掲載日:2026.01.21

門出・送別で贈る「はなむけの言葉」とは?例文やシーン別に使える大切な人に贈る心に響くメッセージ、注意点をご紹介!

卒業・送別・門出など、冬から春にかけてはさまざまな別れのシーンが訪れますよね。
人生の転機となるタイミングで、大切な人に贈りたいのが「はなむけの言葉」です。
日本には、別れを「終わり」ではなく、新たな始まりとして慈しむ文化があります。直接的な言葉を多く使わずとも、相手の行く先を思い、静かに背中を押す——そんな心遣いが、日本の言葉には息づいています。「はなむけの言葉」もまた、相手の未来を案じ、幸せを願う日本ならではの美しい表現のひとつです。短い一言に込められた思いやりは、時代を超えて人の心に寄り添い続けてきました。

このコラムでは、「応援しているよ」「頑張ってね」という気持ちが伝わる、心に響くはなむけの言葉をシチュエーション別にご紹介していきます。

はなむけの言葉の意味や由来、歴史など知識として知りたい方や、はなむけの言葉に迷っていて使えそうなものを探している方などは、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてくださいね。

目次

「はなむけ」とは?

「はなむけ」とは、旅立ちや新たな門出を迎える人に対して、その門出をお祝いし、無事や幸せを願って、言葉や贈り物を添えて見送る日本の慣習を指します。卒業、就職、異動、退職、結婚、転居など、人生のさまざまな節目に寄り添う言葉として、古くから大切にされてきました。
単に別れを告げるための言葉ではなく、「これから歩む道が穏やかでありますように」「あなたの未来を応援している」という思いを、控えめながらも深く伝える点に、はなむけの特徴があります。

日本文化では、感情を直接的に表現するよりも、言葉選びや所作に気持ちを託すことが美徳とされてきました。はなむけもまた、その精神を体現した文化のひとつです。多くを語らずとも、相手を思う心が伝わる——そんな日本ならではの奥ゆかしさが、「はなむけ」という言葉には込められています。

このあと、はなむけの語源や歴史、現代での使い方、シーン別に使える言葉や名言まで、幅広くご紹介していきます。はなむけの言葉を通して、日本文化に息づく心遣いの美しさを感じてみてください。

古代の日本文化に由来する「はなむけ」の語源と歴史

そもそも「はなむけ」とはどのような語源・由来があるのでしょうか?

昔の日本では、遠くへ旅立つ際、道中の安全を願って、馬の鼻先を行き先の方向に向けるという習慣がありました。このことから「馬の鼻向け」という言葉が生まれました。そして、時代を経て「馬の」が省略されて「はなむけ」となりました。
なお、「馬の鼻向け」という言葉は、実際に『土佐日記』や『伊勢物語』『古今和歌集』など、有名な文学作品や和歌集にも登場しています。

現代の日本文化における「はなむけ」の意味と使い方

現代の日本では、「はなむけ」とは、新たな門出や旅立ちをお祝いして、言葉やプレゼント、お金、詩歌などを贈ることを指します。

「はなむけの言葉を贈る」「退職する人へのはなむけとして、お花をプレゼントした」といったような使い方をします。

「はなむけ」の漢字と、漢字の持つ意味

「はなむけ」は、ひらがなで表記することが一般的ですが、漢字では下記のように2種類の表記があります。

餞と贐の違い

ここでは、2種類それぞれの漢字が持つ意味などをチェックしていきましょう。

はなむけの漢字「餞」

「食」偏に、「少量・少ない」を意味する
「戔」という字の組み合わせになります。そのため「餞」は「酒や料理など、ささやかな祝宴を用意する」という意味があります。

はなむけの漢字「贐」

お金・宝などを表す「貝」偏に、「尽」の旧字体の「盡」という字の組み合わせになります。そのため「贐」は、「お金を出し尽くして門出を祝う」という意味があります。

古代の「餞(はなむけ)」の風習と旅立ち

今のように交通手段が発達していなかった古代は、安全も保障されていなかったため、旅立ちに際して別れを惜しみ涙する人も多くいました。そこで、旅立つ人の安全を願った歌や、別れを惜しむ歌などを贈る風習がありました。
また、先ほどもご紹介したとおり、馬の鼻先を行き先に向けるという風習も。そのほか、豪華な料理が提供されたり、酒が酌(く)まれ、盃(さかずき)が交わされたりといったこともありました。

なぜ現代の日本では「はなむけ」と、ひらがな表記が主流なのか?

