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もうすぐ、春のお彼岸がやってきます。 「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句を聞いたことはあるでしょうか。その言葉のとおり、春と秋にはお彼岸があり、それを節目に季節の代わり目を迎えます。ご家庭によっては、ご先祖様のお墓参りに行ったり、お仏壇に手を合わせたりなさることでしょう。
本来の彼岸とは意味が違っていますが、日本では古くから伝わる風習の1つです。今回はお彼岸の本来の意味も含めて、詳しくご説明します。
現代の日本においてお彼岸は、年に2回春と秋にあり、それぞれ春分の日と秋分の日を挟んだ1週間をさします。ちょうど真ん中の4日目を中日(ちゅうにち)と呼び、この日をお彼岸だということも多いので注意しましょう。 一般的にお彼岸とはある1日をさす言葉ではなく、1週間という期間をさす言葉です。
仏教において、お彼岸は善行を重ね修行を積むべき期間とされています。というのも、お彼岸の時期は、一年で最も極楽浄土が近づくときだと言われているからなのです。 彼岸、つまり大きな川を隔てた向こう岸は極楽浄土であり、対して此岸(しがん)は私たちのいる現世を表します。この二つの間にある大きな川を越えて彼岸へ至ることは、悟りを得るということなのです。
観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)というお経にも「沈みゆく太陽を拝み、その方角にある極楽浄土を思いなさい」と書かれています。 そのため、仏教徒は真西に太陽が沈むお彼岸の期間に修行を積み、向こう岸に至ることをめざすのです。
お彼岸の期間は、祖先のお墓の掃除やお墓参りをして、供物やお線香を供えます。 ご自宅でお仏壇の掃除や、お坊さんを呼んで法要を行うご家庭も少なくありません。
こういったときは、今後のお墓の継承や墓じまいなどについて話をする絶好の機会とも言えます。相続やお墓のことを話してみるのも良いでしょう。
お彼岸は春と秋の2つがあり、それぞれ春分の日と秋分の日を挟んだ7日間をさします。この7日間のうち、お彼岸の初日を彼岸入りと言い、4日目を中日、最後の日を彼岸明けと呼んでいます。 2024年の春のお彼岸は3月17日から3月23日、秋のお彼岸は9月19日から9月25日となっています。
春分の日と秋分の日を中日とする理由は、諸説あります。最も語られている説は「春分の日と秋分の日は太陽が真東から昇り真西に沈むから」というものです。 「極楽浄土は真西にある」とされているため、真西に太陽が向かうこの日は、極楽浄土に最も近づく日だと考えられました。そのため、この期間はこの世とあの世が通じる日とされ、善行を積んだり祖先を供養したりする「お彼岸」になった、と言われています。
古くから、春分の日と秋分の日は、天体の動きによって決められていました。 太陽の通る道を黄道といい、赤道を天に伸ばしたものと交わった2点を春分点・秋分点と呼びます。春分の日や秋分の日は、その瞬間が含まれた日のことをさします。
ちなみに、昭和23年に祝日法が制定され、日本のカレンダーでは、春分の日と秋分の日が国民の祝日として規定されています。 毎年太陽の動きに合わせて国立天文台が定めており、前年の2月1日に「暦要項」が官報に掲載され、正式にその年の春分の日と秋分の日が決定されます。
お彼岸は、皆さんがご存じのように、仏教に由来する年中行事です。古くから日本人に根付いている風習ですが、本来の意味を知らない方もおられることでしょう。ここでは、お彼岸の意味や成り立ちをご紹介します。
