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日本には昔から言い伝えられてきたことわざがあります。 あまり日常会話で使うことはなくなってきましたが、知恵が詰まったことわざは、使いこなせば会話の内容が具体的になり、弾みをつけることもできます。
なかでも動物が登場することわざは使いやすいので、由来や使い方などを一緒に知っておくといいですね。 今回はそんな動物にまつわることわざや、登場回数が多い動物を紹介していきます!
日常会話の中でことわざを頻繁に使うことはないかもしれません。けれども小学校では、ことわざについて授業でも学びますよね。 その理由は、ことわざには生きていくための知恵が詰まっているから。ことわざはその国々によって違いがあります。つまりことわざを学ぶことは、その国の考え方や慣習を学ぶことにつながるのです。
そんなことわざには動物にまつわるものが多いと思いませんか? 昔の人はことわざを日常生活の中でずっと使ってきました。動物がよく登場するのは、それだけその動物が身近な存在であったという証です。
日本のことわざには『鳥』『牛』『馬』『魚』『犬』『猫』などがよく登場します。 いっぽうロシアのことわざには『熊』『猫』『馬』、アメリカでは『猿』『オオカミ』『羊』『ライオン』、フランスのことわざには『ねずみ』『猫』『犬』『ロバ』など、登場する動物たちが国によって異なるのは面白いですね。 次の章では、『鳥』『馬』『虎』『魚』が登場する日本のことわざについて紹介します。
日本のことわざには『鳥』がよく登場します。面白いのは、『鳥』によってもいい意味で使われたり、悪い意味で使われたりすることです。昔の人が『鳥』をどのように捉えていたのか、ことわざを通して知ることができますよ。
「雀 すずめ百まで踊り忘れず」は、スズメの歩くさまを「踊り」と表現し、若いスズメも年老いたスズメも同じように飛び跳ねて歩くことから、「若いころのクセは一生抜けないものだ」という意味で使います。
一見いい意味でも使えそうですが、昔は「踊り」を道楽として見ていたことから、「若いころと一緒で大人になってもだらしがない」と悪い意味で使われることが多いです。
「傷弓しょうきゅうの鳥」は、過去の出来事から恐怖におののく人や、物事に対して警戒心が強くなっている人のことを指すことわざです。弓矢で一度傷つけられた鳥は、楽器の弦をはじく音でさえ怯え飛び立つという意味が語源です。中国の遊説家たちの言説をまとめた、「戦国策」のなかに書かれている故事から生まれました。
実はこれも鳥にまつわることわざです。鳥の正体は『キジ』。 「けん」はキジの鳴き声、「ほろろ」はキジが飛び立つ羽音を指します(諸説あり)。 キジの「ケン!」とぶっきらぼうに鳴いて「ほろろ」と飛び去ってしまう様子を、昔の人は不愛想で冷たいと感じてできたことわざのようです。
余談ですが、同じような意味のことばで「つっけんどん(突慳貪)」があります。この「けん」も、「慳貪(愛想がないさま)」とキジの鳴き声「けん」を掛け合わせたダジャレなのでは?という説があります。
日本では、昔から馬が生活に欠かせない動物だったため、『馬』にまつわることわざもたくさんあります。じつは海外でも『馬』が登場することわざは多く、それだけ馬と人間は近い存在だったのです。では、日本では『馬』をどのように捉えてきたか見ていきましょう。
このことわざは、英語の「Don't look a gift horse in the mouth.」が語源となっています。 到来物とは贈り物のこと。もらった馬の口の中を覗いて(歯の具合で)値踏みしてはいけないよ、という訳ですが、ここから転じて「贈り物にケチをつけてはいけない」という意味で使われます。ことわざは中国由来のものが多いのですが、もちろんほかの国から伝わったものもあるのです。
「お土産でもらったこのお菓子、あまり好きじゃないんだよなぁ。」
