チャイハネ誕生記

来る5月2日はチャイハネの43周年迎える記念すべき日だ。
今回は、「チャイハネ誕生記」と称して、チャイハネ1号店ができるまでの紆余曲折を紹介したい。
 

~チャイハネができるまで~
現代に自分らしいパワーと個性を取り戻す。
チャイハネを通して自分自身の活力を取り戻し、輝く個性をたのしんでもらいたい。
シーズンでのテーマを通じて、ライフスタイル提案や価値観の共有を計り、現代生活において、必要な活気を取り戻す力になりたい。

そんなチャイハネの第一店舗がオープンした記念すべき地、横浜中華街。元町や山下公園が近く、海に臨む街として情緒豊かに発展を遂げている。

西欧から中華圏まで、一見文化のるつぼ状態にある土地だ。

横浜は明治と占領時代と、二度にわたり日本が始めて欧米の文物を大量に受け入れた街だ。南門は文明開化のころのメインストリート。毎週日曜になると異人たちが集まって、ここでパレードしていた。そして日本人のフォークロアを変貌させた。
近代の良い悪いもここが始まり。そのころは「文明開化の音がして」、今は文明開化の見直しの音が聞こえる。

まさに、フォークロアの砦を作るにふさわしい場所だった。

シルクロードはユーラシア大陸を東西に走る交易路だ。東は、中国にあって、しかも世界に開いた窓口だ。西欧思考志向の元町と中華料理主体の大通りを結んで、シルクロードを中心に世界の文物のある街にしたい。

店の名はシルクロードと中華街に馴染みやすい名前を考えた。トルコの庶民的な喫茶店、人がわいわいと集まる寄合茶屋「チャイハネ」がすぐ浮かんだ。

中国には、「白手起家(パイショーチージャー)」という熟語がある。日本人の裸一貫から財をなすという感覚だろうか。何もない所から事業を起こし、一代で成功させるという意味だ。華僑の人は、この白手起家の精神で財を成した人が多く、見栄や外見を気にしていられない率直さと、不必然な干渉をさけ、必要な相互扶助はやろうという前向きな力強さを感じる。

こうして閉鎖的な日本で異国から来た人たちとその子孫が、この街を作り、その文化(主に食文化)を日本社会に提供して生活している。日本人が彼らのサービスにお金を落として、彼らの生活が潤い、さらに中華街全体が活性化していくさまは、経済の好循環ともいえ、また、文化の共存、そして互いへのリスペクトの精神が醸成されている。

世界的にみても有数な規模という横浜中華街の存在は、これからの日本にとっても貴重なことだろう。日本の国際化はここで始まったのかもしれない。

グローバルを重んじ、他国との共存・共栄を図るこの街で、新しいカルチャーを届けるチャイハネ旋風を巻き起こしたい。そして各々の個性を発揮し、世の中を照らす新たな光をみなで見出そう。

そのためには自分らしさに立ち返らなければならない。どんなに大変で前が見えない時期でも、“誰か”になろうとしてはいけない。自分を取り繕ってもだめだ。異文化を求めて多種多様な価値観に染められるのも大切だが、時には自然を浴びて、自分自身に還ることも必要だ。

このようにチャイハネは新しいコンセプトを掲げ、この地横浜から航海を続ける。横浜だからこそ生まれたフォークロアの精神を胸に、これからも進化を続けていく。

誰でも集える寄合茶屋「チャイハネ」へぜひ足を運んでみてほしい。世界中を旅しているような気分を味わえ、きっと自分らしさを引き出すことができるから。

進藤幸彦著、 『フォークロア世界への旅』 を一部編集


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