掲載日:2024.10.03

怖すぎる!?「百鬼夜行」の意味とは?日本や世界の妖怪もたくさんご紹介!

みなさんは、「百鬼夜行」という言葉を聞いたことがありますか?「そもそもなんて読むの?」という方、「なんだか恐ろしそうな言葉だな」と感じた方など、さまざまだと思います。
そこで、このコラムでは、「百鬼夜行」という言葉の意味をわかりやすく解説していきたいと思います。

またあわせて、知っておくとちょっと自慢できるかもしれない日本や世界の怖い&おもしろい妖怪たちもたくさんご紹介します。

秋の夜長に、妖怪たちにちょっぴり想いをはせてみませんか?

世にも恐ろしい「百鬼夜行」とは?

「百鬼夜行」は、「ひゃっきやこう」または「ひゃっきやぎょう」と読みます。
どちらの読み方でも正しいのですが、どちらかというと、「ひゃっきやこう」と読むことの方がより一般的です。百の鬼、という字面からしても、とても怖そうな言葉ですよね。

ここからは、「百鬼夜行」の意味や絵巻、「百鬼夜行」という言葉の使い方などをご紹介していきます。

「百鬼夜行」の意味

「百鬼夜行」には、2つの意味があります。
まず1つめは、「妖怪や鬼などの化け物がぞろぞろと夜中に列をなして歩き回ること」という意味です。

もう1つの意味は「得体の知れない人々が怪しい振る舞いや奇怪な行動をすること、人々が人目につかないところで、グループになって悪事を働いたり勝手気ままにふるまうこと」というものです。

1つめの意味のように、実際に妖怪たちを指すこともあれば、2つめの意味のように人間たちを指すこともある、という点がこの言葉のポイントです。

日本の説話に登場する百鬼夜行

実際に妖怪たちを指す意味で使われる「百鬼夜行」は、昔から日本でさまざまな説話に登場してきました。
たとえば、平安時代末期にできたと考えられている『今昔物語集(こんじゃくものがたりしゅう)』には、右大臣藤原良相の長男・藤原常行が愛人のもとへ行く際に、100ほどの鬼の集団に遭遇したという話が残っています。

また、鎌倉時代にできたと考えられている『宇治拾遺物語(うじしゅういものがたり)』には、修行僧が100もの鬼の集団に出遭ったけれど、不動明王へ祈っていたことで命は助かった、という話があります。

「百鬼夜行絵巻」とは?

「百鬼夜行」を語るうえで欠かせないのが、百鬼夜行絵巻です。百鬼夜行絵巻とは、「百鬼夜行」の姿が描かれている絵巻物です。
現存する最古の百鬼夜行絵巻は、室町時代後期に土佐光信によって描かれたと考えられている『真珠庵本』という名前のものです。

なお、この絵巻には言葉が書かれていないので、描かれているのがどのようなシーンなのかは、見る人の想像に任されます。『真珠庵本』の「百鬼夜行絵巻」には、青鬼・赤鬼、琵琶・琴の妖怪、鰐口(わにぐち:お寺の軒先に掛けられた楽器のこと)の妖怪などが描かれています。

ほかの「百鬼夜行絵巻」には、おかめのような化け物やお歯黒女、鍋、釜などの器物や調度品が化け物の姿になったものなども描かれているんですよ。

「百鬼夜行絵巻」とは?

「百鬼夜行」という言葉の使い方

「百鬼夜行」という言葉は、日常の会話で使われることもあります。
たとえば、お化けや妖怪のことをあらわして「百鬼夜行」を使う場合には「このトンネルのあたりは気味が悪くて、夜通ると百鬼夜行に出くわしそうだ。」といった文が挙げられます。

人間のことをあらわして「百鬼夜行」を使う場合には、「財政界は百鬼夜行の群れである。」といった文が挙げられます。

「百鬼夜行」に似た言葉もあります。
たとえば、「魑魅魍魎(ちみもうりょう)」は、「色々な化け物」や「私欲のために悪いことを行う人」という意味があります。
また、「妖怪変化(ようかいへんげ)」は「不思議で恐ろしい化け物」という意味の言葉です。

日本の妖怪と世界の妖怪

つづいて、日本の妖怪と世界の妖怪についてたくさんご紹介していきたいと思います。

最恐 日本の妖怪三選

日本には古くから多くの妖怪がいると伝えられてきましたが、ここではそのなかでも特に恐ろしい妖怪たちをご紹介します。

●八岐大蛇(やまたのおろち)

『古事記(こじき)』や『日本書紀(にほんしょき)』といった古い書物にも登場する「八岐大蛇(やまたのおろち)」。
名前だけは聞いたことがある、という方も多いのではないでしょうか。

八岐大蛇は、日本神話のなかでももっとも恐ろしい妖怪と言われています。
見た目は、頭が8つ、尾が8つ、谷を8つ渡るほどの大きな体で、体表にはコケや杉が生えているといいます。八岐大蛇は、出雲を毎年訪れて娘たちをひとりずつ食べていました。須佐之男命(すさのおのみこと)が、出雲の国に降り立つと櫛名田比売(くしなだひめ)という美しい娘に出会います。