現代は「はなむけ」というひらがな表記が一般的です。これは、餞と贐という漢字がどちらも難しいことが理由として挙げられます。また、ひらがなの方が「門出を祝う、応援する」という温かな気持ちを表現するのに適しており、また現代的である、という理由もあります。

現代の日本文化で「はなむけの言葉」を贈る際のポイント

はなむけの言葉を贈る際には、「どのような場面なのか」「誰に贈るのか」ということをはっきりとさせることが大切です。

たとえば、退職する上司に対して贈る言葉は、フランクになりすぎないように注意しましょう。また、言葉を贈る相手とこれからも会う機会があるのか、会うことが少なくなってしまうのかといった状況も見極めることが大切です。

また、一般的なポイントとして、相手への感謝・労い・尊敬の気持ちを表す言葉やフレーズを入れることも忘れずに。さらに、自分と相手との具体的なエピソードなどを含めると、より感謝の気持ちが伝わりやすいですよ。

「はなむけの言葉」にありがちな誤用や注意点

はなむけの言葉は、別れや門出の際に贈られるものです。よくある誤用として、「社長が新入社員にはなむけのあいさつをした」というのがあります。新たに組織に入ってきた人などに「はなむけの言葉」は贈らないので、注意しましょう。

そのほか、「切る」「消える」「壊れる」「四」「九」といった忌み言葉(不幸や別れを連想させるような、縁起が悪いとされる言葉)は使わないように注意しましょう。こうした忌み言葉は、「スタートを切る」→「スタートラインに立つ」のようにポジティブな表現に言い換えることが大切です。

送別全般:オールマイティに使えるはなむけの言葉

ここからは、あらゆる別れの場面で使える便利なはなむけの言葉をご紹介します。

【一覧】現代で「はなむけの言葉」とされる常套句

はなむけの言葉は、同じ内容でも相手との関係性や場面によって、ふさわしい表現が大きく変わります。上司や先輩には礼を尽くしたフォーマルな言葉を、同僚や友人には気持ちが伝わるやわらかな表現を選びたいものです。

ここでは「フォーマル/カジュアル」と「相手別」の二軸で、迷わずにそのまま使えるはなむけの言葉の常套句を一覧で紹介します。

トーン相手 フォーマル カジュアル
先輩・上司

・これまで本当にありがとうございました。

・今後のご活躍を心よりお祈り申し上げます。

・新天地でのご健闘をお祈りしています。

・長い間ご指導ありがとうございました。

・これからのご活躍も楽しみにしています。

同僚

・これまで本当にありがとうございました。

・新しい環境でのご活躍をお祈りしています。

・一緒に働けて本当に心強かったです。

・離れても応援しています。

部下・後輩

・これまでの経験が、今後の糧となりますように。

・新天地でのご健闘を祈っています。

・ここまで本当によく頑張りました。

・これからの活躍も楽しみにしています。

友人

・門出を祝して。

・これからの道のりが、実り多いものとなりますように。

・新しいスタート、心からおめでとう。

・自分らしく進んでね。

家族

・あなたの門出を、心から祝福します。

・これからの人生が、幸せに満ちたものになりますように。

・いつも応援しているよ。

・無理せず、自分のペースでね。

生徒

・これからの道のりが、実り多いものとなりますように。

・学びの日々が、未来を支える力となることを願っています。

・自分を信じて、前に進んでください。

・これからの挑戦を応援しています。

先生

・これまでのご指導に、心より感謝申し上げます。

・先生のご教えは、これからも大切にしていきます。

・先生に出会えて本当によかったです。

・これからもお体に気をつけてお過ごしください。

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はなむけの言葉としてオールマイティに使える名言

世界には、
きみ以外には誰も歩むことのできない
唯一の道がある。
その道はどこに行き着くのか、
と問うてはならない。
ひたすら進め。

ドイツの哲学者・ニーチェの言葉です。彼は既存の価値観に鋭い指摘を加え、人間の本質や生きる意味について深く考察し、新たな価値観を創っていきました。この言葉は、どのような門出のシーンにも使える、力強く相手を応援する気持ちが込められています。

