たちには想像できないかもしれませんが、当時の闘技場は本当の殺し合いをする場として利用されていました。
おもに奴隷や戦争で捕虜になった人たち、猛獣などを戦わせて殺し合いをさせるのです。それを観客はまるで競技を観戦するような感覚で見ていたのだとか。そんな凄惨な戦いが市民たちにとって娯楽のひとつだったなんて、今ではとても考えられませんよね。
ほかにも、コロッセオ内に水を溜めて海に見立て、海賊同士の模擬海戦を行う場としても使用されていたのだそう!かなりの広さがあるコロッセオだからこそできたことですよね。
コロッセオの建設には「パンと見世物」というローマの政策方針が関係しており、市民に娯楽を与えることで政治のコントロールをはかったり、市民からの人気を得たり、市民の意見を知る場を設けて政治に反映したりしようという意図がありました。
それでも殺し合いが娯楽のひとつなんて当時の人々の考え方には賛同できませんが、財政再建のため市民に重税が課されたことによるストレスの吐き出し場のような位置づけだったのかもしれませんね。
また、戦いに勝ち続けた剣闘士(グラディエーター)は大金がもらえたり、自由の身になれたりしたようで、毎度命と人生をかけた戦いが繰り広げられていました。
コロッセオは罪人を公開処刑する場でもありました。その内容は、十字架に磔にした状態で猛獣に食べさせるというもの。この様子を当時のローマ市民たちはご飯を食べながら見ていたのだとか…。
またコロッセオが完成してから100日間にわたり、多くの催し物が行われていました。「コロッセオ開幕の百日間」として歴史に残っていますが、何が行われていたと思いますか?
なんと午前中には猛獣狩りや猛獣同士の格闘、昼頃には公開処刑、午後はグラディエーターと呼ばれる剣闘士による戦いが行われたのだとか。その残虐な催しの数々により、100日の間でコロッセオは血で赤く染まったのだそう。
現在の価値観では到底理解に及びませんが、人類の負の歴史として知っておくことも大切かもしれません。
コロッセオの構造には当時の高い建築技術と意匠がふんだんに込められています。どんなものがあったのでしょうか?詳しく解説していきます。
コロッセオの大きさは、約5万人を収容できるほど大規模なものでした。「フラウィウス円型闘技場」と呼ばれていたので正円だと思うかもしれませんが、実は楕円形。短軸は約115.6m、長軸は約187mあり、高さは約48m。さらに3層の柱で構成されています。
柱は下の層から
と呼ばれる様式の柱を採用しています。
ドーリア式はシンプルなデザインで厳かな印象、イオニア式は柱頭の両脇に渦が巻いたデザインが施されており、コリント式は柱頭に植物を模した装飾があり優美な印象をもたらします。また柱の間にはアーチ型が入れられることで強度が増し、地震にも強い構造になっています。
またコロッセオの素材にはおもに火山灰、石灰、火山岩、海水を混ぜ合わせて作られたローマン・コンクリートが使用されていました。これは現在のコンクリートとは比にならないほどの耐久性と強度を誇ります。この素材も、約2000年経った現在でもコロッセオが良い状態を保ち続ける理由のひとつと言えるでしょう。
現在コロッセオは壁の一部が半壊していますが、その理由は中世時代にほかの建築物を建てる際の資材として使われたためという説があります。
壁だけでなく床部分もぽっかり空いており、地下の遺構が上から見られるようになっていますよ。
巨大建築物コロッセオには見ておくべきスポットがたくさんあります。当時の建築技術の高さを体感できるので、隅々まで見学してみましょう。
先ほども触れたように床の大部分が崩れていますが、近くで見るとその広さと大きさに圧倒されること間違いなし。
長径約75m、短径約44mのアリーナを舞台に、数々の剣闘士や猛獣が戦っていたことを想像するだけで熱い気持ちになります。
コロッセオの地下は、剣闘士や猛獣を待機させる場所や機材や道具の保管室として使用されていました。
ほかにも、猛獣たちの入場シーンを盛り上げるために跳ね上げ式の出入り口が設置されていたり、人力で稼働するエレベーターもあったりと、当時の技術力の高さに驚かされますよ。
コロッセオの全体像を見たいのであれば観客席がおすすめです。観客席のうち、1階は貴族階級、2階は騎士、3階は一般市民、最上階は市民権を持たない奴隷や女性たちに分かれていました。
さらに、最上階へ行くにつれて階段を狭くしているのもコロッセオの特徴で、わざと狭くすることで、身分の高い人たちが先に退場できるようにする意図があったのだとか!