「彼岸」は、梵語(サンスクリット語の異称)で「パーラミター」という言葉に由来します。パーラミターは完全なる世界を意味し、それは仏の世界を表しています。 この言葉を日本語に訳すと「波羅蜜(はらみつ)」または「到彼岸(とうひがん)」となり、これは彼岸に到達すること、つまり悟りを得ることをさしています。
お彼岸の中日にあたる春分の日・秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に向かいます。 仏教では真西に極楽浄土がある、とされているため、この日が極楽浄土に一番近い日、極楽浄土に通じる日、だと考えられたのです。
そのため、この日に善行や修行を積み、少しでも仏教の悟りに近づけるようにしよう、というのがお彼岸の成り立ちです。 その後、日本の祖先崇拝と結びついたため、祖先を供養する日にもなりました。
日本のお彼岸の始まりは飛鳥時代だと言われますが、現在のようなお墓参りが習慣となったのは江戸時代中期です。このころから、お彼岸にはお墓参りをして、お花や食べ物をお供えする風習が根付いてきました。
本来のお彼岸は、善行や修行を積む期間です。けれど先述のように日本では、独自に発展した結果、先祖供養の法要をしたりお墓参りをしたりするようになりました。ですので、他国の仏教では日本のようなお彼岸の風習は見られません。
また、日本のお彼岸は、仏教だけでなく神道に由来するという説もあります。 神道では、あらゆるものに神が宿る、とされ、特に太陽を神として崇めており、かつて農耕社会だったころ、太陽はとても大切な存在でした。さらに春分や秋分の日には、春の種まきや秋の収穫など大切な時期が重なっていたのです。
そのため、この時期に太陽や作物の神に祈るという風習があり、それがお彼岸に繋がった、というのです。
仏教本来のお彼岸では、この期間に善行と修行を積み重ねます。行うと良いとされるものに「六波羅蜜」という教えがあるのをご存じでしょうか。普段は忙しくしているからこそ、お彼岸の一週間だけでも六種の行を実践し、悟りに近づく努力をするのです。
六波羅蜜については、下記ページで詳しくご紹介しております。
お彼岸ってどんな日?何をするの?正しく知って深めたい家族の絆とご先祖への感謝
お彼岸のお供えものは、どんなものがいいのか、悩む方もいらっしゃるでしょう。あまり難く考えずに、故人やご先祖様への感謝の気持ちを込めることを大切にしてください。 では具体的に、どういったものが良いのか、いくつか例をご紹介します。
お墓参りのお供えものは、供花が一般的です。故人の好きだった食べ物などをお供えしたい場合は、霊園や墓地管理者に許可を取り、指示に従ってください。食べ物があると鳥や動物に荒らされることがあるので注意しましょう。
ご自宅で仏壇にお供えする場合は、お線香、供花、ロウソク、お茶、お水、食べ物が基本となります。 普段からお供え物をしているご家庭ですと、お彼岸中はお供え物を少し多くしたり、豪華にしたりしているようです。
お供えする食べ物で代表的なものが、春のぼたもち、秋のおはぎです。これとは別に故人が好きだった食べ物を供えることもあります。 ただし、仏教において「なまぐさ」のお供え物は厳禁です。お肉・お魚など殺生を連想するものは避けましょう。 同様に、においの強い食べ物もNGとされています。ニンニク・パクチー・タマネギ・ニラなども避けた方が良いでしょう。
お墓やお仏壇にお供えする花というと、菊を連想するかもしれません。 昔は春分や秋分の日に咲いている花が多くはなかったこと、強い匂いのする百合などを避けていたことから、菊が多用されていました。しかし現在、供花について明確な決まりはなく、故人が好きだったお花や一般的なお花をお供えすることが多いようです。
