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ミンミンミン。 セミの鳴き声が聞こえ始めると、夏の訪れを実感する人も多いのではないでしょうか?
実は2024年は、221年ぶりにアメリカでセミが大量発生する年になると予測されているんです! 今回のコラムではセミ大量発生の噂に迫るとともに、「セミファイナル」「セミ爆弾」の見分け方などセミの豆知識もご紹介します。
2024年の米国では、221年ぶりに昆虫のセミが大量発生すると予測され話題となりました。別種類の周期ゼミが、同じ年に羽化するからです。 毎年ではなく、特定の年ごとに大量発生するセミを「周期ゼミ」といいます。その巡り合わせによってそれぞれの周期が重複し、同時に羽化する場合があるのです。
ちなみに同じ周期ゼミでも、別種類のセミが含まれることもあります。例えば2021年に大量発生したブルード(周期ゼミで同じ発生年の個体をまとめた年次集団)には、3種類ものセミが属していました。
また、セミの大量発生によって、停電、果実や葉の食い荒らし、約100dB(デシベル)の騒音などといった弊害が生じる懸念があります。
dBは騒音レベルを示す単位で、100dBは電車が通る際のガード下並みといわれているので、会話の妨げになるくらいの大音量になりそうですね。
では、なぜセミが大発生するのでしょうか?その原因を、もう少し詳しく解説します!
セミ大発生の要因の1つは、周期ゼミです。特に別の周期ゼミの羽化タイミングと重なるとより大量に発生します。
2024年は南米にいる13年周期のセミと北米生息の17年周期のセミのダブルパンチ。13×17= 221年ぶりの偶然が重なり、大量発生が巻き起こります。 この13年と17年周期で大量発生するセミは「素数ゼミ」と名付けられており、名付け親は日本の研究者の吉村仁教授(静岡大学)です。
過去には12〜18年周期のセミもいましたが、現在は絶滅してしまいました。 13年と17年周期が生き残った秘密は、最小公倍数にあります。セミと数学に関連性があるとは驚きですね。
周期の最小公倍数は、2つの周期ゼミの羽化時期が被り同時に大発生するタイミングの頻度です。 素数以外の組み合わせは、素数同士の場合に比べて頻繁にサイクルが回ってくるとわかります。
周期ゼミ同士は群れを作る性質があるのが特徴ですが、違う集団と鉢合わせるとお互いを傷つけ共倒れしたり、一方だけ絶滅したりします。 つまり同時羽化のタイミングが稀な13年と17年は争いに巻き込まれる頻度が少なく、絶滅の危機から着実に逃れてきたのです。
ピンポイントな年に大発生すれば、1匹が天敵に襲われても残りの個体は免れる確率が上がり、次世代にバトンタッチできます。
ちなみに2024年から221年遡ると、1803年。つまり前回の13・17年周期ゼミの同時大発生年は江戸時代にまで遡るのです!
セミは過酷な寒さの氷河時代を生き抜くために、地中で暮らす充電期間が長くなり寿命が伸びました。 しかし長い地中での生活を終え地上に出てきても、子孫を残すパートナーがいなければ意味がありません。
そのためセミの数を増やすために、場所、周期、羽化する年という3つを揃え、一気に大発生することで進化を遂げたのでしょう。
ちなみに周期ゼミは規則正しい寿命の持ち主で、ぴったり13年もしくは17年生きます。
卵から幼虫が産まれ成長し、生を全うするまでの寿命が13年・17年と考えると、昆虫の中でもセミは長生きだと言えます。 成虫期間は1〜2週間といわれていましたが、天敵に遭遇しなければ1ヶ月生き残る個体もいるそうです。
セミはカブトムシやクワガタなど他の昆虫と比べてばったり遭遇することが多いと感じませんか? 意識しなくても夏になればどこかで見かけますし、向こうから突進された経験がある人もいるかもしれません。
身の回りでセミと遭遇しやすい理由を探りましょう。
セミの視力が悪い点は遭遇しやすい理由の1つといえます。目の前のものが何か、区別がつきづらいからです。 セミが木と思い飛びついたら、人という事故が発生しやすくなります。 木と勘違いして家の壁や電柱で羽を休める場合もあるため、日常でよく目にする昆虫になるのでしょう。
セミの体の構造は長く飛べるようにはできていないため、1分程度の飛行でバテてしまいます。しかし高い位置から落下すれば、人と同様命に関わります。
いざ上空へ飛び立ったら、羽を休める場所がないか常にアンテナを張る必要があるのです。 目が悪い中やっととまれそうな場所を発見したと思い駆け込むと、それが人だったというパターンも少なくありません。
セミファイナルやセミ爆弾という言葉が、SNSで飛び交うことがあります。 これらがどのような意味か、詳しく見ていきましょう。
セミファイナルとセミ爆弾とは、じっと横たわり天寿を全うしたと思われるセミが、急に飛び上がることです。 「てっきり亡くなったと思ったのに」と、驚いた経験を持つ方もいるのではないでしょうか?