もちろんコロッセオの外観も外せない見どころ。下からそれぞれの柱の構造を確認したり、少し離れてほかの観光スポットと一緒に写真を撮ったりして見学を楽しんでくださいね。
コロッセオを見学するのであれば、すぐ近くにあるコンスタンティヌス凱旋門やフォロ・ロマーノ、真実の口なども一緒に観光するのがおすすめです。
コロッセオと同様の世界遺産である「コンスタンティヌス凱旋門」は、後のローマ皇帝コンスタンティヌスがマクセンティウスとの戦いで勝利したことを記念して315年に建造されました。この凱旋門はフランス・パリのエトワール凱旋門のモデルになったとも言われています。重厚感があって近づくほどに迫力を感じられますよ。
また同じく世界遺産の「フォロ・ロマーノ」は“ローマ市民の広場”という意味で、紀元前6世紀から紀元後3世紀までの古代ローマ時代の遺構の数々が残っています。「サトゥルヌスの神殿」や「セプティミウス・セウェルス帝の凱旋門」、「フォカス帝の記念柱」、「元老院議事堂(クーリア・ユリア)」などの見どころも多いので、時間には余裕を持って行くのがおすすめです。
さらに映画『ローマの休日』で有名になった真実の口もすぐ近くにあります。噓つきは手を噛まれるという有名な言い伝え、実際に試してみてはいかがですか?
それでは実際にコロッセオを観光する上で知っておきたい、チケットの購入方法や行き方について解説します。長い歴史のあるコロッセオは、まれに修復作業などで一部の施設に入れなかったりするので、必ず最新情報を確認してから行くようにしましょう。
コロッセオを観光するためには、事前に日時を指定したチケットを購入しなければなりません。当日窓口で販売されていることもありますが、チケットに空きがある時のみなので購入できない可能性も。絶対に行きたい場合は必ず事前予約をしておきましょう。
コロッセオのチケットは公式HPで販売されており、ガイド付きツアー(日本語なし)、個人(~8人まで)、グループ(9~25人)、学校と、大きく4種類に分かれています。
さらに見学エリアで分かれたチケットや、ほかの遺跡の入場料が含まれているチケットなどいくつかあるので都合の良いものを選びましょう。
おすすめなのは、
が付いたフルアクセスチケット「FULL EXPERIENCE TICKET WITH ENTRY TO THE ARENA OF THE COLOSSEUM」で、金額は24ユーロ(18歳以上)です。
アリーナには行かなくてもいいからとにかくコロッセオの内部を見てみたいという人には、一般的な「24h – COLOSSEUM, ROMAN FORUM, PALATINE」もおすすめですよ。こちらの金額はフルアクセスチケットより少し安い18ユーロ(18歳以上)です。
予約時間の15分前を目安にコロッセオの入り口で待機しましょう。係員がチケットを確認してくれるので、スマートフォンの画面や予約していることが分かる紙を持参してください。現在はチケット転売防止のために本人確認がされるので、パスポートを持って行くのも忘れずに。
また、購入したチケットによって通路が異なるので、案内を確認しながら見学しましょう。チケットの種類によっても見学時間は異なりますが、コロッセオに入場してからの目安は30分~1時間ほどです。
コロッセオ周辺は道路が混雑しやすいので、可能な限り公共交通機関を利用するのがおすすめです。
おもな行き方は地下鉄かバスの2通り。地下鉄の場合は地下鉄B線「コロッセオ」駅から歩いて約3分で到着します。改札を出るとすぐ目の前にコロッセオが見えるので迷うことはありません。
バスの場合、最寄りのバス停「コロッセオ」に51、75、85、87、117、118系統バスが停車するので利用してみると良いでしょう。
