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冬の間に眠っていた植物が芽吹きはじめ、本格的な春の訪れが待ち遠しいこの季節。しかし、花粉症患者にとっては非常に辛い時期でもあります。
日本ではスギ花粉が猛威をふるっていますが、花粉症は世界各国に存在することをご存知ですか?自然界の摂理とともに存在する花粉は、日本に限らず世界各地の人々にとっても悩みの種なのです。
今回は世界の花粉対策を集めてみました。各地域の知恵をご紹介します。
まずは、花粉症の基本をおさらいしましょう。
花粉症とは、花粉が体内へ入ることによって起こる様々なアレルギー反応です。のどの痛みや鼻水など、花粉の種類によって症状や時期によっても色々です。一つのみならず複数の花粉に反応し、一年中辛い症状に悩まされる人も少なくありません。
花粉症の原因となる植物の数は、現在では60種類ほど。いまだ世界各地で調査段階にあるため、今後花粉症の種類は増え続けていくことでしょう。
その中でも、世界三大花粉症といわれる花粉が存在します。まずは、日本で圧倒的な勢いを誇るスギ花粉、ヨーロッパのイネ科花粉、そしてアメリカのブタクサです。どれも日本でおなじみの花粉ですね。
2016年の世界アレルギー機構の報告では、花粉症患者は世界人口の22.1%にものぼります。
現代病と言われる花粉症ですが、正式に症例として報告されたのは1819年のイギリス。発症したのは、牧場で牧草に触れる人たちでした。
イギリスの真下に位置するフランスでは、40年前には全人口のわずか2〜3%であった花粉症患者が、現在では25%にまで増加しています。さらに、2050年には50%に達するとも言われているのです。
地球の温暖化によって、花粉の飛散時期が早まっていること、これまで花粉がなかった地域でも花粉が観測されるようになったこと、これらが花粉症患者の増加の原因となっています。追い打ちをかけるように進む、都市部の深刻な大気汚染が、アレルギー症状をますます悪化させているのです。
世界中が花粉症で悩んでいます...では、彼らはどのような花粉症対策を行っているのでしょうか。
前提として、花粉症対策の基本は世界共通です。抗ヒスタミン薬を飲んでアレルギー症状を抑える・無駄な外出を控える・帰宅したら服に付着した花粉を取り除く、といったことは世界共通で推奨されている基本的な花粉症対策の行動です。
プラスアルファとして、世界各国の特色がうかがえるユニークな花粉症対策を一緒に見ていきましょう。医学とは異なる視点からの対策も含まれています。
中国は東洋医学の本場。漢方発祥の地では、やはり漢方の考え方が根底にあります。
クコの実(枸杞)
クコの実をご存知ですか?杏仁豆腐の上にちょこんと添えられる赤い実、というとピンとくるかもしれません。クコの実には、体の余分な熱をとり、自然治癒力をあげると言われており、花粉にも良いといわれています。中国のヘルシー志向の若者の間では、クコの実を保温ボトルに入れて持ち歩いたり、クコの実ラテを飲んだりと、身近に漢方を取り入れているようです。
ちなみに、春の北京の街角でふわふわと舞う白いもの。季節はずれの雪?いいえ、ポプラとヤナギの綿毛なんです。北京市には、街路樹として30万本以上のこれらの木々が植えられています。一斉に飛びはじめ、4月にはピークに達するのだとか。強風の日には容赦なく綿毛が全身に降りかかってきます。顔全体をカバーするサンバイザーを装着して自転車出勤する人もいるそうです。ポプラ花粉症もヤナギ属花粉症もあるので、北京に行く際は注意が必要です。
さまざまな気候が混在するアメリカ大陸では、北アメリカ原産であるブタクサをはじめとして、実に多くの種類の花粉が飛散しています。魔の手は、トロピカルフルーツを堪能できるハワイ島にも。一見花粉とは無縁のようですが、地元の人々はマンゴーの花粉症(マンゴー花粉症)に悩まされているんだとか。