近年は一年を通じてあらゆるお花が手に入るようになったため、どんなお花でも構わないという風潮になりました。 そのなかでも、白・ピンク・黄色・赤などの明るい色のものが好まれています。 ただし、明確な決まりはないものの、棘のある花や毒のある花は避けた方が良いでしょう。
年に2回あるお彼岸ですが、春と秋で明確な違いはあるのかというと、ほとんど違いはありません。どちらのお彼岸でもご先祖様に感謝して、お墓やお仏壇の掃除をし、供養を行うことが大切です。
強いて挙げるとすれば、お供え物の内容が少し違ってきます。季節の花を供えたり、旬の食べ物を供えたりすることがあるようです。
また、春はぼたもち、秋はおはぎをお供えする、という違いがあります。 ぼたもちは牡丹の花が咲くころにお供えすることから、この名前がつきました。もち米をあんこで包んだ食べ物で、こしあんで作ります。 おはぎは、萩が咲く季節にお供えすることから、こう呼ばれています。ぼたもちと違い、粒あんで作られています。
お彼岸と同じようにお墓参りをするお盆と何が違うのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。ここで、表を使って簡単にご説明します。
お彼岸は春と秋の年2回ありますが、お盆は年に1回です。それだけでなく、お彼岸は春分の日や秋分の日といった時期が決まっていますが、お盆は地域によって異なってきます。
お盆は一般的に8月15日を挟む数日間ですが、関東では7月がお盆だったり、中部地方の一部では8月1日がお盆だったりします。さらに、お彼岸はお墓参りなどで、こちらからご先祖様に会いに行きますが、お盆はご先祖様が返ってくるのをお迎えすることになります。
初彼岸とは、その名のとおり亡くなってから初めて迎えるお彼岸のことをさします。 初彼岸といっても、普段のお彼岸と違いはありません。初めてのお彼岸だから、とお供え物を少し多くしたり、手をかけてみたりするご家庭もあります。
同様に、亡くなって初めて迎えるお盆を初盆、もしくは新盆と呼びます。 お盆の期間中は、自宅に返ってくるご先祖様の霊をお迎えし、供養を行います。 地域によって様々ですが、迎え火や送り火を焚いたり、提灯を飾ったりすることもあります。お坊さんをお呼びして自宅で法要を執り行うか、お寺に行って法要を行ってもらいましょう。
お彼岸は弔事ではありません。ですので、やってはいけないことは基本的にありません。 ただし、ご家庭によっては、お墓参りや法要以外のことを嫌がることがあります。
お墓参りにおいて、こうすべき、というルールはありません。大切なのはご先祖様や故人を思い、手を合わせることです。
例えばお線香の本数、置き方、お供え物などは宗派によっても違いますので、一般的なマナーを押さえておくと良いでしょう。派手でない服装と動きやすい靴を履き、あれば数珠(念珠)を持っていきます。
また、霊園ごとに規則があり、ペットは入れなかったり、食べ物のお供えはNGだったりします。開園時間が決まっていることもありますので、事前に確認することをおすすめします。
服装に関しても、明確なルールはありません。カジュアルな服装で構いませんが、他の方に配慮して、派手な色やデザインは避けた方が良いでしょう。 お墓参りにいくときは、お掃除をすることもありますので、動きやすい地味な服をおすすめします。ピンヒールや素肌の出るミュールなども危ないので避けましょう。
ご自宅にお坊さんを呼んだり、お寺に行って法要をお願いしたりする場合は、礼服や準礼服、黒のスーツを着用してください。家によっては、神主が執り行うこと(お宮参り・建前など)はお彼岸にすべきでない、という場合もあります。
また、お彼岸を大事にするご家庭もあるので、結婚式や披露宴は避けた方が良いでしょう。人によっては、スケジュールの都合がつかないことがあります。