シーン別:はなむけの言葉に使える名言 ―卒業・入学前―

卒業や入学前に贈る言葉としては、感謝の気持ちとエールを伝えられる内容がベストです。また、「消える」「壊れる」「終わる」などの卒業祝いにおける忌み言葉は使わないように気をつけましょう。

さらに、相手の立場や、自分と相手との関係に合わせた言葉選びも大切です。たとえば、先輩など目上の人に贈るのであれば、丁寧さを忘れないようにしましょう。

友達へ贈るはなむけの言葉

You must fail
and you will not succeed.
失敗しなくちゃ、
成功はしないわよ

世界的なファッションデザイナーのココ・シャネルの名言とされる言葉です。いくつもの批判や挫折を乗り越え、世界中から愛されるブランドを立ち上げました。この言葉には、失敗は恥じるべきものではなく、新しい道へ進むための通過点、という彼女らしいメッセージが込められています。

先輩へ贈るはなむけの言葉

うしろをふり向く必要はない。
あなたの前には、
いくらでも道があるのだから

中国の近代文学者として知られる、魯迅(ろじん)が残した言葉です。この言葉は、過去に囚われず、未来に目を向けて進むことの大切さを伝えています。魯迅の作品は教科書に載ることも多いため、これまで勉強を頑張った先輩にもぴったり。「あなた」の部分を先輩の名前にしても素敵ですね。

先生から生徒へ贈るはなむけの言葉

He can who thinks he can,
and he can’t who thinks he can’t.
This is an inexorable,
indisputable law.
できると思えばできる、
できないと思えばできない。
これは、
ゆるぎない絶対的な法則である。

天才作家として名高いパブロ・ピカソの名言です。「ゲルニカ」など、社会的なメッセージが含まれた絵画も制作した点でも高い評価を受けています。この言葉には、何かに挑戦するとき、自分はできると信じて努力することは、成功へとつながる、という励ましのメッセージが込められています。

シーン別:はなむけの言葉に使える名言 ―結婚前―

結婚前に贈る言葉としては、明るく前向きな言葉を選ぶこと、「終わり」などの忌み言葉を避けることが大切です。加えて、「まだまだ」のような重ね言葉も、再婚をイメージさせることから、使わない方がベターです。

友人・同僚へ贈るはなむけの言葉

人類は太古の昔から、
『帰りが遅い』と
心配してくれる人が必要である。

アメリカの文化人類学者マーガレット・ミードの名言です。学者として、多くの人を見てきた彼女だからこそ言える、普遍的な愛の形を表したメッセージです。友人や同僚といった気心知れた仲だからこそ、ユニークに愛を表現したこの言葉はまさにぴったり。

部下・後輩へ贈るはなむけの言葉 ―結婚前―

結婚生活は長い会話である

ドイツの哲学者・ニーチェの言葉です。新たな価値観を生み出した彼ならではの、会話や対話といったコミュニケーションの大切さが伝わる名言です。夫婦生活には、会話が付き物。会話をして、相手のことをどんどん知っていくんだ、という部下や後輩への温かなアドバイスにもなります。

部下から先輩・上司へ贈るはなむけの言葉

真実の愛は無限です。
与えれば与えるだけ大きくなる

フランスの作家サン=テグジュペリの言葉です。人間として本当に大切なことを考え続けた彼だからこそ生み出せる名言。偉そうな雰囲気が出ないため、部下から先輩・上司へ贈るのにもぴったりです。

親が子へ贈るはなむけの言葉 ―結婚前―

愛する
―それは互いに見つめ合うことではなく
一緒に同じ方向を見つめることである

フランスの作家であり『星の王子さま』の著者、サン=テグジュペリの名言です。親として、新たな門出を迎える2人に、夫婦として大切なことを伝えるメッセージです。

シーン別:はなむけの言葉に使える名言 ―退職―

退職の際には、これまでの感謝の気持ちを伝えられる言葉を使うのがベターです。また、エピソードなどは具体的な方が良いですが、退職理由がネガティブなものの場合、それには触れないようにしましょう。また、「終わる」などの忌み言葉も避けてくださいね。

同僚へ贈るはなむけの言葉 ―退職―

私がこの世に生まれてきたのは
私でなければできない仕事が
何かひとつこの世にあるからなのだ

詩人・書家である相田みつをの名言です。退職し、転職する同僚などに向けて、「あなただからこそできる仕事がある」という新たなキャリアの出発を応援するメッセージとして適しているでしょう。