医療費が高いアメリカでは、アレルギー症状がでると、すぐに市販薬で症状を落ち着かせます。クラリチンやザイザルといった抗ヒスタミン薬、日本の花粉症患者にも馴染みのある薬を服用します。子どもでも服用しやすいフルーツ味のもの、シロップやチュアブルタイプまでバラエティに富んでいます。
また、2023年に行われた米国栄養評議会の消費者調査によると、アメリカ成人の74%がサプリメントを摂取しています。花粉症にはケルセチンを配合したサプリが人気。ケルセチンは玉ねぎの皮に多く含まれるポリフェノール成分で、強い抗酸化作用で炎症を抑えてくれます。手軽に補えるサプリメントは、アメリカ人には欠かせない存在なのです。
広大な砂漠と、野生動物がかけめぐる大自然が美しい、アフリカにも花粉は存在します。とくに経済発展が著しい南アフリカでは、人口の約30%が花粉症患者です。
そこで、花粉対策として現地の人々が積極的に取り入れているものが「ルイボスティー」。
日本でもカフェインフリーのハーブティーとしても人気ですよね。ルイボスは、南アフリカの一部の地域でのみ自生するマメ科の植物で、強い日差しと寒暖差の激しい過酷な山岳地帯でたくましく育ちます。そのため、高い抗酸化作用をもち、花粉症の辛い症状を和らげてくれるフラボノイドという成分が豊富に含まれています。先住民の万能薬として、古くから親しまれてきたルイボスティーは、花粉症対策としても飲まれているのですね。
それでは、アフリカ大陸からヨーロッパへ北上しましょう。ここではフランスの花粉症対策をご紹介。鼻やのどに有効な方法がいくつかあるようです。
どの家庭にも常備されているスプレータイプの「生理食塩水」。香料が含まれていない、シンプルな生理食塩水で鼻を洗います。この鼻うがいは、フランス人なら誰もが赤ちゃんの頃から経験する習慣のひとつです。鼻の奥にはいってしまった花粉を洗い落として、症状を緩和します。
フランスの伝統療法であるフィトテラピー(植物療法)のハーブティーも人気です。ネトル、エルダーフラワー、ペパーミントを3:5:2の割合でブレンドしてハーブティーを淹れます。鼻のムズムズを抑えてくれる作用のあるハーブにペパーミントが加わることで、爽やかさが引きたって飲みやすくなります。
また、「シードルビネガー」を使ったレシピも存在します。シードルとは、フランス北部ノルマンディー地方で作られるリンゴのお酒。このシードルを使ったお酢、シードルビネガーで作るドリンクで花粉症を対策しているんだとか。それを飲むことで、喉の炎症を落ち着かせてくれるようです。
続いて、南半球へ飛んでみましょう。オセアニアは日本とは四季が逆。日本が夏から秋へと移り変わる頃、オセアニアの地は花であふれる季節になります。
オーストラリアでは、国花でもある鮮やかな黄色いミモザが春(9〜11月)を告げる花。しかし、ここでも国民の4人に1人が花粉症に悩まされているのです。
地元の人々は、アレルギー症状をやわらげる方法として、アロマオイルを用います。オーストラリア原産のユーカリやティーツリーオイルは、呼吸を楽にし、鼻の通りもよくしてくれる効能があります。フレッシュな香りで気分転換にもなりますね。
いかがでしたか?少しでもみなさんのアレルギー症状が軽くなりますように。そんな願いをこめながら、世界の花粉対策の知恵を集めてみました。各国ともに、工夫しながら花粉症を乗り切っています。あくまでも、その土地の知恵であることをご理解のうえで参考になさってみてくださいね。
なにより大切なのは、規則正しい生活習慣と花粉に負けない体づくりです。自分自身の心と体に向き合いながら、花粉症の憂うつを吹き飛ばしていきましょう!
冬の間に眠っていた植物が芽吹きはじめ、本格的な春の訪れが待ち遠しいこの季節。しかし、花粉症患者にとっては非常に辛い時期でもあります。
日本ではスギ花粉が猛威をふるっていますが、花粉症は世界各国に存在することをご存知ですか?自然界の摂理とともに存在する花粉は、日本に限らず世界各地の人々にとっても悩みの種なのです。
今回は世界の花粉対策を集めてみました。各地域の知恵をご紹介します。
目次
花粉症のあれこれ
まずは、花粉症の基本をおさらいしましょう。
花粉症とは?