ローマ市内を中心に観光するのであれば、バスやトラム、地下鉄が乗り放題のチケットが販売されているので目的に応じて検討するのもおすすめ。24時間乗り放題で7ユーロから購入できます。
繰り返しになりますが、コロッセオの観光にはチケットの事前オンライン購入が必要です。忘れずに行っておきましょう。
また、コロッセオ入場時には手荷物検査があり大きな荷物は持ち込みが許可されていません。付近にコインロッカーなどの荷物を預ける場所もないので、最低限必要な手荷物のみを持って行くようにしましょう。
さらに指定時間に15分以上遅れてしまうとチケットが無効になってしまうので、時間には余裕を持って行動するのが吉。毎日数千人もの観光客が押しよせるコロッセオでは、観光客を狙った客引きやチケットの悪質転売などが行われている可能性もあるので、怪しい人には十分注意しましょう。
ローマで人気の世界遺産コロッセオについて詳しくご紹介しました。コロッセオは紀元後80年に建てられたとは思えないほど高い建築技術を誇り、また同時に狂気の歴史を感じさせる観光スポットです。
百聞は一見に如かずとは言いますが、事前に歴史を知ってから見学するのとそうでないとでは見え方も大きく変わってくるでしょう。
ぜひコロッセオやその周辺の遺跡を巡って、古代ローマの人々の暮らしに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?
イタリア・ローマのシンボルでもある世界遺産コロッセオは、一度は見たことがあってもどのような建物か知らない人も多いのではないでしょうか?
そこで今回はコロッセオの歴史や見どころを中心に解説していきます。
コロッセオに潜む残忍な歴史や、当時の技術の高さが伺える建築構造など注目すべきポイントで溢れていますよ!
目次
世界遺産コロッセオの基本情報
建設から約2000年経った今でも私たちを魅了してやまない世界遺産コロッセオ。まずは基本情報から確認していきましょう。
コロッセオの歴史
一部が半壊してしまっている外観からして歴史の深そうなコロッセオですが、建設されたのは紀元後80年と今から2000年近くも前。円形格闘場として建設されました。
当時の正式名称は「フラウィウス円形闘技場」でしたが、すぐ近くに皇帝ネロの巨像(コロッスス)があったことから、次第にコロッセオと呼ばれるようになりました。
建設を命じたのはローマ帝国の皇帝で、フラウィウス朝をおこしたウェスパシアヌス帝。
コロッセオは規模が大きく建設に約10年の期間を要したので、彼の存命中に完成の日の目を浴びることはなく、次のティトウス帝の時にようやく完成しました。
それから6世紀になり使用されなくなるまで、ローマ市民たちの娯楽の場として親しまれ、今日では多くの観光客が訪れる人気スポットとなりました。
コロッセオの建設場所
コロッセオが建設されたのは、イタリアのローマ。今でも芸術や文化の都として人気の都市ですが、キリスト教の中心地としても有名ですよね。
ローマの起源は紀元前10世紀にまでさかのぼると言われています。
紀元前10世紀ごろから人々が定住していき、紀元前27年にローマ初代皇帝アウグストゥスの帝政がはじまると、凱旋門や劇場、大浴場などが次々に建設されていきました。
そして紀元後の313年にキリスト教が認められると聖堂も建設されるように。今でも一部が残っており当時の雰囲気を味わえますよ。
【雑学】
コロッセオのような円形闘技場は、フランスの「ニーム古代円形闘技場」や、ドイツの「トリアー古代円形闘技場」、リビアの「レプティス・マグナの古代円形闘技場」など各地に点在しているので気になる人は行ってみてくださいね。
コロッセオはなぜ世界遺産に登録されたのか?
