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夏の風物詩。何を思い浮かべますか? 海や花火、お祭り、カキ氷など。 夏の思い出として挙げられるものは、数多ありますね。 日本の伝統工芸品の一つである“風鈴”もまた、大切な夏の風物詩です。
“風鈴(ふうりん)” この響きを聞くだけで、“夏”の情景が思い浮かび、全身で“涼”を感じとれる。 セミの鳴き声と合唱するかのような風鈴の音、そして夕暮れ時の縁側でのひととき。 そんな得も言われぬ“なつかしさ”が、自然と湧いてきます。
日本の伝統文化として受け継がれてきた“風鈴”は、暑さを避けて涼む“納涼”だけではなく、それがあるだけで、何とも言えない“趣や風情”を感じさせてくれます。
・リラックス効果
α波=気分がゆったり落ち着いた時に現われる、脳内の波形の一つ。 この波は音などを通して脳に誘発されることが多く、自律神経バランスを整えたり、集中力アップにも繋がること、またリラックスや癒しを促すと言われています。
ところで1/f(エフぶんのいち)ゆらぎって聞いたことはありますか? 規則音と不規則音が調和した状態(音)のことで、これが耳に入ると、脳内がα波の状態になるそうです。
例えば、小川のせせらぎや小鳥のさえずり、木の葉のゆれる音etc そして今回のテーマである“風鈴”のゆれる音も、α波を作り出してくれる 1/f の仲間です。
・体温を実際に下げる効果
風鈴の音を聞くと、涼しくなったような気がします。 これは情緒的な感覚ではなく、本当に涼しいと体感しているのだそうです。
風鈴の音を耳にする→風が吹いた→涼しい
この一連の流れを脳が無意識に判断し、“体温が下がる”と末梢神経に命令を出します。
その情報が体温を下げる状態に調節するという説があるため、風鈴の音を聞くと 私たちは本当に涼しさを体感するのだそうです。
基本構造
風鈴は、大きく分けて、鐘・舌(ぜつ)・短冊の3部構成。 鐘の内側にある小さな部分が舌で、別名は振り管(ふりくだ)。 その下に垂れ下がっているのが短冊です。
音が鳴るしくみ
短冊で風を受ける→短冊と紐で繋がる舌が揺れる→舌が鐘に当たると音が鳴る 風が吹いた瞬間、このようにして風鈴は素敵な音色を私たちに届けてくれるのです。
日本各地で生まれ、昔から伝わる風鈴の数々。伝統的な風鈴をいくつかご紹介します。
ガラス風鈴の代表。 “篠原風鈴本舗“と“篠原まるよし風鈴”で作られたものだけが、正真正銘の江戸風鈴。 以前はガラス風鈴やビードロ風鈴と呼ばれていましたが、"江戸風鈴“というブランド名として商標登録もされています。 “宙吹き(ちゅうぶき)”といって、型を使わずにガラスを形成するのが大きな特徴で、風鈴の縁はギザギザな仕上げ。
南部鉄器は良質な砂鉄が用いられ、密度が高いと言われる岩手の伝統工芸品。 この特性を生かした風鈴の音は、“残したい日本の音百選”にも選ばれています。 リーンとした澄んだ音が小鳥のさえずり等と同じ周波数を発し、リラックス効果があるそうです。
原料が土である陶器と石である磁器の両種類をもつ九谷焼。 細やかで多彩な色絵陶磁器の特徴を生かした風鈴は、響き渡るような音とともに、見た目も華やかで存在感がたっぷり。
亜鉛と銅を混合させた金属、“真鍮(しんちゅう)”製で、鋳物工芸品“高岡銅器”を造る技術によって生まれました。ちなみに5円玉も真鍮製です。 真鍮の柔軟性を生かし、様々な形の風鈴が出回っています。 チリリーンと長く高い音色が楽しめるとともに、そこには一瞬の厳粛さえも感じます。
真っ黒な棒状の炭が複数吊り下げられている風鈴。 この炭は“ウバメガシ”を利用した備長炭で、和歌山で作られています。 涼しげなカランカランという金属のような音色は、見た目とのギャップに趣があります。
