お洒落着“浴衣”で夏を過ごす~花火とともに~

1.浴衣と花火

浴衣と花火01

“浴衣と花火”
浴衣を着て縁側で花火をする。花火大会に出かけるなら浴衣を着る。
私たちの描く昔からの“浴衣と花火の物語”は、時代を超えた今でも、永遠のものとして受け継がれています。

今回は夏の浴衣の魅力や現代の着こなし、またそれに深い縁のある花火の歴史をお伝えします。

2.浴衣は夏を楽しむお洒落着~重要ポイント生地の選び方~

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“艶やか”という言葉がピッタリの浴衣姿。
浴衣を着るだけで、見た目だけでなく、立ち振る舞いも自然と美しくなりますね。

花火大会やお祭りなど、夏の特別な日にだけ着るイメージが強い浴衣。
しかし現代では、夏を楽しむお洒落着として普段でも浴衣を着る人が増えているようです。
伝統的な和柄はもちろん、豊富な色使いやポップなデザイン、人気キャラクターに至るまで沢山の種類が出回っているのも頷けます。

もちろん好みの色や柄の浴衣を選ぶのが一番です。

しかし見た目同様、またはそれ以上に“素材”選びは重要ポイント。
着心地が良くない、お手入れも難しいとなれば、折角選んだはずの“お洒落着”が台無しになってしまいますね。

浴衣と花火03

浴衣に使われる素材の中から、いくつかをご紹介します。

綿
肌触りが柔らかく、吸汗性にも優れているため着心地が良い
洗濯機で洗え、初心者にもおすすめの素材

綿麻
ふんわり快適な着心地とシャリッとした肌触りのバランスが良い
通気性が良く、速乾性もある

レーヨン
シルク素材に似た質感で、肌着にも使われる素材のため浴衣にも適している
綿との混合素材のものが多い

ポリエステル
発色が良いため、プリント柄などを好む人にはおすすめ
色落ちしにくく、シワにもなりにくいのでお手入れも簡単

綿縮
強くねじった木綿生地
風通しがよく、シャリッと感がある

綿紬
節のある木綿糸でできた生地
ハリ感があることと、春や秋にも着られる厚手素材

絹紅梅
絹生地。サラっとしていて通気性が良く、表面が凸凹している

通気性や肌触り、お手入れ法なども考慮しながら、自分に合ったお洒落な浴衣を選んでみましょう。

3.浴衣は難しくない~初心者でも簡単。お洒落に着るポイント!~

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浴衣を着てみたい。今年こそチャレンジしたい。でも現実は?
着付けが難しくてハードルが高い!と諦めてしまう方が多いのではないでしょうか?
しかし最近では、動画やSNSでも簡単な浴衣の着方が発信されているため、初心者でもスンナリ着られるかと思います。

それでも浴衣を着るのに“ためらい”を感じるひとつは、“帯を結ぶのが難しい” というイメージが強いからではないでしょうか?

浴衣と花火05

しかしここで朗報です!!

最近では、着脱に工夫が施された簡単“作り帯”が出回っています。
帯結びへのハードルが一気に下がり、浴衣を着るのって意外と簡単かも!に変わるかもしれませんね。

ここに作り帯の正体と浴衣の重要作法、お洒落に着るポイントをお伝えします。

①簡単“作り帯”とは?

浴衣と花火06

“帯結び”の形が既に出来上がっていて帯に差したり、巻いたりするものもあれば、“帯ベルト”と呼ばれ、巻いて結ぶだけで決まる帯など多種多様なカンタン帯があるようです。

作り帯は胴を巻く部分が、マジックテープやひも、金具で留められるようになっています。
(別名:付け帯・軽装帯・簡易帯・文化帯など)
作り帯は形が決まっているため、簡単装着。着崩れの心配もありません。
また、手結びの帯と違い、結び目や布地に傷みが生じにくいのがメリットとも言えます。

最近では、文庫結び(リボン型)やお太鼓結び型、角出しタイプをはじめ、豊富なデザインの作り帯もあるため、浴衣だけでなく、ファッションとして普段使いするアイディアも浸透しているようです。

②浴衣作法、右前の定義とは?~yの字で覚える~

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浴衣を着る際の衿合せ、左右どちらを前に合せますか?
正解は、男性女性に関わらず“右前”です。

でもここで注意!
右前だからと、自分から見て衿の右側を前にしてはN.G.です。

“相手からみて右衿が前に出ている=自分の左衿が上にくるように合わせる”
これが右前の定義。

衿の左右に迷ったら、“yの字”で覚えましょう。
左が短く、右が長いyの字。相手から見たときに衿の右側が前になるように着ると、ちょうどこの小文字のyに見えるので分かり易いですね。

また、ここでもうひとつ覚えやすいポイントです。
「前」とは「先」という意味で前時代では使われていたそうです。
「朝飯前」などの文言はその名残なのではと考えてみたり…
右を先に=「右前」と覚えてもいいかもしれませんね。
右を先に衿を持ってきて「y」の字が見えれば完璧です!