セミファイナルは、いわば最後の悪あがきです。
体力が失われ、終わりを迎えようとしているセミ。 そこに人が近づく気配を感じ、防衛本能で元気な頃のように逃げようとした結果飛び上がるのです。
最後の力を残しセミファイナル・セミ爆弾を狙っているのか、既にあの世に逝ったのか一見見分けがつきません。
見破りたい人は、脚に注目してください
生きている場合:開いている
亡くなっている場合:閉じている
セミが人生の幕を閉じると、血液の流れは止まり体内の水分も枯れどんどん干からびていきます。 筋肉も硬直し脚が閉じるので、セミファイナル・セミ爆弾の可能性がある個体を見分けることができるでしょう。
セミファイナル・セミ爆弾発生の経緯と、生死を見分けるコツをお伝えしました。 しかしながら不意にやってくるセミに対抗する方法でお悩みの方もいるかもしれません。
簡単なセミ対策法を見ていきましょう!
パッと開く傘は、とっさに向かってくるセミをガードできます。 夏の日差しからガードしてくれる日傘がセミからも守ってくれるなんて一石二鳥ですね!
セミの弱点は水。水をかけると羽が濡れて重量が増し飛びづらくなります。 手持ちの飲み水などをかけるのも一つの手かもしれません。
最後にセミに関する豆知識を紹介します!
セミはあまり目が良くないとお伝えしましたが、耳も無いようなフォルムですよね。
実はセミの耳はひっくり返したときの脚の付け根、お腹部分にあります。人と同様に鼓膜が震えることで仲間の鳴き声を聞き分けているのです。
一方で、他の音には無頓着な面もあります。
フランスの昆虫学者ファーブル(1823〜1915)が、セミの近くで大砲を撃つ調査をして逃げ出す仮説を立てましたが、セミはその場でただ鳴いているだけだったそうです。
これによりセミは聴力がないと勘違いされましたが、実際は大砲の音は認識できないが仲間の鳴き声の聞き分けだけは得意なのです。
実は鳴くのは、オスのみです。 メスは羽を震わせるくらいで、おしとやかな貴婦人のように佇みます。
そのため、鳴くか鳴かないかで性別を見分けることができます。 オスはメスにアピールするため音を発し、次世代の命を残す相手探しを頑張っているのです。
セミは儚い命と評されることもありましたが、あくまでも羽化してからの話です 羽化開始は、不思議と晴れた日の夕方〜夜限定です。
それぞれを選ぶ理由は、次の通り
晴れた日:脱皮後の体や羽が乾きやすいから
暗い時間:敵から目を欺くため
幼虫は地上の様子を伺える穴を掘り、何日も登場できるタイミングを待ちます。羽化直前は当初よりだんだん目も良くなり、晴れた日の夕方〜夜に狙いを定め誕生するのです。
2024年は13年と17年ごとに1度羽化する周期が重なり、アメリカでセミが大量発生するとされています。
自然に順応するように寿命を伸ばしながら、決まったサイクルで生を受け継いできた周期ゼミは、遺伝子存続のために、場所や周期、生まれる年の一撃集中による大発生が効率的とプログラミングされてきました。
他の昆虫と比べ遭遇率が高いのは、セミの視力の悪さと不器用な飛行能力が理由です。 息を引き取ったように思える地面に転がったセミからのセミファイナル・セミ爆弾は、最後の力を振り絞った攻撃。 脚の開き具合で成仏しているか見分け、セミの恐怖から解放された夏を過ごしましょう!
ミンミンミン。
セミの鳴き声が聞こえ始めると、夏の訪れを実感する人も多いのではないでしょうか?
実は2024年は、221年ぶりにアメリカでセミが大量発生する年になると予測されているんです!
今回のコラムではセミ大量発生の噂に迫るとともに、「セミファイナル」「セミ爆弾」の見分け方などセミの豆知識もご紹介します。
目次
2024年セミが大量発生?
