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アリゾナ州ツーソン。 学校に通い始めて1ヶ月半ぐらいした頃、町のあちこちでカラフルな模様が書かれたガイコツを見かけるようになりました。
当時車を持っていなかった私は、クラスの中でお父さんのような存在のメキシコ人カルロスに授業後、スーパーに乗せて行ってもらいました。10月中旬のスーパーの入口には、色とりどりのシュガースカルが売られており、
「あの可愛いスカルはハロウィーン用の飾りなの?」
と私が聞くと、カルロスは大笑いして、
「日本から来たチカ(私)はディア デ ムエルトス (Día de Muertos ) を知らないんだって!」
と店員さんに話しかけ、一緒に笑っています。
何がそんなに面白いのか全くわかっていない私にカルロスは
「“ディア デ ムエルトス”はメキシコの伝統行事。」
とだけ教えて、11月2日にお家においでと招待してくれたのです。
「ディア デ ムエルトス」。日本語に訳せば「死者の日」。 亡くなった家族や知人の魂をお酒や食べ物を用意して迎え、故人の思い出を称えるお祭りのことです。
自宅にオフレンダ(祭壇)を作り、故人の写真とともに生きていた頃の好物や、マリーゴールド、カラベラ(シュガースカル)、パペル ピカド(切り絵のバナー)、キャンドルなどの土、水、火、風を意味する供物をお供えします。
カラベラと呼ばれるシュガースカルは死者の日の祭壇に飾られるガイコツの形をした装飾品で、額に亡くなった方の名前がカラフルな模様と共に記されます。 目や頬骨の辺りや頭を中心に、花やハート、渦巻きなどのカラフルなデザインを描かれたたカラベラは色使いにも意味があるそうです。
不気味にも思えるカラベラですが、メキシコの人たちにとって愛する人のガイコツは恐ろしい物ではありません。
死が悲しいことや怖いことである必要は無く、死を甘くすることもできる、という意味を持つシュガースカルは、命の幸福や喜びを表現しています。
故人の魂が家族の元を訪れ、お墓の掃除をしたりする行事は、日本のお盆のようですが、 たくさんの食べ物やお酒があるので、パーティーのようにも感じます。
「ディア デ ムエルトス」について調べていくうちに、カルロスの家に行くのが楽しみになってきたのです。
11月2日、カルロスの家に着くと、まず目を奪われたのは玄関のすぐ横に作られたオフレンダとたくさんの数のマリーゴールド。そして灯されたキャンドルの炎で輝く祭壇。
木製のひな段に8枚の写真と8個のカラベラが飾られ、テキーラの瓶と菓子パンなどの食べ物が山盛りになって、あちこちにパペル・ピカド※が吊るされています。
「すごく綺麗!」
「ああ、マリーゴールドは死者の花なんだよ。この香りが亡くなった人を家族の元へ導いてくれるんだ。」
カルロスは1人ずつ写真の人物を紹介しエピソードを語ってくれました。 すると、カルロスの幼馴染だという男の人が話に加わって、お爺ちゃんのネコを追いかけまわして叱られた話や、写真の故人にまつわる思い出話を披露していきます。
会話はスペイン語と英語の半々という感じでわからないことも多かったのですが、みんな親切で陽気! 本当に楽しく、大きな祭壇を設えていることを除けば普通のパーティーのようです。
そうこうしている間に、カルロスがスペイン語でなにかを促すと、みんながノートや紙きれを取り出し、順番に何かを朗読しはじめました。
韻を踏んでいるので何かの詩だろうと思ったのですが、みんな笑っているので何か面白いことを言っているのだろうと感じました。
カルロスのお嬢さんが、スペイン語をわからない私に気づき、
「カラベラス リテラリアス ( calaveras literarias )と言って、死者の日に亡くなった人を題材にして、韻を踏むように皮肉やユーモアの効いた詩を詠む遊びなの。」
と教えてくれました。
メキシコの死者の日は日本のお盆と似ていますが、とても楽しいパーティーで神妙な喪のお祝いではなく、愛する故人の人生と死をユーモアと幸せな思い出で祝福することに重点を置いています。
日本ではお盆に、お坊さんを呼んでお経をあげて貰っていたような記憶しかなかったので、故人の思い出を楽しくパーティーにしてしまうメキシコの死者の日は、とても新鮮で幸せなイベントでした。
死者の日には、亡くなった方が好きだった食べ物やお酒を用意してオフレンダにお供えするのですが、いくつか伝統的な食べ物があります。
「パン デ ムエルト」という甘い菓子パンや、シュガースカルも死者の日をお祝いするフードです。
カルロスの家にあったパン デ ムエルトは、人や動物の形をした卵パンのような甘めの生地にアニスで風味を付けたもので、すごく美味しくてお土産に包んでもらいました。
最近はアメリカでは丸い卵パンに骨の形の飾り付けがしてあり、このタイプをよく見かけます。
シュガースカルは、グラニュー糖にデンプンやメレンゲを混ぜてガイコツの形に固めたもので、本来は食べることができるキャンディーのようなものです。