“火箸”は炭火等を掴む金属製の箸で、姫路では伝統工芸品に指定されています。 音色が高く評価されていることから、火箸よりも風鈴として全国に知られるほど。 4本の火箸が吊り下げられ、真ん中の振り子がぶつかり合うことで音が鳴ります。
伝統焼物で有名な有田焼を用いて作られた風鈴。 有田焼は、素地が緻密で透光性があって吸収性のない“磁器”で、ガラス製風鈴よりもやや低い音色は、耳心地が良いと言われています。
別府に古くから伝わる8種の編組技法伝統工芸品である“竹細工”。 これで南部風鈴を包みこんだものが別府風鈴。 まさに日本の北と南のコラボレーションですね。
様々な技法や素材を生かした、伝統的な風鈴の数々。 昨今では納涼の目的はさることながら、そこにアイディアや工夫を凝らし、現代の日常生活にも合いまった、おしゃれな風鈴が次々に生み出されています。
・好みの絵や柄を楽しみたい→ガラス製 ・種々の形やモチーフを楽しみたい→鉄製 ・色彩を楽しみたい→陶器製
昔馴染みの和柄はもちろん、現代アート的な柄や色彩を放つ風鈴も、豊富に出回っています。 手描きデザインの風鈴も、特別感があって素敵ですね。
・軽やかな音色(チリンチリン)→ガラス製 ・澄んだ高い音色(チリーン)→鉄製 ・ガラス製よりややこもった温かみのある音色→陶器製 など
時折やさしい風に吹かれ、耳心地良く入ってくる音。 それが風鈴の醍醐味です。 癒される音色を探してみるのも楽しいですね。
・軒先や玄関など風の出入りがある場所→吊るすタイプ ・エアコンの風等があたる室内→吊るすタイプ・卓上スタンドタイプ ・リビングのテーブルや寝室のサイドテーブル、玄関の棚上など→卓上スタンドタイプ
最近では家のちょっとしたスペースにも置ける"卓上タイプ“の風鈴も注目を浴びており、おしゃれなインテリアとして、新しい楽しみ方が話題となっています。
風鈴は幸せを呼び込むともいわれ、それに近い”ウインドチャイム“は、澄んだ音色が心を癒し、空間さえも浄化すると言われています。 海外では玄関先にウインドチャイムをかけている家が多く、ドアが開閉するたびに素敵な音が響いています。
原型
お寺にある“風鐸(ふうたく)”がモデルとなっています。 風鐸:仏堂や仏塔の軒の四隅に吊るす青銅製鐘形の鈴
起源
風鈴は中国で生まれたとされ、時代は唐まで遡ります。 風鐸は、“占風鐸(せんふうたく)”という当時の占いの道具として使用され、竹林の東西南北に吊るし、音色や風向きで吉凶を見定めたと言います。
日本伝来
風鈴の起源ともされる風鐸が、仏教と共に日本へ伝わりました。 初めて風鈴という言葉を用いたのは、浄土宗開祖の法然と言われています。
迷信と魔除け
当時日本では、強風は邪気や流行病を運ぶという迷信が蔓延っていたため、風鐸の音が聞こえる範囲は聖地とされていました。 風鐸はこのような災いから守ってくれるもの、つまり“魔除け”としてお寺に吊るされていたようです。
平安~鎌倉の頃には、貴族らが“魔除け”として軒先に吊るしていましたが、江戸時代になると、“涼”を感じる“道具”としての風鈴に変化していきました。
現代ではインテリアとして飾るのもおしゃれと人気が高まり、日常に取り入れる人が増えているようです。 目も耳も、そして心も癒される。まさに幸せのアイテムですね。
時間に追われる日々の忙しない日常。自分を見失ってしまうこともあるでしょう。 風に吹かれる風鈴の姿を目にし、素敵な音色に胸をなでおろす。 “明日は明日の風が吹く”の言葉のように、私たちに希望や勇気を与えてくれそうですね。
時代を超えた今でも、風鈴は私たちの心を癒してくれる素晴らしい伝統工芸品です。 “風の時代”とも言われる現代こそ、風鈴の風と音の波に乗り、自分らしいライフスタイルを楽しんでみてはいかがでしょうか。
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目次
1.風鈴で納涼?!~音の効果とともに~
夏の風物詩。何を思い浮かべますか?
