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自宅から最寄りの駅やバス停までの道。会社までの道。 よく行くお店や、子どもの学校のそば、取引先の近く。
あなたの“最寄り神社”はどこでしょう?
「ああ、あそこにあるな」と思ったら、ためしに足を運んでみましょう。 「毎朝かかさずお参りしてから出勤すると、運気が上がって年収が倍増する」 「朝晩、お賽銭をあげれば、恋を引き寄せてすてきな出会いがある」
僕はこんな話をするつもりはありませんし、神さまもおそらく、「運気倍増」なんていう約束は、してくれないだろうと思います。 それでも「行きつけの神社をもとう」とすすめるのには、理由があります。
たとえば、ある土曜日の朝、近所の神社に行くとします。
ようやく迎えた休日。おそらく「あと一五分で到着だ!」と大急ぎで行く人はおらず、のんびり歩くでしょう。のんびり歩けば、「少し暖かくなって、天気がいいな。花粉がちょっと辛いけれど、春はやっぱりいいなあ」などと感じるでしょう。風、空、木々、空気の匂い。商店街の人々。いつもなら通り過ぎるものに目を向ける余裕が生まれます。
この余裕こそ、“神社のご利益その一”です。
そうやって歩いていると、道にぴかっと光るものがあります。なんだろうと見ると、一〇〇円玉。日々の通勤途中で一〇〇円玉を拾っても「一〇〇円見っけ。ラッキー」くらいしか思わない人も、「神社に行く途中に一〇〇円が落ちていた」と受け止めれば、その意味や理由に思いを馳せるでしょう。
「神さまがくれたんだ。ありがたく思いなさい」などと、言いたいのではありません。 「一〇〇円拾った」という“現象”だけを見るのではなく、その奥にある“意味”に思いを馳せることができる。これだけでも、かなりすてきなことではないでしょうか。
考える時間、立ち止まる時間というのは、とても尊く大切だけれど、僕たちの暮らしから確実に失われているもののひとつ。それを取り戻せるだけでも、しあわせです。
これが僕の思う、“神社のご利益その二”です。
「拾ってラッキー!」と思う一〇〇円はただの一〇〇円で、せいぜいコーヒーかガムになって終わります。いっぽう、神社に行く途中で拾った一〇〇円は、お賽銭にするのか、募金箱に入れるのか、警察に届けるのか考えると思います。
何が正解というわけではありません。思いを馳せることが恵みです。そして神社を介しての思いを「清か濁か」の秤にかければ、きよらかなほうに傾いていると僕はとらえています。
「神社に行くときは、玄関を一歩出たら、そこはもう参道です」
東京と尾道の自由大学でおこなっている〈神社学〉の授業で、僕はしばしばこう話します。 「今日は神社に行こう」「神さまに会いに行こう」と思うとき、人は無意識に、姿勢をただし、気持ちもそれに従います。
歩道を自転車が猛スピードで通り抜けても、「車道を通れよ。危ないじゃないか!」と腹を立てるのではなく、「どうしてそれほど急ぐんだろう?」と、相手の抱える理由や事情を考えることができたりします。
歩道橋で困っているベビーカーのお母さんがいたら、「ちょっと手伝おうか」という気持ちが芽生えることもあります。
僕も「山の神さまに会いに行こう」と山奥の神社を訪れるとき、どういうわけか山に捨てられているゴミを持ち帰ったりしている自分に気づきます。 とはいえ、すぐに行動に移せるかどうかは、人それぞれ。
猛スピードの自転車に、「自転車専用レーンが必要だな」と考えてコミュニティのルールを調べる人がいるかもしれませんし、反射的にムッとしてしまい、あとから反省する人もいるでしょう。 ベビーカーを持ち上げて、お母さんに「ありがとうございます」と感謝される人もいれば、「大変そうだ」と思いながら、気恥ずかしくて通り過ぎてしまう人もいるでしょう。
どちらでもかまいません。まずは感じることがスタートです。感じないかぎり、行動は生まれないのですから。
神社に行くのに理由はいりません。大晦日やお正月でなくてもいい。厄年でなくてもいい。試験の前に合格祈願をしたいという「用件」も必要ないのです。 みんながもっと気軽に神社に立ち寄れるように、「全神社Wi-Fi完備計画」なんて話を、僕はなかば本気で主張しています。
休みの日。たまたまいつもより早く目が覚めて、出勤時間に余裕がある日。 移動の途中で時間が一五分ほどあいてしまったというタイミング。 「そうだ、神社に行こう」と、足を運んでみましょう。
それが習慣になり、「行きつけの神社」ができると、暮らしと心が少し変わります。
出典:「日本の神さまと上手に暮らす法」/著者:中村真
ここ日本で生活していると、意識はしなくても当たり前に見かける神社。 「いったい日本にはどれくらいの数の神社があるのだろう?」 ふとそんなことを考えたことはありませんか?