花粉症とは、花粉が体内へ入ることによって起こる様々なアレルギー反応です。
のどの痛みや鼻水など、花粉の種類によって症状や時期によっても色々です。
一つのみならず複数の花粉に反応し、一年中辛い症状に悩まされる人も少なくありません。
花粉症の種類
花粉症の原因となる植物の数は、現在では60種類ほど。いまだ世界各地で調査段階にあるため、今後花粉症の種類は増え続けていくことでしょう。
その中でも、世界三大花粉症といわれる花粉が存在します。
まずは、日本で圧倒的な勢いを誇るスギ花粉、ヨーロッパのイネ科花粉、そしてアメリカのブタクサです。
どれも日本でおなじみの花粉ですね。
花粉症は増えている…?
2016年の世界アレルギー機構の報告では、花粉症患者は世界人口の22.1%にものぼります。
現代病と言われる花粉症ですが、正式に症例として報告されたのは1819年のイギリス。
発症したのは、牧場で牧草に触れる人たちでした。
イギリスの真下に位置するフランスでは、40年前には全人口のわずか2〜3%であった花粉症患者が、現在では25%にまで増加しています。さらに、2050年には50%に達するとも言われているのです。
地球の温暖化によって、花粉の飛散時期が早まっていること、これまで花粉がなかった地域でも花粉が観測されるようになったこと、これらが花粉症患者の増加の原因となっています。追い打ちをかけるように進む、都市部の深刻な大気汚染が、アレルギー症状をますます悪化させているのです。
信じるか信じないかはあなた次第、世界の花粉症対策の知恵
世界中が花粉症で悩んでいます...
では、彼らはどのような花粉症対策を行っているのでしょうか。
前提として、花粉症対策の基本は世界共通です。
抗ヒスタミン薬を飲んでアレルギー症状を抑える・無駄な外出を控える・帰宅したら服に付着した花粉を取り除く、といったことは世界共通で推奨されている基本的な花粉症対策の行動です。
プラスアルファとして、世界各国の特色がうかがえるユニークな花粉症対策を一緒に見ていきましょう。
医学とは異なる視点からの対策も含まれています。
中国は漢方の力で花粉症対策
中国は東洋医学の本場。
漢方発祥の地では、やはり漢方の考え方が根底にあります。
クコの実(枸杞)
クコの実をご存知ですか?
杏仁豆腐の上にちょこんと添えられる赤い実、というとピンとくるかもしれません。クコの実には、体の余分な熱をとり、自然治癒力をあげると言われており、花粉にも良いといわれています。
中国のヘルシー志向の若者の間では、クコの実を保温ボトルに入れて持ち歩いたり、クコの実ラテを飲んだりと、身近に漢方を取り入れているようです。
ちなみに、春の北京の街角でふわふわと舞う白いもの。季節はずれの雪?