海や花火、お祭り、カキ氷など。
夏の思い出として挙げられるものは、数多ありますね。
日本の伝統工芸品の一つである“風鈴”もまた、大切な夏の風物詩です。
“風鈴(ふうりん)”
この響きを聞くだけで、“夏”の情景が思い浮かび、全身で“涼”を感じとれる。
セミの鳴き声と合唱するかのような風鈴の音、そして夕暮れ時の縁側でのひととき。
そんな得も言われぬ“なつかしさ”が、自然と湧いてきます。
日本の伝統文化として受け継がれてきた“風鈴”は、暑さを避けて涼む“納涼”だけではなく、それがあるだけで、何とも言えない“趣や風情”を感じさせてくれます。
*風鈴の音色効果
・リラックス効果
α波=気分がゆったり落ち着いた時に現われる、脳内の波形の一つ。
この波は音などを通して脳に誘発されることが多く、自律神経バランスを整えたり、集中力アップにも繋がること、またリラックスや癒しを促すと言われています。
ところで1/f(エフぶんのいち)ゆらぎって聞いたことはありますか?
規則音と不規則音が調和した状態(音)のことで、これが耳に入ると、脳内がα波の状態になるそうです。
例えば、小川のせせらぎや小鳥のさえずり、木の葉のゆれる音etc
そして今回のテーマである“風鈴”のゆれる音も、α波を作り出してくれる
1/f の仲間です。
・体温を実際に下げる効果
風鈴の音を聞くと、涼しくなったような気がします。
これは情緒的な感覚ではなく、本当に涼しいと体感しているのだそうです。
風鈴の音を耳にする→風が吹いた→涼しい
この一連の流れを脳が無意識に判断し、“体温が下がる”と末梢神経に命令を出します。
その情報が体温を下げる状態に調節するという説があるため、風鈴の音を聞くと
私たちは本当に涼しさを体感するのだそうです。
*ミニ知識~なぜ風鈴の音は鳴るのか?~
基本構造
風鈴は、大きく分けて、鐘・舌(ぜつ)・短冊の3部構成。
鐘の内側にある小さな部分が舌で、別名は振り管(ふりくだ)。
その下に垂れ下がっているのが短冊です。
音が鳴るしくみ
短冊で風を受ける→短冊と紐で繋がる舌が揺れる→舌が鐘に当たると音が鳴る
風が吹いた瞬間、このようにして風鈴は素敵な音色を私たちに届けてくれるのです。
2.風鈴の種類~産地・伝統工芸品・特徴~
日本各地で生まれ、昔から伝わる風鈴の数々。伝統的な風鈴をいくつかご紹介します。
*江戸風鈴(東京)
ガラス風鈴の代表。
“篠原風鈴本舗“と“篠原まるよし風鈴”で作られたものだけが、正真正銘の江戸風鈴。
以前はガラス風鈴やビードロ風鈴と呼ばれていましたが、"江戸風鈴“というブランド名として商標登録もされています。
“宙吹き(ちゅうぶき)”といって、型を使わずにガラスを形成するのが大きな特徴で、風鈴の縁はギザギザな仕上げ。
*南部風鈴(岩手)
南部鉄器は良質な砂鉄が用いられ、密度が高いと言われる岩手の伝統工芸品。
この特性を生かした風鈴の音は、“残したい日本の音百選”にも選ばれています。
リーンとした澄んだ音が小鳥のさえずり等と同じ周波数を発し、リラックス効果があるそうです。
*九谷焼風鈴(石川)
原料が土である陶器と石である磁器の両種類をもつ九谷焼。
細やかで多彩な色絵陶磁器の特徴を生かした風鈴は、響き渡るような音とともに、見た目も華やかで存在感がたっぷり。
*高岡風鈴(富山)
亜鉛と銅を混合させた金属、“真鍮(しんちゅう)”製で、鋳物工芸品“高岡銅器”を造る技術によって生まれました。ちなみに5円玉も真鍮製です。
真鍮の柔軟性を生かし、様々な形の風鈴が出回っています。
チリリーンと長く高い音色が楽しめるとともに、そこには一瞬の厳粛さえも感じます。
*備長炭風鈴(和歌山)
真っ黒な棒状の炭が複数吊り下げられている風鈴。
この炭は“ウバメガシ”を利用した備長炭で、和歌山で作られています。
涼しげなカランカランという金属のような音色は、見た目とのギャップに趣があります。
*明珍火箸風鈴(兵庫)
“火箸”は炭火等を掴む金属製の箸で、姫路では伝統工芸品に指定されています。
音色が高く評価されていることから、火箸よりも風鈴として全国に知られるほど。
4本の火箸が吊り下げられ、真ん中の振り子がぶつかり合うことで音が鳴ります。