ライフスタイル神社学は、前・中・後編の3回で学ぶカリキュラムです。
● LIFESTYLE神社学 前編自然崇拝と祈りの地、神社の魅力の源に思いを馳せる
● LIFESTYLE神社学 中編日本の神話から想像力を育む- 日本神話その1 -
● LIFESTYLE神社学 後編神話が紡ぐ、目に見えない神様ネットワーク- 日本神話その2 –
Lifestyle神社学では、そんな日本人が知っているようで知らない神社のこと、神様のことについて、本記事を執筆された中村真先生が熱く語ってくれます。 中村先生の語りは一つとして同じ話はない、アドリブ満載のまさにライブ感溢れる講義です。
全国各地にあるソーシャル大学にて「神社学」を展開。地方活性のひとつとして尾道自由大学を設立し、校長に就任。その他、イマジン株式会社代表、(社)人力チャレンジ応援部代表理事。世界を旅し、外から見ることで日本の魅力に改めて気づき、帰国後に日本の魅力を再発見していく中で、とことん神社に心を奪われる。 アミナコレクションの【COTOAGE】で「ライフスタイル神社学」では『講師』として、「あまのいわと学校」では『ともに学ぶ委員長』として、活躍中。
「行きつけの神社」はありますか?
自宅から最寄りの駅やバス停までの道。会社までの道。
よく行くお店や、子どもの学校のそば、取引先の近く。
あなたの“最寄り神社”はどこでしょう?
「ああ、あそこにあるな」と思ったら、ためしに足を運んでみましょう。
「毎朝かかさずお参りしてから出勤すると、運気が上がって年収が倍増する」
「朝晩、お賽銭をあげれば、恋を引き寄せてすてきな出会いがある」
僕はこんな話をするつもりはありませんし、神さまもおそらく、「運気倍増」なんていう約束は、してくれないだろうと思います。
それでも「行きつけの神社をもとう」とすすめるのには、理由があります。
たとえば、ある土曜日の朝、近所の神社に行くとします。
ようやく迎えた休日。おそらく「あと一五分で到着だ!」と大急ぎで行く人はおらず、のんびり歩くでしょう。のんびり歩けば、「少し暖かくなって、天気がいいな。花粉がちょっと辛いけれど、春はやっぱりいいなあ」などと感じるでしょう。風、空、木々、空気の匂い。商店街の人々。いつもなら通り過ぎるものに目を向ける余裕が生まれます。
この余裕こそ、“神社のご利益その一”です。
そうやって歩いていると、道にぴかっと光るものがあります。なんだろうと見ると、一〇〇円玉。日々の通勤途中で一〇〇円玉を拾っても「一〇〇円見っけ。ラッキー」くらいしか思わない人も、「神社に行く途中に一〇〇円が落ちていた」と受け止めれば、その意味や理由に思いを馳せるでしょう。
「神さまがくれたんだ。ありがたく思いなさい」などと、言いたいのではありません。
「一〇〇円拾った」という“現象”だけを見るのではなく、その奥にある“意味”に思いを馳せることができる。これだけでも、かなりすてきなことではないでしょうか。
考える時間、立ち止まる時間というのは、とても尊く大切だけれど、僕たちの暮らしから確実に失われているもののひとつ。それを取り戻せるだけでも、しあわせです。
これが僕の思う、“神社のご利益その二”です。
「拾ってラッキー!」と思う一〇〇円はただの一〇〇円で、せいぜいコーヒーかガムになって終わります。いっぽう、神社に行く途中で拾った一〇〇円は、お賽銭にするのか、募金箱に入れるのか、警察に届けるのか考えると思います。
何が正解というわけではありません。思いを馳せることが恵みです。そして神社を介しての思いを「清か濁か」の秤にかければ、きよらかなほうに傾いていると僕はとらえています。
