童心くすぐる和小物

子どもの頃、夏祭りがやって来ると、太鼓やお神輿の掛け声、笛の音など、普段と違う街のざわめきに、心躍らせたものです。

お小遣いを握りしめて、所狭しと並ぶ屋台に急ぎます。
目当ては、焼きそば? 綿菓子? それともお面?

子ども用の小さいがま口から、大事なお金をそっと取り出し、目当ての物と交換します。

じゃらじゃらとお釣りが入ったがま口を落とさないないように、しっかり握りしめて、特別な夜に心躍らせた。

そんな子ども時代が目に浮かぶのではないでしょうか。

まるで縁日の賑わいのようなカラフルで元気な絵柄、そして、子ども心をくすぐる丸く可愛いシルエット、レトロでお洒落な色使い…倭物やカヤの「おもちゃ絵」や「刺し絵」を使ったがま口を携えれば、きっと昔懐かしい想い出が蘇るでしょう。

まずは、「おもちゃ絵」のがま口を紹介します。

おもちゃ絵とは、絵双六やカルタとともに、近世後期から近代にかけて製作・出版された千代紙風の図鑑的な知育玩具です。

日本のおもちゃ絵 -絵師・川崎巨泉の玩具帖 (青幻舎ビジュアル文庫シリーズ)
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遊びながら日常生活に必要な知識を習得したりするものだったそう。

そんな江戸のおもちゃ絵を使った色とりどりで楽しい模様のがま口。
童心に帰ったように気持ちが弾みます。

小銭入れとしてはもちろん、散らばりやすいコスメなどの小物入れにピッタリ。

マチがあるので、身の回りのものをたくさん入れられます。
除菌ジェルやウエットティッシュの携帯にも吉。

がま口部分の大玉がビビット色で、アクセントが効いています。
そっと携えれば、その日のコーディネートがぱっと華やぐこと間違いなし。


次は、「刺し絵」のがま口を紹介します。

浮世絵由来の一点模様が可愛らしいがま口。
一針一針丁寧に刺繍され、一つの模様が出来上がります。

まるで、江戸のおもちゃ絵のような愛らしい風合いが際立ちます。

ぱかっと開くがま口には、飴やリップクリームなど必需品を忍ばせて。
毎日持ち運ぶものは、見れば一度気分が上がる、粋な和柄を選びたい。

江戸時代のおもちゃ絵「新板手遊尽し(二代歌川広重)」のモチーフを刺繍で表現しました。

二代歌川広重は名を重宣といい、代表作「東海道五十三次」で有名な初代歌川広重の弟子として、名を馳せています。

新板手遊尽しとは、江戸時代の子ども用の浮世絵のこと。
福笑いや凧揚げなど、子どもの伝統的な遊びを優しいタッチの浮世絵調で描きます。

江戸の遊び絵 新版 大型本  稲垣真一 (著),福田繁雄(監修)
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どこか懐かしい温かみのあるがま口で、どこかレトロ風な可愛さを醸すでしょう。


お気に入りのがま口を携えて、ときに童心に帰りたい。
きっと、“可愛いもの”で囲まれたかったあの頃の気持ちが戻ってくるはず。
そんな願いを叶えてくれる、「おもちゃ絵」のがま口で、子供の頃に通ったあの道を、もう一度そぞろ歩いてみませんか。


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