「到来物の馬の口中は見るな、って言うでしょ。」
「え?なんだって?」
「もらいものにケチをつけるなってことよ。」
馬の上に乗っている人を射止めるには、その馬を先に射止める方がよい、という意味です。これが転じて、相手を自分の意に従わせるには、まず相手がもっとも信頼している人を従わせるのが近道であるという場面で使われます。
“将を射んと欲すれば、まず馬を射よ”と表現することもあります。もともとは中国唐代の詩人・杜甫の「前出塞」ぜんしゅつさいに書かれている文言ですが、江戸時代の詩人たちに影響を与えました。
「もうちょっとで彼女を落とせそうなんだよね。だから今度家へ遊びに行ったときには、彼女の母親の手料理をべた褒めしようかな。」
「人を射んとすれば先ず馬を射よ、というわけだね!」
「馬脚ばきゃくを露わす」の「馬脚」とは、お芝居で馬の足に扮した役者さんを指すことばです。本来は人の姿を見せてはいけないのに、うっかりお客さまに姿を見られてしまうことから、隠していた悪事がバレてしまうといった意味になります。このことわざも、もとは中国・元王朝の劇中からできたと言われています。(諸説あり)
十二支の動物でもある『虎』は、日本に生息していないにもかかわらず、ことわざに登場する動物です。しかも虎は万葉集や日本書紀にすでに登場していて、いかに古くから日本人は『虎』のことを知っていたかということがわかります。
ただし『虎』のことを知っていたのは、中国の故事成語や漢籍などから知識を得ていたから。実際に虎の生態をよく知っていたわけではないようです。
ことわざの「張子の虎」は、ネガティブな意味があります。張り子は型に和紙を貼り重ねて立体的に成形する置物です。形ができたら中の型は抜き取ってしまうため、空洞になります。
縁起物としての“張子の虎”は病魔退散や武運長久の象徴ですが、ことわざとして使うときには中身が空っぽであることを揶揄するように「見掛け倒しの人」「虚勢を張っている人」といった意味で使います。ほかにも「首を振る癖がある人」に対して使うこともあることわざです。
NHK連続テレビ小説で一躍有名になったことわざ『虎に翼』は、中国の法家・韓非子の言葉に由来しています。『虎』という強い存在に翼が生えたら無敵の存在になってしまうかも…と想像できることから、強い者に、さらに強さが加わるという意味で使います。わかりやすく言い換えると『鬼に金棒』と一緒ですね。
まわりを海で囲まれている日本では、魚にまつわることわざも多くあります。今でも日常会話で使われることわざも多いのですが、「えっ!これって魚のことだったの?」「これ魚が語源じゃないの!?」という意外なことわざも。そのうちのいくつかを紹介していきましょう。
「鯉の滝登り」は掛け軸の図柄として使われることも多く、縁起が良いことの象徴です。中国の「後漢書」に由来して、竜が登るといわれた急流を多くの魚が登ろうと試みたところ、鯉のみが登り切って竜となったという故事をもとにしています。
「勢いがいいこと」「立身出世のたとえ」というポジティブな場面でよく使われます。余談ですが、「鰻登り(うなぎのぼり)」というよく似たことわざがありますが、こちらは地位・物価・株価・気温に対して使われることわざです。混同しないように注意しましょう。
ここで使われている“海老”は、伊勢海老のような高級品ではなく、海で大量に獲れる安いエビのこと。安くて小さなエビで高級な『鯛』が釣れることから、わずかな元手で多くの利益を得ることを指すことわざです。
最近は海老が高級品であることから、「大きな利益のためには大きな投資が必要」と間違って使わないよう注意しましょう。
魚にとって“水”は切っても切れない関係です。それが転じて親密な間柄や交際を意味することわざになりました。あの有名な「三国志」に登場する劉備が、自身と軍師・諸葛孔明の仲を表現する際に使った言葉とされています。同じ意味の言葉として「水と魚」「竹馬の友」「旧知の仲」などがあげられます。