③お洒落に着るポイント~こなれた感じを出す~

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特別な日だけでなく、普段の日常着としても浴衣を取り入れる。
“こなれた感じを出す”ポイントを参考に、お洒落に着こなしてみましょう。

*きっちりした衿合せ→ゆるめだと着崩れが生じる
*襟足はやや大きめに抜く→着こなれ感を生み出す
*裾はくるぶし丈がマスト→あか抜け感バッチリ
*ロングヘアはまとめる→粋でおしゃれな表情に
*和小物を取り入れる(日傘や扇子、風呂敷バッグなど)→上品かつおしゃれで魅力アップ

“頑張って浴衣を着る”から“お洒落に浴衣を着こなす”へ

浴衣姿で見える世界も広がりそうですね。

4.浴衣の新しい形~“浴衣ならい”で夏の日常を過ごす~

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最近では、気軽に着られるお洒落な“浴衣ならい”が人気です。
見た目は浴衣のワンピースなのに、一枚羽織るだけで和装気分が味わえます。

浴衣ならいは、“着物に倣ったお洋服”がコンセプト。
着心地が良く動きやすい作りのため、普段着にも最適です。
浴衣の艶やかさや和を意識した、モダンかつエレガントなシルエットは、和装に憧れる海外の方にもおすすめです。

特徴
・首元をきれいに見せる衿の形や開き具合、袂の形へのこだわり
・サイドスリットはおしゃれで程良い抜け感
・しっとりサラッと感で、シワになりにくい100%レーヨン素材
・ウエスト部分は紐で調節可能、着脱も簡単

夏らしい色合いとデザインをあしらった“浴衣ならい”
おうちでのくつろぎタイムにはもちろん、お出掛け時にもピッタリです。
“かんざし”でさりげなく髪留めし、扇子や風呂敷バッグを片手に、急な夕立にも備えた晴雨兼用傘を差して、凛と歩く。

そんな素敵な夏の1ページを刻んでみませんか。

5.花火の歴史~花火の起源と“たまや”の掛け声~

浴衣と花火10

“花火”。英語では“火による作品(芸術)”という意味から、“fireworks”と呼ばれます。
花が開いたと思ったらすぐに消えてしまう。この世で一番儚き芸術作品に思えます。
だからこそ、私たちは花火の風情を感じ魅了されるのでしょうね。

ここに“花火”の歴史を覗いてみましょう。

花火の起源
中国(秦)の始皇帝時代に使用された“のろし”が始まりと言われています。
(のろし=煙で遠方の人に情報伝達する方法)
その後唐の時代に火薬が発明され、花火が誕生。
当時の火薬は爆竹など、武器として使われていました。

鑑賞する花火はいつから?
14世紀後半以降、イタリア(フィレンツェ)で始まったと言われています。
戴冠式や結婚式などの祝いの際に、花火を打ち上げ、鑑賞する文化が始まりました。

日本に伝わったのはいつ?
文永11年(1274年)、蒙古軍来襲により武器として火薬が持ち込まれました。
1589年日本の花火第1号を鑑賞したのは、伊達政宗。
1613年、中国人によって打ち上げられた花火を徳川家康が鑑賞したことがきっかけとなり、花火が大流行。
町人文化中心だった江戸の他、信州、越後、三河、近畿、九州にも花火文化が広まったようです。

現在に至る
明治初期、塩素酸カリウムなどの彩色光剤が西洋から輸入され、色彩豊かな花火が誕生。日本花火の躍進の時代を迎えました。
その後様々な研究開発により、“日本の花火は世界一”を誇るに至ります。

*たまやの掛け声
「たまや~!」打ち上げ花火とともに、どこからともなく響く声。
花火への感動が一層高まります。
ところで、この“たまや”の言葉のキッカケをご存知ですか?

花火文化が庶民にも広まった頃、花火師や花火売りという職業が誕生しました。
一花火師であった玉屋市郎兵衛が、諸々の事情から後継ぎを残すことなく、江戸を去っていきました。
惜しんだ人々が、彼の苗字をとって「たまや~!」とエールを送ったとか。
華やかな花火。たまや~の裏には、何とも切ないエピソードがあったのですね。

6.最後に

いかがでしたか?

大輪の花を咲かせ、全身で夏を感じる、打ち上げ花火。
夕涼みとともに心を癒してくれる、手持ち花火。
描かれた夏の思い出には、浴衣と花火が最高のモデルですね。

また、日本の伝統衣料の一つである浴衣について言えば、花火大会やお祭りなど、特別な時にだけ着るものから、日常着として取り入れる傾向が高まっています。
現代風で言う“こなれ感”と“抜け感”を出しながら、浴衣で夏のおしゃれを楽しんでみてはいかがでしょうか。

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