可愛いガイコツとマリーゴールドが彩るメキシコの死者の日

町のあちこちでカラフルな模様が書かれたガイコツを見かけるようになったのは、アリゾナ州ツーソンで9月から学校に通い始めて1ヶ月半ぐらいした頃です。

ある日、そのころ車を持っていなかった私は、クラスでもお父さん的な存在のメキシコ人、カルロスに授業の後でスーパーに乗せて行って貰いました。

10月中旬の大手スーパーの入口には、色とりどりのシュガースカルが売られていたので、
「あの可愛いスカルはハロウィーン用の飾りなの?」
私がきくと、カルロスは大笑いして、
「日本から来たチカ(お嬢さん)はディア デ ムエルトス (Día de Muertos ) を知らないんだって!」
大声で店員さんに話しかけて一緒に笑っています。

可愛いガイコツとマリーゴールドが彩るメキシコの死者の日01

何がそんなに面白いのか全く解っていない私に「ディア デ ムエルトス」はメキシコの伝統行事とだけ教えて、カルロスは11月2日に家においでと招待してくれました。

死者の日 (Día de Muertos ) とカラベラとは?

スーパーで笑われた後、家に帰って調べてみると、「ディア デ ムエルトス」を日本語に訳せば「死者の日」、亡くなった家族や知人の魂をお酒や食べ物を用意して迎え、故人の思い出を称えるお祭り、とのことです。

自宅にオフレンダ(祭壇)を作り、故人の写真とともに生きていた頃の好物や、マリーゴールド、カラベラ(シュガースカル)、パペル ピカド(切り絵のバナー)、キャンドルなどの土、水、火、風を意味する供物をお供えします。

可愛いガイコツとマリーゴールドが彩るメキシコの死者の日02

カラベラと呼ばれるシュガースカルは死者の日の祭壇に飾られるガイコツの形をした装飾品で、額に亡くなった方の名前がカラフルな模様と共に記されます。

目や頬骨の辺りや頭を中心に、花やハートや渦巻きなどのカラフルなデザインを描かれたたカラベラは、

  • 黄色 ー 死
  • 紫 ー 悲しみ
  • 白 ー 希望・純潔
  • ピンク ー お祝い
  • オレンジ ー 太陽
  • 黒 ー 死者の国

など色使いにも意味があるそうです。

可愛いガイコツとマリーゴールドが彩るメキシコの死者の日03

不気味にも思えるカラベラですが、メキシコの人たちはにとって愛する人のガイコツは恐ろしい物ではありません。死が悲しいことや怖いことである必要は無く、死を甘くすることもできる、という意味を持つシュガースカルは、命の幸福や喜びを表現しています。

故人の魂が家族の元を訪れ、お墓の掃除をしたりする行事は、日本のお盆みたいなイメージですが、たくさんの食べ物やお酒があるパーティーのような感じです。

ディア デ ムエルトスについて調べているうちに、だんだんカルロスの家に行くのが楽しみになってきました。

カルロス家の輝くオフレンダ

死者の日の当日カルロスの家に着くと、まず目を奪われたのは玄関のすぐ横に作られたオフレンダ、おびただしい数のマリーゴールドと灯されたキャンドルの炎で輝く祭壇です。

可愛いガイコツとマリーゴールドが彩るメキシコの死者の日04

木製のひな段に8枚の写真と8個のカラベラが飾られ、テキーラの瓶と菓子パンやポレンタなどの食べ物が山盛りになって、あちこちにパペル・ピカドが吊るされています。

「すごく綺麗!」
「ああ、マリーゴールドは死者の花なんだよ。この香りが亡くなった人を家族の元へ導いてくれるんだ。」

カルロスは私に飲み物を勧めながら、1人ずつ写真の人物を紹介しエピソードを語ってくれました。

すると、カルロスの幼馴染だという男の人が話に加わって、お爺ちゃんのネコを追いかけまわして叱られた話をしはじめ、次々にいろんな人がやって来て写真の故人にまつわる思い出を披露していきます。

会話はスペイン語と英語の半々という感じで解らないことも多かったのですが、みんな親切で陽気で本当に楽しそうで、大きな祭壇を設えていることを除けば普通のパーティーのようでした。

伝統の遊び、カラベラス リテラリアス(頭蓋骨文学)