お彼岸は、普段よりも少し良い行いを心がけ、祖先や故人を偲ぶよい機会です。 ご家族でお墓参りをしたり、お仏壇に手を合わせたりして、故人について語らってみてはいかがでしょうか。故人が生前に好きだったお花や食べ物をお供えして故人を想い、穏やかにお過ごしください。
もうすぐ、春のお彼岸がやってきます。
「暑さ寒さも彼岸まで」という慣用句を聞いたことはあるでしょうか。その言葉のとおり、春と秋にはお彼岸があり、それを節目に季節の代わり目を迎えます。ご家庭によっては、ご先祖様のお墓参りに行ったり、お仏壇に手を合わせたりなさることでしょう。
本来の彼岸とは意味が違っていますが、日本では古くから伝わる風習の1つです。今回はお彼岸の本来の意味も含めて、詳しくご説明します。
目次
お彼岸とは
現代の日本においてお彼岸は、年に2回春と秋にあり、それぞれ春分の日と秋分の日を挟んだ1週間をさします。ちょうど真ん中の4日目を中日(ちゅうにち)と呼び、この日をお彼岸だということも多いので注意しましょう。
一般的にお彼岸とはある1日をさす言葉ではなく、1週間という期間をさす言葉です。
仏教でのお彼岸の期間の考え方
仏教において、お彼岸は善行を重ね修行を積むべき期間とされています。というのも、お彼岸の時期は、一年で最も極楽浄土が近づくときだと言われているからなのです。
彼岸、つまり大きな川を隔てた向こう岸は極楽浄土であり、対して此岸(しがん)は私たちのいる現世を表します。この二つの間にある大きな川を越えて彼岸へ至ることは、悟りを得るということなのです。
観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)というお経にも「沈みゆく太陽を拝み、その方角にある極楽浄土を思いなさい」と書かれています。
そのため、仏教徒は真西に太陽が沈むお彼岸の期間に修行を積み、向こう岸に至ることをめざすのです。
一般的にはどういうことをするのか
お彼岸の期間は、祖先のお墓の掃除やお墓参りをして、供物やお線香を供えます。
ご自宅でお仏壇の掃除や、お坊さんを呼んで法要を行うご家庭も少なくありません。
こういったときは、今後のお墓の継承や墓じまいなどについて話をする絶好の機会とも言えます。相続やお墓のことを話してみるのも良いでしょう。
2024年(令和6年)のお彼岸はいつ?
お彼岸は春と秋の2つがあり、それぞれ春分の日と秋分の日を挟んだ7日間をさします。この7日間のうち、お彼岸の初日を彼岸入りと言い、4日目を中日、最後の日を彼岸明けと呼んでいます。
2024年の春のお彼岸は3月17日から3月23日、秋のお彼岸は9月19日から9月25日となっています。
なぜ春分の日と秋分の日なのか
春分の日と秋分の日を中日とする理由は、諸説あります。最も語られている説は「春分の日と秋分の日は太陽が真東から昇り真西に沈むから」というものです。
「極楽浄土は真西にある」とされているため、真西に太陽が向かうこの日は、極楽浄土に最も近づく日だと考えられました。そのため、この期間はこの世とあの世が通じる日とされ、善行を積んだり祖先を供養したりする「お彼岸」になった、と言われています。
そもそも春分の日・秋分の日はどうやって決まっている?
古くから、春分の日と秋分の日は、天体の動きによって決められていました。
太陽の通る道を黄道といい、赤道を天に伸ばしたものと交わった2点を春分点・秋分点と呼びます。春分の日や秋分の日は、その瞬間が含まれた日のことをさします。
ちなみに、昭和23年に祝日法が制定され、日本のカレンダーでは、春分の日と秋分の日が国民の祝日として規定されています。
毎年太陽の動きに合わせて国立天文台が定めており、前年の2月1日に「暦要項」が官報に掲載され、正式にその年の春分の日と秋分の日が決定されます。
お彼岸の意味・成り立ちは?