今でも日常的に使われる「あらを探す」ということわざも、魚が由来となっています。魚の食べられない部位(頭・骨・尾など)を“アラ”と言いますが、人や物事の欠点などマイナスな部分を“アラ”にたとえ、しつこく探し出そうとするさまを指すことわざとして誕生しました。
鱈はとても大食いでおなかが膨れていることが多いため、おなかいっぱい食べる様子を「たらふく食う」と表現すると言われることもありますが、これは間違いです。 ここで指す“たら”は、動詞「足らう(足らふ)」のことで「十分である」「満足である」という意味で使います。動詞「足らふ」+副詞「く」が「たらふく」の語源ですから、「鱈腹」は単なる当て字になります。
たくさんあることわざの中でも、動物が登場することわざはとても多いです。そこで気になるのが「ことわざで一番、登場回数が多い動物ってなに?」という素朴な疑問です。今回は、5000句のことわざが掲載されている『知って得することわざ大全集(メトロポリタンプレス)』から登場回数別にランキング形式でまとめてみました。
「借りてきた猫」「猫に小判」など、聞いたことがあることわざも多い『猫』ですが、登場回数だけで見ると第5位。ちょっと意外かもしれません。この理由は、中国の故事成語には猫がほとんど登場しないから。中国では猫より虎が人気だったようです。
昔から食卓に上ることが多かった『魚』は、やはり身近な存在だったようで、ことわざにもたくさん登場します。「逃した魚は大きい」のように有名なことわざも多いのですが、いまではほとんど使われなくなったことわざも多数あります。
第3位に食い込んだのが『牛』。ただし印象としては、現代ではあまり使われていないことわざが多い気がします。「牛を売って馬を買う(意味:不利を捨てて有利につくこと)」など聞いたことがあることわざもありますが、メジャーなものは少ないようです。
とても身近で、人気者の『犬』が第2位にランクイン。 「犬も歩けば棒にあたる」「犬猿の仲」「飼い犬に手を噛まれる」など、いまでも使うことが多い犬にまつわることわざですが、それだけ人間と犬は存在であったということがわかります。しかも犬にまつわることわざは、人間性を映したり人間関係を表したり、犬を人に例えている表現が多いというのが特徴です。
堂々の第1位は『馬』です!正直「えっ!?」と驚いた人も多いのではないでしょうか?しかし歴史を振り返ると、馬は家畜として身近な存在であっただけでなく、乗り物(馬車・運搬)や戦争(軍馬)などにも徴用され、世界的に身近な動物であったことは間違いありません。
ただ日本での飼育数は太平洋戦争の始まった1941年がピークで約160万頭、そこから減少の一途をたどり現在は約8万頭しか飼育されていません。
「馬の耳に念仏」「馬銜(羽目)を外す」などみんなが知っていることわざから、「二十八日には馬の目玉も抜かれる(意味:月末28日のあわただしさ)」といったおもしろいことわざまで、かつては広く馬が愛されていた証が【第1位】となった理由でしょう。
小学校の授業で学ぶことわざには、動物にまつわるものが多くあります。 「鳥」「馬」「虎」「犬」など、身近な動物だけでなく動物園でしか会えない動物まで登場することわざは、今でも使われているものから聞いたことがないものまでいろいろです。
ことわざはその国の考え方や慣習を表しています。どうしてその動物が登場するのか、登場回数が多い動物は何なのか、いろいろ調べてみるとその時代の背景まで見えてきておもしろいですね。
日本には昔から言い伝えられてきたことわざがあります。
あまり日常会話で使うことはなくなってきましたが、知恵が詰まったことわざは、使いこなせば会話の内容が具体的になり、弾みをつけることもできます。
なかでも動物が登場することわざは使いやすいので、由来や使い方などを一緒に知っておくといいですね。
今回はそんな動物にまつわることわざや、登場回数が多い動物を紹介していきます!