いいえ、ポプラとヤナギの綿毛なんです。北京市には、街路樹として30万本以上のこれらの木々が植えられています。一斉に飛びはじめ、4月にはピークに達するのだとか。強風の日には容赦なく綿毛が全身に降りかかってきます。顔全体をカバーするサンバイザーを装着して自転車出勤する人もいるそうです。ポプラ花粉症もヤナギ属花粉症もあるので、北京に行く際は注意が必要です。
アメリカは科学技術で花粉症対策
さまざまな気候が混在するアメリカ大陸では、北アメリカ原産であるブタクサをはじめとして、実に多くの種類の花粉が飛散しています。魔の手は、トロピカルフルーツを堪能できるハワイ島にも。一見花粉とは無縁のようですが、地元の人々はマンゴーの花粉症(マンゴー花粉症)に悩まされているんだとか。
医療費が高いアメリカでは、アレルギー症状がでると、すぐに市販薬で症状を落ち着かせます。クラリチンやザイザルといった抗ヒスタミン薬、日本の花粉症患者にも馴染みのある薬を服用します。子どもでも服用しやすいフルーツ味のもの、シロップやチュアブルタイプまでバラエティに富んでいます。
また、2023年に行われた米国栄養評議会の消費者調査によると、アメリカ成人の74%がサプリメントを摂取しています。花粉症にはケルセチンを配合したサプリが人気。ケルセチンは玉ねぎの皮に多く含まれるポリフェノール成分で、強い抗酸化作用で炎症を抑えてくれます。手軽に補えるサプリメントは、アメリカ人には欠かせない存在なのです。
南アフリカは原産ルイボスティーで花粉症対策
広大な砂漠と、野生動物がかけめぐる大自然が美しい、アフリカにも花粉は存在します。
とくに経済発展が著しい南アフリカでは、人口の約30%が花粉症患者です。
そこで、花粉対策として現地の人々が積極的に取り入れているものが「ルイボスティー」。
日本でもカフェインフリーのハーブティーとしても人気ですよね。
ルイボスは、南アフリカの一部の地域でのみ自生するマメ科の植物で、強い日差しと寒暖差の激しい過酷な山岳地帯でたくましく育ちます。
そのため、高い抗酸化作用をもち、花粉症の辛い症状を和らげてくれるフラボノイドという成分が豊富に含まれています。
先住民の万能薬として、古くから親しまれてきたルイボスティーは、花粉症対策としても飲まれているのですね。
フランスの3つの花粉症対策
それでは、アフリカ大陸からヨーロッパへ北上しましょう。
ここではフランスの花粉症対策をご紹介。鼻やのどに有効な方法がいくつかあるようです。
生理食塩水で鼻うがい
どの家庭にも常備されているスプレータイプの「生理食塩水」。香料が含まれていない、シンプルな生理食塩水で鼻を洗います。この鼻うがいは、フランス人なら誰もが赤ちゃんの頃から経験する習慣のひとつです。鼻の奥にはいってしまった花粉を洗い落として、症状を緩和します。
フィトテラピー(植物療法)
フランスの伝統療法であるフィトテラピー(植物療法)のハーブティーも人気です。
ネトル、エルダーフラワー、ペパーミントを3:5:2の割合でブレンドしてハーブティーを淹れます。
鼻のムズムズを抑えてくれる作用のあるハーブにペパーミントが加わることで、爽やかさが引きたって飲みやすくなります。
シードルビネガー
また、「シードルビネガー」を使ったレシピも存在します。
シードルとは、フランス北部ノルマンディー地方で作られるリンゴのお酒。
このシードルを使ったお酢、シードルビネガーで作るドリンクで花粉症を対策しているんだとか。それを飲むことで、喉の炎症を落ち着かせてくれるようです。
ハチミツの優しい甘さがビネガーの酸味を抑え、飲みやすくしてくれます。
オセアニアは植物由来のオイルで花粉症対策
続いて、南半球へ飛んでみましょう。
オセアニアは日本とは四季が逆。日本が夏から秋へと移り変わる頃、オセアニアの地は花であふれる季節になります。
オーストラリアでは、国花でもある鮮やかな黄色いミモザが春(9〜11月)を告げる花。しかし、ここでも国民の4人に1人が花粉症に悩まされているのです。
地元の人々は、アレルギー症状をやわらげる方法として、アロマオイルを用います。オーストラリア原産のユーカリやティーツリーオイルは、呼吸を楽にし、鼻の通りもよくしてくれる効能があります。フレッシュな香りで気分転換にもなりますね。
世界の知恵で花粉症を少しでも楽に
いかがでしたか?
少しでもみなさんのアレルギー症状が軽くなりますように。そんな願いをこめながら、世界の花粉対策の知恵を集めてみました。各国ともに、工夫しながら花粉症を乗り切っています。あくまでも、その土地の知恵であることをご理解のうえで参考になさってみてくださいね。
なにより大切なのは、規則正しい生活習慣と花粉に負けない体づくりです。自分自身の心と体に向き合いながら、花粉症の憂うつを吹き飛ばしていきましょう!