お彼岸は、皆さんがご存じのように、仏教に由来する年中行事です。古くから日本人に根付いている風習ですが、本来の意味を知らない方もおられることでしょう。ここでは、お彼岸の意味や成り立ちをご紹介します。
意味
「彼岸」は、梵語(サンスクリット語の異称)で「パーラミター」という言葉に由来します。パーラミターは完全なる世界を意味し、それは仏の世界を表しています。
この言葉を日本語に訳すと「波羅蜜(はらみつ)」または「到彼岸(とうひがん)」となり、これは彼岸に到達すること、つまり悟りを得ることをさしています。
成り立ち
お彼岸の中日にあたる春分の日・秋分の日は、太陽が真東から昇り真西に向かいます。
仏教では真西に極楽浄土がある、とされているため、この日が極楽浄土に一番近い日、極楽浄土に通じる日、だと考えられたのです。
そのため、この日に善行や修行を積み、少しでも仏教の悟りに近づけるようにしよう、というのがお彼岸の成り立ちです。
その後、日本の祖先崇拝と結びついたため、祖先を供養する日にもなりました。
日本におけるお彼岸
日本のお彼岸の始まりは飛鳥時代だと言われますが、現在のようなお墓参りが習慣となったのは江戸時代中期です。このころから、お彼岸にはお墓参りをして、お花や食べ物をお供えする風習が根付いてきました。
本来のお彼岸は、善行や修行を積む期間です。けれど先述のように日本では、独自に発展した結果、先祖供養の法要をしたりお墓参りをしたりするようになりました。ですので、他国の仏教では日本のようなお彼岸の風習は見られません。
また、日本のお彼岸は、仏教だけでなく神道に由来するという説もあります。
神道では、あらゆるものに神が宿る、とされ、特に太陽を神として崇めており、かつて農耕社会だったころ、太陽はとても大切な存在でした。さらに春分や秋分の日には、春の種まきや秋の収穫など大切な時期が重なっていたのです。
そのため、この時期に太陽や作物の神に祈るという風習があり、それがお彼岸に繋がった、というのです。
仏教本来のお彼岸では、この期間に善行と修行を積み重ねます。行うと良いとされるものに「六波羅蜜」という教えがあるのをご存じでしょうか。普段は忙しくしているからこそ、お彼岸の一週間だけでも六種の行を実践し、悟りに近づく努力をするのです。
六波羅蜜については、下記ページで詳しくご紹介しております。
お彼岸ってどんな日?何をするの?正しく知って深めたい家族の絆とご先祖への感謝
お彼岸のお供え・供花
お彼岸のお供えものは、どんなものがいいのか、悩む方もいらっしゃるでしょう。あまり難く考えずに、故人やご先祖様への感謝の気持ちを込めることを大切にしてください。
では具体的に、どういったものが良いのか、いくつか例をご紹介します。
お供えについて
お墓参りのお供えものは、供花が一般的です。故人の好きだった食べ物などをお供えしたい場合は、霊園や墓地管理者に許可を取り、指示に従ってください。食べ物があると鳥や動物に荒らされることがあるので注意しましょう。
ご自宅で仏壇にお供えする場合は、お線香、供花、ロウソク、お茶、お水、食べ物が基本となります。
普段からお供え物をしているご家庭ですと、お彼岸中はお供え物を少し多くしたり、豪華にしたりしているようです。
お供えする食べ物で代表的なものが、春のぼたもち、秋のおはぎです。これとは別に故人が好きだった食べ物を供えることもあります。
ただし、仏教において「なまぐさ」のお供え物は厳禁です。お肉・お魚など殺生を連想するものは避けましょう。
同様に、においの強い食べ物もNGとされています。ニンニク・パクチー・タマネギ・ニラなども避けた方が良いでしょう。
供花について
お墓やお仏壇にお供えする花というと、菊を連想するかもしれません。
昔は春分や秋分の日に咲いている花が多くはなかったこと、強い匂いのする百合などを避けていたことから、菊が多用されていました。しかし現在、供花について明確な決まりはなく、故人が好きだったお花や一般的なお花をお供えすることが多いようです。
近年は一年を通じてあらゆるお花が手に入るようになったため、どんなお花でも構わないという風潮になりました。
そのなかでも、白・ピンク・黄色・赤などの明るい色のものが好まれています。
ただし、明確な決まりはないものの、棘のある花や毒のある花は避けた方が良いでしょう。
春彼岸と秋彼岸の違い
年に2回あるお彼岸ですが、春と秋で明確な違いはあるのかというと、ほとんど違いはありません。どちらのお彼岸でもご先祖様に感謝して、お墓やお仏壇の掃除をし、供養を行うことが大切です。
強いて挙げるとすれば、お供え物の内容が少し違ってきます。季節の花を供えたり、旬の食べ物を供えたりすることがあるようです。
また、春はぼたもち、秋はおはぎをお供えする、という違いがあります。
ぼたもちは牡丹の花が咲くころにお供えすることから、この名前がつきました。もち米をあんこで包んだ食べ物で、こしあんで作ります。
おはぎは、萩が咲く季節にお供えすることから、こう呼ばれています。ぼたもちと違い、粒あんで作られています。
お盆とお彼岸の違いは?