コロッセオは単体で世界遺産に登録されているのではなく、「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」という名で他の構成資産とともに1980年に世界遺産に登録されています。
コロッセオという構成資産はイタリアのものですが、全体としてはイタリアとバチカン市国の2国による世界遺産です。
世界遺産には登録される際の10の基準があり、Ⅰ~Ⅵまでが文化遺産、Ⅶ~Ⅹまでが自然遺産としての登録基準となっています。
1つでも認められれば世界遺産として認定されますが、「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」の登録基準はⅠ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ、Ⅵと文化遺産の基準の6分の5。
それだけ価値が認められているのは、約3000年にわたり様々な時代に建設された建物が保存状態の良い状態で残っていること、建築、絵画、彫刻分野における古代ローマの作品群たちが世界中に多大な影響を与えてきたこと、宗教や文明の中心地として現在も人々から尊敬されていることが理由と言えます。
世界遺産「ローマ歴史地区、教皇領とサン・パオロ・フオーリ・レ・ムーラ大聖堂」には、今回詳しくご紹介するコロッセオのほかに以下の構成資産もあるので、イタリア旅行をする人はぜひ一緒に見学してみてくださいね。
世界遺産コロッセオは何に使われた?
そもそもなぜコロッセオは建設されたのでしょうか?そして、あの巨大な建物は何に利用されていたのでしょう?それらの謎には、ティトゥス帝の政治に対する思惑がありました。
闘技場
闘技場というと皆さんはどんなものを想像しますか?
とても現在の私たちには想像できないかもしれませんが、当時の闘技場は本当の殺し合いをする場として利用されていました。
おもに奴隷や戦争で捕虜になった人たち、猛獣などを戦わせて殺し合いをさせるのです。それを観客はまるで競技を観戦するような感覚で見ていたのだとか。
そんな凄惨な戦いが市民たちにとって娯楽のひとつだったなんて、今ではとても考えられませんよね。
ほかにも、コロッセオ内に水を溜めて海に見立て、海賊同士の模擬海戦を行う場としても使用されていたのだそう!かなりの広さがあるコロッセオだからこそできたことですよね。
コロッセオの建設には「パンと見世物」というローマの政策方針が関係しており、市民に娯楽を与えることで政治のコントロールをはかったり、市民からの人気を得たり、市民の意見を知る場を設けて政治に反映したりしようという意図がありました。
それでも殺し合いが娯楽のひとつなんて当時の人々の考え方には賛同できませんが、財政再建のため市民に重税が課されたことによるストレスの吐き出し場のような位置づけだったのかもしれませんね。
また、戦いに勝ち続けた剣闘士(グラディエーター)は大金がもらえたり、自由の身になれたりしたようで、毎度命と人生をかけた戦いが繰り広げられていました。
処刑場
コロッセオは罪人を公開処刑する場でもありました。その内容は、十字架に磔にした状態で猛獣に食べさせるというもの。
この様子を当時のローマ市民たちはご飯を食べながら見ていたのだとか…。
またコロッセオが完成してから100日間にわたり、多くの催し物が行われていました。「コロッセオ開幕の百日間」として歴史に残っていますが、何が行われていたと思いますか?