部下・後輩へ贈るはなむけの言葉 ―退職―

God doesn’t request us to succeed;
he only requires that you try.
神様は私たちに成功してほしい
なんて思っていません。
ただ、挑戦することを望んでいるだけよ。

カトリック修道女であり、恵まれない人々へ愛情を注ぎ続けたマザー・テレサの名言。成功することよりも、まずは挑戦してみることが大切、という意味が込められています。後輩の門出を祝う先輩からの温かなメッセージですね。

上司・先輩へ贈るはなむけの言葉 ―退職―

夢を見るから、人生は輝く

オーストリアの作曲家・演奏家のモーツァルトの名言です。会社を退職しても、その後の人生はいくらでも輝かせることができるというメッセージを込めて、定年退職する上司や先輩に贈るのにぴったりでしょう。

シーン別:はなむけの言葉に使える名言 ―引っ越し―

引っ越しの際には、「変化を恐れないで」「新しい場所でも頑張ってね」といったように、変化を前向きに捉えられるような名言・メッセージを贈るのがポイントです。

友人へ贈るはなむけの言葉 ―引っ越し―

You never change your life
until you step out of your comfort zone;
change begins at the end of your comfort zone.
快適なゾーンから抜け出さない限り、
人生は変わらない。
居心地の良い状況の終わりが変化の始まりである。

『The Light in the Heart』の著作で知られるアメリカの作家であり、自己啓発の分野でも名を馳せたロイ・T・ベネットの名言です。慣れ親しんだ場所から引っ越すことは簡単ではありませんが、快適な場所から離れてこそ、良い変化が訪れる、というメッセージが込められています。

親が子へ贈るはなむけの言葉 ―引っ越し―

Bloom where God has planted you.
置かれた場所で咲きなさい

アメリカの自由主義神学者・ラインホルド・ニーバーの詩の一節です。日本の修道女・渡辺和子さんが同じ言葉をタイトルにした本を出版したことでも有名になった名言です。

引っ越し先は、本人が望んだ場所ではないかもしれないけれど、その場所こそが、今のあなたの居場所なんだよ、人間はどんな場所でも幸せを見つけることができるんだ、という親から子に贈るのにぴったりの温かなメッセージです。

シーン別:はなむけの言葉に使える名言 ―旅立ち―

新たな門出や、夢に向かって旅立つ相手には、応援の気持ちや前向きな気持ちが伝わるような名言を選びましょう。「スタート」「始まり」のように、旅立ちをイメージさせる言葉を使うと良いですね。

友人へ贈るはなむけの言葉 ―旅立ち―

物語はここから始まるのだ

『鉄腕アトム』などの作品で知られる漫画家・手塚治虫が残した言葉です。旅立ちにぴったりな、新たな決意やポジティブさを感じさせますね。自分で自分の物語を創っていってね、という応援の気持ちも伝えられる名言でしょう。

親が子へ贈るはなむけの言葉 ―旅立ち―

If you can dream it, you can do it.
夢見ることができれば、それは実現できる

ディズニーの創始者であり、アニメとエンターテイメントの分野で大きく貢献したウォルト・ディズニーの名言です。夢や目標を持つことの大切さを伝え、その実現を後押しするようなメッセージです。親が子どもの夢を応援するような温かさが感じられますね。

日本文化に息づく多様なはなむけの言葉に親しもう

はなむけ、という言葉は多くの方が聞いたことがあったと思いますが、細かな意味や使い方については今回初めて知った!という方も多かったのではないでしょうか。

言葉に多くを語らせすぎず、相手を思う気持ちをそっと託す——それは、日本文化が大切にしてきた美徳でもあります。「はなむけの言葉」は、形式的な挨拶ではなく、人と人との縁を結び直すための文化的な所作ともいえるでしょう。
忙しい現代だからこそ、あえて言葉を選び、相手の門出を祝う。そのひと手間に、日本文化ならではの奥ゆかしさや温もりが宿ります。はなむけの言葉を通して、言葉の力と、日本の美しい心遣いに改めて触れてみてください。

ぜひ、今回ご紹介したフレーズを参考に、場面や相手に合わせたはなむけの言葉を贈ってみてはいかがでしょうか。

このコラムが、はなむけの言葉の意味や由来、そして日本文化の魅力に興味を持つきっかけとなれば幸いです。


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