カルロスはあまりたくさん食べるとお腹が痛くなると言っており、 少しだけ食べてみたのですが、粉っぽい角砂糖ような感じであまり美味しいものではありません。。
最近のシュガースカルは着色料など、食べられない素材の場合も多いので、購入した場合は食べても大丈夫なのか表示をよく読んで確認することが大切です。
晩餐が始まるというので空いてる席に座ったのですが、そこには叔母さんが座っていると言われ、
「ええっ!」
と驚いて飛び上がったら、みんな大笑い。
死者の日の晩餐には故人の席も用意して、亡くなった家族の魂が一緒に食事をするということを知らなかったのです。
カラベラはとても人気があり、死者の日に限らず民芸品として木製の人形や張り子などの耐久性のある素材で作られた可愛いカラベラもたくさん売っています。
一つずつ模様が違うカラベラですが、羽根つき帽子にロングドレスのカラベラ。 「カタリーナ」がよくある死者の日のキャラです。
カタリーナは、20世紀はじめに人気を博したメキシコの政治風刺漫画家、ホセ グアダルーペ ポサダが描いた、富裕層のように派手な服を着たおしゃれなカラベラの中から定着したと言われています。
ハロウィーンにカラベラメイクでロングドレスの女の子もよく見かけますが、これはカタリーナのコスプレということですね!
カラベラは色合いがカラフルで、マーカーを使った落書きのような可愛さがあり、幸せの象徴という意味合いも含め、カラベラモチーフの小物やジュエリー、ポスターなどのインテリアは常に人気で、どれもカラフルで可愛くユーモラスな物ばかりです。
死者の日についてもっと詳しく知りたい人におすすめ!
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アリゾナ州ツーソン。
学校に通い始めて1ヶ月半ぐらいした頃、町のあちこちでカラフルな模様が書かれたガイコツを見かけるようになりました。
当時車を持っていなかった私は、クラスの中でお父さんのような存在のメキシコ人カルロスに授業後、スーパーに乗せて行ってもらいました。10月中旬のスーパーの入口には、色とりどりのシュガースカルが売られており、
「あの可愛いスカルはハロウィーン用の飾りなの?」
と私が聞くと、カルロスは大笑いして、
「日本から来たチカ(私)はディア デ ムエルトス (Día de Muertos ) を知らないんだって!」
と店員さんに話しかけ、一緒に笑っています。
何がそんなに面白いのか全くわかっていない私にカルロスは
「“ディア デ ムエルトス”はメキシコの伝統行事。」
とだけ教えて、11月2日にお家においでと招待してくれたのです。
目次
死者の日 (Día de Muertos ) とカラベラとは?
「ディア デ ムエルトス」。日本語に訳せば「死者の日」。
亡くなった家族や知人の魂をお酒や食べ物を用意して迎え、故人の思い出を称えるお祭りのことです。
自宅にオフレンダ(祭壇)を作り、故人の写真とともに生きていた頃の好物や、マリーゴールド、カラベラ(シュガースカル)、パペル ピカド(切り絵のバナー)、キャンドルなどの土、水、火、風を意味する供物をお供えします。
カラベラと呼ばれるシュガースカルは死者の日の祭壇に飾られるガイコツの形をした装飾品で、額に亡くなった方の名前がカラフルな模様と共に記されます。
目や頬骨の辺りや頭を中心に、花やハート、渦巻きなどのカラフルなデザインを描かれたたカラベラは色使いにも意味があるそうです。
不気味にも思えるカラベラですが、メキシコの人たちにとって愛する人のガイコツは恐ろしい物ではありません。
死が悲しいことや怖いことである必要は無く、死を甘くすることもできる、という意味を持つシュガースカルは、命の幸福や喜びを表現しています。
故人の魂が家族の元を訪れ、お墓の掃除をしたりする行事は、日本のお盆のようですが、
たくさんの食べ物やお酒があるので、パーティーのようにも感じます。
「ディア デ ムエルトス」について調べていくうちに、カルロスの家に行くのが楽しみになってきたのです。
輝くオフレンダ
11月2日、カルロスの家に着くと、まず目を奪われたのは玄関のすぐ横に作られたオフレンダとたくさんの数のマリーゴールド。そして灯されたキャンドルの炎で輝く祭壇。
木製のひな段に8枚の写真と8個のカラベラが飾られ、テキーラの瓶と菓子パンなどの食べ物が山盛りになって、あちこちにパペル・ピカド※が吊るされています。
※メキシコの切り絵「すごく綺麗!」
「ああ、マリーゴールドは死者の花なんだよ。この香りが亡くなった人を家族の元へ導いてくれるんだ。」
カルロスは1人ずつ写真の人物を紹介しエピソードを語ってくれました。
すると、カルロスの幼馴染だという男の人が話に加わって、お爺ちゃんのネコを追いかけまわして叱られた話や、写真の故人にまつわる思い出話を披露していきます。
会話はスペイン語と英語の半々という感じでわからないことも多かったのですが、みんな親切で陽気!