なんと午前中には猛獣狩りや猛獣同士の格闘、昼頃には公開処刑、午後はグラディエーターと呼ばれる剣闘士による戦いが行われたのだとか。
その残虐な催しの数々により、100日の間でコロッセオは血で赤く染まったのだそう。
現在の価値観では到底理解に及びませんが、人類の負の歴史として知っておくことも大切かもしれません。
世界遺産コロッセオの構造
コロッセオの構造には当時の高い建築技術と意匠がふんだんに込められています。
どんなものがあったのでしょうか?詳しく解説していきます。
大きさ・柱の構造・素材
コロッセオの大きさは、約5万人を収容できるほど大規模なものでした。「フラウィウス円型闘技場」と呼ばれていたので正円だと思うかもしれませんが、実は楕円形。
短軸は約115.6m、長軸は約187mあり、高さは約48m。さらに3層の柱で構成されています。
柱は下の層から
と呼ばれる様式の柱を採用しています。
ドーリア式はシンプルなデザインで厳かな印象、イオニア式は柱頭の両脇に渦が巻いたデザインが施されており、コリント式は柱頭に植物を模した装飾があり優美な印象をもたらします。
また柱の間にはアーチ型が入れられることで強度が増し、地震にも強い構造になっています。
またコロッセオの素材にはおもに火山灰、石灰、火山岩、海水を混ぜ合わせて作られたローマン・コンクリートが使用されていました。これは現在のコンクリートとは比にならないほどの耐久性と強度を誇ります。
この素材も、約2000年経った現在でもコロッセオが良い状態を保ち続ける理由のひとつと言えるでしょう。
コロッセオが半壊している理由
現在コロッセオは壁の一部が半壊していますが、その理由は中世時代にほかの建築物を建てる際の資材として使われたためという説があります。
壁だけでなく床部分もぽっかり空いており、地下の遺構が上から見られるようになっていますよ。
世界遺産コロッセオの見どころ
巨大建築物コロッセオには見ておくべきスポットがたくさんあります。
当時の建築技術の高さを体感できるので、隅々まで見学してみましょう。
アリーナ
先ほども触れたように床の大部分が崩れていますが、近くで見るとその広さと大きさに圧倒されること間違いなし。
長径約75m、短径約44mのアリーナを舞台に、数々の剣闘士や猛獣が戦っていたことを想像するだけで熱い気持ちになります。
地下
コロッセオの地下は、剣闘士や猛獣を待機させる場所や機材や道具の保管室として使用されていました。
ほかにも、猛獣たちの入場シーンを盛り上げるために跳ね上げ式の出入り口が設置されていたり、人力で稼働するエレベーターもあったりと、当時の技術力の高さに驚かされますよ。
観客席
コロッセオの全体像を見たいのであれば観客席がおすすめです。
観客席のうち、1階は貴族階級、2階は騎士、3階は一般市民、最上階は市民権を持たない奴隷や女性たちに分かれていました。
さらに、最上階へ行くにつれて階段を狭くしているのもコロッセオの特徴で、わざと狭くすることで、身分の高い人たちが先に退場できるようにする意図があったのだとか!
外観
もちろんコロッセオの外観も外せない見どころ。下からそれぞれの柱の構造を確認したり、少し離れてほかの観光スポットと一緒に写真を撮ったりして見学を楽しんでくださいね。
隣接する古代ローマ遺跡
コロッセオを見学するのであれば、すぐ近くにあるコンスタンティヌス凱旋門やフォロ・ロマーノ、真実の口なども一緒に観光するのがおすすめです。
コロッセオと同様の世界遺産である「コンスタンティヌス凱旋門」は、後のローマ皇帝コンスタンティヌスがマクセンティウスとの戦いで勝利したことを記念して315年に建造されました。
この凱旋門はフランス・パリのエトワール凱旋門のモデルになったとも言われています。重厚感があって近づくほどに迫力を感じられますよ。
また同じく世界遺産の「フォロ・ロマーノ」は“ローマ市民の広場”という意味で、紀元前6世紀から紀元後3世紀までの古代ローマ時代の遺構の数々が残っています。
「サトゥルヌスの神殿」や「セプティミウス・セウェルス帝の凱旋門」、「フォカス帝の記念柱」、「元老院議事堂(クーリア・ユリア)」などの見どころも多いので、時間には余裕を持って行くのがおすすめです。
さらに映画『ローマの休日』で有名になった真実の口もすぐ近くにあります。噓つきは手を噛まれるという有名な言い伝え、実際に試してみてはいかがですか?