そうこうしている間に、カルロスが一言スペイン語でなにかを促すと、5人ぐらいの人がノートや紙きれを取り出し、順番に何かを朗読しはじめたのですがスペイン語だったので内容は解りません。

韻を踏んでいるので何かの詩だろうという感じで、皆さんが笑っているので何か面白いことを言っているのは解ります。

カルロスのお嬢さんがスペイン語が解らない私に気づいて、「カラベラス リテラリアス ( calaveras literarias )と言って、死者の日に亡くなった人を題材にして、韻を踏むように皮肉やユーモアの効いた詩を詠む遊びなの。」と教えてくれました。

メキシコの死者の日は設定こそ日本のお盆と似ていますがとても楽しいパーティーで、神妙な喪のお祝いではなく、愛する故人の人生と死をユーモアと幸せな思い出で祝福することに重点を置いています。

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お盆にはお坊さんを呼んでお経をあげて貰っていたような記憶しかなかったので、故人の思い出を楽しくパーティーにしてしまうメキシコの死者の日は、とても新鮮で幸せなイベントでした。

死者の日を祝う食べ物と晩餐

死者の日には、亡くなった方が好きだった食べ物やお酒を用意してオフレンダにお供えするのですが、いくつか伝統的な食べ物があります。
「パン デ ムエルト」という甘い菓子パンや、シュガースカルも死者の日をお祝いするフードです。

カルロスの家にあったパン デ ムエルトは、人や動物の形をした卵パンのような甘めの生地にアニスで風味を付けたもので、すごく美味しくてお土産に包んでもらった物も、翌日すぐ食べてしまいました。

翌日、学校で他の友達に貰ったパン デ ムエルトは、丸い卵パンに骨の形の飾り付けがしてあり、最近はアメリカではこのタイプのほうをよく見かけます。

可愛いガイコツとマリーゴールドが彩るメキシコの死者の日06

シュガースカルは、その名の通りグラニュー糖にデンプンやメレンゲを混ぜてガイコツの形に固めたもので、本来は食べることができるキャンディーのようなものです。

カルロスはあまりたくさん食べるとお腹が痛くなると言っていましたし、少しだけ食べてみたのですが、粉っぽい角砂糖ような感じであまり美味しいものではありません。

最近のシュガースカルは着色料などが食べられない素材の場合も多いので、購入した場合は食べても大丈夫なのか表示をよく読んで確認することが大切です。

晩餐が始まるというので適当に空いてる席に座ったのですが、そこには叔母さんが座っていると言われ、「ええっ!」と驚いて飛び上がったら、みんな大笑いしています。

死者の日の晩餐には故人の席も用意して、亡くなった家族の魂がそこに座っているという体で食べるということを知らなかったのです。

カラベラ人気はいつも絶大

カラベラはとても人気があるので、死者の日に限らず民芸品として木製の人形や張り子などの耐久性のある素材で作られた可愛いカラベラがたくさん売っています。

一つずつ模様が違うカラベラですが、「カタリーナ」という名前の羽根つき帽子にロングドレスのカラベラが、唯一よくある死者の日のキャラです。

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カタリーナは、20世紀はじめに人気を博したメキシコの政治風刺漫画家、ホセ グアダルーペ ポサダが描いた、富裕層のように派手な服を着たおしゃれなカラベラの中から定着したと言われています。

ハロウィーンにカラベラメイクでロングドレスの女の子もよく見かけますが、これはカタリーナのコスプレということですね。

カラベラは色合いがカラフルで、マーカーを使った落書きのような可愛さがあり、幸せの象徴という意味合いも含め、カラベラモチーフの小物やジュエリー、ポスターなどのインテリアは常に人気です。

チャイハネでも愛らしいガイコツモチーフのカラベラグッズをいくつかご用意しております。

カラベラカレンダー 2023カラベラ顔のマラカスEGGカラベラパスケースギターを弾いてるカラベラの置物ファンキーカラベラドール

など、どれもカラフルで可愛くユーモラスな物ばかりです。

メキシコの幸せのシンボルで、亡くなった愛する人たちを象徴するカラベラがいつでも傍にいてくれたら、いつも守られているようで毎日が楽しい気持ちで過ごせますよ。

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