目次
動物に関することわざが多いのは何故?
日常会話の中でことわざを頻繁に使うことはないかもしれません。けれども小学校では、ことわざについて授業でも学びますよね。
その理由は、ことわざには生きていくための知恵が詰まっているから。ことわざはその国々によって違いがあります。つまりことわざを学ぶことは、その国の考え方や慣習を学ぶことにつながるのです。
そんなことわざには動物にまつわるものが多いと思いませんか?
昔の人はことわざを日常生活の中でずっと使ってきました。動物がよく登場するのは、それだけその動物が身近な存在であったという証です。
ことわざに登場する動物たち、日本と世界で違いってあるの?
日本のことわざには『鳥』『牛』『馬』『魚』『犬』『猫』などがよく登場します。
いっぽうロシアのことわざには『熊』『猫』『馬』、アメリカでは『猿』『オオカミ』『羊』『ライオン』、フランスのことわざには『ねずみ』『猫』『犬』『ロバ』など、登場する動物たちが国によって異なるのは面白いですね。
次の章では、『鳥』『馬』『虎』『魚』が登場する日本のことわざについて紹介します。
鳥にまつわることわざ
日本のことわざには『鳥』がよく登場します。面白いのは、『鳥』によってもいい意味で使われたり、悪い意味で使われたりすることです。昔の人が『鳥』をどのように捉えていたのか、ことわざを通して知ることができますよ。
雀百まで踊り忘れず
「雀 百まで踊り忘れず」は、スズメの歩くさまを「踊り」と表現し、若いスズメも年老いたスズメも同じように飛び跳ねて歩くことから、「若いころのクセは一生抜けないものだ」という意味で使います。
一見いい意味でも使えそうですが、昔は「踊り」を道楽として見ていたことから、「若いころと一緒で大人になってもだらしがない」と悪い意味で使われることが多いです。
傷弓の鳥
「傷弓の鳥」は、過去の出来事から恐怖におののく人や、物事に対して警戒心が強くなっている人のことを指すことわざです。弓矢で一度傷つけられた鳥は、楽器の弦をはじく音でさえ怯え飛び立つという意味が語源です。中国の遊説家たちの言説をまとめた、「戦国策」のなかに書かれている故事から生まれました。
けんもほろろ
実はこれも鳥にまつわることわざです。鳥の正体は『キジ』。
「けん」はキジの鳴き声、「ほろろ」はキジが飛び立つ羽音を指します(諸説あり)。
キジの「ケン!」とぶっきらぼうに鳴いて「ほろろ」と飛び去ってしまう様子を、昔の人は不愛想で冷たいと感じてできたことわざのようです。
余談ですが、同じような意味のことばで「つっけんどん(突慳貪)」があります。この「けん」も、「慳貪(愛想がないさま)」とキジの鳴き声「けん」を掛け合わせたダジャレなのでは?という説があります。
馬にまつわることわざ
日本では、昔から馬が生活に欠かせない動物だったため、『馬』にまつわることわざもたくさんあります。じつは海外でも『馬』が登場することわざは多く、それだけ馬と人間は近い存在だったのです。では、日本では『馬』をどのように捉えてきたか見ていきましょう。
到来物の馬の口中は見るな
このことわざは、英語の「Don't look a gift horse in the mouth.」が語源となっています。
到来物とは贈り物のこと。もらった馬の口の中を覗いて(歯の具合で)値踏みしてはいけないよ、という訳ですが、ここから転じて「贈り物にケチをつけてはいけない」という意味で使われます。ことわざは中国由来のものが多いのですが、もちろんほかの国から伝わったものもあるのです。
「お土産でもらったこのお菓子、あまり好きじゃないんだよなぁ。」
「到来物の馬の口中は見るな、って言うでしょ。」
「え?なんだって?」
「もらいものにケチをつけるなってことよ。」
人を射んとすれば先ず馬を射よ
馬の上に乗っている人を射止めるには、その馬を先に射止める方がよい、という意味です。これが転じて、相手を自分の意に従わせるには、まず相手がもっとも信頼している人を従わせるのが近道であるという場面で使われます。
“将を射んと欲すれば、まず馬を射よ”と表現することもあります。もともとは中国唐代の詩人・杜甫の「前出塞」に書かれている文言ですが、江戸時代の詩人たちに影響を与えました。