コロッセオを観光しよう
それでは実際にコロッセオを観光する上で知っておきたい、チケットの購入方法や行き方について解説します。
長い歴史のあるコロッセオは、まれに修復作業などで一部の施設に入れなかったりするので、必ず最新情報を確認してから行くようにしましょう。
事前予約は必要?
コロッセオを観光するためには、事前に日時を指定したチケットを購入しなければなりません。
当日窓口で販売されていることもありますが、チケットに空きがある時のみなので購入できない可能性も。絶対に行きたい場合は必ず事前予約をしておきましょう。
チケット購入方法・料金
コロッセオのチケットは公式HPで販売されており、ガイド付きツアー(日本語なし)、個人(~8人まで)、グループ(9~25人)、学校と、大きく4種類に分かれています。
さらに見学エリアで分かれたチケットや、ほかの遺跡の入場料が含まれているチケットなどいくつかあるので都合の良いものを選びましょう。
おすすめなのは、
が付いたフルアクセスチケット「FULL EXPERIENCE TICKET WITH ENTRY TO THE ARENA OF THE COLOSSEUM」で、金額は24ユーロ(18歳以上)です。
アリーナには行かなくてもいいからとにかくコロッセオの内部を見てみたいという人には、一般的な「24h – COLOSSEUM, ROMAN FORUM, PALATINE」もおすすめですよ。こちらの金額はフルアクセスチケットより少し安い18ユーロ(18歳以上)です。
見学方法・所要時間
予約時間の15分前を目安にコロッセオの入り口で待機しましょう。
係員がチケットを確認してくれるので、スマートフォンの画面や予約していることが分かる紙を持参してください。現在はチケット転売防止のために本人確認がされるので、パスポートを持って行くのも忘れずに。
また、購入したチケットによって通路が異なるので、案内を確認しながら見学しましょう。
チケットの種類によっても見学時間は異なりますが、コロッセオに入場してからの目安は30分~1時間ほどです。
コロッセオへの行き方
コロッセオ周辺は道路が混雑しやすいので、可能な限り公共交通機関を利用するのがおすすめです。
おもな行き方は地下鉄かバスの2通り。
地下鉄の場合は地下鉄B線「コロッセオ」駅から歩いて約3分で到着します。改札を出るとすぐ目の前にコロッセオが見えるので迷うことはありません。
バスの場合、最寄りのバス停「コロッセオ」に51、75、85、87、117、118系統バスが停車するので利用してみると良いでしょう。
ローマ市内を中心に観光するのであれば、バスやトラム、地下鉄が乗り放題のチケットが販売されているので目的に応じて検討するのもおすすめ。
24時間乗り放題で7ユーロから購入できます。
コロッセオ観光の注意点
繰り返しになりますが、コロッセオの観光にはチケットの事前オンライン購入が必要です。忘れずに行っておきましょう。
また、コロッセオ入場時には手荷物検査があり大きな荷物は持ち込みが許可されていません。付近にコインロッカーなどの荷物を預ける場所もないので、最低限必要な手荷物のみを持って行くようにしましょう。
さらに指定時間に15分以上遅れてしまうとチケットが無効になってしまうので、時間には余裕を持って行動するのが吉。
毎日数千人もの観光客が押しよせるコロッセオでは、観光客を狙った客引きやチケットの悪質転売などが行われている可能性もあるので、怪しい人には十分注意しましょう。
世界遺産コロッセオで古代ローマに思いを馳せよう
ローマで人気の世界遺産コロッセオについて詳しくご紹介しました。
コロッセオは紀元後80年に建てられたとは思えないほど高い建築技術を誇り、また同時に狂気の歴史を感じさせる観光スポットです。
百聞は一見に如かずとは言いますが、事前に歴史を知ってから見学するのとそうでないとでは見え方も大きく変わってくるでしょう。
ぜひコロッセオやその周辺の遺跡を巡って、古代ローマの人々の暮らしに思いを馳せてみてはいかがでしょうか?