*有田焼風鈴(佐賀)
伝統焼物で有名な有田焼を用いて作られた風鈴。
有田焼は、素地が緻密で透光性があって吸収性のない“磁器”で、ガラス製風鈴よりもやや低い音色は、耳心地が良いと言われています。
*別府竹風鈴(大分)
別府に古くから伝わる8種の編組技法伝統工芸品である“竹細工”。
これで南部風鈴を包みこんだものが別府風鈴。
まさに日本の北と南のコラボレーションですね。
3.おしゃれな風鈴の選び方~インテリアにも最適!~
様々な技法や素材を生かした、伝統的な風鈴の数々。
昨今では納涼の目的はさることながら、そこにアイディアや工夫を凝らし、現代の日常生活にも合いまった、おしゃれな風鈴が次々に生み出されています。
*デザインで素材を選ぶ
・好みの絵や柄を楽しみたい→ガラス製
・種々の形やモチーフを楽しみたい→鉄製
・色彩を楽しみたい→陶器製
昔馴染みの和柄はもちろん、現代アート的な柄や色彩を放つ風鈴も、豊富に出回っています。
手描きデザインの風鈴も、特別感があって素敵ですね。
*音色で選ぶ
・軽やかな音色(チリンチリン)→ガラス製
・澄んだ高い音色(チリーン)→鉄製
・ガラス製よりややこもった温かみのある音色→陶器製 など
時折やさしい風に吹かれ、耳心地良く入ってくる音。
それが風鈴の醍醐味です。
癒される音色を探してみるのも楽しいですね。
*飾る(置く)場所で選ぶ
・軒先や玄関など風の出入りがある場所→吊るすタイプ
・エアコンの風等があたる室内→吊るすタイプ・卓上スタンドタイプ
・リビングのテーブルや寝室のサイドテーブル、玄関の棚上など→卓上スタンドタイプ
最近では家のちょっとしたスペースにも置ける"卓上タイプ“の風鈴も注目を浴びており、おしゃれなインテリアとして、新しい楽しみ方が話題となっています。
4.風鈴のルーツを辿る~幸せを運ぶ風と音~
風鈴は幸せを呼び込むともいわれ、それに近い”ウインドチャイム“は、澄んだ音色が心を癒し、空間さえも浄化すると言われています。
海外では玄関先にウインドチャイムをかけている家が多く、ドアが開閉するたびに素敵な音が響いています。
原型
お寺にある“風鐸(ふうたく)”がモデルとなっています。
風鐸:仏堂や仏塔の軒の四隅に吊るす青銅製鐘形の鈴
起源
風鈴は中国で生まれたとされ、時代は唐まで遡ります。
風鐸は、“占風鐸(せんふうたく)”という当時の占いの道具として使用され、竹林の東西南北に吊るし、音色や風向きで吉凶を見定めたと言います。
日本伝来
風鈴の起源ともされる風鐸が、仏教と共に日本へ伝わりました。
初めて風鈴という言葉を用いたのは、浄土宗開祖の法然と言われています。
迷信と魔除け
当時日本では、強風は邪気や流行病を運ぶという迷信が蔓延っていたため、風鐸の音が聞こえる範囲は聖地とされていました。
風鐸はこのような災いから守ってくれるもの、つまり“魔除け”としてお寺に吊るされていたようです。
平安~鎌倉の頃には、貴族らが“魔除け”として軒先に吊るしていましたが、江戸時代になると、“涼”を感じる“道具”としての風鈴に変化していきました。
現代ではインテリアとして飾るのもおしゃれと人気が高まり、日常に取り入れる人が増えているようです。
目も耳も、そして心も癒される。まさに幸せのアイテムですね。
5.さいごに
時間に追われる日々の忙しない日常。自分を見失ってしまうこともあるでしょう。
風に吹かれる風鈴の姿を目にし、素敵な音色に胸をなでおろす。
“明日は明日の風が吹く”の言葉のように、私たちに希望や勇気を与えてくれそうですね。
時代を超えた今でも、風鈴は私たちの心を癒してくれる素晴らしい伝統工芸品です。
“風の時代”とも言われる現代こそ、風鈴の風と音の波に乗り、自分らしいライフスタイルを楽しんでみてはいかがでしょうか。
「おしゃれに涼をとる」にピンときた方におすすめ!
扇子で“粋”に涼をとる!~エコな生活とおしゃれ文化~
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「チャイハネ」で働ければ海外に行けると、安易な気持ちで入社したマコト青年 Vol,5 [ 出張編 ]