「もうちょっとで彼女を落とせそうなんだよね。だから今度家へ遊びに行ったときには、彼女の母親の手料理をべた褒めしようかな。」
「人を射んとすれば先ず馬を射よ、というわけだね!」
馬脚を露わす
「馬脚を露わす」の「馬脚」とは、お芝居で馬の足に扮した役者さんを指すことばです。本来は人の姿を見せてはいけないのに、うっかりお客さまに姿を見られてしまうことから、隠していた悪事がバレてしまうといった意味になります。このことわざも、もとは中国・元王朝の劇中からできたと言われています。(諸説あり)
虎にまつわることわざ
十二支の動物でもある『虎』は、日本に生息していないにもかかわらず、ことわざに登場する動物です。しかも虎は万葉集や日本書紀にすでに登場していて、いかに古くから日本人は『虎』のことを知っていたかということがわかります。
ただし『虎』のことを知っていたのは、中国の故事成語や漢籍などから知識を得ていたから。実際に虎の生態をよく知っていたわけではないようです。
張子の虎
ことわざの「張子の虎」は、ネガティブな意味があります。張り子は型に和紙を貼り重ねて立体的に成形する置物です。形ができたら中の型は抜き取ってしまうため、空洞になります。
縁起物としての“張子の虎”は病魔退散や武運長久の象徴ですが、ことわざとして使うときには中身が空っぽであることを揶揄するように「見掛け倒しの人」「虚勢を張っている人」といった意味で使います。ほかにも「首を振る癖がある人」に対して使うこともあることわざです。
虎に翼
NHK連続テレビ小説で一躍有名になったことわざ『虎に翼』は、中国の法家・韓非子の言葉に由来しています。『虎』という強い存在に翼が生えたら無敵の存在になってしまうかも…と想像できることから、強い者に、さらに強さが加わるという意味で使います。わかりやすく言い換えると『鬼に金棒』と一緒ですね。
魚にまつわることわざ
まわりを海で囲まれている日本では、魚にまつわることわざも多くあります。今でも日常会話で使われることわざも多いのですが、「えっ!これって魚のことだったの?」「これ魚が語源じゃないの!?」という意外なことわざも。そのうちのいくつかを紹介していきましょう。
鯉の滝登り
「鯉の滝登り」は掛け軸の図柄として使われることも多く、縁起が良いことの象徴です。中国の「後漢書」に由来して、竜が登るといわれた急流を多くの魚が登ろうと試みたところ、鯉のみが登り切って竜となったという故事をもとにしています。
「勢いがいいこと」「立身出世のたとえ」というポジティブな場面でよく使われます。余談ですが、「鰻登り(うなぎのぼり)」というよく似たことわざがありますが、こちらは地位・物価・株価・気温に対して使われることわざです。混同しないように注意しましょう。
海老で鯛を釣る
ここで使われている“海老”は、伊勢海老のような高級品ではなく、海で大量に獲れる安いエビのこと。安くて小さなエビで高級な『鯛』が釣れることから、わずかな元手で多くの利益を得ることを指すことわざです。
最近は海老が高級品であることから、「大きな利益のためには大きな投資が必要」と間違って使わないよう注意しましょう。
水魚の交わり
魚にとって“水”は切っても切れない関係です。それが転じて親密な間柄や交際を意味することわざになりました。あの有名な「三国志」に登場する劉備が、自身と軍師・諸葛孔明の仲を表現する際に使った言葉とされています。同じ意味の言葉として「水と魚」「竹馬の友」「旧知の仲」などがあげられます。
あらを探す
今でも日常的に使われる「あらを探す」ということわざも、魚が由来となっています。魚の食べられない部位(頭・骨・尾など)を“アラ”と言いますが、人や物事の欠点などマイナスな部分を“アラ”にたとえ、しつこく探し出そうとするさまを指すことわざとして誕生しました。
【魚とは関係ないことわざ】たらふく食う
鱈はとても大食いでおなかが膨れていることが多いため、おなかいっぱい食べる様子を「たらふく食う」と表現すると言われることもありますが、これは間違いです。
ここで指す“たら”は、動詞「足らう(足らふ)」のことで「十分である」「満足である」という意味で使います。動詞「足らふ」+副詞「く」が「たらふく」の語源ですから、「鱈腹」は単なる当て字になります。
ことわざで一番登場回数が多い動物ってなに?