本当に楽しく、大きな祭壇を設えていることを除けば普通のパーティーのようです。
伝統の遊び、カラベラス リテラリアス(頭蓋骨文学)
そうこうしている間に、カルロスがスペイン語でなにかを促すと、みんながノートや紙きれを取り出し、順番に何かを朗読しはじめました。
韻を踏んでいるので何かの詩だろうと思ったのですが、みんな笑っているので何か面白いことを言っているのだろうと感じました。
カルロスのお嬢さんが、スペイン語をわからない私に気づき、
「カラベラス リテラリアス ( calaveras literarias )と言って、死者の日に亡くなった人を題材にして、韻を踏むように皮肉やユーモアの効いた詩を詠む遊びなの。」
と教えてくれました。
メキシコの死者の日は日本のお盆と似ていますが、とても楽しいパーティーで神妙な喪のお祝いではなく、愛する故人の人生と死をユーモアと幸せな思い出で祝福することに重点を置いています。
日本ではお盆に、お坊さんを呼んでお経をあげて貰っていたような記憶しかなかったので、故人の思い出を楽しくパーティーにしてしまうメキシコの死者の日は、とても新鮮で幸せなイベントでした。
死者の日を祝う食べ物と晩餐
死者の日には、亡くなった方が好きだった食べ物やお酒を用意してオフレンダにお供えするのですが、いくつか伝統的な食べ物があります。
「パン デ ムエルト」という甘い菓子パンや、シュガースカルも死者の日をお祝いするフードです。
カルロスの家にあったパン デ ムエルトは、人や動物の形をした卵パンのような甘めの生地にアニスで風味を付けたもので、すごく美味しくてお土産に包んでもらいました。
最近はアメリカでは丸い卵パンに骨の形の飾り付けがしてあり、このタイプをよく見かけます。
シュガースカルは、グラニュー糖にデンプンやメレンゲを混ぜてガイコツの形に固めたもので、本来は食べることができるキャンディーのようなものです。
カルロスはあまりたくさん食べるとお腹が痛くなると言っており、
少しだけ食べてみたのですが、粉っぽい角砂糖ような感じであまり美味しいものではありません。。
最近のシュガースカルは着色料など、食べられない素材の場合も多いので、購入した場合は食べても大丈夫なのか表示をよく読んで確認することが大切です。
晩餐が始まるというので空いてる席に座ったのですが、そこには叔母さんが座っていると言われ、
「ええっ!」
と驚いて飛び上がったら、みんな大笑い。
死者の日の晩餐には故人の席も用意して、亡くなった家族の魂が一緒に食事をするということを知らなかったのです。
カラベラ人気はいつも絶大
カラベラはとても人気があり、死者の日に限らず民芸品として木製の人形や張り子などの耐久性のある素材で作られた可愛いカラベラもたくさん売っています。
一つずつ模様が違うカラベラですが、羽根つき帽子にロングドレスのカラベラ。
「カタリーナ」がよくある死者の日のキャラです。
カタリーナは、20世紀はじめに人気を博したメキシコの政治風刺漫画家、ホセ グアダルーペ ポサダが描いた、富裕層のように派手な服を着たおしゃれなカラベラの中から定着したと言われています。
ハロウィーンにカラベラメイクでロングドレスの女の子もよく見かけますが、これはカタリーナのコスプレということですね!
カラベラは色合いがカラフルで、マーカーを使った落書きのような可愛さがあり、幸せの象徴という意味合いも含め、カラベラモチーフの小物やジュエリー、ポスターなどのインテリアは常に人気で、どれもカラフルで可愛くユーモラスな物ばかりです。
死者の日についてもっと詳しく知りたい人におすすめ!
チャイハネの骸骨グッズは「死者の日」のカラベラがモチーフ!
メキシコのお守りってどんなのか知ってる?気になる方はこちら!
奇跡を願うメキシコのチャーム「ミラグロ」