しかし、今年は櫛名田比売が八岐大蛇に食べられてしまう運命にあると聞き、彼女との結婚を条件に、八岐大蛇の退治に挑みます。須佐之男命は、8つの頭を切り離し、八岐大蛇の命を絶ちました。
そのとき、八岐大蛇の尾から剣が出てきたのですが、これが有名な「草薙剣(くさなぎのつるぎ)」です。その後、須佐之男命と櫛名田比売は結婚し出雲で暮らしました。

八岐大蛇(やまたのおろち)

●玉藻前(たまものまえ)

玉藻前(たまものまえ)は、平安時代に鳥羽上皇に寵愛されていた女性。
しかし、本当は九尾の狐でした。そのことを陰陽師に知られてしまい、白面金毛の九尾の狐の姿となって姿を消しました。

九尾の狐は、近づいてきた人間や動物の命を奪っていき、人々を恐れさせました。その後、那須野で武士に退治されてしまいます。しかし、まだ恨みを持っていた玉藻前は、「殺生石」となり、その後も人々を困らせたといいます。

玉藻前(たまものまえ)

●鵺(ぬえ)

日本に昔から伝わる妖怪・鵺(ぬえ)。
『平家物語』には「不思議な声で鳴く得体の知れないもの」と書かれています。見た目はサルの顔にタヌキの胴体、トラの手足、ヘビの尻尾といわれています。「ヒョー、ヒョー」という不気味な声が特徴です。

平安時代末期、鵺は天皇の住む御所の清涼殿に毎晩のように現れました。
その不気味な声を聞き続けた天皇は、ついに病に倒れてしまいます。祈祷や薬を使ってもその病は治らず、天皇の側近は弓の名人であった源頼政に退治を命じました。
源頼政は見事鵺を退治。鵺の死体は、淀川に流されて下流に流れ着きました。近くの村人たちは祟りを恐れて、鵺を京都府の清水寺に埋め祟りが起きないように弔ったといいます。

鵺(ぬえ)

世界の不思議な妖怪三選

つづいて、世界の妖怪をご紹介します。

●獏(ばく)

獏(ばく)は中国の伝承や伝説に登場するものです。人の見る夢を食べると言われており、楽しい夢を見ている人には悪い夢を吹きかけて睡眠をさまたげると考えられてきました。

●吸血鬼

ドラキュラやバンパイアとも呼ばれる人の生き血を吸う妖怪です。吸血鬼の起源は古代ローマ、ギリシャ、エジプトにまでさかのぼるといわれています。
ヨーロッパで吸血鬼信仰がピークを迎えたのは、感染症がはやった中世のことでした。その当時はまだ病理学も発達しておらず、なぜ疫病が起きるのか、人々は知識がなかったからです。

吸血鬼

●アイガムハ/アイガムチャブ

「アイガムハ/アイガムチャブ」とは、南部アフリカに住む狩猟採集民の「サン人」の伝承に伝わる怪物です。
見た目は人間とほぼおなじですが、足の甲に目があることが特徴。その目で物を見るため、四つん這いになって片足をあげているめずらしい姿勢をしていると考えられています。

恐ろしい人食いの妖怪と考えられていますが、獲物に襲いかかるときに走るため、前が見えなくなってしまうというちょっとおもしろい欠点もあります。

知ってる?!妖怪にまつわることわざ

最後に、日本や世界にある妖怪・お化け・幽霊にまつわることわざとその意味をご紹介します。

「河童の川流れ」

泳ぎのうまい河童でも、水に押し流されることがあるという由来から生まれた言葉で、どんなに何かが上手い人でも、時には失敗することもあるという意味があります。
会話では、「あの子は頭がいいのに今回は赤点を取ったらしい。河童の川流れとはこのことだね。」のように使うことができます。

「鬼が笑う」

当てにならないことを人が頼りにしているのを見て、その人をからかったりする言葉です。恐ろしい顔をしている鬼でさえ笑ってしまう、という由来から生まれた言葉で、会話では「まだ何もわからないのだから、来年のことを言うと鬼が笑うよ。」のように使うことができます。

True love is like ghosts, which everyone talks about and few have seen.

これは、フランスの貴族・文学者であったラ・ロシュフコーという人の言葉。「本当の合いは幽霊のようだ。みんなそれについて話すが、見た者は少ない」という意味があります。

意外と奥深い、妖怪の世界を味わおう♪

百鬼夜行という言葉は、その意味を想像するととても怖いですよね。たくさんの妖怪やお化けたちが夜に歩き回っている様子は、昔もいまも、人々を怖がらせるものです。日本や世界には、怖い妖怪やおもしろい妖怪など、さまざまなものがいます。

ぜひ、秋の夜長に意外と奥深い妖怪の世界に想いをはせてみませんか?

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