神社に行くのに理由はいらない
「神社に行くときは、玄関を一歩出たら、そこはもう参道です」
東京と尾道の自由大学でおこなっている〈神社学〉の授業で、僕はしばしばこう話します。
「今日は神社に行こう」「神さまに会いに行こう」と思うとき、人は無意識に、姿勢をただし、気持ちもそれに従います。
歩道を自転車が猛スピードで通り抜けても、「車道を通れよ。危ないじゃないか!」と腹を立てるのではなく、「どうしてそれほど急ぐんだろう?」と、相手の抱える理由や事情を考えることができたりします。
歩道橋で困っているベビーカーのお母さんがいたら、「ちょっと手伝おうか」という気持ちが芽生えることもあります。
僕も「山の神さまに会いに行こう」と山奥の神社を訪れるとき、どういうわけか山に捨てられているゴミを持ち帰ったりしている自分に気づきます。
とはいえ、すぐに行動に移せるかどうかは、人それぞれ。
猛スピードの自転車に、「自転車専用レーンが必要だな」と考えてコミュニティのルールを調べる人がいるかもしれませんし、反射的にムッとしてしまい、あとから反省する人もいるでしょう。
ベビーカーを持ち上げて、お母さんに「ありがとうございます」と感謝される人もいれば、「大変そうだ」と思いながら、気恥ずかしくて通り過ぎてしまう人もいるでしょう。
どちらでもかまいません。まずは感じることがスタートです。感じないかぎり、行動は生まれないのですから。
神社に行くのに理由はいりません。大晦日やお正月でなくてもいい。厄年でなくてもいい。試験の前に合格祈願をしたいという「用件」も必要ないのです。
みんながもっと気軽に神社に立ち寄れるように、「全神社Wi-Fi完備計画」なんて話を、僕はなかば本気で主張しています。
休みの日。たまたまいつもより早く目が覚めて、出勤時間に余裕がある日。
移動の途中で時間が一五分ほどあいてしまったというタイミング。
「そうだ、神社に行こう」と、足を運んでみましょう。
それが習慣になり、「行きつけの神社」ができると、暮らしと心が少し変わります。
出典:「日本の神さまと上手に暮らす法」/著者:中村真
ライフスタイル神社学 受講生募集中!
ここ日本で生活していると、意識はしなくても当たり前に見かける神社。
「いったい日本にはどれくらいの数の神社があるのだろう?」
ふとそんなことを考えたことはありませんか?
ライフスタイル神社学は、前・中・後編の3回で学ぶカリキュラムです。
● LIFESTYLE神社学 前編
自然崇拝と祈りの地、神社の魅力の源に思いを馳せる
● LIFESTYLE神社学 中編
日本の神話から想像力を育む- 日本神話その1 -
● LIFESTYLE神社学 後編
神話が紡ぐ、目に見えない神様ネットワーク- 日本神話その2 –
Lifestyle神社学では、そんな日本人が知っているようで知らない神社のこと、神様のことについて、本記事を執筆された中村真先生が熱く語ってくれます。
中村先生の語りは一つとして同じ話はない、アドリブ満載のまさにライブ感溢れる講義です。
筆者プロフィール:神社学教授 中村真
全国各地にあるソーシャル大学にて「神社学」を展開。地方活性のひとつとして尾道自由大学を設立し、校長に就任。その他、イマジン株式会社代表、(社)人力チャレンジ応援部代表理事。世界を旅し、外から見ることで日本の魅力に改めて気づき、帰国後に日本の魅力を再発見していく中で、とことん神社に心を奪われる。
アミナコレクションの【COTOAGE】で「ライフスタイル神社学」では『講師』として、「あまのいわと学校」では『ともに学ぶ委員長』として、活躍中。