たくさんあることわざの中でも、動物が登場することわざはとても多いです。そこで気になるのが「ことわざで一番、登場回数が多い動物ってなに?」という素朴な疑問です。今回は、5000句のことわざが掲載されている『知って得することわざ大全集(メトロポリタンプレス)』から登場回数別にランキング形式でまとめてみました。
5位 猫(86個)
「借りてきた猫」「猫に小判」など、聞いたことがあることわざも多い『猫』ですが、登場回数だけで見ると第5位。ちょっと意外かもしれません。この理由は、中国の故事成語には猫がほとんど登場しないから。中国では猫より虎が人気だったようです。
4位 魚(92個)
昔から食卓に上ることが多かった『魚』は、やはり身近な存在だったようで、ことわざにもたくさん登場します。「逃した魚は大きい」のように有名なことわざも多いのですが、いまではほとんど使われなくなったことわざも多数あります。
3位 牛(100個)
第3位に食い込んだのが『牛』。ただし印象としては、現代ではあまり使われていないことわざが多い気がします。「牛を売って馬を買う(意味:不利を捨てて有利につくこと)」など聞いたことがあることわざもありますが、メジャーなものは少ないようです。
2位 犬(137個)
とても身近で、人気者の『犬』が第2位にランクイン。
「犬も歩けば棒にあたる」「犬猿の仲」「飼い犬に手を噛まれる」など、いまでも使うことが多い犬にまつわることわざですが、それだけ人間と犬は存在であったということがわかります。しかも犬にまつわることわざは、人間性を映したり人間関係を表したり、犬を人に例えている表現が多いというのが特徴です。
1位 馬(179個)
堂々の第1位は『馬』です!正直「えっ!?」と驚いた人も多いのではないでしょうか?しかし歴史を振り返ると、馬は家畜として身近な存在であっただけでなく、乗り物(馬車・運搬)や戦争(軍馬)などにも徴用され、世界的に身近な動物であったことは間違いありません。
ただ日本での飼育数は太平洋戦争の始まった1941年がピークで約160万頭、そこから減少の一途をたどり現在は約8万頭しか飼育されていません。
「馬の耳に念仏」「馬銜(羽目)を外す」などみんなが知っていることわざから、「二十八日には馬の目玉も抜かれる(意味:月末28日のあわただしさ)」といったおもしろいことわざまで、かつては広く馬が愛されていた証が【第1位】となった理由でしょう。
動物にまつわることわざは、歴史や国を学ぶこと
小学校の授業で学ぶことわざには、動物にまつわるものが多くあります。
「鳥」「馬」「虎」「犬」など、身近な動物だけでなく動物園でしか会えない動物まで登場することわざは、今でも使われているものから聞いたことがないものまでいろいろです。
ことわざはその国の考え方や慣習を表しています。どうしてその動物が登場するのか、登場回数が多い動物は何なのか、いろいろ調べてみるとその時代の背景まで見えてきておもしろいですね。