2024年の米国では、221年ぶりに昆虫のセミが大量発生すると予測され話題となりました。別種類の周期ゼミが、同じ年に羽化するからです。
毎年ではなく、特定の年ごとに大量発生するセミを「周期ゼミ」といいます。その巡り合わせによってそれぞれの周期が重複し、同時に羽化する場合があるのです。
ちなみに同じ周期ゼミでも、別種類のセミが含まれることもあります。例えば2021年に大量発生したブルード(周期ゼミで同じ発生年の個体をまとめた年次集団)には、3種類ものセミが属していました。
また、セミの大量発生によって、停電、果実や葉の食い荒らし、約100dB(デシベル)の騒音などといった弊害が生じる懸念があります。
dBは騒音レベルを示す単位で、100dBは電車が通る際のガード下並みといわれているので、会話の妨げになるくらいの大音量になりそうですね。
なぜセミは大発生するのか?
では、なぜセミが大発生するのでしょうか?その原因を、もう少し詳しく解説します!
羽化の周期が重なるため
セミ大発生の要因の1つは、周期ゼミです。特に別の周期ゼミの羽化タイミングと重なるとより大量に発生します。
2024年は南米にいる13年周期のセミと北米生息の17年周期のセミのダブルパンチ。13×17= 221年ぶりの偶然が重なり、大量発生が巻き起こります。
この13年と17年周期で大量発生するセミは「素数ゼミ」と名付けられており、名付け親は日本の研究者の吉村仁教授(静岡大学)です。
過去には12〜18年周期のセミもいましたが、現在は絶滅してしまいました。
13年と17年周期が生き残った秘密は、最小公倍数にあります。セミと数学に関連性があるとは驚きですね。
周期の最小公倍数は、2つの周期ゼミの羽化時期が被り同時に大発生するタイミングの頻度です。
素数以外の組み合わせは、素数同士の場合に比べて頻繁にサイクルが回ってくるとわかります。
周期ゼミ同士は群れを作る性質があるのが特徴ですが、違う集団と鉢合わせるとお互いを傷つけ共倒れしたり、一方だけ絶滅したりします。
つまり同時羽化のタイミングが稀な13年と17年は争いに巻き込まれる頻度が少なく、絶滅の危機から着実に逃れてきたのです。
ピンポイントな年に大発生すれば、1匹が天敵に襲われても残りの個体は免れる確率が上がり、次世代にバトンタッチできます。
ちなみに2024年から221年遡ると、1803年。つまり前回の13・17年周期ゼミの同時大発生年は江戸時代にまで遡るのです!
種を存続させるため
セミは過酷な寒さの氷河時代を生き抜くために、地中で暮らす充電期間が長くなり寿命が伸びました。
しかし長い地中での生活を終え地上に出てきても、子孫を残すパートナーがいなければ意味がありません。
そのためセミの数を増やすために、場所、周期、羽化する年という3つを揃え、一気に大発生することで進化を遂げたのでしょう。
ちなみに周期ゼミは規則正しい寿命の持ち主で、ぴったり13年もしくは17年生きます。
卵から幼虫が産まれ成長し、生を全うするまでの寿命が13年・17年と考えると、昆虫の中でもセミは長生きだと言えます。
成虫期間は1〜2週間といわれていましたが、天敵に遭遇しなければ1ヶ月生き残る個体もいるそうです。
身の回りでセミと遭遇しがちな理由は?
セミはカブトムシやクワガタなど他の昆虫と比べてばったり遭遇することが多いと感じませんか?
意識しなくても夏になればどこかで見かけますし、向こうから突進された経験がある人もいるかもしれません。
身の回りでセミと遭遇しやすい理由を探りましょう。
セミは目が悪いから
セミの視力が悪い点は遭遇しやすい理由の1つといえます。目の前のものが何か、区別がつきづらいからです。
セミが木と思い飛びついたら、人という事故が発生しやすくなります。
木と勘違いして家の壁や電柱で羽を休める場合もあるため、日常でよく目にする昆虫になるのでしょう。
セミは飛ぶのが下手だから
セミの体の構造は長く飛べるようにはできていないため、1分程度の飛行でバテてしまいます。しかし高い位置から落下すれば、人と同様命に関わります。
いざ上空へ飛び立ったら、羽を休める場所がないか常にアンテナを張る必要があるのです。
目が悪い中やっととまれそうな場所を発見したと思い駆け込むと、それが人だったというパターンも少なくありません。
「セミファイナル」「セミ爆弾」とは?