お彼岸と同じようにお墓参りをするお盆と何が違うのか、気になる方もいらっしゃるでしょう。ここで、表を使って簡単にご説明します。
◆祖先の供養
◆供養
※地域差があり、7月がお盆の場合もある
アイリス、
マーガレットなど
リンドウ、
千日紅など
◆お仏壇の掃除 など
◆施餓鬼(せがき)
◆迎え火・送り火を焚く
◆精霊棚を作る
◆お墓参り など
お彼岸は春と秋の年2回ありますが、お盆は年に1回です。それだけでなく、お彼岸は春分の日や秋分の日といった時期が決まっていますが、お盆は地域によって異なってきます。
お盆は一般的に8月15日を挟む数日間ですが、関東では7月がお盆だったり、中部地方の一部では8月1日がお盆だったりします。さらに、お彼岸はお墓参りなどで、こちらからご先祖様に会いに行きますが、お盆はご先祖様が返ってくるのをお迎えすることになります。
初彼岸ってなに?
初彼岸とは、その名のとおり亡くなってから初めて迎えるお彼岸のことをさします。
初彼岸といっても、普段のお彼岸と違いはありません。初めてのお彼岸だから、とお供え物を少し多くしたり、手をかけてみたりするご家庭もあります。
同様に、亡くなって初めて迎えるお盆を初盆、もしくは新盆と呼びます。
お盆の期間中は、自宅に返ってくるご先祖様の霊をお迎えし、供養を行います。
地域によって様々ですが、迎え火や送り火を焚いたり、提灯を飾ったりすることもあります。お坊さんをお呼びして自宅で法要を執り行うか、お寺に行って法要を行ってもらいましょう。
お彼岸でやってはいけないことはあるの?
お彼岸は弔事ではありません。ですので、やってはいけないことは基本的にありません。
ただし、ご家庭によっては、お墓参りや法要以外のことを嫌がることがあります。
お墓参りに必要な最低限のマナー
お墓参りにおいて、こうすべき、というルールはありません。大切なのはご先祖様や故人を思い、手を合わせることです。
例えばお線香の本数、置き方、お供え物などは宗派によっても違いますので、一般的なマナーを押さえておくと良いでしょう。派手でない服装と動きやすい靴を履き、あれば数珠(念珠)を持っていきます。
また、霊園ごとに規則があり、ペットは入れなかったり、食べ物のお供えはNGだったりします。開園時間が決まっていることもありますので、事前に確認することをおすすめします。
服装や行動など
服装に関しても、明確なルールはありません。カジュアルな服装で構いませんが、他の方に配慮して、派手な色やデザインは避けた方が良いでしょう。
お墓参りにいくときは、お掃除をすることもありますので、動きやすい地味な服をおすすめします。ピンヒールや素肌の出るミュールなども危ないので避けましょう。
ご自宅にお坊さんを呼んだり、お寺に行って法要をお願いしたりする場合は、礼服や準礼服、黒のスーツを着用してください。家によっては、神主が執り行うこと(お宮参り・建前など)はお彼岸にすべきでない、という場合もあります。
また、お彼岸を大事にするご家庭もあるので、結婚式や披露宴は避けた方が良いでしょう。人によっては、スケジュールの都合がつかないことがあります。
まとめ
お彼岸は、普段よりも少し良い行いを心がけ、祖先や故人を偲ぶよい機会です。
ご家族でお墓参りをしたり、お仏壇に手を合わせたりして、故人について語らってみてはいかがでしょうか。故人が生前に好きだったお花や食べ物をお供えして故人を想い、穏やかにお過ごしください。