セミファイナルやセミ爆弾という言葉が、SNSで飛び交うことがあります。
これらがどのような意味か、詳しく見ていきましょう。
セミファイナルとセミ爆弾とは
セミファイナルとセミ爆弾とは、じっと横たわり天寿を全うしたと思われるセミが、急に飛び上がることです。
「てっきり亡くなったと思ったのに」と、驚いた経験を持つ方もいるのではないでしょうか?
なぜセミファイナルが起きるの?
セミファイナルは、いわば最後の悪あがきです。
体力が失われ、終わりを迎えようとしているセミ。
そこに人が近づく気配を感じ、防衛本能で元気な頃のように逃げようとした結果飛び上がるのです。
セミの生死を見分けよう!
最後の力を残しセミファイナル・セミ爆弾を狙っているのか、既にあの世に逝ったのか一見見分けがつきません。
見破りたい人は、脚に注目してください
生きている場合:開いている
亡くなっている場合:閉じている
セミが人生の幕を閉じると、血液の流れは止まり体内の水分も枯れどんどん干からびていきます。
筋肉も硬直し脚が閉じるので、セミファイナル・セミ爆弾の可能性がある個体を見分けることができるでしょう。
簡単セミ対策
セミファイナル・セミ爆弾発生の経緯と、生死を見分けるコツをお伝えしました。
しかしながら不意にやってくるセミに対抗する方法でお悩みの方もいるかもしれません。
簡単なセミ対策法を見ていきましょう!
傘
パッと開く傘は、とっさに向かってくるセミをガードできます。
夏の日差しからガードしてくれる日傘がセミからも守ってくれるなんて一石二鳥ですね!
水
セミの弱点は水。水をかけると羽が濡れて重量が増し飛びづらくなります。
手持ちの飲み水などをかけるのも一つの手かもしれません。
セミに関する豆知識
最後にセミに関する豆知識を紹介します!
セミの聴力は仲間のために
セミはあまり目が良くないとお伝えしましたが、耳も無いようなフォルムですよね。
実はセミの耳はひっくり返したときの脚の付け根、お腹部分にあります。人と同様に鼓膜が震えることで仲間の鳴き声を聞き分けているのです。
一方で、他の音には無頓着な面もあります。
フランスの昆虫学者ファーブル(1823〜1915)が、セミの近くで大砲を撃つ調査をして逃げ出す仮説を立てましたが、セミはその場でただ鳴いているだけだったそうです。
これによりセミは聴力がないと勘違いされましたが、実際は大砲の音は認識できないが仲間の鳴き声の聞き分けだけは得意なのです。
鳴き声で性別を見分ける!
実は鳴くのは、オスのみです。
メスは羽を震わせるくらいで、おしとやかな貴婦人のように佇みます。
そのため、鳴くか鳴かないかで性別を見分けることができます。
オスはメスにアピールするため音を発し、次世代の命を残す相手探しを頑張っているのです。
セミの羽化タイミングは晴れた日の夕方〜夜
セミは儚い命と評されることもありましたが、あくまでも羽化してからの話です
羽化開始は、不思議と晴れた日の夕方〜夜限定です。
それぞれを選ぶ理由は、次の通り
晴れた日:脱皮後の体や羽が乾きやすいから
暗い時間:敵から目を欺くため
幼虫は地上の様子を伺える穴を掘り、何日も登場できるタイミングを待ちます。羽化直前は当初よりだんだん目も良くなり、晴れた日の夕方〜夜に狙いを定め誕生するのです。
まとめ:セミの大量発生は次世代への架け橋
2024年は13年と17年ごとに1度羽化する周期が重なり、アメリカでセミが大量発生するとされています。
自然に順応するように寿命を伸ばしながら、決まったサイクルで生を受け継いできた周期ゼミは、遺伝子存続のために、場所や周期、生まれる年の一撃集中による大発生が効率的とプログラミングされてきました。
他の昆虫と比べ遭遇率が高いのは、セミの視力の悪さと不器用な飛行能力が理由です。
息を引き取ったように思える地面に転がったセミからのセミファイナル・セミ爆弾は、最後の力を振り絞った攻撃。
脚の開き具合で成仏しているか見分け、セミの恐怖から解放された夏を過ごしましょう!